覆面ガールズバンドその2

昨晩、TVアニメ「BanG Dream! It’s MyGO!!!!!」の初回放送があった。

リアルバンドとしてのMyGO!!!!!は覆面ガールズバンドのごとき時期もあった。

覆面ガールズバンドってわけではないが

なんと初回に3話一挙放送(90分)というなかなか見ない構成。

初回だけ60分というのは時々聞くけど、90分というのはなかなか。

なぜ、このような構成かというと3話かけてもMyGO!!!!!の結成に至っていないからではないか。

バンドの輪郭が見えるところまで話を進めると3話分かかったと。


バンドリのアニメはショートアニメやFILM LIVEを除けばこんな形で製作されてきた。

  1. 「BanG Dream!」 (2017年1月~4月)
  2. 「BanG Dream! 2nd Season」(2019年1月~3月)
  3. 「BanG Dream! 3rd Season」(2020年1月~4月)
  4. 劇場版「BanG Dream! Episode of Roselia」(2部作、2021年4月・6月公開)
  5. 劇場版「BanG Dream! ぽっぴん’どりーむ!」(2022年1月公開)
  6. 「BanG Dream! Morfonication」(2022年7月、2話構成)

といった形で進行してきたが、4.と6.以外はPoppin’Partyの視点で進んでいる。

1.は専らPoppin’Partyの話、2~3はガルパの5バンドとRAISE A SUILENの物語である。

4.は2nd Seasonから3rd Seasonの先までRoselia視点で見た話。

5.は3rd Seasonの先、Poppin’Party・RAISE A SUILEN・Morfonica(2020年3月にガルパ追加)の物語である。

Morfonicaについては後で追加されたことも考慮してか 6. で2話構成のアニメガ制作されている。これはMorfonicaが主人公か。


というわけでここまでのアニメはPoppin’Partyが一貫して中心にいた。

他のバンドのメンバーはPoppin’Partyのメンバーとつながりがある。

このためTVアニメではRoseliaの視点で見れば描けないことが多かった。

ここを補完し、Roseliaとしての目標を描くのがEpisode of Roseliaの映画だった。

ところが今回の It’s MyGO!!!!! ではPoppin’Partyを含む既存のバンドはモブのごとき扱いである。

同じ世界観にいるため AfterglowやMorfonicaへの言及はあるんだけど、具体的に知り合いとかそういう話はなさそうだ。

これは今までのバンドリの物語では明らかに異質だと思った。


その代わり、深く描かれたのが「CRYCHIC」というバンドだった。

5人で組んでいたバンドが解散し、このうち3人がいろいろあってMyGO!!!!!として再集結するというのが3話までで見えた輪郭である。

これまでのバンドリのストーリーでもバンドの離散というのは描かれてきたが、

他のメンバーについては省みられないことがほとんどである。

しかし、CRYCHICでは MyGO!!!!!とは無関係なはずの2人のこともかなり深く描いていたのである。


そのCRYCHICの発起人、豊川祥子は元々ピアノをやっていて、バンドではキーボード、

その声をあてるのが高尾奏音さん(ピアノのコンクールでの受賞実績がある)だというのを見て、ピアノつながりのキャスティングかななんて思った。

別にピアノを弾くキャラクターの声をピアノを弾ける人があてる必要はないし……

と思ったのだが、実はピアノを弾けることを前提としたキャスティングの可能性が。


というのも、バンドリではもう1つ新しいバンドが生まれようとしている。

Ave Mujicaといい、現時点ではかつてのMyGO!!!!!同様の覆面バンドである。

先日、お披露目となるリアルライブが行われたところである。

このキャラクタの特徴と似たキャラクタが今回のアニメに出ているのだ。

Ave Mujicaのキーボード、オブリビオニスと豊川祥子は似ている部分がある。

すなわちここは何か連動していて、Ave Mujicaは実際に演奏することを想定したキャスティングであるから、これは関係がありそうだと。

実は My GO!!!!!とAve Mujicaは連動したプロジェクトだったと。

そして、それはPoppin’Partyを中心とした世界を広げる形で生まれたものではないと。


ここのところ Morfonica(2020年デビュー)・My GO!!!!!(2022年デビュー)・Ave Mujica(2023年デビュー) とバンドリのリアルバンドが追加され続けている。

明確な理由はわからないが、プロジェクトの機動性確保のためとみている。

近年は Poppin’Party と Roselia のリアルライブの頻度が低い実情がある。

多忙なキャストが多く、練習も含めればスケジュール確保が難しいのだと思う。

Roseliaはバンドリの人気を牽引する存在だし、Poppin’Partyはリアルバンドとしてもバンドリの主軸を成している。

なので、リアルライブの頻度が低くてもそれはそれで価値がある。

いつまで続くかはわからないが、当面は続くとみられる。

一方でバンドリの世界観をさらに広げていくには機動的にリアルライブができるとよい。

そこで RAISE A SUILEN と追加された3バンドに期待しているのではないか。


一体Ave Mujicaは何者なのか? これは今後何らかの形で明らかになるとして、

ピアノを弾くキャラクターをピアノが弾く人が声をあてる理由はなるほどねと思った。

今、明らかになっている情報では矛盾はなさそう。

RHELのライバル対策?

