成田空港に電車で行く場合、3つのルートがある。京成本線、京成スカイアクセス線経由、JR経由の3つだ。
その3つの特色については以前、出張で成田空港に行ったときに取り上げている。
このときには京成スカイアクセス線経由のルートで行った。
エレベータのない浅草橋駅で乗り換えて、無料のアクセス特急で成田空港まで行ったわけである。
ところでスカイアクセス線の列車の本数はあまり多くない。
スカイライナーが毎時2本程度、アクセス特急が毎時1.5本が基本となっている。
時間帯によってはスカイライナーが毎時3本走ったりというのもあるようだけど、
全体的に運行間隔は一定せず、手薄なところではスカイライナーの間が最長で1時間空くなんてこともある。
なんでこんなに不安定なんだろう。
実はスカイアクセス線には単線区間がある。成田湯川駅~空港第2ビル駅の間は基本的に1本の線路しかない。
途中に1箇所、行き違いができるところがあるので、ここで行き違い、場合によっては追い越しも行われることがある。
なぜここは単線区間なのか。地図を見てみるとわかるのだが、JRの線路と平行しているのよね。
かつて成田新幹線という計画があって、その計画のために先行して作られた線路敷があった。
それを転用して京成本線を現在の成田空港駅に乗り入れさせ(それまでは現在の東成田駅が成田空港駅だった)、
同様にJRも成田線から分岐する支線を作り、同様に現在の成田空港駅に乗り入れさせることにした。
ただし、もともと成田新幹線計画では線路2本分の線路敷しか確保されず、しかもJRと京成ではレールの幅が違った。
なので、半分は京成、半分はJRと分け合って、両社とも1本ずつ線路を引いたわけである。
この時点ではJRと京成が線路を分け合うのは空港第2ビル~成田空港の1区間だけだったのだが、
2010年のスカイアクセス線開業時にJR成田線分岐点付近~空港第2ビルの区間でも、これまでのJRの線路の横にスカイアクセス線の線路が引かれ、
この区間でもJRと京成は線路を1本ずつ分け合うことになったのだという。
成田新幹線計画のおかげで京成もJRも成田空港の両ターミナルビル直結の駅に乗り入れることはできたのはよかったが、
2社乗り入れるために作られた線路ではないのでこういう問題が起きてしまったようだ。
京成本線からだと単線区間は1区間だけだからわりと自由に列車を設定できているようだが、
JRもスカイアクセス線も単線区間が長く続くので、両社とも毎時4本程度が上限となっているようだ。
JRは特急は30分間隔で安定しているが、快速は30~1時間間隔ということであまり一定しない。
スカイアクセス線はアクセス特急が安定しているが、スカイライナーが一定しない。
どちらもけっこう苦労がありそうな気がする。JRは単に快速列車をケチってるだけかもしれないけど。
ところで関空もスカイゲートブリッジRの区間は線路が2本しかない。
ここにJRと南海が走っているわけだけど、JRと南海は線路の幅が一緒なので両社とも同じ線路を走る。
なので、りんくうタウン~関西空港の間は両社併用だけど、運行本数の制限はさほど厳しくないようだ。
両社とも毎時6本程度(両社とも特急2本、一般列車4本程度で割り振っている)の列車を設定している。
複線と単線×2ではこんなに違うということだ。
以上の事情で増発の余地に乏しいスカイアクセス線だが、本数は少なくても所要時間の短さでは京成本線を凌駕する。
京成本線経由で成田空港~上野・日暮里で70分超のところ、スカイアクセス線経由のスカイライナーは成田空港~上野・日暮里で40分程度で走る。
すなわち京成本線経由の列車に乗るぐらいなら30分後のスカイライナーに乗っても上野・日暮里には先に着くということだ。
さすがに特急料金払ってるんだからそれぐらいは先着してもらわんとと思うかも知れないが、無料のアクセス特急もすごい。
アクセス特急で成田空港~青砥で45分程度で走るが、この区間は京成本線経由なら60分超かけて走る区間だ。
ということは京成本線の特急の約20分後のアクセス特急に乗っても青砥で追いつかれてしまうということだ。
だから40分間隔のアクセス特急で20分間隔の本線経由特急に対抗できてしまうということである。
ただし本線経由とスカイアクセス線経由では運賃が違ってスカイアクセス線の方が300円ほど高いのだけど。
スピードも本数もと思うけど、スピードがすごく速ければ、本数が少なくても一応メリットは出ている。
ここで混雑しすぎて使えないとかなってくると考え物なんだけどね。
なにしろ増発の余地に乏しいわけだから、スカイライナーがどれもこれも満席とか、アクセス特急がぎゅうぎゅう詰めとか、
そういう状況になってくると、複線化しない限りスカイアクセス線の未来はないということになる。
とりあえずは大丈夫なんでしょうけどね。