連休中の話なんですけど、船橋競馬場で「かしわ記念」というレースが行われていた。
JpnIの格付けがあり、地方競馬主催のレースではハイレベルなものと知られているらしい。
ろくにお出かけもできない連休中で、注目馬が揃ったということで、馬券が売れて、この日は船橋競馬場の売上レコードを更新したとか。(cf. かしわ記念売り上げレコードの18億9672万円、1日当たりも記録更新 (競馬HEADLINE))
地方競馬はもともとインターネット投票の割合が高くて、無観客開催でむしろ売上が伸びているぐらいらしい。
これ自体は見ていたわけではないんだけど、Twitterで実況する人がいて、驚いたのは7頭立てだったこと。
競馬の重賞レースとしては異様な頭数の少なさで「船橋オート」とか「船橋競艇」など揶揄された。
オートレースは基本的に8車立てだが、今は選手の移動を減らすために7車立てにしているらしい。
ちなみに船橋オートはかつて存在したオートレース場である。
競艇は6艇立てで、後で書く通り、馬券に絡むのは実質6頭だろうということもあって、競艇も同然という話だったらしい。
高額賞金(1着6000万円)を狙う馬がもっといてもよさそうだけど、なぜこんなに少ないのか?
調べてみると、中央競馬と地方競馬の関係性によるものであることがわかった。
このレースはダートグレード競走という、JRAと地方競馬が共同で格付けを行っているレースである。
ダートグレード競走はJRA所属、地方競馬所属、場合によっては外国からの遠征馬を交えての戦いになる。
ただ、実際には所属によって出走できる馬の数に限りがあって、
かしわ記念は14頭がフルゲートなのだが、JRA所属馬は6頭、地方競馬所属馬は8頭まで(所属競馬場は不問)となっている。
今回のかしわ記念はJRA所属6頭、地方所属1頭となったので、JRAに限れば定員いっぱいである。
第32回 かしわ記念JpnI4上オープン/出馬表 (地方競馬情報サイト)
ちなみに唯一地方競馬所属での出走となったナンヨーオボロヅキ号はJRA出身で、JRA未勝利のまま高知競馬に移籍、
そこで成績を上げて、地方競馬ではハイレベルという東京都の大井競馬場に移籍したという。
今回の挑戦は勝ち目が薄いのは知ってのことだったが、地方馬が1頭もいないのはという使命もあっての挑戦だったという。
結果は7着、6着に対して大差(10馬身以上)開けての完敗だったが、その挑戦はたたえられていた。(馬券はさっぱり売れなかったが)
そうなんですよ。地方競馬主催のダートグレード競走ってJRA所属場の草刈場になりがちなんですよ。
高額賞金がかかったレースは地方競馬所属、特に地元の馬にとってはなんとしても手にしたいものだが、
なかなか勝利するのは難しいらしく、昨年は地方40レース、JRA15レースあったところ、地方馬の勝利は地方開催のみ7勝という。
その7勝のうち6勝は南関東の競馬場主催の南関東勢の勝利で、1勝は北海道の門別競馬場での地元勢勝利という。
この かしわ記念 について言えば、最初にハイレベルなレースと書いたけど、これは完全にJRA所属馬によるものである。
南関東勢にとっては、川崎マイラーズが同距離で同月中にあるので、こっちのほうが勝ち目があると回避してしまったらしい。
他地域からの挑戦も可能だが、このご時世、遠征が難しいという判断もあったようである。いずれにせよ勝ち目は薄い。
ましてJRA主催のダートグレード競走に遠征して勝った馬はここ10年は1頭もいないという。
地方競馬主催だとJRA所属は何頭まで、残りは地方所属(他地域からの遠征は何頭までとか決まっている場合もある)となるが、
JRA主催の場合は、地方競馬所属は何頭まで、外国からの遠征は何頭まで、残りはJRA所属でとなるので、
そういう中で、運良く勝利というのはなかなか難しいようだ。
勝ち目が薄ければ地方馬の挑戦も低調で、地方馬0のダートグレード競走も珍しくはないようである。
地方競馬所属のままJRAのレースに挑戦することは、ダートグレード競走以外でも条件付きで可能である。
特に4歳以下(昨年まで3歳以下)であれば、地元のJRA認定競走に勝利するなどの条件を満たせば、わりといろいろ挑戦できるそう。
こうしてJRA挑戦して、芝コースで調子良く走れれば、JRAへ移籍するということはあるようだ。
○地 ダブルシャープ/競走成績 (netkeiba.com)
地方競馬からやってきた馬には「地」に丸囲みのマークが付く。マル地と呼ばれている。
もっともマル地とあっても、そのルーツを調べてみると、JRAデビューで地方競馬移籍後の出戻りが多かったりするんだけど。
ダブルシャープ号の戦績を見てみると、門別競馬場で「JRA認定アタックチャレンジ」に勝利して、JRAのレースへの挑戦権を得た。
