医療機関での接種が捗るらしい

市のWebサイトを見ていて、今すぐ関係はないけどワクチン接種のページを見たら、

ちょっと驚くような状況になっていた。

現在は高齢者への接種中、年齢によって2グループ(だいたい半々)に分けて、

先行グループが接種中、後続グループはこれから接種券を配布して予約・接種開始という具合。

体育館・集会所などの集団接種と、医療機関での接種の併用だが、これが先行グループと後続グループでだいぶ違う。


それぞれ対象者の9割が市内で接種する前提で計画を立てているようだ。

先行グループは63%が集団接種、16%が医療機関での接種で予約が完了している。

(あと2割ぐらいはこれから予約して接種を受ける想定ってことですね)

一方の後続グループは用意した接種枠のうち、33%が集団接種、67%が医療機関となっている。

あれ? 医療機関での接種の方が多いんですか。


これには驚いたのだが、おそらく下記の2つの事情があると思われる。

1つは集団接種の最初の方で接種した人の2回目の接種があるため、1回目の接種枠が少なくなっていること。

集団接種会場の開設日は週3日だが(土・日と平日1日ということで、休診日のスタッフを活用しているとみられる)、

カレンダーを見てみると開設日のはずなのに1回目接種のスケジュールが設定されていないところがちらほらある。

もう1つは接種できる医療機関の数が6月以降、従来のおよそ3倍に増えるということ。

集団接種会場の開設日が週3日だが、医療機関では週5日程度の接種日を設定しているところが多く、

1箇所1日あたりでこなせる人数は限られても、積み重ねると多くなるようである。


というわけでおおざっぱに試算してみた。

後続グループの医療機関での1回目接種はおよそ1ヶ月間(6月上旬~7月上旬)で設定されている。

これを医療機関数×開設日数(5日×4週=20日)で割って、3週間後には同じ人がまた接種にくるので倍にすると、

1箇所1日あたりの接種回数は17回と求まる。

大半は医師1名の小規模な診療所とみられるが、中規模程度の病院もいくつかあり、そこは回数が稼げるだろう。

とすると、おそらくは典型的な診療所では1箇所1日あたり12回(2瓶)程度がターゲットになってるんじゃないか。

これぐらいならば少ないスタッフでも診療スケジュールの調整で接種を回すことはできそう。


その程度で集団接種会場より回数が稼げるのかと思うわけだけど、

一方でここまでの道のりは長くて、当初は市町村へのワクチン配送スケジュールがなかなか固まらず、

するとその先の医療機関への配送スケジュールも決められず、また接種にどれぐらい時間がかかるかという見積もりもすぐには掴めず。

当初はいろいろそろわない中で集団接種会場にリソースを集約してやるのが合理的な作戦だったわけである。

ワクチンの配送スケジュールも明確化され(ファイザー・モデルナの2社供給になったのもあると思う)、

医療機関でもどれぐらいの時間で何人に接種できるかという見積もりが立ち、引き受ける医療機関の数も増えたのだろう。


集団接種会場開設~高齢者の1回目の接種が完了するまでおよそ2ヶ月、

これを週あたりの人数にして、人口1万人あたりにするとおよそ130人と求まった。(2回接種なので接種数はこの倍)

一方の医療機関での接種だが、これも1回目の接種の週当たりの人数を求めると人口1万人あたりおよそ170人となる。

住民全員が接種するわけではないし、(当初15歳未満の住民は接種対象ではない、拡大されても12歳未満は対象外など)、

また高齢者施設入居者・医療機関勤務はすでに接種が完了してるし、市外での接種をするひともいるだろう。

全体で人口の7割が市内で接種するとして、高齢者枠での接種が人口のおよそ2割、残るは5割、

ということは高齢者接種完からあらかたの住民への接種完了までは 5000/(130+170)=17週間 と求まる。

高齢者接種完が7月下旬(7月上旬に1回目接種を終わって、その3週間後)、そこから4ヶ月後は11月下旬ですか。


2回目の接種を受けて少し経過すると、感染を防ぐ効果もそれなりに期待できるようになる。

なんとか冬に入る頃には間に合うかなぁって感じですが、果たしてどうかね。

とはいえ、それより早く重症者の減少という効果は見えると思っていて、

高齢者の次はおそらく50代・60代の持病持ちの人になると思うけど、ここら辺が来るとけっこうだと思いますね。

まだ65歳未満の住民の接種スケジュールは示されていないが、

おそらくは年齢ごとのグループに応じて接種券を送り、何らかの方法で同じグループの中では持病持ちの人優先にするのだと思う。

例えば予約開始日を少し早めに設定するとか。対象者かどうかは自己申告なんですけどね。(問診票に自分で書くらしい)


ただ、市町村の計画にとって読みにくいし、終盤に混乱を生まないかと気になるのが市外での接種ですね。

おそらく65歳未満の接種が始まると、勤務先に近いなどの理由で大手町の接種センターの利用割合も増えそうだし、

職場での接種というのも今月下旬ぐらいから立ち上がっていくんじゃないかとのこと。

そもそも対象住民のどのぐらいが接種を希望するかという問題もあるが、

それ以上にどれぐらいが市外で接種するのかという見積もりを誤るとワクチンがだぶついたりしそうなものである。

おそらく終盤には集団接種会場は閉めて、医療機関での接種で細く続けることになると思うのだが、どうだろう。


いろいろ調べると、東京都は市町村ごとの接種体制の立ち上がりがわりと早い傾向にあったようで、

5月30日時点で高齢者の15.2%が1回目の接種を終えたということで、これは大都市圏では早い部類である。

和歌山県(26.8%)などもっとハイペースな県はあるんですけどね。人口の集中度が低いところが多い傾向にあるが一概には言えない。

もちろん、今の数字は接種体制が本格的に立ち上がる前の数字ですから、現時点での進捗が遅いことは必ずしも問題ではない。

最終的に希望する住民がスムーズに接種できることが重要である。

しかし、すでにある程度実績が積まれていれば、この先もスムーズに進むだろうという類推はできる。

実際、うちの市でも来月からは医療機関での接種が大幅に加速するので、これは大きいわけである。


一方で大阪府・兵庫県やその周辺では新型コロナウイルスの患者激増で医療機関が混乱しており、

医療機関での接種体制が整わない(というかスタッフの接種すら遅れている)という事情もあり、

ここは接種センターを国・府県・市が乱立させている状態である。

「住んでいる地域で受けたいが…」予約とれず電車乗り継ぎ大規模接種会場へ (読売新聞)

いろいろ不手際がニュースになっている神戸市の集団接種会場、なんとなく増強に増強を繰り返した結果の混乱に見える。

ここは市町村での接種で従来から使っているファイザー製ワクチンで接種会場をどんどこ拡大しているようだ。

大阪市内には国(中之島)・大阪市(咲洲)・大阪府(本町)と3箇所の接種会場ができる混沌っぷり。

京都府は亀岡と精華町にそれぞれ接種センターを作るが、どちらも府民の半分が住む京都市からは遠いのが難点で、送迎バスなど考えているという。


大手町の接種センターの予約枠が東京都だけでは余るというのとは対照的な話である。

もちろん近所で接種を受けられるに越したことはないけど、近畿圏はそうも言ってられない事情はあると。

とりあえず、市内での接種を考えれば医療機関での接種も想定に入るんだなということがわかったので覚えておこう。

ゴールドシップの娘が府中で激走

今日は日本ダービーということで観戦していたが、

結局のところはダービーの話ではなく先週のオークスの話である。

自分自身はオークスで満足してたので、ダービーはなるようになれーと思って見てただけですけど。


オークスといえば桜花賞後にこんなことを書いた。

サトノレイナスについては、騎乗したルメール騎手がレース後にインタビューで「枠順ばかりは仕方がありません。次のオークス、頑張ります」と回答していたそうである。

こういうコメントが出たのはオーナーや調教師とも次はオークスで行こうということを決めていたからだろう。

ソダシについては、表彰式で金子オーナーが「たぶん、オークスでいいと思います」と言ってたそうだから、

これも次はオークスということになりそう。

あと、ユーバーレーベンについては、桜花賞に出ていないが、次はフローラステークスへの出走予定とのことである。

フローラステークスはオークストライアル(3着以内に入ればオークスへの出走が確実になる)なので、

つまりはその次はオークスということでしょう。でもこれはダービーの可能性はまだ残されてるかな。

(ダービーもあると思ったけどオークスらしい)

