CRC32だからといって遅くはない

うちの職場で作っている製品では、ある世代の製品ではCRC16を、ある世代の製品ではCRC32をデータの誤り検出に使っている。

今にして見ればなんでわざわざCRC16という感じもあるけど……


この職場に来てから今まで、CRC演算を使った処理に手を入れることがけっこうあったのだが、

そのとき使っていたマイコンはいずれもCRC演算用のペリフェラルがあった。

設定をしてデータを書き込むと、ペリフェラルで演算してくれると。

まとまったデータがあるならDMA転送との組み合わせが効果的である。

CRC演算は時間がかかるからDMA


ただ、CRC16を使っている世代の製品で使っているマイコンにはそういうものはない。

ゆえにアルゴリズムをプログラミングしてCRC演算をしている。

これをCRC32にするとどうなるかという話が話題になったのだが、

意外とCRC演算そのものの処理時間はあまり変わらないようだ。


なぜCRC演算そのものの処理時間があまり変わらないのか?

プログラムでCRC演算を行う場合、効率化のためテーブルが使われることが多い。

Web上で探すと8bit単位で計算するサンプルプログラムがよく見つかるが、

マイコンのROM容量も考慮してか4bit単位で計算するようにしていた。

テーブルを使う場合の処理内容はCRC16もCRC32もそんなに変わらない。

idx=(crc^data)&0x0F;
crc=(crc>>4)^table[idx];

実際はもうちょっと考えることはあるが、模式図としてはこんな感じ。

このマイコンでは32bitの演算を1命令で処理できるので、

CRC16の演算ではXORやビットシフトの演算回数を減らす工夫をしていた。

CRC32ではそうもいかないので愚直に書く必要があったぐらいである。

演算に使用するテーブルの容量も増えるが、16bit×16個が32bit×16個に増える程度だから、そこまでのインパクトはない。

32byteのテーブルが64byteに増えても軽微な問題ですよね。


マイコンによっては16bit単位でしか演算できないとかいうこともあるから、

そうするとCRC16とCRC32の演算処理は全然違うかも知れない。

あと、元々8bit単位でテーブルにあてはめて演算していたとすると、

512byteのテーブルが1024byteに増えるわけだから、ちょっと気になったかも。

(これもそんなに気にするほどの差ではないかもしれないが)


そういう意味ではCRC64なんて導入するとなればけっこう大きな話だったかも。

というかCRC64なんてあるの? と思って調べたけど、一応あるみたい。

ただ、使っているところはかなり限られるようだけど。

誤り検出としてはCRC32でもかなり高いレベルにあるということなんだろう。

あるいは改ざん防止としても効果的なSHA-256などのハッシュ関数を使うべきということだろう。

(さすがにそこまで来るとマイコンのプログラムで計算するのは大変だが)


冒頭に「今にして見ればなんでわざわざCRC16」と書いたけど、

これはおそらくはデータサイズの制約によるものではないかと思う。

確かにCRC16とCRC32のサイズの差は2byteしかないのだが、

そのわずかな差で従来1回で転送できていたデータが1回に収まりきらず、

2回に分割して通信することになると、各ブロックにCRCを含むヘッダーを付ける必要があり……

という影響の大きさを考えるとCRC16が適するという判断があったのかも。

一応は実績のあるレース

昨日、こんなことが発表されていた。

全日本的なダート競走の体系整備について (地方競馬全国協会)

以前、大井で3歳ダート三冠が整備されるという発表があった。

従来はローカル重賞の羽田盃・東京ダービーがJpnI、現在のジャパンダートダービーは秋に移設して、名前はジャパンダートクラシックになると。

芝のクラシック三冠、牝馬三冠と同じ春2戦・秋1戦に合わせるということである。

ヨーロピアンスタイルの3歳ダート三冠


それに伴って、前哨戦が必要ということになるが、他にもいろいろ手が入る。

年間を通じたチャンピオン決定戦を整備するためにこうなる。

  • 川崎記念(2100m)を1月下旬→4月上旬に変更
    (東京大賞典と帝王賞の間で、フェブラリーステークスと被らない時期に)
  • さきたま杯(1400m)をJpnII→JpnIと格上げして定量戦に
    (上半期のスプリント王決定戦に位置づけるため)
  • エンプレス杯(牝馬限定2100m)を3月上旬→5月上旬に変更して定量戦に
    (上半期の牝馬チャンピオン決定戦に位置づけるため)
  • マリーンカップを3歳牝馬限定戦にして9月下旬に設定
    (秋の3歳牝馬チャンピオン決定戦にするため)

川崎記念といえば、チュウワウィザードがドバイワールドカップの前哨戦に使っていたのが印象的である。

ただ、日本国内では東京大賞典とフェブラリーステークスに挟まれていて、

これらのレースと被らない時期に動かした方がよいとなったらしい。

スプリント路線と牝馬路線のチャンピオン決定戦はJBCデーにしかなかったが、

上半期にも必要ということで選ばれたのが、現状上半期で最も格が高い さきたま杯とエンプレス杯だったというわけ。

3歳牝馬については、三冠とはいかないのだが、春1戦(関東オークス)・秋1戦という形で用意された。

牝馬のダート戦はJRA側の体制が全然整ってないので、ここら辺が落とし所となったのか。


ところで今回の「全日本的なダート競走の体系整備について」で示されたレースは、

地方所属馬限定のレース(ネクストスター)を除き、日本グレード格付管理委員会による格付けが付いている。

この格付けを得るためには最低2年の実績が必要で、全く新しい重賞レースの場合、最低2年は無格付けで行わなければならない。

  • JBCレディスクラシックは2011年・2012年は無格付け、2013年からJpnIに
  • サウジアラビアロイヤルカップは2014年(いちょうステークス)・2015年は無格付け、2016年からGIIIに
  • 葵ステークスは2018年~2021年は無格付け、2022年からGIIIに
    (2021年にGIII格付けになる予定だったが、レーティングの要件を満たせず1年延期になった)