話題になっていたのですが、Red Hat社はRed Hat Enterprise Linux(RHEL)のソースコードについて、一般向けの公開を停止するとのこと。

今後は契約者が申し出た場合に限り公開されることになる。

これがいろいろ波紋を広げているところである。


Linuxのディストリビューションは主に Debian・RedHat・Slackware の系統がある。

この中でRedHat系というのは有償サポートが受けられるRHELの存在というのがとても大きい。

単にLinuxを利用するだけなら無償で利用できる方法はいろいろあるが、

業務用途では保守サービスを長期にわたって受けられることには価値がある。

かつては2003年まではRed Hat Linuxそのものの無償版が存在したが、

RedHat社自身はRHELの有償提供を行い、一方でFedora Projectの支援に回った。

Fedoraは将来のRHELで使用する技術を検討する場としての側面もある。


ただ、実際のところは無償版Red Hat Linuxの代替として多く使われたのはCentOSだった。

CentOSはRHELのソースコードから商標に関わる部分など手を入れたもので、

RHELと高い互換性がある……というかほぼ無償版RHELである。

当初はRed Hat社から独立したプロジェクトだったが、2014年からRed Hat自身が関与するようになっている。

なぜRed Hat社は有償提供のRHELのソースコードを無償公開してきたのか。

これはLinuxカーネルを含む一連のソフトウェアに適用されるGPLの規定による。

GPLが適用されるソフトウェアに手を加えて配布した場合、要求があればそのソースコードを公開しなければならないという規定がある。

この規定はオープンソースソフトウェア(OSS)に利用者にコミュニティへの貢献を求めるものである。

従来、Red Hat社はOSSを利用してRHELを作る代わり、RHELのために手を加えたソースコードを一般に公開することでこの規定を満たしてきた。


2021年にRed Hat社は従来のCentOSの公開を終了し、CentOS Streamを公開することを決定した。

CentOS StreamはRHELのアップストリーム(先行版)に位置づけられる。

ソースコードが反映される順番が RHEL→CentOS から CentOS Stream→RHEL に変わるということである。

ただ、これはCentOS StreamがRHELのBata版という意味ではないとされている。

すぐ次のRHELがCentOS Streamとして公開されているということで、

RHELとほぼ同等の信頼性を備えるものと考えてよい。


この件の受け止め方はいろいろあるのだが、

僕は従来のCentOSをCentOS Streamで代替するのが最適と考えた。

CentOS Streamは仕組みが変わってもRHELとの互換性が高いこと。

従来のCentOSでの経験や、RHELを想定した情報が利用できること。

CentOS StreamはRHELの開発と関連付けることで持続可能性が高まったこと。

このことから現在、このサーバーではCentOS Stream 8を使用している。


ただ、全員がこのような判断をしたわけではない。

そもそもRedHat系を見捨ててDebian系に移行するのは別として――

1つはRHELに移行するという方法。

有償契約というのもあるが、一定の条件を満たせば無償利用ができる。

CentOS Streamにはマイナーバージョンの表記がないのだが、

これは最新の開発状況に合わせた最新版だけが存在しているためである。

指定のマイナーバージョンに固定しなければならない用途ではCentOS StreamはCentOSの代替にならないと。

従来のCentOSはRHEL導入前の評価目的で使われることもあったので、

条件付きで無償利用を認め、本格的に使うなら有償利用にしてねと。

このような選択肢もRed Hat社は示したわけである。


そしてもう1つ言われたのがCentOS以外のRHEL派生ディストリビューションに移行するという方法である。

当時はまだRHELのソースコードは無償配布されていた。

なので今後も従来のCentOSみたいなものを作れると思っていたわけである。

主に名前が挙げられていたのが AlmaLinux、Rocky Linux、Oracle Linux、MIRACLE Linuxといったところ。

AlmaLinuxは従来のCentOSの趣旨に最も近いものだと有力視されたらしい。

当初のCentOSはRedHatとは独立したプロジェクトだったことを考えれば、原点回帰とも言えるものである。


ところがRedHat社はRHELのソースコードの一般公開を止めてしまった。

GPLの規定ではプログラムを利用できる人から要求があればソースコードを公開すればよいので、必ずしも一般に公開しなくてもよい。

問題はこのソースコードの使い方について契約上の制約があるということ。

Red HatがクローンOSベンダを非難、「付加価値もなくコードをリビルドするだけなら、それはオープンソースに対する脅威だ」と (PublicKey)

RHELのサブスクリプション契約で再配布を禁止する規定がある。

この規定により入手したソースコードをそのまま使ってLinuxディストリビューションを作ることは契約違反となる。


これは実態としてGPLの規定を死文化させるものではないかと批判はある。

最新バージョンのRHELのアップストリームにはCentOS Streamがあり、

CentOS Streamを無償公開することでRedHat社がOSSに手を加えた成果はほとんど公開されることとなる。

では、Red Hat社はRHELのなにを利用されたくないのか?

それはマイナーバージョンごとの長期間のメンテナンス活動の成果ではないかと言われている。


さっき「CentOS以外のRHEL派生ディストリビューション」という話を書いた。

実はこの中には大手のベンダーが関わって、なおかつ有償サポートを提供するものが多いのである。

AlmaLinuxはCloudLinux、Oracle LinuxはOracleが有償サポートを提供している。

MIRACLE LINUXを提供しているサイバートラスト社は次期バージョンからAlmaLinuxの日本国内での有償サポート提供に切り替えると言っている。

Rocky LinuxもCIQ社が有償サポートを契約し、Google Cloudと提携関係にある。

これらの取り組みはクラウドコンピューティングとも関係があるようだ。


Red Hat社は長期にわたってサポートを必要とする人は有償利用と考えてきて、

かつてはそれは価値があるものとして受け入れられてきた。

それだけLinuxの業務利用について、Red Hat社の存在は圧倒的だったと。

しかし、RHELのソースコードをほぼそのまま転用して商売する会社がいくつも出現し、

さすがにこれは無視できないとなった結果が冒頭の話なのではないか。

Red Hat社が今後もRHEL開発を通じてOSSに貢献するには必要な策だったと言われると納得感はある。


CentOS Streamで公開されているコードを利用していけば、

RHELと互換性のあるディストリビューションは維持できる可能性がある。

ただ、それはそれで労力がかかるので、それが維持し続けられるかはわからない。

短期的には維持できても、長期的に維持できるかはわからない。

RHELとの互換性を保ちながら性能強化を図ったOracle Linuxは、

単なるRHELのコピーではないから続けるモチベーションはありそうだが、

RHELとの互換性を保つことが段々難しくなることは考えないといけない。


CentOS Streamは持続可能であるということを前提としているが、

あまりに行きすぎるとその状況すら怪しくなってくる。

そうならないことといいんだけど……

神戸空港は地方管理空港だから

昨日、関西空港・神戸空港の発着枠拡大の話を書いた。

ところで神戸空港というのは地方管理空港となっている。

重要度の高い拠点空港にはあたらなくて、神戸市の管理だからね。

神戸空港は開港以来、もっとも利用者の多い地方管理空港として存在している。

これがさらに利用者増が見込まれるところだが……


あれ? 関西・伊丹の両空港を経営する 関西エアポート の傘下にあるのでは?