しかし、実際はこの3頭のうち、サトノレイナスはダービーへ向かうことになった。

実はルメール騎手は桜花賞後にダービー挑戦を進言していたらしい。

騎手・調教師・オーナーそれぞれの思惑が重なってのダービー参戦だったと言われており、

  • ルメール騎手 : ダービーで騎乗依頼が来そうな馬で一番チャンスがあると考えたのが牝馬ながらにサトノレイナスだった
  • 国枝調教師 : 牝馬三冠を2頭(アパパネ、アーモンドアイ)達成していながら、牡馬クラシック3冠にはいずれも手が届かず
  • 里見オーナー : サトノダイヤモンドで挑戦したダービーでハナ差2着で惜敗(ちなみに1着はマカヒキ、今も現役で走ってる)

里見オーナーはダービー挑戦には慎重だったらしいが、騎手・調教師が勧めるので、それならと決断したらしい。


かくして、迎えた先週のオークス、圧倒的な1番人気はソダシ、次いでアカイトリノムスメ、3番人気はユーバーレーベンと。

ちなみにアカイトリノムスメはサトノレイナスと同じ国枝厩舎の馬で、ソダシと同じ金子オーナーの馬である。

サトノレイナスがダービーに行くことになったので、国枝調教師はアカイトリノムスメの騎乗をルメール騎手に依頼した。

(サトノレイナスのダービー挑戦よりこっちの方が大ニュースだよというファンもいた)

金子オーナーの馬2頭のガチンコ対決となったが、この戦いを制したのはユーバーレーベンだった。

アカイトリノムスメは2着まで来たが届かず。ソダシは8着に沈んでいった。

ソダシはもともと距離不安説(父であるクロフネの子で平地・芝2000m以上の重賞で勝った馬はいない)がある中で、

言うてもオークスは押し切れるんじゃないという話はあったが、やっぱり2400mはきつかったかな? という感じ。

圧倒的1番人気が着外、3着が人気薄のハギノピリナということで、3連単は53万円とちょっとした波乱だった。


ユーバーレーベンの父はゴールドシップ、皐月賞・菊花賞の2冠を達成し、宝塚記念2連覇などGI 6勝を挙げ2015年をもって現役引退、

翌年からビッグレッドファームで種牡馬となり、子は2019年からデビュー、ユーバーレーベンは2世代目の1頭である。

ユーバーレーベンはゴールドシップの子で初めてGIを制した馬ということになる。そんな快挙だった。

実はデアリングタクトが優勝した去年のオークスでもゴールドシップの子、ウインマイティー が3着になっており、

2年連続でこのような結果が出ていると、ゴールドシップの子とオークスは相性がよいらしいと噂になった。


このような成果を挙げることができたのは、ビッグレッドファームの熱意によるものだろうと。

ゴールドシップはビッグレッドファームからスカウトされ、引退後に同牧場にやってきたのだが、

せっかく来てもらったからにはと自分たちの牧場の選りすぐりの繁殖牝馬に種付けしているのだという。

ユーバーレーベンの生まれはビッグレッドファームですから、そうして生まれた1頭だったんですね。

そして、これは同牧場の生産馬では初めてのクラシック競走優勝馬ということでもある。

悔やまれるのは創設者の岡田繁幸さんが今年に病気で亡くなってしまったこと。あと少し長生きできれば大快挙が見られたのにと。


そして今日は日本ダービー、1番人気は皐月賞を圧勝したエフフォーリア、2番人気は国枝調教師・ルメール騎手が太鼓判を押したサトノレイナス、

3・4番人気はいずれも皐月賞をパスして毎日杯2着からのダービー挑戦となったグレートマジシャンとシャフリヤールという状況だった。

サトノレイナスはこのレース唯一の牝馬ということで、他の馬を興奮させないようにかパドックでは一番後ろを歩かせる配慮もあったという。

そんなこんなの日本ダービー、サトノレイナスが今までのレースとは異なり先行策を取ったことに驚きつつ、

エフフォーリアがちゃんと抜けだしてこれは勝つかと思ったら、シャフリヤールとの競り合いとなり、どっちが勝ったか一見してわからず。

1着争いもすさまじかったのだが、3着争いもサトノレイナスを含む3頭が大接戦、

この結果、1・2着、3~5着の順位はすぐに決まらず写真判定に。掲示板にはどの数字も表示されない不思議な状態に。

結果的にはシャフリヤールが優勝、エフフォーリアは2着、3着はステラヴェローチェ(9番人気)だった。

サトノレイナスは大接戦の3着争いでは5着になってしまい、オークスを捨てて得たものはダービー5着だった。健闘とも言えるが悔しい。

そういえばステラヴェローチェは凱旋門賞に登録してるんでしたっけ。皐月賞3着・ダービー3着、これは箔が付きましたね。


エフフォーリアについてはレース前に「ダービー2着血統」ということが話題になった。

彼の父、エピファネイアはダービー2着、その父、シンボリクリスエスはダービー2着であり、

また、エフフォーリアの母の父、ハーツクライもダービー2着、すなわち父と祖父2頭がいずれもダービー2着だと。

じゃあ、エフフォーリアは? という話だったのだが、本当に2着になってやんの。

でもエフフォーリアが強い馬であることは間違いないし、おそらく彼は菊花賞に向かうでしょう。

意外と多いのが皐月賞と菊花賞の2冠(さっき書いたけどゴールドシップもそう)、チャンスは十分あるはず。

あと、東京芝2400mはジャパンカップでもリベンジできますからね。悔しいけど先につながるいい結果だったんじゃないでしょうか。


ダービーデーの最終レースは日本最古の重賞レースでハンデ戦の目黒記念(GII)である。

このレースを制したのはウインキートス、その父はゴールドシップである。

ウインキートスは負担重量52kg、牝馬であることを考えても軽ハンデではあった。(牝馬が目黒記念を勝つのは33年ぶりで久々)

とはいえ、長距離戦における実力は確かだったんでしょうね。

そんなわけで、2週連続でゴールドシップの子が重賞を勝つという快挙だった。


ダービーもオークスと同じ東京芝2400m、似てるようでそうではなかったのでは? という話がある。

先週は日曜こそ晴れたが、そこまでは雨続きで芝は(良馬場の範囲で)少し軟らかかった? と言われている。

一方のダービーは直前も晴れ続き、レース直前に短時間雨が降ったが、これといったことはなく。

あと、ダービー週には柵を動かして、芝の傷んだ部分を柵の内側に入れるので、オークス週よりも芝の状態がよくなる。

ユーバーレーベンは2分24秒5でオークスを優勝、シャフリヤールは2分22秒5(ダービーレコード)で優勝、サトノレイナスは0.2秒差、

と、この数字だけ見ると、ユーバーレーベンよりサトノレイナスの方が速いからオークスなら楽勝だったんじゃ、

と思ってしまうんだけど、実は上のような事情により、オークスのタフな勝負ではかなわなかったのでは? という説がある。

同じレースで走っていない以上はなんとも言えないが、サトノレイナスはスピード勝負のダービー向きという判断は正しいという話はあった。


目黒記念はダービーから100m伸ばした2500m戦、たった100m差だが、これが全然違うというのは有名な話である。

というのも、100m伸ばした部分は上り坂になるからである。このためダービーやジャパンカップよりタフな戦いだと言われている。

というわけで、オークスも目黒記念もダービーっぽいコースだが、1週早い・100m長いというだけの差でタフな戦いになり、

そこで父ゴールドシップ譲りのスタミナが生きたのではないか? という話である。

ゴールドシップは東京芝2400mにダービーとジャパンカップで3度挑戦するもいずれも馬券に絡んでいない。

そこはお父さんに似なかったという話もあるけど、実はそれだけではないのかも。


最近はウマ娘を通じて、ゴールドシップの偉業を知る人も増えている。僕もそんな1人だが。

ゲームでも2400m以上のレースではめっぽう強く、頼りにしている人は多い。

今月には東京芝2400mを舞台にした対人戦イベントが開催され、1~3着をゴールドシップが独占なんてこともしばしばあったという。

(トレーナー3人がウマ娘3人ずつ持ち寄るため、同じウマ娘が最大3人まで重複することがある)