下2つは国際的な格付けで厳格なルールがあるのでそうかなと思うけど、

日本ローカルのJpn格付けでも基本的には何らかの実績が必要である。


とはいえ、元々、地方全国交流あるいは地元馬限定の重賞に対して、

これはG1級の実績があるとか、そういうことを言えるわけはなく、見込みで付けている部分は多いにある。

ただ、元になったレースの位置づけにより格付けが決まっている部分もあり、

羽田盃と東京ダービーは南関東三冠としての実績を評価された上で、見込みを加えてG1級としたんだろうという理解はできる。


それ以外ではブルーバードカップと雲取賞がJpnIII、京浜盃と不来方賞がJpnIIからのスタートとなる。

ブルーバードカップは現在は「準重賞」と位置づけられており、大出世と。

でも「準重賞」もパターンレースではあるので一定の実績はあり、妥当性はある。

京浜盃は羽田盃の前哨戦として重要なレースなのでG2級の見込みはわかるが、

不来方賞って岩手のローカル重賞なのだが、これがいきなりG2級なのは不思議な気がする。


その理由は地方全国交流のダービーグランプリの実績を使っているためらしい。

ダービーグランプリ(盛岡)は不来方賞と名称を変更して10月上旬開催のJDCの前哨戦としてJpnⅡ競走として実施される。

(【ダート3冠】ジャパンダートダービーはジャパンダートクラシック(JDC)に改称し10月に施行 競走体系も大幅に見直しへ (東スポ競馬))

確かにダービーグランプリが地方・中央交流になればG2級という見込みは理解できる。

従来、地方競馬にとっての3歳秋のチャンピオン決定戦がこれだった。

これがそのまま中央・地方交流のチャンピオン決定戦になればよさそうだが、

実際にはジャパンダートダービーの時期をずらし、ジャパンダートクラシックに改名して、こちらが3歳秋のチャンピオン決定戦となった。

そして、ダービーグランプリはこの前哨戦にシフトすると考えたが、名前は変えた方がよいと。

そこで岩手のダービーグランプリの前哨戦である不来方賞の名前をこっちに持ってきたらしい。

一見、大出世に見える不来方賞だが、実はそこまでのことはなかったと。


他もなかなか無理くりな感じがしますけどね。

TCK女王盃は兵庫(園田)に移設して兵庫女王盃になるとあるが、

ダートグレード競走の主催者間での移設というのは初めてなのかな?

東日本に集中しているので、全体的なバランスも考慮して西日本での開催にしたようだけど。

全国1社のJRAと異なり、地方競馬は各主催者が独立しているので、移管というのはけっこう大きな話である。

兵庫女王盃というネーミングはそれでいいのか? と言われてたが。


あと、この発表の最後にこのような記載がある。

日本のダート競馬の国際的な評価を高めるべく、地方競馬では2028年から段階的に「Jpn」表記の使用を取り止め、全てのダートグレード競走を国際競走とすることを目指します。

JRAでは平地オープン競走(九州産馬限定を除く)の全てが国際競走になっている。

しかし、地方競馬では外国馬の受入体制の問題もあり、国際競走は東京大賞典と全日本2歳優駿の2つのみである。

国際競走でなければ、国際的な格付けを得ることはできない。

ただ、日本ローカルの格付けも並立しているので、例えばJpnIの格付けがあれば、日本国内では国内外のGIと同等とみなされる。

日本国内の事情を言えばそれでもよいが、国際的な評価が伴わないことが課題である。

昨年、ブリーダーズカップディスタフを優勝したマルシュロレーヌが、国際的にはリステッド4勝、G3では3着までの馬にしか見えなかったのはその一例。(cf.ダート競馬での大快挙)


2033年に国際格付けへの全面移行を目指しているようだが遠い道のりである。

設備面の問題は地方競馬主催者で協調して整備していくということでよいが、

問題は格付けに必要なレーティングを得ることが難しいということである。

例えば、2019~2021年のJBCスプリントの年間レースレーティングは109.00ポンドだが、

これはGIどころかGIIの格付けに必要なレーティング(110)にも少し足りない。


レースレーティングを高めるには出走馬のレーティングを高めればよく、手っ取り早いのは外国の強豪を呼んでくればよいのだが、多分難しい。

なぜ難しいかというと、ダート競馬の強豪はすなわちアメリカの馬だが、なかなか遠征には消極的である。

サウジカップデーのリヤドダートスプリント、G3とはいえ高額賞金は魅力的だが、昨年はアメリカ勢不在だったし。

というわけで日本馬のレーティングを地道に高めるしかないのである。


最後に書いた話もあるので、地方競馬としてはJRA勢と対等に戦えるようになるどころか、世界と戦えるようになる必要がある。

馬主としては地元馬限定の重賞とかで手堅く賞金を稼げた方がいいという考えもあると思うが、

好調な馬券売り上げが、サラブレッド生産者の競争力強化につながる道を考えると、

地方競馬としても国際競走の充実という方向に向かわざるを得ない。

地元馬限定・地方所属馬限定のチャンピオン決定戦というのは減る方向であろう。


新しい3歳ダート三冠とその前哨戦については、JRA枠が少なく、地方所属馬の枠が多く取られているそう。

東京ダービーはJRA枠4頭で、羽田盃・ユニコーンステークスの上位馬優先を考えると、

UAEダービー優勝しても、賞金順では出走枠が得られない可能性もある?