と思った人もいるかもしれないが、制度上の管理者は神戸市である。

そもそも関西・伊丹にしても管理者は 新関西国際空港(株) である。

これらの管理者から運営権が関西エアポートグループに売却された形である。

運営権の売却のみなので施設の所有者は変わらない。

日本では会社管理の空港を除けば、空港ターミナルビルは地元企業の経営で、

国・地方公共団体管理の空港施設と経営が統合されていないところに課題があった。

所有権を変えずに一体管理できることに価値があるということである。


現在の神戸空港が全国の空港でどういう位置づけにあるか?

2019年の旅客の利用者数上位から見ると、

東京(羽田)、成田、関西、福岡、新千歳、那覇、大阪(伊丹)、中部、鹿児島、仙台、熊本、宮崎、神戸、長崎、広島、松山、新石垣、高松、大分、小松

と並んでいるが、中部(8位)が1346万人、鹿児島(9位)が607万人、仙台(10位)が386万人とここに段差が大きい。

日本における主要空港はまず中部までの8空港と考えるべきでしょう。

鹿児島空港は奄美路線の存在もあってか、これらに次ぐ存在である。

20位以内で拠点空港にあたらないのは地方管理の神戸・新石垣、自衛隊共用(国管理)の小松ですね。


この神戸空港で1日の発着回数を80回→160回と倍増させる計画がある。

うち40回は国際線を想定している。国内線だけなら最大1.5倍である。

そのための関西・神戸の飛行ルート変更案なのだが、倍増にあたっての課題はそこだけではない。

やはりターミナルビルなどの設備が全て地方空港スタイルなんですよね。

すでに拠点空港と並ぶ利用者数となっているわけだけど、もし倍増すれば鹿児島空港に並ぶほどになる。

制度上は拠点空港ほど重要性は高くない神戸空港だが、

利用実態としてはほとんどの拠点空港を上回るレベルになるという。


とりあえずの対策としてはサブターミナルの整備が進んでいる。

ここには国際線の設備も設けられ、駅・メインターミナルとはバスで結ばれる。

国内線も一部利用することが想定されているが使い分けは不明。

構造的な問題で現状のターミナルの横に増築できないからこうなっている。

400mほどだから歩こうと思えば歩ける距離ですが。

あと飛行機にも直結できないみたいでバス搭乗という形になるらしい。

福岡空港では滑走路挟んで国内線・国際線が分かれているし、

那覇空港も近年に連結施設を作って拡張するまでは分断されていた。

そういう事情を考えれば神戸空港のサブターミナルもそんなに悪くはないが、

長期的にはもうちょっと手を入れないといかんのかなと思う。


もう1つの課題がアクセス手段である。

神戸空港のアクセスとしてはポートライナーの利用が圧倒的に多い。

ポートライナーは日本初のAGT(ゴムタイヤ式の新交通システム)として作られた。

AGTは勾配・カーブの柔軟性が高い一方、一般的な鉄道に比べると輸送力が低い。

ポートライナーはポートライナー内の大学・企業への通勤・通学利用が元々多く、

そこに空港利用者も加わってかなり忙しい路線という実情がある。

ここに空港の利用者を倍増させるような話があると大変である。


元々ポートライナーの混雑は問題視されていて、地下鉄構想もあるのだが、なかなか手が付けられそうにはない。

となると打開策はバスぐらいしかない。

すでに通勤・通学利用の一部をバスにシフトさせる動きはある。

空港利用者が増加するとこちらもバスへのシフトが求められると思う。

将来的なことを言えばポートアイランドには阪神高速湾岸線が通る。

これを使ってバスで大阪方面、播磨・淡路・四国方面と直結という話も出てくるかも知れない。

ただ、長大橋が2本もいるプロジェクトで2028年という完成予定が実態に即しているとは思えないところはある。


というわけですでに地方空港としては破格の神戸空港だが、

根本的に地方空港であることによる難しさがいろいろ見えている。

神戸都心(三宮)とポートライナーで18分というのは数字上は便利である。

ただ、どの手段でも三宮付近を通らざるを得ないので、

どうやっても三宮までの移動時間+20分以上となってしまうということで、

広域からのアクセスではそこまで便利さを感じられないことは多々ある。

それでも神戸・播磨からのアクセスは他の2空港を凌駕するだろうし、

コンパクトで使いやすいし、地方空港として考えれば悪くはないんですよね。


それにしても鹿児島空港の利用者の多さには驚いたなぁ。

国際線が別棟になっていて、ボーディングブリッジが8本と。

プロペラ機の離島路線が多いので、バス搭乗の割合も比較的高いと思うが。

基本的に目指すべき規模感はこれぐらいなのかなと思った。

ただ、神戸空港は拡張後は空港の規模の割には国際線が多くなることが想定される。

国際線は駐機時間が長くなる傾向があるとは言われている。

そこをとりあえずバス搭乗で対応するのは理にかなっているのかな。

将来的には現ターミナルを含めた再構築を考えているとは思うんだけどね。

従来より低いところを飛ぶけどね

以前、羽田空港の飛行ルートのことに関連してこんなことを書いた。

ところで羽田空港は複数の滑走路から同時離陸・同時着陸するために新飛行ルートを導入したわけだが、

同じようなことをやるかもしれない空港として関西空港がある。

(市街地上空を通って着陸する理由)

関西空港・神戸空港の発着枠拡大のための発着ルートが検討されていたが、飛行ルート案が出ていた。

関西空域における飛行経路技術検討委員会 (国土交通省)