すでにゴールドシップの生産者からの評判はよいそうだが、ユーバーレーベンのオークス優勝でさらに評判を上げただろうと。

種牡馬ゴールドシップは段々と評価を高めて来ています。

思ったよりも早く(時期的に)動く、思ったよりも切れる、と言う牧場が多い印象です。

思ったよりも、というのがゴールドシップらしいですね。

(オークス週、マハーラーニー復帰戦と種牡馬ゴールドシップ (RCの馬主生活))

この人は地方競馬を主に馬主をやっているのだが、それが高じて牧場を作って経営しているから、競走馬の生産者でもある。

ビッグレッドファームが率先して種付けし、このように結果を出したことで、

他の牧場もこれを参考にして種付けし、それで成果が出れば生産者にとってはうれしいことですよね。

というわけで、今月は最初から最後までゴールドシップの偉業に触れた人が多かったのだった。

瀬戸内海は難しい

来島海峡付近で貨物船の衝突事故があったということが報じられた。

貨物船沈没、船長ら3人が不明 現場は海上交通の難所 (朝日新聞デジタル)

一方の船員3人が行方不明ということで、うーん……という感じですね。

来島海峡は瀬戸内海最大の難所として知られている。

その来島海峡を安全に航行するためのルールがこの事故の背景にありそうだ。


瀬戸内海は島が多く、大型船が安全に航行できる範囲というのは意外に限られる。

明石海峡・備讃瀬戸・来島海峡の3箇所は航路が厳密に決められ、東西に行く多くの船が航行している。

それぞれ本州・四国間の架橋ルートが通っており、明石海峡は明石海峡大橋(神戸淡路鳴門自動車道)、

備讃瀬戸は瀬戸大橋(瀬戸中央自動車道)、来島海峡は来島海峡大橋(西瀬戸自動車道=しまなみ海道)が架かっている。

(明石海峡大橋以外は複数の橋の総称であることに注意)

陸同士が近いところを架橋するのが合理的であるのは言うまでもないが、それは裏返せば海上交通の制限が多いということ。

安全な航行のためには、船が守るべきルールはいろいろある。


明石海峡は海峡自体はそこまで狭くないが、東側で明石海峡と阪神港の各方面と往来する船が錯綜するのを防ぐために、

明石海峡の東側の一定区間で東西を行く船が交差しないようにするルールがあるという。

備讃瀬戸では全ての船は12kt以下で航行しなければならないという速力制限が設けられている。

安全に航行できる範囲が限られる中で追い越しが発生しにくいようにということらしい。

オーシャン東九フェリー(東京~徳島~北九州)が、徳島~北九州で基本的には太平洋に出るルートを使うのだが、

これは瀬戸内海経由の方が遅いからということであり、その要因の1つにはこのような速力制限もあるとみられる。

なお、荒天時は瀬戸内海経由のルートを使うこともある。(欠航するよりは遅れながら運航した方がよいということ)


で、来島海峡の航行ルールはかなりトリッキーなものである。

来島海峡の見どころ (来島海峡急流観潮船)

来島海峡は鳴門海峡・関門海峡と並んで潮流が激しいところとして知られる。(全部瀬戸内絡みだな)

で、このページの中程に「順中逆西」と書かれているが、これこそが来島海峡の特殊航法である。

来島海峡の大型船の通れる航路は馬島を挟んで、四国側の西水道と大島側の中水道の2つがあり、それぞれ一方通行である。

普通は船は右側通行ですから、中水道を北行、西水道を南行として使うのだが、

来島海峡付近に限っては特別なルールがあって、

潮の流れと同じ方向に航行する時は中水道、潮の流れと反対方向に航行する時は西水道を航行する決まりとなっています。

このルールを「順中逆西」といい、このように潮の流れによって航路を切り替えるのは世界唯一だという。


それにしてもなんでこんなルールが? と思うわけだけど、

中航路は比較的真っ直ぐ航行できるのだが、西航路は陸との関係により曲がりくねったルートになる。

来島海峡は潮の流れが特に速いが、潮の流れに乗ってスピードが出ていると舵が利きにくくなる。

この状態で西航路を通ると事故の原因となりかねないということで、潮の流れに乗って進む船は中航路を使い、

逆に潮の流れに逆らって進む船はスピードが出ないので安全に西航路を航行できるということである。

なお、巨大船はより安全な航行が出来るようにこのようなルールがあるとのこと。

200mを超える巨大船は、潮どまり前後の潮流のゆるやかな時間帯に、中水道を航行することが義務付けられています。


しかし、このルールにはいろいろ問題はあり、潮の流れが変わるときのコントロールは問題の1つである。

そして、ここだけ一般的な右側通行のルールと異なるということは、来島海峡前後で船が交差する場合があると。

実は今回の事故現場はまさにこの船が交差するポイントで起きたという。

現場海域は、海峡を抜けた船舶と海峡に入る船舶が交差するポイントにあたるという。

余裕を持って右側通行と左側通行の入れ替えができるようになってはいるはずだけど、

そこで何らかの問題があり、東西を行く船同士が衝突するということになったとみられる。


なんて難しいと思ってしまうけどね。

ただ、来島海峡の流れの速さは相当のようで、行方不明の船員を探すのも難航しているという。

今治海上保安部によると、潮流が弱まる時間帯を見計らって、28日昼から約6時間おきに特殊救難隊員らが潜水。船尾付近から船内に入って捜索している。水深約60メートルの海底に転覆して沈んでいる船体(高さ約30メートル、長さ約170メートル)の捜索は、海中で活動できる時間が十数分と限られ、潮流も速いため、難航しているという。

(貨物船捜索、機関室にたどり着けず 機関士らいた可能性 (朝日新聞デジタル))