これは有力馬の地方デビューを促したいという地方競馬の意向も踏まえたものらしい。

ただ、その地方所属の有力馬が、JRA勢相手に勝負するより、地方所属馬限定のレースで手堅く稼ぐのだとなると、スッカラカンになってしまう。

(実際に一部のダートグレード競走で起きていることである)

そうならないようにレース体系の見直し、ボーナスの設定などやるべきことはやるという意思表示だろう。


大変なことだと思うけど、これしか道はないと思いましたね。

芝では日本競馬は世界的に高い評価を得ているが、そこにはJRAの長年の努力と、それに連動した馬主・牧場の努力はあったわけである。

ダートについてはJRAの年間レース数の制約もあり、できることは限られる。

そこで地方競馬の主催者が馬主・牧場を巻き込んでやっていくしかないと。

好調な馬券売上があるからこそやらなければならないことである。

建物名があるからいいってことか

今日は新居に関連する買い物の下見に出かけていた。

とある事情で午前中は家にいてもどうしょうもなかったのもあるので。

下見というのはまだ購入するタイミングが固まりきってないというのが大きいが。

結局のところはインターネットから注文することになりそうねと。

店に行っていろいろ見ていたけど、だいたい思った通りかなと。


転居にあたって電気の契約だけはさっさとやっておくことにした。

今回は入居日から引越が完了するまで1ヶ月ぐらいある。

この間に新規に購入する家具・家電類を搬入していこうと。

逆に引っ越さない家具はそれはそれで対応が必要なので、その対応は引越完了後の半月で対応する予定と。

近所の引越だからこういう作戦が楽なんじゃないかと。

で、最初に必要になるのが電気というわけ。


今どきは規制料金じゃないとなにされるかわからんなと、

東京電力エナジーパートナーのWebサイトで従量電灯Bを探して申し込んだが、

このときにちょっと気になることがあった。

新居の住所を打ち込むと、違う建物名が表示されたのである。

その建物名ではないということで選んだので大丈夫だと思うのだが……


なんでそんなことになったのか、調べてみた。

確かに隣の建物と住居表示の建物番号が同じだった。

そのさらに隣の番号は1違い、反対の隣の建物も1違いと。

すなわち4軒並んでいる建物が 7,8,8,9 というように番号が付いていると。

確かに住居表示ではこういうことも起きうるけど、まさか自分の住む家がひっかかるとは思わなかった。


そもそも住居表示という制度を知らない人もいるかもしれない。

日本では住所を地番で表記する地域と、住居表示で表記する地域がある。

地番は建物の建つ土地が登記されていれば、それで住所表示が決まるため運用コストが低く、郊外の住所表示はほぼこれである。

ただ、区画整理されていない市街地では、分筆などで地番が複雑であることが多く、郵便の配達などに不便する。

このため、地番とは別に建物を識別する「住居表示」を定める仕組みができた。

土地の権利関係とは全く無関係に、建物の玄関の位置で住所表示が決まるわけである。

これにより区画整理なしに発展した市街地でも、整然とした住所表示を手にすることができた。


住居表示の運用方法は市町村やその中の地域によっても異なるが、一般的な方法は下記の通りである。

町域内の道路で区切られた区画ごとに1番,2番と街区符号を決めて、

各街区のフチに沿って一定間隔ごとに区切って1,2,3……とフロンテージと呼ばれる番号を振る。

建物の玄関の目前に振られた番号がその建物の住居番号となる。

町名・街区符号・住居番号と並べたものが、その建物の住居表示である。


この方法は番号の一貫性は保ちやすいのだが、1つのフロンテージに複数の建物が該当することがある。

このあたりは比較的小さなアパートが連なっている。

アパートですら1つのフロンテージに分けられないとは思わなかった。

ちょっと間隔が広いのかな?


住居番号が重複する問題がもっとも顕著なのは袋小路にある家だという。

街区に沿って番号が振られると、袋小路に沿っている建物は全て出入口の場所に玄関があることになる。

こうすると同じ住居表示の家が多数出現することになる。

地番で表記する場合も1筆の土地の上に複数の建物が建っていると似たようなことはあるが、

住居表示の場合、建物の間口などの形状の都合で発生するのが問題である。


この問題を打開するための方法として枝番を取り入れている場合がある。

袋小路の入口のフロンテージが3ならば、その中にある各建物に3号1, 3号2, 3号3……と振っていくという具合である。

(通常は 5番3号2 は 5-3-2 と略記されることになるだろう)

この運用ルールは市町村により異なる。枝番を運用していないところもある。

うちの市では枝番の運用は行っており、戸建ての場合は申出により付けられるらしい。

ただ、集合住宅の場合は対象外となっている。そう、対象外なんです。


なぜ集合住宅が枝番の対象外なのか?