羽田空港に比べるとだいぶマイルドだと思いますね。


そもそも関西・神戸の両空港の離着陸機の騒音は海上に収める考えがあり、

陸域を通過するときは、離陸時で8000ft以上、着陸で4000ft以上を基準としてきた。

関空開港以来、新ルートの追加もいくつか行われてきたが、この範囲で新ルートの追加が行われている。

貝塚市上空を経て東日本へ向かう河和ルートがその一例である。

海上空港の特長を生かし、騒音軽減を図ってきたことは評価できるが、

海上で8000ftまで上昇するには大阪湾を広く使う必要があり、

その制約の中で関西・神戸の共存というのはとても難しかった。


それで公表された見直し案をみると、こういう流れらしい。

  1. 関西から離陸して小回りに上昇して、早期に6つのルートに散らせる
  2. 関西への着陸ルートの柔軟性を高めて着陸機の調整をしやすくする
  3. 神戸からの離陸ルートを明石海峡(着陸と共用)から淡路島北部に移動

飛行ルートを分散させることで処理能力を拡大するのが基本的な考えである。

羽田空港では2本同時に着陸・離陸を行うためにいろいろ制約があり、

それにより特定の地域に大きな騒音影響を与えてしまう傾向があった。

一方、この見直し案では、関西空港の滑走路は従来通り着陸・着陸1本ずつで運用する。

出発あるいは到着が集中すると能力をフル活用できない部分もあるが、

関西3空港の役割分担によりピーク時の需要にも対応可能なので問題ないと。

3空港が近接する難しさはあるが、羽田空港に役割が極めて集中してしまった関東圏とはここが異なる。


で、これを実現するために陸域を通過する高度が下がり、飛行ルートのバリエーションが増える。

1.の関西離陸後は淡路島上空を通るルートが2本から4本に増える。

淡路島上空と河和ルート(貝塚市付近から東へ向かう)で陸上を通過する高度が8000ft以上→5000ft以上に下がる。

2.の関西への着陸ルートは陸上を通過する高度は従来通り4000ft以上だが、

淡路島上空を通るルートが1本(南風のみ)→2本(南風)・1本(北風)に増える。

3.の神戸からの離陸ルートは淡路島北部を3000ft以上で通過するようになる。


これらは全体的に受け入れやすいものになっていると思う。

まず、関西空港だが小型機71%と大型機もあるが比較的小型機の割合が高い。

Fedexの貨物ハブがあるなど貨物機の発着も多く、貨物機は古い型の飛行機が使われ続けるため全て低騒音というのは難しい。

しかし、全体としては比較的静かな飛行機が多いと言ってよいと思う。

その上で飛行ルートが分散することで1ルートあたりの負担は軽くなっている。

うるさい飛行機が飛ぶこともありうるが頻度は低いので勘弁してねと。

着陸ルートは従来より短絡されて高度が下がることや、ルートの多様化は進むが、

4000ft以上確保できているため、そこまで騒音は気にならないと思われる。

多少うるさい飛行機が混ざる可能性はあるが頻度は低い。


最も影響が顕著なのは神戸空港の離陸機が淡路島北部を通過するところかも。

これが3000ft以上ということになる。

神戸空港については小型機が多いが、それ以外も多少入る。

今後、国際線の就航などの機能拡大もあるのでなんとも言えないところはある。

人口があまり多い地域には見えないが注意が必要かもしれない。


というわけで影響範囲が拡大することによる合意形成の難しさはあるが、

影響範囲を分散させることにより理解を得やすい仕組みはあると思う。

影響範囲は主に淡路島ではあるが、河和ルートは大阪平野も絡む。

和歌山県方面も全く影響なしとは言えないところはある。

今までより大阪湾をコンパクトに使うことにはなるが、それでも海上である程度は高度が稼げるのは海上空港だからこそ。

深夜帯は従来通りにほぼ全てを海上に収めるようにするはず。

そのあたりを総合的にアピールして理解を得るということになるのかな。

代替フロンの回収率は41%?

これを見て驚いたのだけど。

代替フロンの排出増加が止まらない…冷蔵庫・エアコン廃棄時の回収進まず (読売新聞)

代替フロンの回収率が40%程度に留まり、その排出量が年々増えているという話。

40%というのは直感的には低い数字だし、排出量が増えてるというのも本当か?


そもそも歴史をたどればフロン類はオゾン層破壊という点で問題になった。

当初使われていたCFCというタイプは日本では1995年に生産終了している。

物質としての生産終了なので、それを使用する機器はもっと前に切り替わっている。

その次に使われたのがHCFCというタイプでオゾン層破壊は大きく抑えられるが、

依然としてオゾン層破壊の原因となるため廃止が決まっており、日本では2020年に生産終了している。

現在、日本でフロン類といえばHFCと呼ばれるオゾン層破壊の原因とならないタイプである。

しかし、このHFCもまた環境問題を抱えている。それが地球温暖化である。

CFC・HCFC・HFCといずれのフロン類も二酸化炭素比で10000~100倍程度の温室効果ガスとなっている。


このためフロン類の削減というのは依然として大きなテーマである。

実際、フロン類の削減は進みつつあるのだが、代替が難しい部分もあるし、

なによりフロン類を使っている機器は多数存在している。

そこで重要になってくるのがフロン類の回収である。

回収したフロン類は再生あるいは破壊されるというわけである。

機器に残ったフロンがどれだけ回収された割合を推定しているのだが、

2020年度の値が41%、やっとこさ40%を超えたという状況である。


この40%程度という数字、世界的に見て高いのか低いのか?

