これは最近ニュースで出てきていますが、夫婦別姓を可能にする民法改正をするそうです。
というかこういうことって民法で決めてたのね。戸籍法じゃないのか。
以前から法制審議会が可能にするように法律を改正するように言ってきたそうです。
ただ今までは与党がよう通さんから出せなかったらしい。
これが勢力の変化で出せそうになったと。そういう事情らしい。
具体的な内容は民法の一部を改正する法律案要綱に沿ったものになるのではないかな。
婚姻適齢が18歳に統一されたり、嫡出でない子の相続分と嫡出である子の相続分と同等にする内容もあります。
どちらも現在ではようわからん規定なので妥当なところでしょう。
さて、件の夫婦別姓についての内容はこうある。
夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫若しくは妻の氏を称し、又は各自の婚姻前の氏を称するものとする。
夫若しくは妻の氏を称し、というのはいまの規定ですね。
どちらか選ぶことができます。97%ほどが夫の氏、3%ほどが妻の氏を選択しているようです。
なお選ばれた方が筆頭人になります。妻の氏を選べば、妻、夫の順番で戸籍は書かれて妻が筆頭人です。
この順序を嫌って、養子縁組で妻となる人の両親の養子になって、そのあと2人で婚姻するという方法を取る人もいます。
だから実際は妻の氏を選択している人はもうちょっと多いと言われています。
今回言われているのは 各自の婚姻前の氏を称する を追加することですね。
これにより婚姻によって氏が変わることを避けられるということです。これが夫婦別姓ですね。
これが必要となる場合はよく言われているのは、職業上の不便にならないようにするためですね。
法的に名前が変わってしまうので不都合が生じることを防げると。
これを嫌って手続きをしない人もいるそうですが、それはあまりよろしくないでしょう。
ちなみにそのような場合は、住民票の続柄は、妻(未届)、夫(未届)と書いてもらえるらしい。同居人にはならないのね。
多分それが一番大きなことだと思います。
ただそういう事情がなければ今まで通り夫か妻の氏を選択することが多いのではないでしょうか。
ただ、問題なのはそういう仕組みに今の戸籍制度は対応できないと言うことですね。
そこをもっと考えないといけないんですが、その資料は出ていませんのでなんとも。
現在の戸籍はかなりの部分が個人単位で編成されています。
ただ共有するものが2つありまして、本籍と筆頭人ですね。
あともう1つ重要なのは筆頭人の氏を全員が使うというシステムになっているということですね。
どういうことかというとこういうことです。
戸籍電算化 (名寄市)
どちらを見てもそうですが、個々の人については名のみかかれています。
じゃあ氏はどこをみればわかるかというと筆頭人を見るしかないんですね。
というところからして困ったことなのです。
もっともこれだけなら解決法は簡単で氏の欄を追加するだけで済みます。
よく見ると戸籍の定義は 一の夫婦及びこれと氏を同じくする子ごと に作るとあったので、それでよさそう。
氏を同じくする一の夫婦と子ごと に作るとあると思ったんですが違った。もっともそれを前提として作った法律でしょうが。
一瞬、夫婦で別々に戸籍を用意する必要があるかと思ったけどまぁそれはないでしょうね。
が、そうなると困ったことも多いわけです。
身分事項 婚姻の従前戸籍欄を見ると、本籍・筆頭人が書いてありますね。
この筆頭人の名前をみれば旧姓がわかるんですね。
便利でしょ。けどこの手が使えなくなる可能性は十分にあるわけです。
そうなると従前戸籍を取り寄せる必要が出てくる。
自分の名に×と書かれたやつですね。そこでもとの氏がはじめてわかるんじゃないでしょうか。
今の戸籍システムは相続などでは非常にありがたい仕組みになっています。
まず、出生時の戸籍を見ますと、少なくとも母が日本人なら同じ戸籍にあります。
両親が夫婦であれば父も同じ戸籍にありますね。
もし非嫡出子でも父が認知していれば、その父の名前と本籍・筆頭人が書かれますからわかります。
子の出生があったときは、母となった場合は同じ戸籍に入るのでわかりますね。
両親が夫婦であれば父も同様、非嫡出子でも父が認知していれば父の戸籍にも子の名前と本籍・筆頭人が書かれます。
