競馬の重賞レースには GI,GII,GIIIといった格付けが付いている。
もうだいぶ前だけど、こんなこと書いてましたね。
この国際的なレースの格付けというのが GI, GII, GIII というものだが、
これって過去の実績からどれぐらい強い競走馬が出場するレースか格付けしたものなのだという。
賞金などで決まってくる面もあるようだが、実態にあわせて格上げ・格下げということもあるらしい。
とはいえ、いかにレベルの高いレースであっても、外国からの参加も認めないと、国際的な格付けが得られない。
実績ベースで格付けが決まっているわけだが、その指標というのがレースレーティングというもの。
1~4着になった馬の年間レーティングの平均値で、国際的な慣例により、単位はポンドである。
ポンドってことは重量なんですね。
レーティングが4ポンド違う馬は、負担重量に4ポンド(約2kg)の差を付ければ同じぐらいの実力になる。
レース結果から実力差を重量で表し、すでにレーティングがわかっている馬との相対値で各馬のレーティングを付けて行くと。
実力を出し切れたレース、出し切れなかったレースもあるが、年間で最も高いレーティングが付いたものが、その馬の年間レートである。
絶対値にはあまり大きな意味はないと思うが、そのときの世界最強とされる馬で130ポンド程度になるようだ。
その上で、1~4着の馬の年間レーティングの平均値が3年平均で、115以上ならG1、110以上ならG2、105以上ならG3の格付けが得られるわけである。
ところが、一度格付けを得ると、この値より下がっても格付けは維持される。
ただし、基準値より何ポンドか下回った状態が続くと格下げ勧告が出るとのこと。
逆に基準値を満たしていても申請しなければ格付けは付かない。
あと、外国からの参戦ができないとグレードが付かないとかいうのもある。
というわけで、実態と格付けには多少の乖離があるわけである。
そこで気になってJRAの公表している年間レースレーティングを過去4~10年分調べた。
ただし2歳限定戦は除いた。やはり成長途上で他とレーティングを比較するのが難しいので。
2016~2019年は全重賞レースのレーティングがわかりやすくまとまっているが、
それ以前はGI以外はうまくまとまっていないので、それ以外は馬のレーティングから手で計算しないといけない。
過去4年分のデータからGI並みと思われたGIIだけ、10年分のデータを手計算した。多少の誤差はあるかもしれない。
がんばって10年分調べたけど、10年間で全体的なレベルも変化したので、結局は5年平均の方が指標としてはよさそうだったが。
あと、牝馬限定戦については、4ポンド加算した値を使っている。
牝馬(メスの馬)はオスの馬と混ざって走るときは2kg(4ポンド相当)のアドバンテージが与えられることによる。
なので牝馬限定戦以外では、1~4着に入った牝馬のレーティングには4ポンド加算した値で平均値を出している。
ただ、牝馬限定戦の場合は、この加算をせずに平均値を出すので、実態よりも低く出てしまう。
その分、格付けに必要な基準値も下がっているらしいのだが、レース同士を比較するには4ポンド加算の方が妥当だろう。
最高格付けのGIレースのうち、特にハイレベルなのが下記の5レース。
有馬記念(5年平均 120.3)、天皇賞(秋)(120.0)、ジャパンカップ(119.8)、天皇賞(春)(118.3)、日本ダービー(118.1)
このあたりは「世界のトップ100 GⅠレース」を毎年外さないですね。
レーティングがGIの基準値である115を割るレースとしては、下記の4レースである。
スプリンターズステークス(114.3)、高松宮記念(113.9)、フェブラリーステークス(114.0)、NHKマイルカップ(112.7)
なるほどなぁ。
後で紹介すると、GIIの基準値を割るGIIレースにも共通して言える特徴がある。
まず、スプリンターズステークスと高松宮記念は芝1200mの短距離戦である。
おそらく日本ではスプリンターの層が薄いんだろうな。
この2つのレースは日本におけるスプリンターの最大の目標となるレースですから、なんとかGIで居続けたいものである。
フェブラリーステークスはダートのレース、やはり日本では芝のレースに比べるとレベルは低く出るようだ。
ダート最高峰が ジャンピオンズカップ(115.8)なので、GIの基準値を少し上回る程度なんですね。
とはいえ、ここら辺はGI維持ならば問題ないと思われるが、問題はNHKマイルカップである。明らかに低い。
これでも持ち直してきている方で、2010~2015年の平均は111.6、ちょうどGIIですね。
これは層が薄いというよりも、日本ダービーとの競合なんでしょうね。
ダービーは2400mと比較的長いので、3歳マイル王(マイル=1600m)を目指すのも1つの道だとは思うのだけど、
やはりダービーは象徴的なレースですからね。勝ち負け以上に出走できることが名誉というのもあるんだろう。
逆にGI並みのGIIとしては下記の6レースがある。
中山記念(116.3)、京都大賞典(116.0)、毎日王冠(115.8)、札幌記念(115.7)、京都記念(115.6)、神戸新聞杯(115.4)
この中で最もGIに近いと言われているのが、GII最高賞金かつ定量戦(同じ年齢・性別の馬は同じ重量で走る)の札幌記念である。
これは他のGIレースのない8月開催ということで、格上げを待ち望んでいる競馬関係者・ファンも多いようだ。