気になって調べてみたが、そもそもフロン類の回収率を計算しているのは日本ぐらいらしい。

「※我が国は、回収量を正確に把握し、廃棄時回収率を算出公表する世界的に見て高度なシステムを有しています。」という注釈もあるほど。

おそらく世界的に見れば回収率は高い方だと思われるが、比較困難というのが実情である。

ただ、この回収率がかなり物足りないことは事実である。

建物の解体業者にフロン類の回収漏れが生じないように確認させるなどの対策が導入された。

これで改善しつつあるということなんでしょうね。

ただ、技術的に回収が難しい部分もあるようである。

使用中の漏洩も含めれば、フロン類の回収には限度があるのが実情らしい。


もう1つ気になるのが二酸化炭素換算での排出量が増え続けている点。

これは京都議定書の対象となるフロン類はHFCだけだからとのこと。

もちろんCFC・HCFCも温室効果ガスなのだが、こちらはすでにオゾン層破壊対策として削減が決まっていた。

なので京都議定書での削減対象には含まれなかったのである。

HFCの排出量が増える以上に、CFC・HCFCの排出量は削減されているはずである。

しかし、HFCだけを見れば、京都議定書の対象となるフロン類はしばらくは増える一方ということになる。

オゾン層破壊対策が地球温暖化対策にとって裏目という意味ではないのでご安心を。


さて、フロン類の代替だが、進んでいる分野とそうでない分野がある。

すでに代替が完了したのが家庭用をはじめとする小型の冷蔵庫。

主にイソブタン(R600a)で代替されている。うちの冷蔵庫もそうだね。

イソブタンなどの炭化水素を冷媒に使う難点は可燃性があること。

なので冷媒の量が少ない機器でなければならない。

ヨーロッパに比べると大型の冷蔵庫が多く、自動霜取り機能が必要な日本の冷蔵庫ではこの点の検討に時間を要し、導入が遅れたという。

カーエアコンについてもHFO-1234yfでの代替が始まったというが、

これも微燃性のガスなので自動車で使うにはいろいろ検討が必要と。


次に代替が進み始めているのが業務用の大型冷凍機である。

こちらはアンモニアか二酸化炭素が主流とのこと。

アンモニアは冷媒としての歴史はフロン類より古いのだが毒性の問題がある。

可燃性もあるが毒性が問題として大きく忌避されてきた歴史がある。

そこでアンモニアを使う部分は機器内に閉じ込めて、不凍液や二酸化炭素で機器外に引き出すという形で使うのが一般的だそう。

エネルギ効率としてもよい冷媒なので条件が許せばよい冷媒だという。

二酸化炭素は圧力をかけると液体になるので冷媒として使える。

他の冷媒に比べると高い圧力が必要なのでいろいろ難しい面はあるようだが、

それでもフロン類を使う冷凍機よりも省エネにできるようだ。


あと変わり種として極低温の冷凍機で「空気冷媒」なんてのがある。

HCFC全廃で-60℃など極低温に冷却できる冷媒がなくなってしまい、

空気そのものを圧縮→放熱→膨張として冷却する仕組みに行き着いたということらしい。

空気冷媒でマイナス60℃を実現する超低温冷凍システム (NEDO)

空気自体を熱力学的に冷やす仕組みは深冷分離による窒素・酸素・アルゴンの製造でも使われている。

この方法の難点は空気を圧縮するのに多大なエネルギを要すること。

そこで放熱後の空気が膨張するところで動力を回収して、圧縮機の駆動エネルギを削減するという対策をしているそう。

空気自体を冷やす仕組みにしたことで、ファンを動かす動力、ファンの発熱分を冷やすエネルギ、ファンに付く霜を取るためのエネルギ損失を削減でき、

全体としては従来よりもエネルギ削減ができたということらしい。

ただ、一般的な用途では空気冷媒というのは割に合わない方法である。


このようにフロン類の削減が進む分野がある一方、空調はなかなか代替が難しいようだ。

エネルギ効率が悪化するようなことがあれば、発電時の二酸化炭素排出で地球温暖化に貢献してしまうこととなり本末転倒。

すぐにできる対策としてはHFCの中で地球温暖化係数(GWP)の低いガスへの移行で、

R410A(GWP=2090)からR32(GWP=675)へ移行するのは1つの考えである。

日本の家庭用の機器ではかなり移行が進んでいるようですね。

業務用エアコンもそれを追うようにR32への移行が進んでいる。

将来的なノンフロン化という目標はあるが、当面はこれみたいですね。


というわけで物足りない面はあるが改善傾向にはあると言える。

京都議定書の対象となるHFCにしても、ノンフロン化・低GWP化・回収率向上のセットで削減の目は十分あると言える。

ただ、当面はCFC・HCFC全廃の影響の方が大きいのが実情で、

本当はこれを回収率向上で押さえ込みたかったがそうはならなかったと。

それでもフロン類全体でみれば改善とは思いますけどね。

不動産融資で大きくなった会社同士

少し前にクレディセゾンとスルガ銀行が資本提携するという話があり、

この資本提携によりクレディセゾンはスルガ銀行の大株主となる。

スルガ銀行といえば不動産融資でいろいろトラブルを起こしていたが……


実はクレディセゾンも今は不動産関係のビジネスで稼ぐ分が多いという。

金融庁、スルガ銀提携のクレディセゾンを検査へ セゾン投信問題も痛手 (日経ビジネス)

