今、東名高速道路で大規模なリニューアル工事をやっているらしい。
工事内容は富士IC→裾野ICにある2つの橋の床版交換ということで、
この区間では3ヶ月間にわたり片側1車線規制が行われる。
橋は橋脚と床版で構成される。橋脚の上に支承を介して床版を乗せて、その上を車などが走ると。
特に問題なのが床版の老朽化だそう。
1つは車の通行により床版が破壊されること。年々車は重くなっており、破壊が進みやすくなっている。
もう1つが凍結防止剤の散布などで鉄筋やコンクリートが劣化していくこと。
こちらは床版に防水処置を施すことで緩和できるので、大規模工事にあわせて高性能な防水処置を行うことが行われている。
阪神高速15号堺線・17号西大阪線リニューアル工事 (阪神高速)
10日間におよぶ全面通行止めで高性能な防水処置を行い、痛んだ舗装やジョイントを交換した。こういう対策もある。
ただ、劣化が進んでしまうと床版交換を行わなければならない。
床版交換は大変である。
橋脚はそのまま使えるとしても、床版を外して、新しい床版を付けて、防水・舗装を行わないといけない。
できるだけ所要日数を減らすために、あらかじめ工場で作った床版を運び込むなどの工夫を行っている。
確かに橋を完全通行止めにするのは2ヶ月なんだけど、それで工事が終わるって言うんだからがんばってるよね。
わりと条件的にはよい工事なのかもしれない。だからこそ工期短縮のための工夫ができたのだろう。
とはいえ、このような大規模工事をやる時期は難しい。
というのも、去年10~12月には中央自動車道でリニューアル工事をやっていた。
こちらは区間によって橋の床版交換とトンネルのコンクリート補強を行った。
東名の迂回路として新東名が使えるのは東名リニューアル工事の背景としてあるわけだけど、中央道も迂回路として重要だし、
逆に中央道の工事中は新東名・東名が迂回路として重要だから、東名と中央道の工事は同時にできない。
繁忙期の年末年始・ゴールデンにウィーク・夏休みはこのような工事は回避する必要がある。
ただ、もともと、繁忙期を回避出来る秋は各高速道路で集中工事を実施して補修をしている。
そこに重ねられる場合もあるが、重ねられない場合もある。中央道は重ねたが、東名は重ねられなかった。
老朽化するのは橋だけじゃないが、老朽化が進みやすく、対策にお金がかかるのが橋だよね。
特に都市高速はもともと狭いところに作っているので、改修の手段も限られる。
阪神高速のWebサイトを見ると、大規模更新が必要な箇所が6箇所掲載されている。
解決手段によるが、年単位での通行規制も避けられないところはありそうだ。
ところで、NEXCO・本州四国連絡橋・阪神高速・首都高速の路線は日本高速道路保有・債務返済機構が保有している。
高速道路を保有し、各社から支払われる貸付料で債務を返済しており、計画では2065年までに債務を返済して解散する予定となっている。
すでに高速道路が完成していれば債務を返済するだけなのだが、実際には新路線もできるし、老朽化対策の費用もかかる。
お金をかけて大規模更新することで長期的にみれば維持しやすくなるのだが、建設費がかかるという点では新路線建設と同じである。
新路線や更新された道路も機構が保有し、機構が債務を負うことになる。建設費を提供するのも機構の役目である。
実際、当初計画では2050年までに解散予定だったが、15年延長されたのは老朽化対策を考慮した結果とされている。
新路線は打ち止めになっても、老朽化対策は打ち止めにならないからね。2065年解散予定ってのも怪しいもんで。