昨日、ラジオの特番を聴いていたというのはNHK-FMの「今日は一日“バンドリ!”三昧」だった。
NHK-FMの祝日午後の恒例番組で、8時間以上にわたり、1つのテーマに沿って音楽など流し続ける番組である。
1つのアニメ作品の音楽にフォーカスするのは、ガンダム と ラブライブ! に次ぐものだと思う。
確かに曲数多いけど、よくNHKはそれやろうと思ったな。
そうしてあれこれと曲が流れる中、12曲目に流れた「BRAVE JEWEL」を聴いて違和感が。
Twitterを見てみると「のんちゃんバージョンだ」と驚く人たちが。
のんちゃん とは志崎樺音さんのこと。Roseliaのキーボード、白金燐子を演じているが……
2018年11月ごろから、健康上の理由で降板した明坂聡美さんの代役に入ったという経緯がある。
実はCD音源は明坂さんのボーカルが入っていたのだ。
言われて見ればその通りなのだが、ちょっと意外な気がした。
というのも、「BRAVE JEWEL」は2019年1月から放送開始のTVアニメ2nd Seasonのオープニングテーマ、
そして志崎さんは、そのTVアニメ2nd Seasonから声を引き継いでいる。ここ同期してなかったんですね。
確かにCDの製品紹介を見てみると、2019年2月発売の「Safe and Sound」(TVアニメ 2nd Seasonエンディングテーマなど収録)まで明坂さんの名前が入っている。
2019年7月発売の「FIRE BIRD」からは志崎さんの名前が入っているので、それ以降は完全に引き継いでいる。
それだけ急なキャスティングだったってことなんだろうな。
明坂さんが降板を申し出たのは2018年6月末のこと。代役はそこから公募を経て、同11月にお披露目。
代役として選ばれた志崎さんはキャラクタを演じるのは初めてのこと。
TVアニメ2nd Seasonの声の収録にはなんとか間に合わせたものの、それが精一杯だったのだろう。
それより前に音楽は作っておかねばならず、劇中歌では最終話に披露された「FIRE BIRD」からの合流となったと見られる。
今回、NHK-FMで初出しになったと見られる、現メンバーでの「BRAVE JEWEL」だが、
これは7月発売のアルバム「Wahl」への収録を想定して作った音源ではないかとのことである。
実は過去にもこういうことは行われたことがあった。
というのも、Roseliaは過去にも出演者の入れ替わりがあって、
ベース担当の今井リサを演じるのが2018年5月を境に 遠藤ゆりかさん から 中島由貴さん に変わっている。
この後の7月に発売されたCD「R」には「BLACK SHOUT」「Neo-Aspect」の2曲がリマスターver.として収録されている。
リマスターと言うけど、これこそがボーカル差し替え版なんですね。
そういえば、と思い出したのが fripSide である。
以前、ラジオ番組でfripSideの曲が流れたときに甲高い歌声に「これnaoさんがボーカルだったときの曲じゃないか」と思い出したことがある。
fripSideは八木沼悟志さんと南條愛乃さんのユニット、八木沼さんがプロデューサーで曲を作りキーボードを演奏し、南條さんがボーカルをしている。
これは2009年からのことで、2003~2009年の間はボーカルはnaoさんだった。naoさんはいまもソロで歌手活動をしている。
fripSideは南條さんがボーカルになってから去年で10年、もはやnaoさんがボーカルだった時代よりも長い。
今でこそ南條さんは自分が入る以前のfripSideの曲をライブなどで披露することもあるけど、当初はそういう想定はなかったという。
それゆえ、この入れ替わりというのは明確な断絶であって、ボーカルが誰の時代の曲かというのは重要なことである。
こういうのはメンバーが絶えず入れ替わるアイドルユニットなどにも言えることかもしれない。
ああ、この曲がリリースされたときはこのメンバーの時代だったのかと、そういう感想を持ちながら聴くのだろうか。
もちろんライブなどではそのときのメンバーで歌い続けることになるんだろうけど。
でもCD音源はリリースされた当時から変わることはありませんから。それこそが時代を指し示すものなのではないか。
Roseliaについて言えば、キャラクターを演じる人は変わっても、キャラクター自体は変わっていない。
この入れ替わり劇には何のストーリーもないので、すり替えることへの抵抗感は薄いとは思う。
どれも等しくRoseliaの楽曲で、ライブではそのときのメンバーで演奏され続けてきたわけだし。
一方で、健康上の理由で降板するまで演じてきたことへの敬意というのもある。
CDへの収録のタイミングでボーカルを取り直したとしても、ゲーム(バンドリ! ガールズバンドパーティ!)の音源は差し替えをしていない。
ボイスは過去のイベントストーリー含めて段階的に差し替えをおこなったのだが、楽曲についてはそのまま残されている。
基本的にコーラスのみの軽微な差なので放置しているだけかもしれないが、そうとも言えないものもある。
ちなみにこの番組は、メインMCの愛美さんはNHKではないところで生収録して、
NHK放送センターにいるアナウンサーがメッセージ読みなどするスタイルだった。
NHKは職員全滅を避けるために、1週間単位の輪番勤務にするなどの対応をとっているようである。
(cf. NHK高瀬耕造アナ、在宅勤務で朝ドラの研究?「仕事じゃないですね」 (サンスポ))
そういう状況なので職員以外をむやみに局内に入れるわけにもいかず、このような対応になったとみられる。
さらにゲストはおそらく自宅からの電話出演だった。(一部は事前収録)
電話出演なのをいいことに総勢10名ものゲストが生出演するという、それはそれで豪華だと思ったが。