2022年度決算を見ると、連結での事業利益609億円のうち、

ペイメントが264億円、ファイナンスが128億円、不動産関係の連結子会社の利益が173億円と。

ペイメントというのはクレジットカード関係のビジネスが大半で、

ファイナンスは今は不動産融資の割合が高くなっている。

というので利益の半分ほどを不動産関連で稼ぎ、それが拡大する方向であるというのがこの会社の実情らしい。


クレジットカードのプレミアム化とか受託ビジネスの拡大とか、

そういうところに力を入れてきて一定の効果は出ているようである。

今後もここは続けていくと思うが、事業拡大には難しさもありそうだ。

一方のファイナンス事業は不動産融資の割合が高くなっていると言うが、

昔はクレジットカード会社といえばキャッシングが稼ぎ頭だった。

これが大幅に縮小して、銀行ローンの信用保証業務に移行していった。

貸金業の法規制が強化される中で規制の緩い銀行の融資業務で、顧客の信用力を測るノウハウを生かす方がよいという判断である。

これ自体はクレディセゾンに限った話でもないのだけど。


ただ、これもなかなか事業拡大が難しそうで、一番拡大の目処があるのは不動産融資であると。

2021年度の実績でリース・ファイナンスの残高2.7兆円のうち、

家賃保証1421億円、資産形成ローン(=不動産融資)7549億円、フラット35 12453億円となっている。

今後、拡大を見込んでいるのも主にこの3分野のようである。

提携先の拡大により事業拡大が見込めるということなのだろう。


そのような背景を踏まえればスルガ銀行との資本提携も理解しやすい。

スルガ銀行の既存顧客にセゾンカードを売り込むというのもあるけど、

スルガ銀行が行う融資をクレディセゾンが保証するという形での事業拡大に期待していて、

その融資というのは主には不動産融資であるということである。

ただ、スルガ銀行の不動産融資はシェアハウス問題で一定の決着は付いたが、

今もいろいろ火種を抱えた状態にあるのが実情とみられる。

そんな会社と提携するの? という株主がいるのはもっともな話である。

クレディセゾン株主 スルガ銀行の株取得中止を求め提訴 (NHK)


あと、これもファイナンス事業にあたると思うのだが、

クレディセゾンの子会社には セゾン投信 という会社がある。

これは投資信託の運用そして販売を行っている会社である。

この会社は自社で運用する投資信託を直販する会社として生まれた。

ただ、これでは事業拡大が見込みがたいということで他の金融機関での販売にも力を入れるべきとなったようである。

その背景には つみたて投資枠と成長投資枠の双方を同一の証券会社で使わなければならない新しいNISAも関係があるのではないかと。

つみたて投資枠と成長投資枠

このシステムを考えると総合証券会社が有利なのは間違いないですからね。

そこにセゾン投信のアクティブファンドを つみたて投資枠用に売り込むと。


ただ、この方針転換に反発したのが、この事業を立ち上げた中野晴啓氏で、

やはりそこには直販モデルで長期投資を定着させてきた自負はあるのだろう。

結局は会社を去ってしまうこととなった。

ただ、中野氏は講演会などで積立による長期投資を説いてきた「積立王子」として知られており、

そのファンを失うことの方が痛いのではということも言われている。

運用に関わるキーマンが流出したならともかく、そういう状況にはなく、運用方針も従来通りですよとセゾン投信はアピールしてますが。


クレディセゾンは みずほ銀行 と一定の関係はあるが、特定の銀行系列に属さない会社である。

(2019年にみずほ銀行との提携が解消したので大株主でもなくなった)

そんな中で多岐にわたる提携先を開拓してきたのがクレディセゾンである。

ただ、やっぱり銀行の手が欲しいというスルガ銀行と提携することになったと。

スルガ銀行との提携がどこまで深いものになるかはよくわからない面もある。

過剰な自社株買いと違法配当

先日ニュースになっていたのだが。

分配可能額を超えた前期の中間配当金、並びに前期の当社株式取得について (ニデック株式会社)

まだ日本電産という社名だった時代だが、法令で定められた分配可能額を超えて、自社株買いと中間配当を実施していたという話である。

後に発表された調査結果から自社株買いが分配可能額の規制を受けることについて、取締役が意識していなかったことが明らかになっている。

錯誤を生みやすい点もあったことは事実だが、なんでこんなことが起きてしまったかということは考えるべき点が多い。


配当金は言うまでもなく会社の剰余金を株主に分配するものだが、

自社株買いも同様に会社の剰余金を分配するというものである。

このような分配には法令上、上限が設けられている。

会社が維持できなくなるような多額の分配をしてはいけないということである。

この分配可能額はおおざっぱに言えば 利益剰余金+資本剰余金 となる。

厳密な定義は異なるが、まず最低限抑えておくべきことはここである。


配当あるいは自社株買いを行うのは上場している親会社なので、個別財務諸表をみなければならない。

先日提出された有価証券報告書を見ると、ニデック株式会社の貸借対照表はこんな感じだった。

利益剰余金

 資本準備金 92,005 92,005

 その他利益剰余金 58,023 57,105

利益剰余金

 利益準備金 721 721

 その他利益剰余金 130,761 166,625

自己株式 △123,370 △168,998

(左が2022年3月末、右が2023年3月末、単位は100万円)

