今日は日帰りで金沢行き、まずはバスで福井駅に行くわけだが、今朝の福井は真っ白だった。
雪の中、バス停に行って「雪の日のバスとかあてになるんだろうか」と待っていた。
バス自体は10分遅れぐらいで走っていて、ちょうどバス停の少し先にボトルネックがあったようで、
ここを過ぎるとバスはスムーズに走り、なんとか思っていた電車に乗れた。ギリギリだったけど。
往路は普通電車でのんびりと。通勤・通学時間帯も過ぎて空いてたし。時間さえ合えばこれでいいのだ。
福井県内は雪が積もっていたが、石川県内に入ると雪はほとんどなく、雨が降っていた。
10時ごろに無事に到着して、まずは観光案内所へ行き、これを購入。
SAMURAIパスポート
1000円で指定の施設に入り放題なんですが、ポイントはGoToトラベルの地域共通クーポンが使えること。
こういうところで順調に使っていかないとね。元は取れるぐらいの想定なので。
ちなみにこれ、1500円でバス1日券付きになるんで、2人で3000円のクーポンが使えるというとこれもわかりやすい。
ただ、今回はバスは1~2乗車だろうなということで、バス付きにはせず。(区間によるが概ね3乗車以上で元が取れる)
行きは広坂までバスで直行することに。本数が多いのは北鉄バスだが、PiTaPaが使えるJRバスで行く。
ひがし茶屋街ライナーって言うらしいですね。(あんまり案内されてなかったけど)
歴史的には名金線という名古屋~五箇山~金沢の国鉄バスの路線があって、現在も金沢~福光のみ現存してる。
これの香林坊経由と金沢駅直行ルートの一部を切り貼りして、金沢駅→香林坊→橋場町(ひがし茶屋街)→金沢駅と走っているそう。
なにしろ北鉄バスはローカルのICaしか使えませんからね。フリー乗車券があればいいけど。
ここからSAMURAIパスポートの入場可能施設6つ、別途料金だが割引のある国立工芸館と金沢21世紀美術館を回ったが、
数を数えてもわかるが、すさまじく慌ただしくて、追加料金がかからないからって欲張りすぎたなと。
エリア的には狭い範囲に収まっているのだけど、問題は閉館時間で、閉館時間の遅い施設は後回しにするなんてことも。
本当はこのSAMURAIパスポートって2日間有効なんだよね。
金沢泊ならば2日間で使う方がいいのかなと思ったが、これを地域共通クーポンで買うとすると初日15時以降でないと買えないのが問題だ。
慌ただしく金沢での1日を終えて思ったけど、今まで金沢には何度も来てるけど、いつも観光に充てる時間が短いんだよね。
福井からの日帰りで来た今日が一番時間をかけたぐらいかも。
欲張りすぎたのは事実だが、学びが多かったのも金沢での博物館めぐりだった。
まず来たのが、本多の森公園の いしかわ赤レンガミュージアム、陸軍の倉庫を転用した博物館ですね。
やってきて驚いたんだけど、ここって石川県立歴史博物館と加賀本多博物館が連なった施設なんですね。
そして、ここが本多の森公園と呼ばれている理由を知ったのだが、もともとここは加賀藩の重臣だった本多家の屋敷があったと。
その本多家に伝来したものが展示されているのが加賀本多博物館、そして石川県の歴史博物館として総合的な展示をしているのが石川県立歴史博物館と、
2つの博物館が同居するようになったのは2015年かららしいけど面白い仕組みですね。入場券は別だけど、共通券もあるようだ。
こういう大名家に伝来する文化財をどうやって活用するかというのはあるけど、博物館を同居させるというのは1つの答えだなと。
石川県立歴史博物館はどちらかというと、人々の暮らしというところに力点を置いているように見え、役割分担がありそう。
あんまり知らなかったけど、金沢って江戸時代は人口の半分が武士で、これに変わる形で陸軍第九師団が置かれ軍都として栄えたそう。
今はそんな感じは全くしないけどね。ただ、北陸一の商業都市なのは、歴史的に消費者の多い都市だったという背景があったのは確か。
今回の旅行の大きな動機だったのが「国立工芸館」、東京・北の丸公園から移転してきた東京国立近代美術館工芸館のことである。
ここは予約が必要だったので、エイヤと昼過ぎに予約しておいて、それに合わせて行った。
外から見ると、北の丸にあったときよりずいぶん大きくなったなぁと思うが、実は展示スペースは左半分だけ。