今回の事故が発生したのは来島海峡を抜けて少し広くなったところであるはずだが、

そこで潮の流れが変わる時間を見計らって、数十分程度の捜索するのがやっとということである。


瀬戸内海は多くの漁船も行き交い、離島航路などで航路を横切る方向の船もあるから、気が抜けない難しい海域だと思う。

大きな船にとって瀬戸内海を通らなくて済むならそれに越したことはないけれど、

瀬戸内海に沿っては多くの工業都市があり、それらは瀬戸内海の海運あってのものである。

カーフェリーの定期航路も多く設定され、高速道路が整備された現在でもトラックの利用は多く、レジャーでの利用も多い。

あと、普段は瀬戸内海を通らない船でも、造船所への出入りというのもありますからね。

難しいなりに避けられない海域なんじゃないかなと。

メルペイにお得さはない

最近はPayPayフリマに出している雑誌がいくつか売れてありがたい。

ヤフオク・PayPayフリマの売上はPayPay残高に積まれる。

PayPay残高はYahoo!ショッピングでの買い物や、近所のスーパーでの買い物など、

普段からPayPayは使うので、あまり意識せずとも消化できるのでいいですね。


というのはメルペイとの比較なんですけどね。

メルカリの売上金はメルペイに入り、メルペイで使えば振込手数料などかからず消化できる。

メルペイが使えるのは、メルカリもそうだし、実店舗もけっこうある。

なのでメルペイ残高を消化すること自体はやりようはある。

しかしながら、それ以外の用途でメルペイを使うメリットは乏しい。


というのもメルカリでの買い物ですら、メルペイ残高のアテが付かないならFamiPayで払うことが多い。

FamiPayで払うと、支払い時に0.5%分のボーナス、クレジットチャージ分に0.5%のボーナスが付く。

クレジットカードでも1%近くの還元率があるからそれでもいいかもしれないが。

一方のメルペイは特に利用額に対する特典はない。

売上金がメルペイ残高に積み上がっている場合はその消化のためにメルペイを使う意味はあるが、

そうでなければFamiPayで払った方がお得だなという考えになる。


それで思い出したんだけど、ヤフオク・PayPayフリマって売上金をPayPayにチャージして利用すると、

インターネットで使うと利用額の1%、実店舗で使うと利用額の0.5%~のボーナスが付く。

これは銀行口座からのチャージなどと同様である。そしてYahoo!マネーの時代からそうだった。

Yahoo!マネーは2019年にPayPayに集約されたが、このサービスの目的は2つあった。

1つはYahoo!サービスの支払を銀行口座から行うための仕組みであるということ。

もう1つはヤフオク売上金を銀行口座に出金せずにYahoo!サービスで使える仕組みであるということ。


現在はヤフオク売上金を銀行口座に出金する場合、PayPay銀行(旧:ジャパンネット銀行)への出金を除いては、

振込指示1回あたり100円の手数料が徴収されるが、それ以前はそれ以外の銀行への振り込みも手数料はいらなかったらしい。

でも、僕はその頃からYahoo!マネー経由でヤフオク売上金をYahoo!ショッピングで消化していたけど、

Yahoo!マネーで受け取ると受取額の1%のポイントが付与され(これはプレミアム会員限定だったらしい)、

さらにそれを使う時にも利用額の1%のポイントが付与されると言うことで、ここにインセンティブがあったわけですね。

ヤフオク売上金以上の買い物をする場合は足りない分を銀行口座からのチャージする必要があったが、

銀行口座からのチャージ分にも1%のポイントが付与されるなら、クレジットカード払いにも遜色ない(というかむしろ良い)ので、

Yahoo!マネーでヤフオク売上金を受け取り、Yahoo!サービスで消化することへの抵抗は少なかった。


結局のところはメルペイはメルカリの売上金を出金せずに使えることが全てであり、

しかもメルカリの場合、銀行口座への振込手数料が200円と比較的高い。

メルペイがない時代のメルカリは1万円以上の振込ならば手数料は取られなかったらしいが、

一方でメルカリ以外で出金せずに使う方法はないわけだから、それはそれで難儀な話である。

(僕はメルペイ目当てでメルカリのアカウントを作ったので、メルペイのないメルカリは知らない)

そのメルペイだって銀行口座からチャージして使う支払手段としてはこれといったメリットはない。


なんでこんな話を書いたんだって、今月末までに先月メルペイスマート払いで決済した代金を精算しないといけなくて、

ここには今月のメルカリでの売上金とポイントを充当する予定である。

そのポイントというのは今週メルカリでの買い物(代金はFamiPayで支払)が完了したときに付与されるポイントである。

(基本的にメルカリで買い物してもポイントなどは付かないのだが不定期でクーポンが配布されて、これを使うと付与されることがある)

で、思っていたよりも商品の到着が遅れていて、今月中に一連の取引が完了してポイントが付与されるか微妙だなと。

間に合えば、付与されたポイントは速攻でメルペイスマート払いの支払に充当して消えるからよいのだけど、

もしも間に合わないと、このポイントの有効期限は確か2週間と比較的短いので何らかの方法で使わないといけない。

実店舗での買い物ならばこの期間にいくらでもチャンスはあるが、わずかなポイントを消化するのに銀行チャージを要するのは微妙。

そもそもポイントの有効期間が短いのはこの間にまたメルカリで買い物して欲しいという意図であろうが、そういうアテがあるかという話である。

いろいろ書いてるけど付与されるポイントは数十円相当ですから大した金額ではない。


そういえば、Yahoo!ショッピングなど、かつては期間固定Tポイントの消化に追われていたこともあったけど、

PayPayボーナスライトで付与されるようになって、有効期間が2ヶ月確保され、PayPayで実店舗も含めて利用機会が増え、

この時点で事実上気にならなくなったが、今は有効期限なしのPayPayボーナスに一本化されたので、なおさら関係なくなった。

期間固定Tポイントの頃は大量に付与されると本当に使い道に困ることもあった。

どうにもならなくて、Yahoo!公金支払いに充当して、寄付金控除で回収するなんてことをやったこともあった。

いろいろあったけど、そこまで客をせかすことはないという判断になったのかな。ありがたい話ではありますけどね。

やっぱりYahoo!ショッピングなどで買い物するにしても、買い物が立て込む時期とそうでない時期の差はありますから。

財産はあっても取り崩せないんだが

これは難しいなと思ったんですが。

「母が死ぬまで待てと?」認知症の口座凍結、親族の困惑 (朝日新聞デジタル)

この人の母親は投資信託を400万円ほど持っているらしいのだが、

認知機能に問題があるということで証券会社から取引を停止されてしまった。

入院費用などの支払いが必要だが、この投資信託に手を付けることができず、

仕方なく子が借金をして支払をしているのだが、この借金の負担が重いと。

おそらく母親が先に死ぬので、相続が発生するとこの財産は子のものになるのだが、それは果たしていつなのだという話である。


養われる人は本当は多くの財産を持っているのに、これを取り崩すことができず、

借金をしてまで子が親の生活費・医療費を支払うというのは異常な事態にも見える。

しかしながら、このようなことも条件次第では合理的なのかもしれない。

実はこのような問題には打開策があって、それが成年後見制度である。

判断能力が全くない場合に、成年後見人を立てて本人に代わって法律行為をできるようにする制度で、

この制度によれば、成年後見人は本人の生活費・医療費などのために財産を取り崩すことができる。

高齢化社会においては重要性の高い制度と言える。


が、実務的にはいろいろな問題がある。

1つは家庭裁判所の審判が必要であること。これに時間と費用がかかる。

なので、すぐに医療費などの支払いが必要だとなっても、成年後見制度で対応するには時間を要するという問題がある。

とはいえ、長期化するならば、それはそれでやらないといけないこととも言える。

が、ここで発生する問題が後見人を誰にするかということである。

親族が後見人になることも可能なのだが、親族が後見人になるのは2019年の実績では22%とのこと。

8.成年後見制度の現状と課題 (地域後見推進プロジェクト)