自己株式は株主資本ではマイナスに計上することになっている。

そして分配可能額でも自己株式の簿価を差し引くことになっている。

なぜならばその金額はすでに分配済みとして扱われるため。

そして2022年6月に先期の期末配当として利益剰余金から約203億円を分配している。

自社株買いを考慮しない場合、2022年6月の期末配当後の分配可能額はおおざっぱに 580+(1307-203)-1234=450億円 と求まる。


実際にはこれと平行して500億円を上限とする自社株買いが行われていた。

この自社株買いは明らかに分配可能額の規制に反するものだった。

2022年4月~9月で467億円の自社株買いを行っていたため、この時点ですでに分配可能額を超過していたという。

さらには2022年12月に201億円の中間配当が行われた。

2023年1月には翌1月までの間に350億円を上限とする自社株買いを決議。

2023年3月までの間に69億円の自社株買いが実施されたという。


分配可能額というのは先期末の数字を元に計算することになっている。

決算が承認されることで先期の利益が分配できるという理屈らしい。

なので2022年9月末の数字から分配可能額を計算して、中間配当を出したり、

2022年12月末の数字から分配可能額を計算して、自社株買いをしてはいけないのである。

冒頭に書いた錯誤を生みやすい点というのはこのことである。

このような錯誤を生んだ背景には、担当者の相次ぐ退職があったことが関係ありそうだ。


なのでこれは確かに分配可能額を超えた違法行為ではあるのだが、

2023年3月末の時点でみれば帳尻が合ってしまうのである。

確かに2023年3月末時点の分配可能額は概算で547億円もある。

本来、違法配当は返還しなければならないが、この問題に気づいた今年6月にはすでに違法状態は解消していた。


上場会社が自社株買いを行う理由にもいろいろあると思う。

自社株を役員報酬や会社再編のために使うために目的で買うこともある。

ただ、最近多いのは配当とは異なる形での株主への還元ということだと思う。

例えば、最近は取引先との関係維持などの目的で保有している政策保有株式を整理する流れがある。

その売却益を株主に還元するということで自社株買いを行うことがあると。

このような一時的な利益を配当金として還元すると配当金が乱高下して好ましくないという判断もあるらしい。

自社株買いを行うことで1株当たりの利益を高めることができる。

継続して保有し続けることを選んだ株主には将来の配当や売却益で還元できるというわけである。

もちろん社内で再投資する選択肢もあるのだが、そのような案件があるとも限らないので自社株買いという選択肢が効果的なことがあると。


ただ、Nidecの自社株買いのモチベーションはほとんど株価のようである。

総会の質疑応答では、株主から「取締役会のほとんどが規制を知らないなんて上場企業で聞いたことがない。異常な事態だ」と指摘する声があがった。永守氏は「自社株買いは株(価)を落としたらいかんという思いでやった。人間はパーフェクトじゃない。我々をバカにした発言」と述べた。

(「我々をバカにした発言」ニデック永守氏、過剰配当問題で株主と応酬 (朝日新聞デジタル))

株価維持のための自社株買いであることを強調している。

確かに自社株買いには今の株価が割安であるシグナルを表す効果もあると言われている。

しかし、その効果があるか疑わしいのに漫然と続けて、分配可能額を超過するというのは異常なことである。


永守氏が異常なまでに株価への執着があることは随所に現れている。

ただ、それがNidecの長期的な成長を阻害していると見られるところも多々現れている。

それで日産出身の関さんを後継者として社長に就任させて、

特にNidecとして今後拡大させていきたい車載モーターの事業を中心に注力していたが、

車載事業の業績が不振であるという理由で2年半で解任されてしまったのだという。(略)

目標が高いこと自体はまぁあることかもしれないが、達成が難しいことを考慮しなければならない。

ところが、その目標が達成出来なかったときの叱責が厳しく、たいへんなプレッシャーになっているという。

関さんはこのことが問題であるということで、立て直しを図っていたという。

Nidecを持続可能な会社にしていくためには必要な取り組みだということだと思うが、

永守さんの期待に合わず、かくして関さんは解任に追い込まれたという。

(ハードワークを強いる人)

もうここに書いた通りなんですよね。

そして、このことが自社株買いが株価に効かない理由なんだと思いますね。

短期的な利益はともかく、長期的な成長が見いだせないということである。


というわけで分配可能額規制のテクニカルな問題もあったのは確かだが、

そこにかかるほどの自社株買いを行っている状況こそが異常だと。

このニュースから読み取るべきことはそこだと思いますね。

利益を社内で再投資することよりも株価のために自社株買いを選んでいるとすれば、それはお先真っ暗ですからね。

コカコーラ専用電子マネー

コカコーラのスマホ自販機というのがあって、

スマートフォンのCoke ONアプリとBluetooth経由で接続することができる。

Coke ON Payって便利か?

ここで使える電子マネーにCoke ON Walletという自社のプリペイド式電子マネーが加わった。

これのキャンペーンが行われていたので試しに使ってみた。


簡単に言えば銀行チャージでコカコーラの自販機を使う仕組みで、

1000円以上のチャージで5%分のポイントが付与されると言うことである。

(ただし今年末までの期間限定キャンペーンの扱いである)

ヘビーユーザーを自社電子マネーで囲い込もうという算段か。

ただ、コカコーラの自販機でしか使えない電子マネーというのもなかなか手出ししにくい。


1回以上利用するとドリンク1本に交換できるチケットが付与される。

そして、過去のキャンペーンで付与されたCoke ONポイントが十数円分あった。

その上でチャージは200円以上なら1円単位でできることを確認した。

(ただし1000円以上でないとチャージでのポイント付与はない)

それらを総合的に考えて、ドリンク2本分から持っているポイントを差し引いた額をCoke ON Walletにチャージ、

これでドリンクを2回買うことをもってポイントの有効活用とチケット付与の恩恵を得ようとした。

これはうまくいって総合的にけっこうメリットはあったと思う。


制約はあるものの1円単位でチャージ額を調整出来れば使い切りはできるのかもねと。

ちなみにこの銀行チャージはBank Payのシステムを使っていて、

Bank PayはJ-Debitのシステムを使っているので対応銀行は多い。

通帳には「JD/COKE ON W」のような記載がされることからもJ-Debit相当であることがわかる。


ただ、こういうシステムを自営するほどのメリットがあるのかはよくわからない。

銀行の残高で飲料を買いたいというニーズがないとは思わないが、

PayPayにチャージしてそれをCoke ON Payで使えばいいじゃないかとか、

国際ブランドのデビットカードを発行している銀行ならばそれをCoke ON Payに登録したり、あるいはNFC対応なら一部の自販機では直接タッチして買える。

ヘビーユーザーの囲い込みとして意義はあるのかもしれないが、

そんなにコカコーラの自販機のためだけに大量チャージしてくれるものかね

結局、独自のシステムを運営していくのに見合うほどの取引量にならないのでは?


というわけでなかなか使い所は難しいのではないかという話だった。

一応登録はしたけどねって感じですね。

レズ風俗って風俗か?