それは必ず建物名を付けるはずだからということではないかと思う。

「本町5番7号 コーポ内田205号室」「本町5番7号 中田ハウス205号」は建物名まで見れば明確に区別できる住所表示である。

戸建ての場合、名前で識別しなければならないが、田中さんが複数いるかもしれないし、違う名字の人が住んでるかもしれない。

そこで住所部分だけで明確に識別できるようにする手段は枝番ということになる。


集合住宅によっては部屋ごとに住居番号が付くことがあるそう。

といってもうちの市では運用してないみたいなんだが。

例えば、建物の玄関のフロンテージが9で、部屋番号が802だと、9-802号といった具合に。

この表記が認められた場合は建物名は必須ではなくなる。

ということは引っ越し先のアパートみたいに同じ番号に2つあるようなのは論外だと。

規模の大きな集合住宅だけを対象にしている市町村も多いみたいですね。


集合住宅で部屋番号まで住居表示に入る制度があるのは知ってて、

これの対象になるのかな? とか思ってたら、それ以前の問題だった。

町名+街区符号+住居番号+部屋番号で識別できないから、

町名+街区符号+住居番号+建物名+部屋番号が絶対に必要だと。

そしてそもそもうちの市ではこのシステムを運用してないというのだから。


けっこう住居表示って地域ごとの運用に差が大きいんですよね。

市町村を越えて引っ越すと、あれ? と思う人も多いかも。

かつて住んでいた市は住居表示を導入している地域はないのだが、

区画整理された住宅団地に住む人が多く、そうすると地番が整然と並ぶので取扱がよい。

この地番というのは概ね一筆書きで1区画ごとに1番地,2番地……と振っている。

階層化されていないので区画数だけ振るので300番地ぐらい行くこともある。

区画整理後の地番の付け方もいろいろだが、住居表示との整合性も考えて街区ごとに階層化するのが最近の流行らしい。

ある街区は 9番地1, 9番地2……、ある街区は10番地1、10番地2……と。

こうすると市内に地番地域と住居表示地域が混在しても違和感が少ないと。

S席とSS席には意味がある

今日もまた西武ドームへ行っていた。2週間ぶりだよ。

THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS Twinkle LIVE Constellation Gradation

そもそもシンデレラガールズにとって西武ドームは4月にも使っていて、このときも行っている。

さらにその後9月に名古屋でもあって、そこで今回の公演が発表され、

そういうので消極的な人も多かったのかなと思うし、僕もそうだったのだが、

とはいえうちから西武ドームは近く、それなら1日だけでも行くかと。


以前、話題にしたことがありましたが。

高くても買えればラッキー

シンデレラガールズの国内公演では初めて座席により不均一な料金が設定された。

アリーナ前方のSS席と、スタンド席の野球だとバックネット裏に当たるS席が高いと。

アリーナ席とスタンド席前方がA席、それ以外のスタンドがB席と。

上に書いたようなモチベーションで、西武ドームならスタンド席も観やすいだろうということで、B席にしたのだが、

S席より少し外側、A席より少し後方ということで、B席にしてはかなり上等な席だった。


S席の価格が高いのは座席が上等だからという側面もけっこうある。

それだけでも格差を付ける理由としては十分なぐらい。

ただ、全てのステージがまんべんなく見られるというのは長所であって、

そこを意識したのか途中まではセンターステージを多用していた。

こうなるとスタンド席中央付近は最良である。

B席ながらその条件に限りなく近いと恩恵は大きい。


ただ、そうするとメインステージの目の前のSS席は分が悪い。

しかもステージとの位置関係で目前がステージじゃないところもあったらしい。

最前に近いということは全体を俯瞰するのが困難だからである。

ところが終盤に入り、メインステージが大半を占める部分があって、

そうするとSS席からの近さは魅力である。

そういう形でSS席とS席のバランスを取ってたのではないかという説はある。


一番割を食ったのはA席なのかもね。

A席の中での振れ幅が大きすぎて、必ずしも観劇しやすいとは言えないところもあったように見える。

ただ、その当たり外れの大きさこそがA席の魅力という話はあるけど。

A席はB席よりは高いが、SS席に比べればはるかに安い。

それでステージからごく近い席も可能性はあるわけだし。


今月の西武ドームはなかなかな使われ方をしていたが、

コンサート用途としてはいろいろ制約はある会場だけど、魅力はありますよね。

12月はまだ少し多目的利用があるようだが、そのうちメンテナンス期間に入るようだ。

こうじ菌がポイント

先日、こんな話を書いた。

しかし、実はこの中で1つだけ文化財保護法の対象になっているものがある。

それが「伝統的酒造り」である。

2021年に創設された登録無形文化財に初めて登録されたのがこれ。

(本当に150年後の国宝はいるのか)

伝統的酒造りって何が伝統的なんだろう?


気になって調べたら、ポイントは こうじ菌 らしい。

無形文化財というのはそのわざの保持者がいて成り立つものですが、

「伝統的酒造り」の場合は保持団体ということで「日本の伝統的なこうじ菌を使った酒造り技術の保存会」が認定されている。

日本の伝統的なこうじ菌を使った酒造り技術の保存会の概要 (note)

伝統的酒造りの登録無形文化財への登録のために作られた団体である。

そしてこの団体の対象とするところは「日本酒、本格焼酎・泡盛、本みりん等の日本の伝統的なこうじ菌を使った酒造り技術」である。


だから清酒に限らないんですね。

税法上の焼酎は広い概念だが、その中でも伝統的なもの、本格焼酎や泡盛と表記できるものは当てはまる。

(泡盛も税法上は焼酎にあたるが条件を満たせば「泡盛」という表記が認められている)