7割ほどは弁護士・司法書士などの専門職後見人となっている。


おそらく多くの場合においては親族を後見人に推薦していると思うのだが、裁判所が認めないんですね。

裁判所が親族を後見人として認めない理由としては、財産が多い場合や、親族間の争いがある場合などがあるよう。

後見人が不正に財産を取り崩すなどのことが相次いだことから、このような対応をしているようである。

専門職を後見人として選ぶ場合の課題として、報酬を支払う必要があるというのがあって、

これが安くはなくて、財産額などに応じて月2~6万円など。

実は親族が後見人であっても報酬を受けることはできるが、これよりは安い報酬になるようだし、

家庭裁判所への審判が必要であるなど考えると、実際にはそもそも報酬を受け取っていない親族後見人も多いんじゃないか。


とかく金がかかるという問題については、行政が支援制度を設けて対応したりしているようだ。

財産が少ないとそもそも後見制度を使えないという状態についてはこれで改善を図ろうとしている。

ただ、財産が多い場合は専門職後見人が選定され、その後見人が生活費の確保のために財産を崩したりするわけだけど、

そこでは自分の報酬分の財産も取り崩すわけで、まぁマッチポンプだわな。

じゃあ報酬に見合ったサポートをしてくれるのかというと、専門職も後見についてのノウハウが乏しく、

本人の状態を把握して、生活に必要な法律的な手続きをするという期待には応えられていないような話をしばしば見る。


いろいろ打開策も考えられていて、先ほど「地域後見推進プロジェクト」なんて団体のリンクを貼ったけど、

ここは市民後見人ということで、専門職ではない地域住民が判断能力に欠ける住民を後見するということで、

こういう選択肢も有用ではあるが、それをサポートするための体制が必要なのは言うまでもない。

とはいえ、後見制度を悪用されることを防ぎながら運用して行くには、裁判所や専門職の介入は必要であり、

それがゆえに即応性に欠けるというのは、なかなか打開しがたい問題に見える。


銀行については、明らかに本人の利益に沿う医療費・生活費の支払いであることが判明すれば、

本人の意志は確認できずとも代理人による預金引き出しを認めるような制度を作っているようである。

例えば、本人の医療費の請求書を確認した上で、そこに振込するというようなケースは、

本人の意志が確認出来なかったとしても、これがなにか問題を起こすようなことは考えにくいですよね。

長期的に見れば成年後見制度で対応するべきこともでてくるかもしれないが、

当座の医療費・生活費が確保できないという事態はこれである程度回避出来るようになることが期待されている。

ただ、明らかに本人の利益に沿う というのをどう考えるかが難しいところである。


いずれにせよ、株式にしても投資信託にしても処分に手間がかかるような財産があっても、

判断能力が失われていく中では財産の処分を決められなくて困りますね。

こういうことを考えると、年金保険というのは有用ですね。

毎月いくらとか取り崩されるから考えなくて良いし、死亡すれば残額は死亡保険金として比較的早期に支払われる。

こういう観点で年金保険の活用というのも考えるべきことなのかなと思う。

一時払年金保険(外貨建のものがいろいろトラブルを起こしてるが)を使えば、財産を取り崩して保険に付け替えることも出来る。


成年後見制度という解はあっても、それが最適であるかはまた別問題というそんな一例だと思いますね。

後見人を決めるまでの期間と費用、そこから後見人に支払う報酬などを考えたときに、

お金の問題だけならば親族が肩代わりするということはできるし、相続の目処があるならなおさら。

ただ、そうするとその先にまた別の問題にぶつかるかもしれないし、やはり後見人はいた方がよい気もするが……

それは世田谷区が遅いってことだよ

東京・大手町にワクチンの接種センターの運用が始まり、わりと順調にスタートしたようだ。

予約システムがいいかげんなので、予約のチェックがろくにできていないという話もあるようだが。

「予約なしでワクチン接種できた」と84歳男性 菅首相の東京大規模センター視察で大サービス【現場ルポ】 (AERAdot)

モデルナ製ワクチンは解凍さえしておけば調製に手間がかからない=厳密に人数を把握しなくて良い、

という事情があるので、それでも実務的には問題ないのかも知れないが。

(もっとも後で書くように東京の接種センターは予約枠が余っているらしい)


そんな接種センターでの接種情報は市町村の予防接種台帳に反映されるのだが、こんなことが起きているらしい。

ワクチン「二重予約」都内で相次ぐ 世田谷283人、足立16人…区の接種キャンセルせず (東京新聞)

地域の集団接種会場の予約を取り消さないまま、接種センターに行ってしまった人がいると。

まぁ数人いるならそんなもんかなと思うのだが、ひどいのが世田谷区で、

2日間で区民1620人が接種を受けたものの、このうち2割もの283人が予約をキャンセルしないままでいたと。

1回目の接種をモデルナ製ワクチンで受けた時点で、ファイザー製ワクチンを使う区内の接種場所は使えないので、

強制的に予約をキャンセルする措置を取ったという。


他の区でも発生してはいるのだが、世田谷区は発生件数がやたらと多く、二重予約の割合も異様に高い。

(この他にも接種後に区の接種予約をキャンセルした例も多くあったようだ)

なんでこんなことになってんだと調べたら、どうも区内の接種スケジュールが遅いがゆえのようだ。

高齢者ワクチン接種 東京都内 23区と5市の約9割で7月完了予定 (NHK)

東京都の全ての特別区と人口20万人以上の5つの市に調査をしたところ、

7月中に接種完了できる、スケジュール見直しでできるという回答が25あったという。

見直しても難しいというのが足立区・府中市・世田谷区の3つで、8月中にかかるだろうとのこと。

おそらくはだいぶ先の予約をつかんでいるひとが、大手町の接種センターで早く接種を受けようとしたのではないかと。

世田谷区はそれ自体の人口が94万人という異様な多さですからね。


一方で最初にちらっとかいたのだが、東京・大手町の接種センターは予約状況に空きがあるらしい。

なぜ予約に空き?大規模接種センターに高齢者「大手町遠い」 (TBSNEWS)

現在は東京都在住の高齢者が対象だが、東京都では予約の混雑を避けるために接種券の発送タイミングをずらした市町村が多かった。

このため、接種券が手元にあるが市町村の接種会場を予約できたか、接種に必要な接種券が手元にないか、

このどちらかであることが多いようで、あえて大手町の接種センターに行く理由が乏しいという事情があると。

現在の対象者が高齢者ということで遠方に出向くよりは近くで接種できた方がよいというのはもっともな話である。

ただ、これについては対象地域を広げることで埋まるのではないかとのことである。

神奈川の横浜などは 自治体での予約が取りにくい状況がある。ニーズはある


広域での接種センターについて、わざわざ人を都心地域に集めてやることなのかという話はあり、

これはもっともな話だと思うのだが、一方で地域により接種スケジュールにばらつきがある中で、

そのスピードを調整するような役割が期待されているのかなと思った。

ただ、さっきも書いたのだが、東京都では市町村が接種券の配布からスケジュール調整をやっていて、

これらと広域の接種センターの整合性がとれていないというのは大きな課題とも言える。


あと、高齢者よりも先に始まった医療関係者のワクチン接種ですが、これも東京都特有かなと思ったんだけど。

【独自】「常に不安と緊張」、ゴーグルやマスク着け救急隊員…進まぬ接種に「感染してもさせてもいけない」 (読売新聞)

救急隊員も医療関係者ですから最優先でワクチン接種が行われるし、そのようにしているわけだが、

東京都は1回目の接種完了が33%、2回目が4%と、ここで見る限りは低調である。

これ消防職員に対して33%・4%なので救急隊員に限ればもうちょっとよいのかもしれないが。

要因の1つにあるかもしれないと思ったのは、東京都は稲城市と島しょ部以外の消防は東京都(東京消防庁)が委託を受けている。

一般的には市町村、あるいが市町村の組合が消防業務にあたる中では特異な地域である。

予防接種を行う市町村の職員として救急隊員がいれば、おそらく公立病院などと同枠で最優先で接種されそうなものだが、

東京消防庁の職員は市町村職員ではないので、おそらくは消防署が地域の診療所などと同枠で立地市町村に接種を依頼しているんじゃないかと。


暴露リスクは比較的高い(例え救急隊員でなくても、消防署にいれば救急出動に関わることは一定ある)中で、

東京都職員という立場上、接種の優先度が上がりにくいという事情も考えたのか、こういう話が出ている。

小池知事 旧築地市場跡地で警察消防職員にワクチン接種の方針 (NHK)

築地市場跡地を使う意味はよくわからないが(消防学校とか使える施設はありそうなもんだけど)、

なにしろ東京消防庁職員が18400人、警視庁職員が46600人、このうち優先接種の対象者は差し引いて良いが、

仮に5万人として、これらの職員に4週間で一巡接種しようとすると、1800人/日というペースになる。

これはけっこうなもんで、愛知県が名古屋空港に設置した接種センターが最終的には2000人/日が目標ということで、

それに並ぶぐらいだから、確かに大規模接種センターに相当するレベルである。

消防署・警察署をちんたら回って接種するより1箇所で集中接種するのが効率的という判断はここにあるとみられる。

思いつきで言ってんじゃないのかという印象もあるが、一応は合理性はあるような気がする。

消防・警察職員に打ち終わったあとどうするのかとか、そこら辺も含めた計画が詰められないとなんとも言えませんが。

緊急事態宣言の効き目は?

