市のWebサイトを見ていて、今すぐ関係はないけどワクチン接種のページを見たら、
ちょっと驚くような状況になっていた。
現在は高齢者への接種中、年齢によって2グループ(だいたい半々)に分けて、
先行グループが接種中、後続グループはこれから接種券を配布して予約・接種開始という具合。
体育館・集会所などの集団接種と、医療機関での接種の併用だが、これが先行グループと後続グループでだいぶ違う。
それぞれ対象者の9割が市内で接種する前提で計画を立てているようだ。
先行グループは63%が集団接種、16%が医療機関での接種で予約が完了している。
(あと2割ぐらいはこれから予約して接種を受ける想定ってことですね)
一方の後続グループは用意した接種枠のうち、33%が集団接種、67%が医療機関となっている。
あれ? 医療機関での接種の方が多いんですか。
これには驚いたのだが、おそらく下記の2つの事情があると思われる。
1つは集団接種の最初の方で接種した人の2回目の接種があるため、1回目の接種枠が少なくなっていること。
集団接種会場の開設日は週3日だが(土・日と平日1日ということで、休診日のスタッフを活用しているとみられる)、
カレンダーを見てみると開設日のはずなのに1回目接種のスケジュールが設定されていないところがちらほらある。
もう1つは接種できる医療機関の数が6月以降、従来のおよそ3倍に増えるということ。
集団接種会場の開設日が週3日だが、医療機関では週5日程度の接種日を設定しているところが多く、
1箇所1日あたりでこなせる人数は限られても、積み重ねると多くなるようである。
というわけでおおざっぱに試算してみた。
後続グループの医療機関での1回目接種はおよそ1ヶ月間(6月上旬~7月上旬)で設定されている。
これを医療機関数×開設日数(5日×4週=20日)で割って、3週間後には同じ人がまた接種にくるので倍にすると、
1箇所1日あたりの接種回数は17回と求まる。
大半は医師1名の小規模な診療所とみられるが、中規模程度の病院もいくつかあり、そこは回数が稼げるだろう。
とすると、おそらくは典型的な診療所では1箇所1日あたり12回(2瓶)程度がターゲットになってるんじゃないか。
これぐらいならば少ないスタッフでも診療スケジュールの調整で接種を回すことはできそう。
その程度で集団接種会場より回数が稼げるのかと思うわけだけど、
一方でここまでの道のりは長くて、当初は市町村へのワクチン配送スケジュールがなかなか固まらず、
するとその先の医療機関への配送スケジュールも決められず、また接種にどれぐらい時間がかかるかという見積もりもすぐには掴めず。
当初はいろいろそろわない中で集団接種会場にリソースを集約してやるのが合理的な作戦だったわけである。
ワクチンの配送スケジュールも明確化され(ファイザー・モデルナの2社供給になったのもあると思う)、
医療機関でもどれぐらいの時間で何人に接種できるかという見積もりが立ち、引き受ける医療機関の数も増えたのだろう。
集団接種会場開設~高齢者の1回目の接種が完了するまでおよそ2ヶ月、
これを週あたりの人数にして、人口1万人あたりにするとおよそ130人と求まった。(2回接種なので接種数はこの倍)
一方の医療機関での接種だが、これも1回目の接種の週当たりの人数を求めると人口1万人あたりおよそ170人となる。
住民全員が接種するわけではないし、(当初15歳未満の住民は接種対象ではない、拡大されても12歳未満は対象外など)、
また高齢者施設入居者・医療機関勤務はすでに接種が完了してるし、市外での接種をするひともいるだろう。
全体で人口の7割が市内で接種するとして、高齢者枠での接種が人口のおよそ2割、残るは5割、
ということは高齢者接種完からあらかたの住民への接種完了までは 5000/(130+170)=17週間 と求まる。
高齢者接種完が7月下旬(7月上旬に1回目接種を終わって、その3週間後)、そこから4ヶ月後は11月下旬ですか。
2回目の接種を受けて少し経過すると、感染を防ぐ効果もそれなりに期待できるようになる。
なんとか冬に入る頃には間に合うかなぁって感じですが、果たしてどうかね。
とはいえ、それより早く重症者の減少という効果は見えると思っていて、
高齢者の次はおそらく50代・60代の持病持ちの人になると思うけど、ここら辺が来るとけっこうだと思いますね。
まだ65歳未満の住民の接種スケジュールは示されていないが、
おそらくは年齢ごとのグループに応じて接種券を送り、何らかの方法で同じグループの中では持病持ちの人優先にするのだと思う。
例えば予約開始日を少し早めに設定するとか。対象者かどうかは自己申告なんですけどね。(問診票に自分で書くらしい)
ただ、市町村の計画にとって読みにくいし、終盤に混乱を生まないかと気になるのが市外での接種ですね。
おそらく65歳未満の接種が始まると、勤務先に近いなどの理由で大手町の接種センターの利用割合も増えそうだし、
職場での接種というのも今月下旬ぐらいから立ち上がっていくんじゃないかとのこと。
そもそも対象住民のどのぐらいが接種を希望するかという問題もあるが、
それ以上にどれぐらいが市外で接種するのかという見積もりを誤るとワクチンがだぶついたりしそうなものである。
おそらく終盤には集団接種会場は閉めて、医療機関での接種で細く続けることになると思うのだが、どうだろう。
いろいろ調べると、東京都は市町村ごとの接種体制の立ち上がりがわりと早い傾向にあったようで、
5月30日時点で高齢者の15.2%が1回目の接種を終えたということで、これは大都市圏では早い部類である。
和歌山県(26.8%)などもっとハイペースな県はあるんですけどね。人口の集中度が低いところが多い傾向にあるが一概には言えない。
もちろん、今の数字は接種体制が本格的に立ち上がる前の数字ですから、現時点での進捗が遅いことは必ずしも問題ではない。
最終的に希望する住民がスムーズに接種できることが重要である。
しかし、すでにある程度実績が積まれていれば、この先もスムーズに進むだろうという類推はできる。
実際、うちの市でも来月からは医療機関での接種が大幅に加速するので、これは大きいわけである。
一方で大阪府・兵庫県やその周辺では新型コロナウイルスの患者激増で医療機関が混乱しており、
医療機関での接種体制が整わない(というかスタッフの接種すら遅れている)という事情もあり、
ここは接種センターを国・府県・市が乱立させている状態である。
「住んでいる地域で受けたいが…」予約とれず電車乗り継ぎ大規模接種会場へ (読売新聞)
いろいろ不手際がニュースになっている神戸市の集団接種会場、なんとなく増強に増強を繰り返した結果の混乱に見える。
ここは市町村での接種で従来から使っているファイザー製ワクチンで接種会場をどんどこ拡大しているようだ。
大阪市内には国(中之島)・大阪市(咲洲)・大阪府(本町)と3箇所の接種会場ができる混沌っぷり。
京都府は亀岡と精華町にそれぞれ接種センターを作るが、どちらも府民の半分が住む京都市からは遠いのが難点で、送迎バスなど考えているという。
大手町の接種センターの予約枠が東京都だけでは余るというのとは対照的な話である。
もちろん近所で接種を受けられるに越したことはないけど、近畿圏はそうも言ってられない事情はあると。
とりあえず、市内での接種を考えれば医療機関での接種も想定に入るんだなということがわかったので覚えておこう。