よく考えてみれば東京にあったときは事務所や収蔵庫は本館と共用できたが、石川に引っ越してくると独自に用意する必要がある。
実質的な展示スペースは東京の時より少し広いかな? という程度で、他分野の展示をすることはなさそうですね。
どうせコレクションは東京にあったときと同じじゃないと思ったけど、これまで見たこと無かった作品もけっこうあった。
北陸ゆかりの作品を多く出したのもあるのかもしれないけど、これはこれで。
あと、常設展示として「松田権六の仕事場」という、金沢出身の蒔絵家(人間国宝)、松田権六の東京の仕事場を移築したものがあって、
これは蒔絵という工芸を理解するという点ではよくできた展示になっていて面白い。
石川に移転して、(分館という扱いではあるが)独立した美術館になって、工芸のよさがより伝わるようになればいいですね。
お隣の石川県立美術館にも行ったが、ここは石川ゆかりの作品が多く展示されていて好感が持てる。
見てて思ったのは、単に作者が石川県出身というのもあるけど、なんやかんやと石川県で創作活動をしていた人は多い。
あんまりそういう印象はなかったんだけど、金沢というのもけっこうな芸術の都なのねって。
ここでも工芸作品は多く展示されていて、あと彫刻も多かったですね。そう言われて見れば立体物が多かったな。
最後に遅くまでやっているからと後回しにしていた、金沢21世紀美術館、ここは現代美術の美術館だな。
いくつも博物館がありますけど、分野がいろいろ散っていてバランスがいいと思いますね。
コレクション展を鑑賞、なんとも言えない感じはあるが、こういう作品を真面目に展示する施設があるのはいいですね。
建設の経緯を見てみると、都市計画として作られた美術館ということで、ランドマークとしての意味合いが強いんだろうなとか、
今に生きる美術館ということで都市に向けて開いた存在になるようにしているんだろうなということが読み取れる。
いろいろな機能を持たせて、あまりに複雑な構造の美術館という印象はあるが、他の美術館とは補完的である。
この美術館のコレクションには備え付けものもがあるが、その中でも有名なのが レアンドロ・エルリッヒ作「スイミング・プール」である。
しかし、これが困ったことに地下に入って鑑賞するのは密閉度が高いので、同時に6人まで、5分ごとに入れ換えとしている。
このため待ち時間が長いようである。が、閉館近くで比較的人は少なく、閉館に間に合うということで並んで入った。
雨が降っていて、地上から鑑賞できなかったのが残念だったが、水勾配もあってプールとしてはけっこうなリアリティがある。
しかし、これは新型コロナウイルス対策で地下からの鑑賞は閉鎖されても不思議がない密閉度だなと。
美術館は密集対策を重視してるけど、マスク着用で滞留時間が短いことからすると、むしろ密閉の方が問題かなと思った。
追加の換気装置(扇風機?)を置いたほうがいいのかなと思ったが、そこへ至る通路も地下なので効果的な換気になっているかどうか。
一応、集中的に換気させる時間帯を設けているらしいけどね。空調の構成などを知らないと的確なことは言えませんが。
なんて感じで、美術館を出た頃にはすっかり日が落ちて、そこからちょっと寄り道しながら金沢駅まで歩いて。
弁当(押し寿司)を買ったら、チケットレス特急券で買ったしらさぎ号に乗り福井へ戻ったのだった。
そういえば前も金沢~福井をしらさぎ号で移動したっけ。単にその時間に来たのがしらさぎだっただけですが。
余談ですが、石川県と工芸のつながりについて、確かに石川県は県内に多くの伝統工芸が根付いた地域で、
これは加賀藩の政策によるところもあったが、全国的に特異な地域か? と聞かれるとちょっとわからない。
でも、ただ1つだけ、石川県と工芸との関わりで特異なものがあってそれが金箔・銀箔である。
僕もちょっと前に知ってびっくりしたんだけど、日本国内の金箔・銀箔の製造はほぼほぼ全てが石川県内で行われている。
工芸品にとって伝統技法による金箔はとても重要なもので、金沢箔は工芸のインフラを支えているといってもよい。
実際、加賀藩が金箔製造に力を入れたのも領内で作られる工芸品で使うためなわけだから、まさにインフラですね。
金沢箔も伝統工芸の一ではあるけど、最終製品ではないのでしっくりこない。でも、実は一番すごいことなんじゃないか。