別府→大阪のフェリーの感想を書いたとき、こんなことを書いた。
もっとも西日本には便利な航路がいろいろあるけど、東日本にはさほどない。
というか基本的に東日本でフェリーといえば、北海道航路なわけだけど、時間がかかるとかアプローチが大変とか、徒歩客には厳しい航路が多い。
(ほどよい船旅)
こうは書いたものの、実際、どんな使い勝手なのか、あまり考えたことはなかったので調べてみた。
東京(上野駅)と札幌の間を列車・バス・フェリーで移動し、列車は新幹線を使ってよいという条件で調べてみた。
なお、全て列車(新幹線+在来線特急)の場合は、上野駅を8:46に出ると札幌駅16:56に到着するなど。概ね8時間程度となる。
現在はこのルートで夜行列車は走っていないので、列車の場合は必ず昼行ということになる。
ただし、函館~札幌には夜行バスがあるので、これを使うと上野駅19:20発で日が変わるぐらいに新函館北斗駅でバスに乗り換えて札幌5:35着など。
ところで本州~北海道のフェリーとしては大きく分けて6つの航路がある。
- 青森・大間~函館 (津軽海峡フェリー・青函フェリー)
- 八戸~苫小牧 (シルバーフェリー(川崎近海汽船))
- 名古屋~仙台~苫小牧 (太平洋フェリー)
- 新潟~小樽・苫小牧(新潟~苫小牧は秋田経由) (新日本海フェリー)
- 大洗~苫小牧 (商船三井フェリー)
- 舞鶴~小樽、敦賀~苫小牧 (新日本海フェリー)
6番目の航路は関西~北海道の移動を想定した航路で、所要時間は20時間ほど。
最近では高速バスが舞鶴港に乗り入れるようになり徒歩客にも使いやすくなった。が、どう考えても所要時間が長い。
けど、舞鶴~小樽航路の船って現在日本最速のカーフェリーで、敦賀~苫小牧もそれに準じて速い。その速さは鉄道といい勝負になるほど。
かつて走ってたトワイライトエクスプレスが大阪~札幌を22時間とか23時間で結んでた。その中で敦賀~苫小牧を抜き出すと19時間ほどだから船と全く一緒だ。
これがいかにすごいことなのか。後で出てくる他の航路の所要時間と比べればわかる。
1~5番目に書いた航路は東日本各地から北海道へ向かう航路だ。
太平洋フェリーは名古屋発着だが、名古屋~仙台は仙台~苫小牧の半分の本数しかないので、メインは仙台~苫小牧だ。
1番目に書いた青森・大間~函館は津軽海峡部分だけのフェリーである。青森~函館は本数が多く4時間程度の航路となっている。
ただし、現在、津軽海峡を越えるだけならば青函トンネル経由の北海道新幹線を使うという方法もある。
新幹線代が惜しい人がフェリーを選ぶ動きもあるようだが、新幹線代さえ払えるのならフェリーを使う理由は乏しいとも言える。
夜行便があるって言っても4時間ほどの航路じゃ中途半端だし、というわけで今回、陸路との組み合わせでは考えない。
2番目に書いた八戸~苫小牧航路は地図で見ると、本州太平洋沿岸と北海道の真ん中をうまく結ぶ航路になっていることがわかる。
1日4往復、8時間半ほど、夜行便だと寝るにはちょうどいい航路だし、完全な昼行便も1往復ある。
もっとも夜行便1往復以外は八戸側のバスがないんだけどね。まぁ近くまでバスは走ってるからそれでいけそうだけど。
苫小牧側は苫小牧駅とのバスがけっこうあるのと、札幌~苫小牧の高速バスが苫小牧港(西港)に乗り入れている。新日本海フェリー以外ならこれでOK。
3番目に書いた名古屋~仙台の太平洋フェリーは客船としての評判も高いようで。貨物輸送に力を入れる他の北海道航路とは考えに大きな差がありそう。