京都記念(芝2200m)は2月、中山記念(芝1800m)は3月ということで、年明け初戦として、
京都大賞典(芝2400m)と毎日王冠(芝1800m)は10月の同じ週末での開催、秋初戦として実力馬が集まるようである。
叩き台とされるレースだけど、1600~2400mは層が厚いのでいろんなところにGI級のレースが生まれるらしい。
神戸新聞杯(芝2400m)は秋の3歳限定戦なんですね。この頃は3歳馬も4歳以上と混ざって走れるがこういうレースもある。
菊花賞をはじめとする秋のGIレースに向けた叩き台と考えられているが、おそらくこれは出世レースなんでしょうね。
というわけで、叩き台とされるレースが意外とハイレベルということもある。
1~4着の馬がその年に叩き出した最も高いレーティングの平均なので、レース後に高いレーティングが付けば、その分上がるわけだ。
ただ、JRAはGIレースには、そのステップレースを整備して、安定してハイレベルなメンバーが集まる仕組みが必要と考えているようで、
確かに他のGIレースと比べると、さっき挙げたGIIレースは年ごとのレーティングのばらつきが大きい。
JRAの考え方だと、GIレースは必然的にチャンピオン決定戦ばかりになるんだけど、そうである必要は必ずしもない。
オーストラリアには70以上もG1レースがあるけど、わりと漫然とやっているようである。レーティングさえ満たしていればよいとも。
GIIの基準値を割るレースは下記の6レースだった。
京都新聞杯(過去4年平均 109.0)、アルゼンチン共和国杯(109.0)、目黒記念(108.4)、東海ステークス(107.8)、ニュージーランドトロフィー(107.8)、ステイヤーズステークス(107.5)
東海ステークスはダート、ステイヤーズステークスは3600mという長距離戦なのが理由だろう。
スプリンターも手薄だが、ステイヤーもけっこう手薄である。(その割には3200mの天皇賞(春)の上位はハイレベルだが)
京都新聞杯はダービーに向けたレース、でもこのレースで上位に入ってもあまり出世できないんでしょうね。
ニュージーランドトロフィーはNHKマイルカップのトライアル、実質GIIのNHKマイルカップのトライアルがGIIは厳しいんだろう。
ちなみに同じくNHKマイルカップのトライアル、アーリントンカップ(GIII)のレーティングは109.1で格下に見えてこっちの方が高いという。
アルゼンチン共和国杯と目黒記念についてはハンデ戦である。
実力が同程度になるように負担重量を調整するので、実力が劣る馬しか集まらないのだと思われる。
ちなみに目黒記念はダービーデーの最終レースとして知られているが、日本最古の重賞レースだそうで。
歴史の長さからGIIになったが、多くのハンデ重賞はGIIIで、実際に目黒記念もGIIには物足りないようである。
ヨーロッパではハンデ戦はグループ制の格付けの対象外なので、G1,G2,G3の枠組には入らない。
一方でアメリカやオーストラリアではハンデG1すらあって、レーティングさえ満たしていれば格付けすることに問題はない。
オーストラリアで最も有名なメルボルンカップ(G1)はなんとハンデ戦だという。そういうもんなんだね。
まだJRAのレースはこの程度だから良くて、
もっとも格下げに近いように見えるNHKマイルカップでも、なんとかやっていける。
問題は地方競馬で、こちらは多くが国際競走ではないこともあって、日本独自の格付けJpnI,JpnII,JpnIIIとなっている。
JpnIは日本国内ではGIと同格とされる。(なのでJpnIでもGIと表記されることはあるし、読みはジーワンでよいとのこと)
国際的な格付けではないので、JRAと地方競馬で合意できればよいが、果たして同格と言えるかどうかである。
というのも、JpnI, JpnIIについては大半が基準値を下回っており、数字通りなのは日本テレビ盃(JpnII)ぐらい。
JRAからしてダートは基準値を割りがちなので、3ポンドぐらいは下回っても同等程度と言えるが、
ジャパンダートダービー(JpnI)は4年平均が109.9ポンドで、さすがにそれはGIと同格とは言えないだろうと。
3歳ダート王を決めるレースはGI格であるべしということなんだろうが、全く数字が伴っていない。
GIという格付けは偉大で、馬券の売り上げがGII・GIIIと全く違う。あくまでもJRA内の話だが。
GIだと馬券は最低100億円は売れる。1レース平均170億円程度である。
一方でGII、GIIIだと売れても80億円は行かない。
大阪杯が2017年にGIに格上げされたが、2016年の売上が69億円、2017年の売上が153億円と、大きく増えている。
むやみに格上げすればよいわけでもないと思うが、GIレースの空隙となっている時期なら格上げによる売上増は見込めると思う。
ちなみに障害レースのJ・GIも同格ということにはなっているが、J・GIレースの馬券の売上は20億円台である。
オジュウチョウサン号の活躍で障害レースの注目度も高まり、彼が走らないレースを含めて売上が伸びて、この数字という。
というわけで、結局は馬券なのかよという話ですが、大切なこととは思いますね。
実力馬が揃うレースは格上げして注目してもらえるようにするのはよいことでしょう。
逆に格付けに見劣りするレースは、そっぽ向かれかねないけど、JRAではそこまでひどいのはないんでしょうね。