大阪府・兵庫県・京都府・東京都に緊急事態宣言がでて、およそ1ヶ月ですか。

東京都で緊急事態宣言が必要な理由

この意義については近畿圏と東京都で少し違うと思うが、ちょっとそれぞれ見てみようかなと。


自分が住んでるのが東京都ですからね。

新規陽性者数の報告について7日平均の値を見ると下記の通り。

  • 3月21日(昨年12月からの緊急事態宣言解除) : 301人
  • 4月1日 : 372人
  • 4月12日(まん延防止等重点措置スタート) : 476人
  • 4月25日(緊急事態宣言スタート) : 727人
  • 5月12日 : 874人 (ここら辺がピーク、連休明けに報告が固まったものあると思うが)
  • 5月25日 : 611人

というわけで、報告数を見る限りではまん延防止等重点措置が出たときより多いと。

ただ、昨年12月~1月にかけては1日1700件以上に跳ね上がっていたことを考えれば幾分押さえられているようである。


入院患者数という指標はあるが、全ての患者が入院を要するとは限らない。

東京都の資料に「検査陽性者の療養状況別割合」という資料があった。

最新のモニタリング項目の分析・総括コメントについて (東京都)

これを見ると、昨年12月~1月の間は他の時期に比べると極端に入院の割合が減っていたことがわかる。

自宅療養が多いというのもあるのだが、「入院・療養等調整中」ということで、この中には入院先が見あたらない分もあったとみられる。

3月~5月も入院患者の割合は減っているものの、宿泊療養がここを埋めるような形になっており、

入院+宿泊療養で50~60%ぐらいの患者が入っているということで、症状に応じた処置が受けられているとみられる。

それにしても東京都の数字を見ていると、全体としては非常に長期戦を強いられていることがわかりますね。

昨年7月ごろから療養中の患者数は2000人を割っていないように見えますから。

4月に増加した療養中の人数は大きく経ることはなく、横ばいの状態がおよそ1ヶ月続いている。


というわけで、東京都の状況を見ると、一般的な要請からまん延防止等重点措置、緊急事態宣言と根拠の差はあれど、

一貫して飲食店での対策を取ってきた結果か、なんとか持ちこたえた感はある。

ただ、この結果を見ると、昨年3月下旬~4月にかけて、緊急事態宣言の出ていなかった期間の感染報告の増加は軽視できない。

(同期間も飲食店の営業時間短縮要請は根拠の違いはあれど、昨年12月からずっと続いていた)

厳しい制限を長期継続するのは根拠を持った対策ということになってきそうである。


一方の近畿地方、特に大阪府である。

  • 3月21日 : 122人
  • 3月28日 :  257人
  • 4月5日(まん延防止等重点措置スタート): 551人
  • 4月12日 : 845人
  • 4月25日(緊急事態宣言スタート) : 1084人
  • 5月2日 : 1135人(ここらへんがピーク)
  • 5月17日 : 747人
  • 5月25日 : 374人

大阪府は近隣府県の数字と比べるとピーク付近の報告数がフラットなんだけど、

これは当時、診断が目詰まりしていた可能性が指摘されていて、見た目では早い段階で横ばいになったように見えるが……という話も。

しかしまぁ3月下旬~4月中旬にかけての増加ペースはすさまじいですね。

B.1.1.7系統の変異株が急激に蔓延した結果と言われていますが、この急増にうまく対処できなかったのが課題と言われている。

とはいえ、さすがに当時の大阪府の丸腰っぷりは相当なもので、変異株の影響だけでは説明できないと思うのだが。


5月中旬以降は全国でももっとも厳しい対策が行われていることもあってか報告数は激減している。

しかし、大阪府が大変なのは療養中の患者がなかなか減らないことである。

もともと重症患者が適切な処置を受けられず、中等症を見る病床でなんとか持ちこたえさせて、

すると中等症の患者が入院できず、自宅での治療を余儀なくされ、それが重症化し……という惨事だった。

大阪府のデータを見ると重症相当の治療を受けているが中等症の病床にいる患者数というのがあって、

5月25日時点で18人だが、5月4日のピーク時には91人、同時期に本来の重症患者数は357人ですから、

大阪府の定義における重症患者の1.25倍が実際にはいたということである。

当時、大阪大学医学部附属病院が全ICUを新型コロナウイルスの重症患者用に割りあてられたということが報じられたが、

このように当初の想定になかった重症患者対応病床を動員しても、なおそれだけあふれていたということである。


というわけで大阪府の重症患者受入体制は現在も無理して維持している状態である。

このことから、新規患者数を少なく抑え続ける必要があると言っている。

重症患者の治療が長期化するのがこの感染症の大きな課題である。

というわけで東京都とはちょっと違う観点だが、厳しい制限が続く見込みである。


入院患者数が減らないと大変で、そこで期待できるのがワクチン接種だがどうでしょうね。

なんやかんや言っても東京都のデータでは入院患者の半分は60歳以上ですから。

高齢者への接種完了が7月末というのが厳しいという話はあるが……

完全な効果が得られるのが2回接種の2週間後ぐらいとすると、8月中旬以降となるが、

1回接種の2週間後からはある程度の効果は出るらしいので、そこで7月中旬頃ですか。

それに続いて、それ以下の年齢の持病持ちの人、これがどれぐらいかかるんでしょうね?

とはいえ5月下旬~6月上旬にかけて、各市町村の集団接種会場が本格的に運用が始まり、

それがうまく回るようになってきて、同時に職域での接種なんて話も出てくると、案外早いかも知れない。

これも比較的高年齢の人から接種できるといいと思いますね。50代だと職場での感染リスクも重症化リスクもどちらも高いので。


最終的にはワクチンの感染を抑止する効果に期待したいところはあるが、

これは冬に間に合えばいいぐらいなんじゃないでしょうか。

そこまでは油断せずに感染対策をしていくことになり、おそらく飲食店の苦しみは続くのだろう。

忘年会シーズンに間に合いますかね?

夏に油断せずに対策が続けられるかが肝なんじゃないでしょうか。

2回接種が完了するまで感染抑止する効果は完全ではないというのが、ワクチン接種が進むチリで感染爆発を起こした原因の1つだという。

ワクチン接種猛烈に進む「チリ」感染激増のなぜ (東洋経済オンライン)

大阪府も東京都もあと1ヶ月は(根拠となる条文がどれであったとしても)似たような対策が続くんだろう。

医療体制の改善という点ではワクチン接種も相まってよくなると思うが、その効果を持続させることができるかが課題ですね。

とはいえ、今までなんどもやらかしているだけに信用ならないところはあるんだよな。


それにしても自分のワクチン接種はいつ、どの方法になるんだろうな。

一般の30歳なんてだいぶ先でしょう。市の接種会場か、職場での接種かと読んでいるがどうかなぁ。

一般の医療機関での接種はなさそうだなと見えてきましたね。継続診察を受けている患者への接種すら回りきらない状況っぽいので。

この辺は地域性もあるし、もしかすると市内の会場が接種が滞るようだと、広域の接種センターという話にもなるのかな。

例年、インフルエンザの予防接種をやっていることからすると、職場での接種に期待したいところはあるけど、

インフルエンザの予防接種よりも大がかりで対象者も多いとなると、果たしてそこに対応できるマンパワーが社内にあるのか? とも思う。

着払伝票を貼ってファミリーマートへ

買取に出そうと、ソフマップ(ラクウル)に荷物を出荷してきた。

ラクウルは基本的にはヤマト運輸が集荷に来てくれて、箱も用意してくれるのだが、

集荷に来てもらうとなると、その時間帯に家にいないといけないなどの手間もある。

これは不便な場合もあろうと、自分で梱包を準備できて、2回目以降の買取であることを条件に、

着払伝票を送ってもらい、宅急便取扱店に持参するという方法も可能になっている。

ちなみに着払伝票はクロネコDM便で送られてくる。(宅急便センターで印刷しているわけではないらしい)