仙台19:40→苫小牧 翌11:00、苫小牧19:00→仙台 翌10:00 と時間帯もいい感じだ。所要時間で言うと15時間ほどか。
4番目に書いた、新潟からの航路だが、直行の新潟~小樽に絞って書く。
新潟10:30→小樽 翌4:30、小樽10:30→新潟 翌6:00 というなんとも言えない時間設定。(日曜の新潟行きは時間が大きく違う)
夜がちょうど間にくるような時間設定にすればよさそうなもんだけど、なぜかこんなことになっている。
不思議な気はするがフェリーの中は寝放題なので、たっぷり寝て早朝着なら、そこからどんどん走って午前中に目的地に到着できるという考えなのかもしれない。
出発も同様で、夜に荷物を積み込んで、夜通しでも走って港まで来たら、あとはフェリーで寝ればよいと。そういう理屈はなり立つ。
それをうれしいと思うのはトラックぐらいのものだと思うのだが、メインの客はトラックだからそれでよいのだろう。
所要時間は18時間、あれ? 舞鶴・敦賀~小樽・苫小牧の20時間と比べてあんまり短くないぞ。
あの2航路が特別に俊足なのであって、普通のフェリーはこれぐらいかかるもんなのだ。
実際、今の船になる前は舞鶴・敦賀~小樽・苫小牧って29時間かかってたらしいし。そう言われると新潟~小樽で18時間というのもそんなもんかなと思える。
5番目に書いた大洗~苫小牧航路は関東~北海道を直接結ぶ航路だ。
阪神~九州航路のフェリーさんふらわあ と同じく商船三井グループなので、船の名前は「さんふらわあ○○」になっている。
1日2往復で夕方便と深夜便があって、深夜便はトラック特化、夕方便は設備の充実した船で運航されている。
夕方便は大洗18:30→苫小牧 翌13:30、苫小牧18:45→大洗 翌14:00、深夜便は大洗1:45→苫小牧19:45、苫小牧1:30→大洗19:45、所要時間は
徒歩客にとっても深夜便ってけっこう使えそうな気はするけどなぁ。まぁ次の日がほとんど船の上でつぶれちゃうけど。
新日本海フェリーの新潟~小樽航路に比べればよっぽど常識的な時間設定だ。
で、これを陸路と合わせるとどうなるのかという話である。
まず、東京→札幌で、
シルバーフェリー夜行便: 上野17:26―(新幹線+八戸線+バス)→八戸港22:00→苫小牧港 翌6:45―(高速バス)→札幌 8:38
太平洋フェリー: 上野15:42―(新幹線+バス)→仙台港19:40→苫小牧港翌11:00―(高速バス)→札幌13:38
商船三井フェリー夕方便: 上野15:00―(特急+徒歩)→大洗港18:30→ 苫小牧港翌13:30―(高速バス)→札幌15:38
商船三井フェリー深夜便: 上野22:00―(特急+徒歩)→大洗港 翌1:45→ 苫小牧港19:45―(バス+列車)→札幌22:45
新日本海フェリー: 上野7:05―(新幹線+バス)→新潟港10:30→小樽港 翌4:30―(徒歩orバス+列車)→札幌6:25
シルバーフェリー夜行便のルートはフェリーでいい具合に寝て、ちょうどいい時間に札幌に到着できるので、なかなかよさそう。
最終列車(上野15:26→札幌23:40)より後に出て、始発列車(上野6:38→札幌14:41)より早く到着するという点では理想的な夜行便の使い方とも言える。
シルバーフェリー昼行便は八戸港8:45発なので、当日東京発では厳しいので除外したが、八戸を朝に出れば苫小牧16:00着、バスで札幌18:38着なのでいい感じ。
太平洋フェリーは船だけの時間を見てもよさそうだったが、陸路と組み合わせてみても使いやすそうですね。出発日の午前中、到着日の午後は自由に使える。