札幌競馬場のクローバー賞に芝初挑戦で勝利、札幌2歳ステークスで3着、東京競馬場のサウジアラビアロイヤルカップに挑戦し6着となっている。
これはいけると思ったのか2017年11月にJRAへ移籍、その後、2着・3着を繰り返しながら、今年1月にJRA移籍後初勝利となっている。
こういう地方競馬からJRAの芝に挑戦して勝利、JRAに移籍して勝利したという、わかりやすい例を探すのが難しかった。
一方で、地方競馬所属のまま5歳(昨年までは4歳)を越えて、JRAの芝レースに挑戦するのはなかなか難しいようだ。
地方馬のJRA指定交流競走の出走条件 (Happy Owers Club)
まず、挑戦できるレースがGIレースとGIステップ競走、夏に5レースある指定交流競走に限られている。
GIレースは挑戦可能といってもステップ競走で一定以上の順位に入らないとできないので、なかなか厳しいものである。
なんか妙に詳しいなと思って読んでいると、このBlogを書いているのはハッピーグリン号の馬主なんですね。
先日、京都競馬場で行われた天皇賞(春)、14頭立ての単勝14番人気に推されて13着のハッピーグリン号である。
今はJRA所属なのだが、昨年10月までは北海道の門別競馬場所属で、JRAの芝レースに挑戦し続けていた馬なんだそう。
○地 ハッピーグリン/競走成績 (netkeiba.com)
本当に地方所属だったのかと思うほどJRAのレースが並んでいてびっくりする。
なんでこんなことになっていたのか、調べてみると人と馬、それぞれに理由があったようだ。
ハッピーグリン、中央移籍へ (Happy Racing Diary)
実はこの方、当初は中央競馬の馬主資格をもっていなかったのである。(2018年10月に取得)
地方競馬に比べると中央競馬の馬主は収入・資産の要件が厳しく、JRAでこそ活躍して欲しい馬がいてもできないことがある。
過去には中央競馬での挑戦のためにオーナーチェンジという選択をした馬主もいたそうだ。でも馬主にとっては苦しすぎるよね。
一方で馬にも事情があったようで、身体的な特徴をよく知った厩舎に育て続けて欲しいという考えもあったようだ。
JRAに移籍するということは、栗東か美浦にいる厩舎に入らないといけませんから。
門別競馬場は地方競馬では破格の調教設備が揃っているので、それなら門別から挑戦することに意義はあったわけである。
とはいえ、4歳以上になると出られるレースが限られ、国内に適するレースがないからと香港遠征をしたり苦労もしてきた。
これ以上はさすがに門別所属では厳しいと、4歳の10月にJRA移籍、栗東に引っ越しとなった。
いろいろ見方はあると思うんだけど、どの主催者も賞金や手当を他の所属の馬に取られるのは、本心ではうれしくないんだろうな。
地方競馬も地区を越えての全国交流競走はそう多くないそうだし。
ダートグレード競走の場合、JRAと地方競馬が相互に行き来できることにより、
地方競馬はJRAの注目馬が集まるレースを主催でき、それで馬券を売って、ガッポリと儲けられる。
その結果が7頭立ての かしわ記念 だと言われれば、地方競馬は堕落してると言われかねないが。(これは極端な例だが)
これについては相互主義なので、JRAも地方競馬に対してダート重賞は開放している。
JRA所属馬は地方競馬のレースまで含めて挑戦できるレースが増えるので、これがJRAにとってのメリットである。
JRAの重賞レースは基本的には国際競走として外国所属馬が参加できるが、それにより国際的な格付けが得られている。
それはどういうメリットがあるかというと、競走馬の生産者にとってブランド力の向上に繋がるというのがある。
ブランド力向上のために、外国から遠征してきた有力馬には報奨金を出すと言っている。それでもなかなか来ないけど。
地方競馬からの参戦は一定認めているが、制限が厳しいのは、JRAにとって地方馬が来るメリットが薄いからだろうかね。
ただし、将来JRAでレースを盛り立ててくれるような馬に期待するところはあって、若い馬ほど挑戦しやすくなっている。
ハッピーグリン号の活躍を見たからか、それとは関係なくか、地方馬のJRA挑戦については今年から条件緩和された。
「JRA特指改革」を解説します (Happy Owners Club)
JRAでのデビューにこだわらずとも、地方で実績を出してからJRA挑戦がしやすくなった。
今までは2歳のJRA認定競走で勝利しなければスタート地点にも立てなかったが、新条件なら遅咲きでもチャンスはある。
地方からのJRA挑戦で実績を出した馬にはぜひJRAに来ていただきたいと。そういうことなんじゃないですか?