あと、みりん ですか。確かにこれも酒でしたね。


わざわざこういう広い概念を導入するのは、ユネスコ無形文化遺産への登録を意図したものという事情もあるんだろう。

日本の伝統的酒造りとして登録が認められれば、清酒・焼酎・泡盛など包括した登録になる。

これらに共通する要素として こうじ菌 というのを見いだすことができる。

醸造酒と蒸留酒だと違いそうだが、そこそこ関連はあるんだよね。

そのため、これらを包含して日本特有の酒造りとして登録できると考えたか。

日本国内の事情だけ言えば、それぞれ別々に登録してもよさそうなもんだけど。


焼酎のような蒸留酒は世界的にもバラエティに富んだもので、

そもそも日本国内を見ても米・麦・さつまいも など多様である。

一方で清酒は日本酒とも呼ばれるが、醸造酒としては世界的にもアルコール度数の高い酒として知られる。

一般的にはアルコール15%程度で販売されているが、実は醸造時は20%以上が好都合なので、わざわざ水で薄めているという。

世界的にも”Sake”として知られており、米を原料とする酒類ではもっともよく知られた存在ではないか。


おそらく、国際的に見て、日本の酒造りとして評価されるのは清酒が主となるのだろう。

一方で日本国内にも地域性があり、焼酎・泡盛が根付いた地域というのもある。

酒類の消費量が減る中で、地域に根付いた酒造りを伝承していくことの難しさは同じである。

国際的な評価と国内の事情から「こうじ菌」というところに特色を求めたのかなと。

修了証明書と学位授与証明書

昨日、いきなり速達で「修了証明書」を送ってもらった話を書いたが、

そもそもなぜ修了証明書を取り寄せたか書くの忘れてましたね。


ことは数ヶ月前、上司に言われてとある資格試験を受けるように言われた。

けっこう急な話で、社内で行われた勉強会の動画を見て連日勉強して……

試験の手応えはそこそこだったが、合格基準が意外と高くどうかなと思ったが、

ちゃんと合格していたので、資格取得のための書類を作成することに。

この資格はテストで合格するだけでは取得できず、一定年数の実務経験と、工学・理学の大学を卒業している必要がある。


ただ、ご存じの方もおられるかも知れないが、僕は大学の学部は卒業していない。

高専専攻科から学位授与の試験を受けて学士の学位を取得したためである。

これが最終学歴だと資格取得に不便したかも知れない。

でも、僕はそこから大学院に進学して博士前期課程修了、修士の学位を取得している。

取得書類の記載例も修士で書かれていたし、大学院の修了証明書を提出すればよさそうだ。


提出するのは修了証明書のコピーでよいから、手元にあるのをコピーすればよい。

と、帰宅して通信簿など入ったファイルを確認してみたが……入ってなかった。

そういえば、大学院の修了式の日には証明書は1部しかもらえず、

それ以上の修了証明書は修了式翌日以降しか取得できることになっていたが、

修了式翌日には社宅入居のために移動しなければならなかった。

修了式当日に受け取った証明書は就職先に提出したから、手元にはないのだ。


そんなわけで急遽、修了証明書を取り寄せることになったのである。

書類の提出期限がやや厳しく、一番悪いパターンでは速達での返送でギリギリ。

こうして赤い線を引いた返送用封筒と申請書と本人確認書類を送ったのである。

速達の表示の仕方

返送用封筒には料金分の切手を貼らないといけない。

証明書取り寄せにかかる郵送料は会社に払ってもらうことにしたが、そのためには切手代の領収書が必要で……というのが以前の話。

切手には領収書が必要


これとは直接関係ないのだが、学士の学位についても証明書を取り寄せることにした。

高専専攻科修了時に、学位記とともに証明書1通を受け取ったはずだが、

その証明書というのは大学院入学時に提出しているから手元にない。

大学院や高専専攻科の修了証明書があれば、特に出番はなさそうだが。

申請にあたっては学位記番号を書くとスムーズなようで、学位記を出してきて番号を転記した。

ちなみに大学改革支援・学位授与機構(僕が学位を受けたときからは名前が変わっている)の本部は小平市にある。

わりと近いが、そもそも郵送でしか申請は受け付けていない。


届いた証明書を見比べてみると、なかなか多様である。

まず、大学院の修了証明書、全部箇条書きなんですよね。

この記載事項の中に「学位: 修士(工学)」となっているので学位の証明にもなっていると。

英文版も取り寄せたのだが「CERTIFICATE OF GRADUATION」という表題だった。

特におかしくない気がするが、大学院の英語表記って「Graduate School」なんですよね。

日本語では卒業というのは本科(学部)にしか使わず、それ以外は全て「修了」と言うんだけど、英語では卒業も修了も”Graduation”みたいですね。


もう1つ取り寄せた学士の学位授与証明書だが、日本語と英語で全然違う。

日本語の方はこんな感じ。わりとシンプル。

学位授与証明書

(氏名・生年月日)

上記の者は、本機構から平成25年3月4日付けで,学士(工学)の学位(学位記番号――)を授与されたことを証明する。

英語版は字体が筆文字のようになっていて、かなり派手である。

CERTIFICATE

This is to certify that

(氏名) born on (生年月日)

was awarded the degree of

Bachelor of Engineering
(Gakushi-Kogaku)

on March 4th, 2013

by National Institution for Academic Degrees and Quality Enhancement of Higher Education
(Daigaku-Kaikaku-Shien Gakui-Juyo Kiko)

“Bachelor of Engineering”と書かれた書類は初めて見た気がするな。

これに対して”Gakushi-Kogaku”というローマ字表記があるが、意味わかるかね。

あと、もう1つ驚いたのが理事長の肩書きで”D.Eng”と博士号を付けている。

博士はともかく、専門分野を書く必要があるのかはよくわからない。


ともあれ、目的の書類に付ける修了証明書は無事に入手できた。

実務経験の証明(なんと自己申告)も書いて、くっつけて送った。

これでおそらく問題なく発行されるはず。

大学学部は卒業してないけど、大学院博士前期課程修了してれば特に詮索もされないでしょう。

速達の表示の仕方

今日は休日だというのに1日中雨で、自転車出して買い物に行くのも煩わしく、

どうせやることもないしなと傘さして歩いて買い物に行ったが、

雲が空を覆っている上に、日が落ちるのも早いから、本当に暗かった。


依頼していた修了証明書がもう届いた。

切手には領収書が必要

昨日の消印が押されているから、申請書が届いた翌日には出たらしい。

一応、3~5日後と書かれていたのだが、学籍番号も書いて送ったしそんなにかからんよなとは思っていた。

そしたら速達なくても今週中に届いたなと。

ただ、一番悪いパターンでも締め切りまでに確実に受け取ろうとすると、速達じゃないといけないし……


速達で返送してもらうために、返送用封筒の上に赤い線を引いて、344円(82円+260円)の切手を貼って送っている。

あまり知られていないのだが、赤い線を引くだけで速達という意味になる。

速達 (日本郵便)