商船三井フェリーの夕方便も似ているが、海路が長い分だけ発着とも時間が削られる。
深夜便は最終列車で大洗駅まで行き、そこから20~30分歩いてフェリーターミナルに行くという無茶苦茶な想定で出している。22時まで東京にいられる。
新日本海フェリーはこの時間に間に合うように出るとわりと朝早い出発となる。一方で札幌着もすごく早い。こんなに早く着いても正直困るが。
逆の札幌→東京では、
シルバーフェリー夜行便: 札幌21:00―(高速バス)→苫小牧港23:59→八戸港 翌7:30―(バス+八戸線+新幹線)→上野 11:58
シルバーフェリー昼行便: 札幌7:16―(列車+バス)→苫小牧港9:30→八戸港 18:00―(徒歩+バス+八戸線+新幹線)→上野 22:58
太平洋フェリー: 札幌16:00―(高速バス)→苫小牧港19:00→仙台港 翌10:00―(バス+新幹線)→上野12:58
商船三井フェリー夕方便:札幌16:00―(高速バス)→苫小牧港18:45→大洗港 翌14:00―(特急+徒歩)→上野16:38
商船三井フェリー深夜便:札幌22:00―(高速バス)→苫小牧港 翌1:30→大洗港 19:45―(特急+徒歩)→上野22:53
新日本海フェリー: 札幌8:17―(列車+徒歩orバス)→小樽港10:30→新潟港6:00―(バス+新幹線)→上野9:34
シルバーフェリー夜行便は札幌に21時までいられる。午前中のうちに東京に到着できる。なかなかスマートだ。
一方の昼行便は丸一日移動で潰れてしまう。船で18時に八戸に着いたって八戸でできることはあまりなさそうだし。札幌行きの昼行便パターンと比べると微妙。
太平洋フェリー、商船三井フェリー夕方便はけっこう遅くまで札幌にいられるのだなという印象。
太平洋フェリーの仙台10時着というのは意外と早いので、そこから寄り道できる。大洗14時着は夕方に東京に着くぐらい。
商船三井フェリー深夜便は札幌発の最終バスで苫小牧港に行くといいぐらい。深夜に東京に着く。家に帰れればよさそうだけど。
新日本海フェリーは札幌を朝に出ると、翌朝に新潟に到着となる。東京→札幌と比べると札幌発も東京着もほどよい感じ。
というわけで同じフェリーでも北行きと南行きでけっこう印象が変わるものだ。
なお、実際には寄り道をしたり、北海道側の発着地が札幌ではない、本州側の発着地が東京周辺でないなどのパターンも考えられる。
北海道~本州で寄り道というのは飛行機ではなかなかできないことだ。
新幹線ももちろん寄り道向きだが、夜行で移動するならフェリーになる。
シルバーフェリー、太平洋フェリーは寄り道と合わせるとおもしろいスケジュールが引けそうだ。
直行だとしても商船三井フェリーの夜行便は出発がものすごく遅いのがユニークだ。
翌日を捨てる覚悟で使うのもおもしろそうだ。深夜便のフェリーの供食設備は自動販売機しかないし、携帯電話の電波も入りそうにないし、本当に1日を捨てることになるが。
こんなこと書いたけど、実際に北海道に行く気があるかというとあまりない。
実際行くことがあったとしても、飛行機でびゅんと飛ぶという選択肢を選ぶ可能性はけっこうある。
ただ、こういう選択肢もあるんだよということを示しておけば、なんかのときに活用できるかも知れない。
急いで飛行機で飛んでこなくても、シルバーフェリーで八戸に行けば、1泊削れる上に東北で1日遊んで、帰ってこれるとか。
そういうのを総合して見る方法ってなかなかないからね。調べてなるほどと思った。
まぁ、新日本海フェリーの新潟~小樽が速くなくて時間帯があまりよろしくないというのが一番大きな発見だったんだけど。