こういう形で、子からも親も親から子もたどれるようになっています。
養子縁組も養子は養親の戸籍に移動して、養子側には養親が、養親側には養子が書かれます。
だから出生から死亡までの戸籍を全部集めれば、相続に必要なことはほぼわかるはず。
まぁそういう意味では非常によい仕組みなのですが、ここで問題が1つあります。
それは 出生から死亡までの戸籍を全部集めるのがめんどくさいこともあるということですね。
実は市役所行ったとき窓口で転籍すべきかしないべきかということを相談している人がいました。
転籍というのは本籍を変えることですね。
何でこんな制度があるのかというと、本籍の市町村が戸籍を管理するシステムだからですね。
全国で全国どこの戸籍でも取れればこういう問題はないのですが、現実にはその市町村でしか取れません。
なので遠方の戸籍を取り寄せるには郵便を使うしかないですね。
戸籍謄本1つ取り寄せるのにかかる費用ですが、
まず手数料は定額小為替か普通為替で支払います。
最近は450円とか750円の小為替もできたので1通だけなら1枚で済むと思います。
定額小為替の手数料は100円ですね。
行き帰りの郵便代が必要ですが行きは多分80円でOKです。帰りは80円か90円でしょうね。
戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)の手数料は450円であることが多いので、合計710円かかりますね。
必要になることは少ないのですが、必要になったときめんどくさい。
そこで転籍してしまう人もあります。
けどよく考えると、出生から死亡まで全部の戸籍を集める必要があるとき大変。
除籍謄本(除籍全部事項証明書)の手数料は750円であることが多いので、合計1010円もかかる。
あとこれは転籍関係ないですけど、戸籍改製された人は原戸籍も必要です。
僕のいる戸籍も電算化されたので原戸籍も必要。もっとも全部転記されていますが。
転籍しなくても、婚姻・離婚・養子縁組・離縁で戸籍は移動してしまう。
そういう仕組み
なので厄介ですね。
そこで移動しない戸籍というのをなんとか作れないかなぁと。
というのを以前に考えたことがあったらしい。戸籍を本当に個籍にしてしまうのも悪くない?
個人単位で編成して、本籍・筆頭人の代わりに戸籍番号で表示する、オンラインで証明を行えるようにするといいね、ということが書いてある。
この方法の現在より劣るところは親と子の戸籍を一回では請求できないことですね。
今までは戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)1枚で済んだのですが、個人単位だからそうもいかんと。
ただし現在の夫婦と子の戸籍になる前は家を単位とする戸籍だったのでもっとたくさんの戸籍を一回で請求できたらしい。
それと転籍などによって転記事項以外は消えていたのが全部残ると言うこと。
非嫡出子として生まれて、父に認知されたらこれが戸籍に記載されます。
その後父と母が結婚して準正(嫡出子の身分を取得すること)して、入籍届を出して母の戸籍から夫婦の戸籍に移動した子の場合、
今までは準正されたら認知の身分事項は転記事項ではなくなっていました。
なので移動したら、初めから嫡出子であった人とはほとんど見分けが付かないはず。
突っ込まれるとすれば入籍の身分事項だが、これも転籍などすれば消えるはず。
そういうことが消えずに残っている証明をいちいち提出するのは厄介ですね。
商業登記の現在事項証明書みたいなものを要求するのを基本とするべきでしょうね。
あと商業登記の登記事項証明書は必要な区(目的区・役員区・支店区など)を選んで出してもらうことができます。
氏名変更区の履歴事項証明書 とかいうのがあってもいいかもしれない。
夫婦別姓についてはいろいろ意見があるようですが、一応は審議会も言っているので考えるべきところではあるでしょう。
もっとも考えた上で、一体性が損なわれるという理由で今まで提出するなと言っていたのかもしれませんが。
まぁそういう考えもあると思うし、確かになぁと思うところでもあります。
ただ、戸籍に与える影響も相当に大きいので一体それをどうするかは見物ですね。
もしかすると思っていたよりも大事になるかもしれません。