「速達」という字を書く必要はないし、むしろ赤い線の方が重要である。

(通常、速達のスタンプは赤い線と一体になっている)

僕は赤い線だけで速達を示したつもりだったが、返送側で気を利かせたのか「速達」というスタンプが赤線に重ねて押されていたけど。


これまで速達と印字された封筒を使ったことはあっても、今回のように自ら速達の表示をしたのは初めてのことである。

なかなか使う機会がないんだよね。

レターパックライトが速達並みに速いのに370円均一というのもあるかも。

(定型だと若干安いが、定形外に速達を加えると370円では済まない)

速達自体は料金分の切手が貼られていればポストに投函しても発送できる。

時間にシビアなことが多く、切手の持ち合わせがない場合も多いだろうから、結果的に郵便局での発送になっていることも多いと思うが。


今回届いた郵便を見て、到着印がないことに気づいた。

速達というのは配達する郵便局で到着日を示すため消印が押されていて、これを到着印と呼んでいた。

調べると2020年10月に速達の到着印が廃止されたらしい。

そもそも速達の場合、到着すれば速やかに配達されるので、到着日時を記録することで得られるものは少ない。

だから廃止してもよいという判断があったのだと思うし、確かに困らない。

ただ、速達らしさを表すものでもあっただけに、寂しいなとも思った。


ともあれ無事に届いたので、これで手続きが進められそうだ。

コピーを提出するので、あとはキープしておけばまた使えるかも。

ポイントを失効する前に充当する

メルカードの発行を受けた話を書きましたが。

メルペイのプラスチックカード

結局、カードとして使ったのはお試しの1回だけですね。

ほとんどはコード決済ですね。


そのメルカード導入後、メルペイスマート払いで月末の締め日を迎える前に「今すぐ払う」という操作ができるようになった。

メルカードで売上が確定する前は「まえもって支払う」という名前のボタンだが機能としては同じとみられる。

ただ、この「今すぐ払う」という機能、一体なんのためにあるのだ? と思っていた。


ところが意外にもこの機能の出番は早かった。

現在、メルカリでは出品を行った日の翌日に抽選が行われ、その結果に応じてポイントが付与されるキャンペーンが行われている。

それで付与されたポイントの有効期限は2週間だったんですよね。

こうすると月末までに消失するポイントが出てきてしまう。

メルペイスマート払いの支払いにはポイントを充当することができる。

なので来月まで持つポイントは、今月のメルペイスマート払いの支払いに充当できる。

しかし、月内に消えてしまうポイントはそうもいかない。


このため、従来は期限前にメルペイ残高で決済してポイントを消化していた。

そもそもメルペイは残高払いで使うことの方が多いのだが、

将来の売上金、将来加算されるポイントを充当したい場合はメルペイスマート払い、

今すぐポイントを消化したい場合は残高払いという使い分けは明確だった。

すでにある残高、来月まで持つポイントはどちらでもよい。

(なので管理が簡単な残高払いを優先して使っていた)


ところがメルカードの発行を受けると、メルペイスマート払いでポイントが付与されるようになった。

このため現在は専らメルペイスマート払いを使っているところである。

従来の使い分けからすると、今すぐポイントを消化したい場合は残高払いの出番がありそうだが「今すぐ支払う」機能で代替可能であり、

これだとメルカード特典のポイントが付与された上で今すぐポイントが充当できるのでお得である。


この「今すぐ支払う」機能だが、これを使っても利用枠がすぐに回復するわけではない。

例えば限度額5万円の人が、3万円の買い物を「今すぐ支払う」としても、月末までに使えるのは残り2万円で変わらない。

だから、本質的な意味はあまりない機能だと思っていた。

ただ、残高を早々充当することで、管理をしやすくなるというメリットはあると思っていた。

残高2万円、メルペイスマート払いの利用額1万円という状態から、

1万円を「今すぐ支払う」とすると、残高1万円となり直感的に理解しやすくなると。

でも実はその時点で有効なポイントを充当できるというメリットもあったんですね。


そもそも、有効期間の短いポイントを付与する意味があるのかという話だが。

その期間限定ポイントを消化するためにメルカリで買い物しないといけないなら、こういう有効期間の短いポイントも意味があると思う。

でも、そもそもメルカリのポイントはメルペイの支払いに充当できるので、無理にメルカリで買い物する必要はない。

従来はポイントが有効な間にメルペイで買い物する必要があったが、

メルペイスマート払いの「今すぐ支払う」ならば、それ以前の買い物に充当することもできる。

あえて短い有効期間のポイントを付与しても、サービスの活性化につながらないかもしれないと。


同じようなことはかつてのPayPayボーナスライトにも思ってたんだけど。

前身となったのはYahoo!の期間固定Tポイントである。

かつては有効期間1~2ヶ月のポイントをYahoo!サービスで消化するしかなく、

Yahoo!ショッピングで付与されたポイントを消化するためにYahoo!ショッピングで買い物をして……というのを繰り返さないと恩恵はなかった。

これがPayPayボーナスライトとなり、有効期間は60日、Yahoo!に限らずPayPay加盟店で利用できるようになった。

これによりYahoo!ショッピングで付与されたポイントを無理にYahoo!で使う必要が無くなった。

後にPayPayボーナスライトは有効期間の長いPayPayボーナスに集約された。

ポイント運用への誘導ではないか

Yahoo!サービスのリピート利用という狙いを失ったから、ポイント運用に活路を見いだした? という推測ですね。

弱者男性だけではない

朝日新聞デジタルを読んでるとこういうネタがけっこう多いのですが。

自分より弱いものをたたく「弱者男性」 その苦しみを社会が救うには (朝日新聞デジタル)