そんなわけで、手元にあった適当な箱(というか宅急便コンパクトの使用済みの箱)に入れて、

伝票を貼って、ファミリーマートに持ち込むことに。

ファミリーマートといえば、最近は宅急便コンパクトの出荷でおなじみである。

もう「サイト連携専用袋」の使い方もだいぶ慣れましたね。

「配送連携APIサービス」ファミリーマートさま店舗にお持ち込みいただく際の送り状の仕様変更について (ヤマト運輸)

Famiポートで発行された受付票をレジに持参して、レジで発行されるレシートを袋に差し込んでと。

受け取る荷物ではあまり見ないんですけど、コンビニから出荷だとセブンイレブンが多いみたいで、するとこれじゃないんですね。


今回の場合は着払伝票をすでに貼っているので、そのままレジに持ち込めば良いが、

意外にもレジ係の作業はこちらの方が多いようにみえる。

  1. 伝票の追跡番号を読み取る
  2. サイズを測定する (今回はどうせ60サイズだろと目算してたが)
  3. あて先の郵便番号などの必要情報をレジに入力する
  4. 伝票に出荷日・配送予定日・サイズ・運賃を記載する

というわけで、この場で料金の収受はないのだが、この時点でサイズを確定させる必要がある。


一方で、ヤフオク・PayPayフリマの匿名配送で宅急便をファミリーマートから出荷する場合は、

その時点では荷物サイズの測定は行われず、ヤマト運輸に引き渡し後に行われるとされている。

同じシステムを使っている「宅急便をスマホで送る」の説明にもそのように書かれている。

※お支払いいただく金額は、ヤマト運輸で荷物をお預かりする際に実サイズを計測することで確定します。

(FAQ/スマホで荷物の発送手続きをする画面で表示される荷物の「S・M・L」サイズは具体的にどのくらいの大きさですか? (ヤマト運輸))

個人から送る荷物ではあるのですが、法人の掛売と同じような仕組みになってるんですね。

(このことから、ヤマト運輸において掛売を表す「未収」という表記が伝票に見られることがある)


着払もその場で料金が決まらなくても困らないと思うのだが、発払と同じフローのようである。

ただ、これは紙の伝票をつかっているがためのようで、

実は「宅急便をスマホで送る」は着払も可能らしいのだが、この場合は測定はヤマト運輸で行われるらしい。

なので、着払の料金を発送時に確定させる必要があるわけではなく、

従来型の伝票を使う場合は、取扱店で料金を確定させなければならないというのが正しそう。


そもそも伝票をメール便で送っているということ自体がアホらしい話であり、

ヤフオクと同じようにQRコードを読ませて、伝票を発行できる仕組みにすればよいという話もある。

宅急便センター・ファミリーマート・セブンイレブンでしか発送できないのは難点ですけど、

米屋みたいな取扱店から出荷することがそんなにあるかという話でもある。(地域にもよるだろうけど)

調べたところ、airClosetという衣類のレンタルサービスで返送方法の1つとして採用されているようである。

ちなみに同サービスではスマリボックス(cf. スマリボックスから ゆうパケット)も併用されている。

システム上は「発払」と表示されるが、客に請求が行くことはないということが書かれているけど、

これは受取人が発送を依頼しているから、制度上は発払になっているという話だろう。


もしかしたら将来的にはあるかもしれませんけどね。

現時点でヤマト運輸に集荷依頼を出しているのなら、その延長で対応できそうなもんだし。

しかし思ったけど、60サイズで千葉県あて(ソフマップの買取センターは浦安市にある)の運賃が持込で830円ですか。

これがそのまま請求されるのかはわからないけど、案外するんだなと思った。

それに見合った買取品かという思いはありつつ、まだなにがしかの価値はあるんじゃないかと思っている。

送料落札者負担に恐れていること

ちょっと前にヤフオクに出品していた商品が落札された。

もともとPayPayフリマの送料込みで出していたのだが、

やはりヤフオクの方が多くの人の目に付くというのはあろうところ。

PayPayフリマでは送料込みは必須条件だが、ヤフオクではその限りではない。

他の商品が送料別途になっていることが多いので、ヤフオクではこっちのほうがいいんじゃないかと。


で、これは雑誌6冊組で、ゆうパック60サイズを想定していた。

実はヤフオク・PayPayフリマにおいて ゆうパック60サイズ というのは悩ましいところがある。

ゆうパック(おてがる版)・ゆうパケット(おてがる版) (ヤフオク)

60サイズは送料出品者負担(送料込み)の場合は全国一律700円である。

一方、落札者負担とした場合、地域により送料が変わるのだが、東京都発の場合、

東京都あて:630円、関東甲信越・東北・東海・北陸あて:660円、近畿あて:680円、中国・四国あて:880円、九州・北海道あて:1010円、

と言った具合に、東北~近畿の場合は落札者負担の方が若干安いということになる。

とはいえ、これは60サイズ特有の問題と考えてよいと思う。

80サイズの場合、出品者負担の場合800円、東京都あては740円だが、それ以外の関東甲信越などは810円……といった具合。

出品者負担の全国一律送料はサイズが大きくなるほどに割安で、120サイズでは東京都内々でさえ安くなる。


さて、送料込みの場合に受け取る代金は 落札代金×(1-システム使用料)-配送システム使用料 で決まる。

システム使用料はYahoo!プレミアム会員がヤフオクで出品した場合は8.8%、PayPayフリマで出品した場合は5%である。

配送システム使用料は出荷時の実績によって請求される。ゆうパックだと郵便局の人が測ってくれますが。

では、送料落札者負担で、匿名配送を使う場合はどうなるのかというところだが、

これは指定したサイズに応じた送料を落札代金に上乗せして、落札者が支払うことになる。

落札代金×(1-システム使用料)+送料負担額-配送システム使用料 ということですね。

で、指定したサイズで出荷できれば送料負担額=配送システム使用料 だから、落札代金からシステム使用料を引いた分が残るということである。


しかし、もしもこれが想定外に80サイズになってしまったらどうなるのかというところが問題である。

今回の落札者は神奈川県だったので、送料負担は660円、80サイズに上振れすると810円だから、売上から150円差し引かれる。

しかし、もしもこれが福岡県だったとすると、60サイズが1010円、80サイズが1230円なので、売上から220円差し引かれることになる。

というわけで、正しいサイズで請求できない場合のズレが遠方になるほどに大きくなってしまう。

今回は60サイズギリギリで出荷できることが前提で、出品前に入るはずとは確認していたものの、

全く余裕がないので、丁寧にかさを増やさないように梱包して、なんとか入っているはずと確認して郵便局へ持ち込んだ。

なかなかビクビクする話である。


この点においては送料込みというのはちょっと気が楽。

60サイズと80サイズの差額は100円しかありませんから。

いろいろやってるとわかるけど60サイズに納まるものというのは、けっこう小さい。

もちろん安上がりになるほうが良いに決まっているのですが、言うても難しい。

ヤフオクのルールでは運送業者に払う送料を取り過ぎると、それは返金するべきということになるが、

実務的には難しいので、取り過ぎないように注意するというところになろうと思うが、超過額があて先によって変わってしまう。

しかし、送料込みならば、これは誰に咎められることもありませんから、60サイズか80サイズか微妙だとしても、

そのどちらでも十分な額が手元に残る金で出品すればよいということである。


まぁこういう問題の回避策には着払いというのもありますけど、これは受取側の負担も大きいですしね。

ヤフオクのシステムで送料が管理できてるんだから、確定送料に応じて請求額を調整するような仕組みがあればいいけど、

そうすると想定外に送料が高く付いたとかトラブルのもとになりそうだしね。

(といっても落札後に送料を通知してもらう方法だと、そういうトラブルは多少なりともありそうだが)


