STAP細胞の研究チームのリーダーが女性研究者だったもんだから、
にわかに理系女子が話題になってるが、そのことについて2つほど書いておこうと思う。
大学や高専で工学を専攻している学生というと、男が多くて、女子学生はそこまで多くないという印象がある。
高専でも大学でも周りは男ばかりだから、と言ってたけど、女子学生がいないわけではない。
けど実際どれぐらいの割合か知ってますかね。
ということで、学校基本調査のデータより、高専、大学(学部)のうち工学・理学・農学あたりの学生の男女比を調べてみた。
- 高専 : 総数 55243人/男 46143人/女 9100人(16%)
- 大学 工学 : 総数 390532人/男 344808人/女 45724人(12%)
- 大学 理学 : 総数 80990人/男 59840人/女 21150人(26%)
- 大学 農学 : 総数 75741人/男 43316人/女 32425人(43%)
おおざっぱな話ですけどね。分野によってもいろいろだし。それにしても農学は男女の数がかなり近いんだな。
なにが言いたくてこのデータを持ってきたのかというと、
実は高専の女子学生の割合は大学で工学を専攻している学生の女子の割合よりは高いのよね。
なんか以前見たときはもっとはっきり差が付いてた覚えがあるんだが、気のせいだったか。
そんなわけで女性技術者を世の中に送り出していくという仕事において高専が果たす役割は大きいのかななんて思っているんだけどね。
中学校卒業後からというのはハードルが高そうに見えるけど、実はそうでもないのかもしれない。
もう1つ、こちらは大学のWebで、研究補助員募集なんてお知らせを見た。
何のことかと思って説明を見たら、どうもこういうことだそうだ。
育児・介護などなど、なかなかこれまでのように研究に時間が割けないことが生じたとき、
研究の場から離れてしまえばキャリアが断絶してしまい、それではよくない。
そこで、大学院生や博士を研究補助員として雇って、その研究補助員がその穴埋めを行って、
研究にかける時間は減らしても、これまで行っていた研究を継続して行えるようにしよう、とそういう制度だそうだ。
もちろん女性研究者のためだけの制度ではないんだけど、女性研究者を意図したものであることは明らかだろう。
この制度は研究者にとってもメリットがあるけれど、研究補助員として雇われる学生あるいは新米博士にもメリットがある。
研究の最前線で、他の研究者と共に仕事をして、それで鍛えることができる。一挙両得ということだそうだ。
キャリアの断絶というのは、研究者だけの問題でも無くて、工夫をしている職場も増えているのではないのだろうか。
なかなか難しいんだよね。特に長期間にわたることだし。
長期間にわたって職場から離れきってしまうと戻れなくなってしまうから、単純に休みを与えればいいって話ではない。
なにも女性だけの問題では無いんだけど、どうしても女性が働く中で起きがちな問題だった。
ただでさえ女性の技術者・研究者は少ない。どんどん活躍して欲しいと願ったところで、そのための体制がなっていなければなかなか難しい。
うちの大学が研究補助員という制度を用意することにしたのも、そのあたりで強力な後押しが必要という思いがあったのだろう。
研究機関という特性に合わせたおもしろい方法だと思った。
まぁそんな具合でして、理系女子という言葉が話題になるだけの環境は整いつつあるようだ。
まだ珍しい方だけど、活躍の場はどんどん増えていると言えるのではないだろうか。
もしかすると将来、理系女子は珍しくなくなり、あえて言わなくなる日が来るのかも知れない。
これまでこれからの取り組み次第だろう。