実は先週、通販で折りたたみ自転車形の特定原付を買っていた。
特定小型原動機付自転車 MySmart-16 (SunSun)
まだ特定原付自体があまり選択肢がないが、その中でもキックボード形はともかく、
自転車形というのはかなり限られた存在で、その中の1つである。
キャンペーン価格で118800円となっている。
はいえ組立費用・大容量バッテリー化・送料など加算して、実際は15万円ほどである。
どうしてこの車を買ったのか。近所の移動に使うことも考えてはいるが、
どちらかというと旅行先で使うことを意図して買ったところが大きい。
というのも特定原付は車などで運んでその先で使うような用途もかなり想定されている。
これまで列車やバスで移動できるところに縛られがちだったが、
折りたたみ自転車のように運んで使えれば目的地の幅も広がるのではないか。
というわけで通販で注文したら翌々日に届いた。
一般的な宅配便のサイズではないので、西濃運輸で運ばれてきた。
で、これは驚いたんだけど、説明書がないんだよな。説明用の動画はあるんだけど。
これはちょっと……あまりオススメできないメーカーだと思った。
ちなみにこのメーカー、元々電動アシスト自転車や公道走行できない電動自転車を作っている会社である。
今まで普通自転車は作っていたが、原動機付自転車を作るのは初めてのようだ。
輸送上の都合で自分で取り付ける部品がいくつかあるので取り付けて完成と。
保管場所だが、アパートの玄関である。床や壁など養生して、スノコなど置いて保管する。
折りたたんでおけばそれでもなんとかなるサイズである。
このバイクを使えるようにするにはやるべきことがいくつかある。
まず最初にやらなければならないのはナンバープレートの取得である。
これは公道を走るために必要なのではなく、原付を所有すれば必ず必要になる。
というわけで翌日、市役所に行って届出をすることにした。
バイクに同梱されていた書類の中には「軽自動車税申告(報告)書兼標識交付証明書」があって、
すでに販売者記入欄は記載されているので、自分の住所氏名など書けばよい。
これで市役所の税務窓口に持っていく。これで届出ができる。
待っている間「これ小さいナンバープレートだった」という声が聞こえたが、
特定原付のナンバープレートは他より小さな四角いナンバープレートである。
ともあれ作業が終わって、標識交付証明書とナンバープレートとネジが渡された。
ナンバープレートを固定するネジが同梱されてなくてあれ? と思ったが、ナンバープレートと一緒に支給されるんですね。
その足で軽自動車税の口座振替の手続きもしておいた。
年2000円の軽自動車税、いちいち払うのは面倒なのでこれで楽チンと。
最近はキャッシュカードと暗証番号で口座振替の手続きができるんですね。
次にやらなければならないのは保険である。
最低限必要なのが自賠責保険、それとは別に対人・対物の賠償責任保険が欲しい。
個人賠償責任保険では原動機の付いた車両の所有・使用に関する賠償責任はカバーされないからである。
で、この2つについてはいずれも こくみん共済coop に依頼することにした。
自賠責共済とマイカー共済でカバーできて、だいたいの掛金は事前に把握できて、
なおかつ労働組合の組合員なので、割引もあり手続きの都合もよいだろうと。
そんなわけでメールで問い合わせると、標識交付証明書のスキャンを送ってくれたら、
見積もりを作るので、申込書を会社に持っていくとのこと。
自賠責共済については現金引換でその場でステッカーを渡すとのこと。
そんなんでいろいろやりとりがあって、組合の事務所に来てもらって、
手続きを行い、自賠責共済の掛金を払ってステッカーを受け取った。
自賠責って5年契約だと年当たりの単価が1年契約の36%なんですよね。
えらい安いので5年契約にしておいた。そんなに長いと手続きも忘れそうだが、
マイカー共済とあわせて同じ生協でやっておけば手続きは抜けにくいだろうと。
5年後に自賠責更新するときは口座振替なんですか? と聞くと必ず現金引換とのこと。
なのでそのときは組合の事務所で手続きがいるようだ。そこはちょっと面倒そう。
帰ってきてナンバープレートにステッカーを貼って、これで公道を走っても大丈夫になった。
そうして迎えた週末、まずは隣町まで試走である。
自転車同様にヘルメットの着用が努力義務なので、いつも自転車乗るときにしているヘルメットを被って、
車を道路に出して走ってみるが、グリップをひねると急加速するので慣れるまで大変だった。
特定原付の操縦方法もいろいろだが、一般的にはグリップをひねると加速して、レバーを引くとブレーキがかかるという形である。
特定原付は20km/h以上の速度が出ないように制限する機能が付いている。
なので、フルスロットルでグンと加速しても20km/hになれば定速を保つ。
この20km/hまでの加速はけっこう強い。つんのめるようになることも。
キックボード形だとなおさらバランス感が難しそうだなと思う。
あと、20km/hまでの中途半端な速度に保つのはけっこう難しい。