有料記事なので読めない人も多いでしょうが。

女性の権利が高まる一方、弱い立場に追い込まれる男性がいるということである。

ただ、陰謀論めいたところもあり、冷静に分析してみると、弱い立場に追い込まれている「弱者女性」もおり、これもまた問題であると。

確かにそれはその通りだなと思いましたね。

ただ、後で書くけど、想像とのギャップの大きさと這い上がることの難しさが「弱者男性」の課題なのだろう。


どこのニュースでも「生きづらさ」という言葉はみるんだけど。

「生きづらさ」としか語れないしんどさ 背景にある自己責任社会 (朝日新聞デジタル)

これもまた有料記事なので読めないかも知れないが、タイトルが半分ぐらい。

かつては女性や障害者というのはそれで地位が固定されていたし、そこに対する社会の理解も乏しかった。

現在はこのあたりの理解も進み、多様なライフスタイルが認められるに至った。

ただ、そうすると様々な立場の人を横並びにして見ることになるので、選考などで努力して報われれる人もいれば、努力しても埋められない人もいる。

だからマイノリティーであることを「言いわけ」にできず、「苦しいのは自分のせいだ」となってしまう。「女性の採用はありません」と門前払いされたら「不当だ」といえるけど、「公平に審査した結果、落ちました」と言われたら、ひとりで抱えるしかありません。