出品者が請求する送料というのは、一体何を基準にしているのかというのがまちまちで、

ここに納得感がないことがあったが、匿名配送だとここは非常にクリアである。

あらかじめサイズを指定してくれれば、自動的に送料も計算され、落札後の手続きもスムーズ。

持込が前提など、必ずしも出品者の都合に合わない場合もあるかもしれないが、できるだけ活用して欲しいというのが買い手の意見である。

まぁでも送料落札者負担で、これらのサービスを使ってもらったことは一度もなかった覚えがあるな。

ゆうパケットサイズだったら、それはクリックポストが使われることが多いというのもあるけど。

(ゆうパケット(おてがる版)の落札者負担の送料は210円で持込必須、クリックポストは198円でポスト投函可能なのでもっともな話だが)

千葉セリだが北海道生まれだしインターネット開催

昨日、話題になっていたのだが、2歳馬のトレーニングセール「千葉サラブレッドセール」で、

なんと5.1億円(税込)というとんでもない値段で取引された馬が出たようだ。

昨今の情勢よりインターネットオークションで行われていた。(去年も突然にインターネットオークションになった)、

5億円超の取引がインターネットで行われるのはなかなかないんじゃないか。


落札者はというと、藤田晋さん、サイバーエージェントの社長である。

サイバーエージェントといえば、祖業のインターネット広告、それに次いで今や業界ガリバーとなったモバイルゲームで大もうけ。

ABEMAを中心としたメディア事業で大赤字を垂れ流しながらも売上は伸びており、将来的には利益を出せる可能性が見えてきている。

そんなインターネット企業の社長といえば、そりゃお金持ちだろうなぁと。

最近、馬主事業参入を匂わせるようなことも言っており、その一環での2歳馬購入とみられる。

最近は子会社のCygamesが「ウマ娘 プリティーダービー」で大ヒット。そこと関連付けて語られることもあった。

「ウマ娘で稼いでウマ息子(牡馬)を買う」などといった具合に。


この千葉サラブレッドセールの主催者は「千葉県両総馬匹農業協同組合」という農協ですね。

農協主催のサラブレッドのセリ市といえば、日高軽種馬農業協同組合主催のサマーセールなどが有名である。

日高地方は日本最大の馬産地として知られ、小規模な牧場も含め多数存在しており、それだけの充実度の高いセリ市と知られている。

このような産地ごとのセリ市が存在するが、同農協のセリ市は北海道他地域・青森県・九州生まれの馬も取引されているとのこと。


では、千葉サラブレッドセールはどうなのかというと、もとは千葉県は競走馬の一大産地であったがために存在していたとのこと。

ところが現在は千葉県生まれの競走馬はほとんど存在しないという。じゃあ一体何が取引されているのだろうか?

答えは北海道千歳市にある社台ファーム生まれ、あるいは同牧場で調教された馬である。

他の販売者もいるのだが、今年出品の59頭のうち56頭が社台ファームが販売者である。


なぜ千歳市の社台ファームが千葉サラブレッドセールに多くの馬を連れてきているのか。

それは同農協のWebサイトに掲載されている組合員紹介から知ることが出来る。

牧場案内:千葉エリア (千葉県両総馬匹農業協同組合)

筆頭にかかれているのが社台ファームで所在地は「千葉県富里市」と書かれている。

同牧場の代表、吉田照哉さんはこの農協の組合長ということからして、組合員筆頭であることがわかる。

でも、ここでは競走馬の生産を行っていない。(後で書くがここは牧場ですらない)

馬の生産部門が次々と千葉の地を去っていくなかでもっとも惜しまれたのは、当時から広い敷地を構えていた社台ファームが、その経営的な軸足を北海道に移したことでしょう。

他の牧場の説明を見ると、多くは育成牧場としての役割に移行しており、

北海道生まれの馬を本州に連れてきて育成、トレーニングセンター・競馬場に入れて、放牧で戻ってきて……というところである。


なぜ、千歳市所在と知られる社台ファームの所在地が富里市と書かれていたのか?

それは同牧場が創業したのが富里村(当時)だったからである。当初は「千葉社台牧場」という名前だったという。

この牧場は北海道進出し、白老町に「千葉社台牧場社台支場」(不思議な名前だな)を設立して、サラブレッド生産はこちらに移った。

後に両牧場は「社台ファーム千葉」「社台ファーム白老」に改名され、育成・生産という役割分担があったようだ。

その後、北海道の事業規模を拡大し、早来町に「社台ファーム早来」、千歳市に「社台ファーム千歳」を設立している。

1994年に 社台ファーム早来は「ノーザンファーム」に、社台ファーム白老は「白老ファーム」に独立、

社台ファーム千歳は単に「社台ファーム」と呼ばれるようになり、これが現在まで続いている。

では、創業の地である社台ファーム千葉はどうなったのかというと、育成牧場としても狭すぎたので、

代替となる育成牧場「山元トレーニングセンター」を宮城県山元町に開設したこともあってか閉鎖され、

現在は牧場跡地は区画整理で商業施設が建ち並ぶようになり、一部は 新木戸大銀杏公園 として芝生の広場が残っている。


もはや千葉サラブレッドセールは意義を失っているのではないかという気はするが、

過去には社台ファーム生産・育成馬に混ざって、千葉県産馬が取引されたこともあるようだし、

千葉県生まれ あるいは 千葉県育ち の馬を取引する場を維持するために、北海道千歳から大挙して馬を連れてきている。

おそらくそういう意図なんじゃないか。


さて、今回5.1億円で取引された馬は、同セール唯一のディープインパクトの子である。

母親を同じくする兄・姉はいずれもJRA未勝利、それだけ見るとなぜこんなに高額になったのかと思うが、

トレーニングセールということで、調教タイムが公開されているのだが、これがすごい速かったと。

1歳・当歳(0歳)の馬を買うとなると、親・兄・姉の成績や体型などを見て取引することになるが、

2歳だと早期デビューに向けて調教を積まれているので、どれぐらい走るかということを実際に知ることが出来る。

この点においては1歳・当歳の馬を買うのに比べれば一定程度リスクは低いとみられる。

ただ、ここまでに期待度が高い馬はすでに他の商流で買い手が付いていることが多く、このことを指して「売れ残り」と言う人もいた。


また、社台ファームは多くの活躍馬を出していると言えばそうなのだが、それは生産数の多さゆえという面もあり、

あとダートで活躍する馬が比較的多いらしい。(このあたりは同牧場の育成方針によるところもあるんじゃないかとのこと)

先ほどの馬は父親からして芝での活躍が期待されているところであるが、果たしてその期待に添えるのか。

社台ファーム生産馬でディープインパクトの子で大活躍していると言えば カレンブーケドール がいますけどね。(重賞未勝利だけど)

ただ、そのカレンブーケドールでもこれまでに稼いだ賞金は4.3億円である。(重賞未勝利だけど)

もちろん5.1億円の元が取れるとは思っていないでしょうけど、重賞で勝ちたいとかそういう意図はあるはず。

果たしてこの馬はその期待に応えられるのか? 疑わしいもんだなとは言われてますけど。


しかし、藤田さんが5.1億円出すのはともかく、この値段まで上がったのは他に競り合う相手がいたからこそ。

藤田さんにとってみれば馬主新規参入で手っ取り早く走る馬が欲しかったという事情があり、

そのためならば到底元が取れない金額であったとしても、チャンスをつかむために金は惜しまないというのはわかるのだが、

「俺は6億出してもかまわない」と思っていても、次点の入札者が2億円なら、2億円+10万円(入札単位)での取引となる。

なので、他に5億円とか出して買いたい人がいたということなのだが、果たしてそれは誰なのだと。永遠に開かされることのない謎である。

セレクトセールでは超高額で取引される馬(主にはノーザンファーム生まれ)が毎年数頭は出ているが、

千葉サラブレッドセールで社台ファーム生まれと考えると、かなり異様なことだと言われている。

一体なんだったんでしょうね。