折りたたみ自転車ということも相まって構成要素も自転車っぽいが、
バイクらしい構成要素もいくつかある。
ライト常時点灯や、尾灯・制動灯というのはバイクそのものである。
そしてウインカー、ハンドルの両端がピカピカ光るのだが、これがなかなか慣れない。
バイクのウインカーは手でボタンをポチポチ操作するからである。
あと、これは原付講習を受けた人なら覚えていると思うが、いや忘れてるかもしれないが。
二段階右折のときは右ウインカーを出して直進して、止まってウインカーを消すルールになっている。
一般原付の二段階右折は片側3車線以上のときだけなので限られているが、
特定原付は自転車同様、全てが二段階右折である。
右折する度に右ウインカーを出して直進するということになる。
これ警察の資料でもあまり言及されていなかったので要注意ポイントだ。
ひたすら車道の左端を走って行く。
自転車道っぽいものはあるが歩道の自転車走行指定部分なので。(cf. 実は歩道の自転車通行指定部分だった)
20km/hってこんな速度かと思いながら走って行く。
平均的な自転車よりは少し速いと思う。漕がないのでスピード感はないが。
ただ、車道を走る車としては一番遅いと言ってもよい。
一般的な自転車は歩道の自転車走行指定部分を走っているのもある。
けっこう速い自転車にも抜かれた。こんなにロードバイク走ってんのかと。
上り坂でも20km/hで走れるのだから電動ってのはいいなと思うが、
その上り坂で20km/hで走るのを自転車に追い抜かれることもあった。
隣町まで自転車で走るとけっこう大変なので特定原付の出番はあるかも、とバイク用の駐輪場を確認しておいた。
自転車と同じサイズなのだが、有料の駐輪場だと原付1種(50cc以下)の駐輪場を使うルールになっていることが多い。
普段使っている駐輪場からは少し離れているが、そこまで悪くない立地である。
料金も自転車よりは高いが許容範囲、ただ1時間無料ルールは適用されないらしい。
こういうところが特定原付とはいえバイクの欠点である。まだ原付1種はマシな方だが。
走っているときは「自転車」(普通自転車)のルールに従うんですけどね。
そんなこんなで試走を終えて帰宅。昼食を食べて、再度出発である。
というのも衣替えだ! と引き出しを見たら、夏物が足りなかったからである。
そんなわけでイオンモールまで買い物。これも自転車でよく行ってたがちょっと遠い。
キックボード形の特定原付は荷物を載せるにも困るという話があるが、
この点では自転車形はいろいろやりようがある。
1つは付属していた前カゴ代わりの袋である。ハンドルにひっかけて使う。
少量の買い物ならばこの袋を外して持っていけば足りる。
もう1つが後ろの荷台、ここに荷物を紐でくくりつければよい。
イオンモールまでの道もひたすら車道の左端を走って行くが、
途中、自転車専用通行帯が設けられた区間が多く、そこを走ることになる。
イオンモールでは自転車用の駐輪場に停めたが、サイズ的に入ればいいだろうという考えである。
あれこれと買い物をしたが、そこで布製の箱を購入した。これを後ろの荷台に付ける箱にしようと。
紐で付けると変形してしまい、これはイマイチだったかなと思ったが、
買い物したものを荷台で安定させて持ち帰れたのでこれはこれでいいか。
帰宅して荷物を降ろして、あと一体どれだけ走れるんだろうと、
走ってみたらちょっと走ってすぐ電池切れになってしまった。
今日の走行距離は30kmほど、大容量バッテリーだと最大40kmとあるが、
実勢としてはそんなもんらしい。
使い方によっては物足らないかもなと思ったが、持ち運びできる電動バイクとしてはこれぐらいが限界なのだろう。
これ以上を求めるなら予備バッテリーを持ち歩くしかないが、それはそれで重い。
というか折りたたんで運べるといってもそもそもが重いのである。
いろいろ思うところはあるが、それなりに使い道はありそうな車だと思う。
折りたたみに限らず自転車形というのはけっこう有用なんじゃないかなと思う。
20km/h制限というのも時に自転車に抜かれるほどで遅いとは思ったが、
一般原付も30km/h制限だしなぁと。(実際はそれを越える速度で走っていることも多いのだが)
それを越えるなら実技試験を経て普通自動二輪免許(小型限定でもよいが)が必要になる。
なら、この速度でもいいかと。漕がなくても平均的な自転車ぐらいは出るし。
購入費・共済掛金・税金といろいろお金がかかってしまうが、
キックボード形の特定原付はレンタルもあるが、こういうタイプはないし、使える地域も限られている。
それなら自分で買って所有するしかないと。メンテナンスも自力でやる覚悟である。
駐輪場の問題もあるので市内の日常的な移動は従来通り自転車だが、
それ以外の場面では多々活用できるのではないかと期待している。
不思議な乗り物なので、これ何? と声をかけられることもあった。
自転車に比べると柔軟性を欠く部分は多いのだが、
現在の自転車の用途をある程度置き換えるものになるのではないか。
そういう期待もある車である。先導して活用していきたいと思う。