こういうことを「生きづらさ」と呼んでいるのだが、あいまいな言い方である。


じゃあ身分社会は「生きやすい」社会なのかというと、そこも難しいが。

でも、努力が報われない理由を外に求めることはできるのは楽だと思うし、

身分が固定されることを前提とした制度設計はあるかもしれない。

サラリーマンの配偶者の国民年金保険料の負担がないことはその一例かもしれない。

これも公平性という点ではどうなんだという話はあるのだけど、

一方でこれによって働けない人を救っている側面もあるという指摘はあった。

問題はその恩恵にあずかっているのはほとんどが女性ということだが。


冒頭に書いた「弱者男性」の厳しさというのは想像とのギャップではないか。

弱者男性を自認しやすい人として、収入が少ない、コミュニケーションが苦手とか、発達障害・精神障害など抱えているなどある。

現在の社会で職を得るというのは大変な努力が求められる。

女性・障害者・高齢者の雇用が拡大し、サプライチェーンの変化もあり、

かつては若い男性というだけでそれなりの職にありつけていたのが難しくなった。

付加価値の高い仕事というのは、高いコミュニケーション能力が求められる。

そういう仕事が多くを占めるようになった結果、取り残される人が出ていると。

かつてはそういう人でも定職を得て、十分な収入で一家の大黒柱として君臨できた。

ところが子供の頃に見てきた大人はそうだったのに、いざ自分が大人になると全く異なる。

その背景の1つである女性の地位向上を敵視するに至っていると。それより大きな要因を無視してると思うが。


もう1つはそういう立場から這い上がることの難しさですね。

収入と未婚率の相関について、男性は定収入の未婚率が明らかに高い。

このため配偶者に養ってもらうという道はほとんど閉ざされている。

ただ、女性なら当然そういう道があるとも言えないのは注意が必要だが。

また先の記事に「女性は売春や『パパ活』で簡単に稼いで優雅な生活ができるという意見もよく見ます」という記載があるが、

男性が同様のことをできないわけではないが、その難易度はかなり高い。

ただ、女性でも楽ではないとは思いますよ。それなりに求められるものは大きい。

あと、この双方に通じる指摘なのだが「経済的に従属し不本意なことをせざるを得なくなっている」とある。

配偶者に養ってもらうのも、制度面では国民年金保険料の保険料負担がないのも結婚しているのが前提で離婚すると失われてしまう。

売春や「パパ活」こそ客が付くかどうかですから、客に見捨てられないために不本意な立場に追い込まれる人はいるだろうと。

だから弱い立場から這い上がれる道があってもそれが万事解決ではないと。


付加価値の高い仕事しか残されない要因の1つとして障害者雇用の拡大があるんじゃないかなと思っているところはある。

障害者の法定雇用率を達成するために、子会社を設けていることは多い。

そこで例えば知的障害者の特徴に応じた仕事のマネージメントをしていると。

これによりチャンスを得た障害者が多いことは間違いない。

ただ、その障害の特徴を考慮した仕事を集めていった結果、従来は障害の有無を問わずにチャンスのあった職種が減っていった面もある。

それで割を食うものの1つが障害者として認定はされないが、それに近い人、例えば境界知能とか言われる人ですね。

健常者で横並びにされるとどうしても不利な立場になりがちである。

本当はその能力を生かせる仕事があっても、障害者枠にはありつけない。

こういう側面もけっこうあるんじゃないかなと思う。


ただ、障害者だって必ずしも能力を生かせる仕事にありつけるわけでもない。

障害者が能力を行かせる仕事をと思って、一般に公募されている仕事に応募しても合理的な配慮がないため働けず、低賃金にあえぐことになったり、

障害の種類によってはそもそも就職口に乏しいものもあるという。

結局のところ、各社の法定雇用率の達成のために合理的な方法を選ぶと、

マネージメントしやすい障害者を集中させて使うという形になりやすい。

同じ障害の人ならどこの職場で雇ってもよいのだが、そのためのマネージメント体制がある職場は限られているから、特定の職場に集中させていると。


そんなわけで現代社会というのは大変難しいのである。

身分によらず等しくチャンスがあるということは、努力して報われる面もあるが、努力では埋められないものというのもある。

この努力では埋められない部分を埋めるための制度もあるが、

そこから外れた人はいろいろ割を食うことになるが、一方で制度で救えないものもある。

こういう歪なところに着目していくとキリがない。


このような問題の打開策として「競争社会をやめるなど人類史的な大きなことをやらないと」なんて書いてあるけど、そこに現実味はない。

女性・障害者・高齢者の雇用が拡大して、競争の苛烈化により失われたものもあるが、社会全体として得たものの方が多いことは明らかである。

よりによってこうして弱い立場に追い込まれる男性というのは、

不平は言うけど、組織化して社会に訴えることもしないし、社会にも共感されない。

(弱い立場に追い込まれる背景の1つがコミュニケーション力の弱さや認知能力の欠如なのもあると思う)

そのくせテロリズムに走るとなれば困るが、それも少数派と言える。

自殺などで静かに社会から退場してくれる人の方がはるかに多い。


冒頭にも書いたが「弱者男性」もいれば「弱者女性」もいるということで、

どのような身分でもどうしても割を食う人というのは出てくる。

今はまだ女性というだけで共感してもらえる要素はあるかもしれないが、

これも段々と薄れてきていて、それを「生きづらさ」という人もいる。

そういう人たちへの共感が「生きづらさ」の緩和につながるという話もある。

アプローチとしてはそれしかないけど、果たしてそういうことができるのか。

そういう立場に追い込まれるのは明日の自分かも知れないと想像するぐらいですか。

どこを狭くしてどこを広くするか

社宅からの退去期限が迫る中、連絡したのは社内の不動産業である。

この会社、社内の売店の経営とか社宅の管理とかやっているのだが、

一般向けにも不動産業を行っており、従業員が依頼すると割引がある。

割引はともかくとしても、お互いにとって信用できる相手であろうと思う。


社宅の管理部門とかは本社構内にあるのだが、不動産業の営業所は人通りの多いところにある。

申込みの数日後に営業所に来てと言われ、微妙に離れてるよなぁと思う。

連絡時にリクエストした物件や、それに類似する物件の情報を受け取り、

この中で3つピックアップして、今日内見に行くことになった。

営業所から車で行くというが、車が停めてあるのは営業所から少し離れてて……

本社の敷地に駐車スペースがあった。一般人も乗せるからか柵の外だけど。


さて、今回の物件選びのキーポイントは市内であることと2口コンロを備えていることである。

その上で家賃が比較的安いものを探すと、前の社宅と同地区がほとんどになっちゃうんだよね。

市内では幅広く検討したのだが、ここが最善という感じでしたね。

不動産業の話を聞くと、駅からの距離感が遠いと認識されていて、

なおかつ供給量が多いというところでこういう形になるようだ。

ところが徒歩・自転車での生活がほとんどとなる僕にとってはむしろ便利である。


そんなわけで3軒見てきて思ったのだが、市街地ゆえにいかに狭いスペースに収めるかというところに工夫があるということである。

それぞれの物件で犠牲にしているポイントが異なり、善し悪しはある。

そうして家に帰ってきて思うのは、この社宅の居室って意外と広かったんだなと。

しかし、居室が広い代わりに犠牲にしたものもある。

  1. 現社宅: トイレがユニットバス内・洗濯機が共用だが専有面積の割に居室が広い
  2. 物件A: 洗面台がなくて、居室の形状に若干無理がある
  3. 物件B: 洗面台があるが、居室がやや狭い
  4. 物件C: 台所・風呂が狭く洗面台がないが、居室が広い

現社宅は洗濯機が共用って単身者の社宅でなければ許されんわな。

担当者は物件Cの居室の広さを評価しているようだったが、それ以外は狭い。

物件Aと物件Bは洗面台の有無が居室の大きさの差になってるのかなと。

ただ、物件Aは広々してるように見せて、使い勝手に制約がある。


それ以外にもいろいろな要素がありますけどね。

ただ、家探しを始めたときに最初にこれがよいのではと思った物件が引き続き最有力という感じでしたね。

実際に見てみると課題もあったのだが、それでも全体的にはよいと思った。

他の2つの物件のうち1つはこれは除外だなという感じだったが。

いや他の選択肢がダメならアリなんですけどね。

もう1つは捨てがたいところはある。要確認事項があったのでその回答次第というところもあるが。


ただ、その最有力候補は家具類をいろいろ買わないといけないんだよな。

まぁ工夫次第で広々住めるという言い方も出来るのだが。

現在の想定では今月中に申込み、来月に入居可能となり家賃発生するが、実際の転居は1月中旬~下旬になる予定である。

担当者の話からしても、これはかなり合理性のある計画だと思う。

この入居可能~転居のギャップを使って、家具類の準備とかすることになりそう。

逆に現在の家具類の廃棄・売却ということも考えないといけないんだけど。

エアコンの廃棄というどうあがいても面倒なネタもあるんですけどね。


そもそも入居にあたっての初期費用もかかるわけですからね。

その上に家具・家電類がのしかかってくるとけっこうな金額だよね。

それでも就職時に負担が省けた部分もあるし、長年安い家賃で住んできたこともある。

なにより今回の転居は近くで時間的にも余裕があるので、家具・家電類で工夫できるところはうまくやっていこうかなと。

入居可能~社宅引き払いまでの2ヶ月弱はいろいろ忙しそうだ。