「コミック百合姫」という雑誌がある。

女性同士の恋愛に絡むものならばかなり多様な作品を取り揃えているところで、

異世界でバトルしてる漫画なんてのもあったりする。

漫画に大なり小なりファンタジー要素は付きものという感じはあるが、

そんな中に「彩純ちゃんはレズ風俗に興味があります!」という作品がある。

タイトルからしてド直球である。人気はある作品らしい。


この「レズ風俗」というのは女性スタッフが女性客に性的なサービスをする店のことで、

相当ニッチな市場だとは思うのだが、世の中に存在することは確からしい。

それをさも当たり前にあるように描くのはファンタジーっぽいが。

ただ、調べて驚いたのだが「レズ風俗」というのは法令上は俗に言う風俗店に厳密には該当しないらしい。

タラバガニ が生物学的な分類ではカニではなくヤドカリに該当するみたいな話だが。


風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律 では、

風俗営業、性風俗関連特殊営業、特定遊興飲食店営業 の3つを規制する法律である。

このうち 性風俗関連特殊営業 が俗に言う「風俗店」にあたる。

風俗営業の接待飲食店の一部を含む考えもあるので一定しないところはあるが。

ただ、風俗営業というのは接待と遊技の2本柱があり、

遊戯という観点で規定されている パチンコ店・雀荘・ゲームセンターは一般には風俗店とか解されない。

ちなみにかつては風俗営業には ダンス という観点もあった。

しかし、2015年に外され、その代替としてダンスに限らず深夜に遊興をさせる店を 特定遊興飲食店営業 と規定したという事情があるらしい。


話は戻って、性風俗関連特殊営業 なのだが営業内容の定義に「異性の客」という文言が多くある。

昨今、店舗を設けて性的なサービスを行うというのは難しい面があり、

先の漫画で描かれているのも営業所からホテルなどに出張するものである。

これは無店舗型性風俗特殊営業の1号営業に類似するが……

人の住居又は人の宿泊の用に供する施設において異性の客の性的好奇心に応じてその客に接触する役務を提供する営業で、当該役務を行う者を、その客の依頼を受けて派遣することにより営むもの

というわけで同性同士だと該当しないというわけである。


ただし、接待飲食店についてはその限りではない。

風俗営業の1号営業の定義は特に性別に依存しない書き方になっている。

キャバレー、待合、料理店、カフェーその他設備を設けて客の接待をして客に遊興又は飲食させる営業


ただ、実務的には同性同士のサービスを行う店でも性風俗関連特殊営業の届出を行っているケースはあると思う。

万が一にも異性の客を受け入れることがあれば問題になるのと、

営業開始前に届出は必要だが、廃業に届出は不要など、実際に該当する営業を行わないことも許容されうる制度であること。


とはいえ、そもそも同性同士なら一律に対象ではないのはいいのかね。

男性同士とかその実態は男女間のものにかなり近いのでは?

これは売春防止法にも言えることである。

売春防止法については抜け道が多すぎる法律なので、同性間だけが問題なわけではないし、

規制が裏目に出ている部分も多々あるのが問題でもある。


というわけで「レズ風俗」は厳密には「風俗店」に該当しないという話だった。

それはそうとして コミック百合姫 にはけっこう過激な作品もあって、

果たして「ゆるゆり」を掲載している雑誌と同じなのかと疑ってしまうが。

その中でレズ風俗というのは興味を引くテーマだったらしく「レズ風俗アンソロジー」なんて単行本が出ていたりする。

女の子がお金で女の子を買うという意外性が面白いのか?

詳しく見たわけじゃ無いので外観でわかる分はこんなところ。

ECの日あわせで決済する

旅行にあたって各種の代金の決済を行っていたのだが、

その中で条件が合えば使いたいのがFamiPayの「ECの日」である。

これはFamiPayバーチャルカード(今年2月サービス開始)で、

4・14・24日にインターネットのJCB加盟店でバーチャルカードを使うと、

利用額の4%相当(月上限500円相当)が追加で還元されるというキャンペーン。


実はこのキャンペーン、嘘か本当か知らないが恒常的なキャンペーンっぽい。

毎月4、14、24日はECの日 (FamiPay)

今後、ずっと4・14・24日の利用は優遇され続けると。

毎月、該当の3日間合計で12500円までが+4%還元されると。

そもそもファミマTカードでのチャージまたはFamiPay翌月払いでFamiPayを使うと、利用額の1%相当が還元されると言えるので、

あわせて考えれば5%還元に相当するものである。

これはけっこう大きいよなぁと思う。本当に恒常的なキャンペーンならね。


なので、今回の旅行だと今月24日、来月4日に決済するとお得だと。

(4日は出発後なのだが、最後に泊まる宿はこのタイミングでWeb決済が可能)

ある程度、決済タイミングを調整可能なのでうまく合わせようということである。

もちろん上限や決済手段の制約などあるため、全て乗っかるわけではないが。


この毎月特定の日に決済するとお得なキャンペーンとしては、

  • Yahoo!ショッピング「5のつく日」 5・15・25日
    PayPay利用時+4%(上限1000円相当)
  • メルペイ(メルカード契約者) 8日 +8%(上限300円相当)
  • FamiPay「ECの日」 4・14・24日 +4%(上限500円相当)

Yahoo!ショッピングの「5のつく日」は上限がだんだん縮小され、

現在は満額で恩恵があるのは25000円までの買い物となっている。

十分じゃないかという話はあるが、ふるさと納税 などは上限が問題になりやすい。

そもそも5のつく日に買うというのは、その日に思い立って買う分もあると思うが、

予約商品 や ふるさと納税 など購入手続きを行う時期の自由度が高いものに適用することが多いのも実情である。


メルカードの毎月8日は、その日に実店舗やメルカリで買い物してというのもあるけど、

Amazonギフト券を購入するという方法で恩恵にあずかることも多い。

FamiPayのECの日だってそういう使い方は考えられるところである。

そんなにAmazonギフト券まみれにしても……と僕は思ってしまうけど。

ただ、普段からAmazonでガンガン買い物する人ならそれでいいんですよね。


というわけでこの手の特定日に使うとというキャンペーンについては、

なかなか疑問も多いところである。

ただ、毎日対象とすると際限なく利用されてしまいかねないので、

月1~3日に制限することでなんとなくキャンペーン対象になることを防いでいるのかなと思った。

ただ、決済日を何らかの方法で調整できれば、結局は意味がないのだが。


それにしても「ECの日」は続くんでしょうかね?

あんまりこれもサスティナビリティがなさそうなんだけど。