今月、新名神高速道路の四日市~亀山が開通した。
新名神部分開通以来続いていた東名阪自動車道の渋滞が緩和された。
新名神開通は三重県にとってもメリットは大きかったが、一方で東名阪の渋滞というひどい巻き添えもあった。
本来のルートが完成し、名神から新名神への転移もさらに進むのではないだろうか。
そんなことも踏まえてか、亀山~大津については6車線化の事業化が許可された。
もともと6車線で計画していた区間で、トンネルは6車線で掘っているので、すでに一部は渋滞対策で6車線化されている。
だから6車線化といってもそんな大ごとではないんだよね。
トラックの縦列走行などを考慮しての拡幅らしいが。
というわけなんだけど、実はさっきの事業許可の中に八木山バイパスというのがある。
これは福岡県の飯塚市と篠栗町の間にある八木山峠をバイパスする元有料道路である。
1985年に開業し、およそ30年にわたる有料期間を終えて、2014年に無料開放された。
ところが無料開放後、通行量が激増、片側1車線ということで渋滞がひどく、事故も多発するようになった。
その対策として、4車線化を行うことになったのだが、そのために有料道路事業を取り入れることにした。
というわけで、無料開放された有料道路が再び有料化することが認められたということ。
そもそも、八木山バイパスは片側2車線の4車線で計画されていたらしい。
前後の国道201号線(無料区間)は4車線ですから、その間も4車線で計画していたわけだ。
計画はそうだが、最初は2車線で開業した。その後、必要なら4車線化するつもりだったのだろう。
ところが、有料である間はそれで特段の問題はなく、2車線のまま無料化したら、渋滞・事故が多発するようになったということらしい。
有料であるがために十分活用されていなかったが、いざ無料化されたら有用だと移転が進んだのだろう。
本来、どうすべきだったかというと、それは無料化後も見据えて、料金徴収期間を伸ばして4車線化することでしょう。
そういうことをやった有料道路はいくつかあると思うが、琵琶湖大橋はその典型例だと思う。
琵琶湖大橋は琵琶湖の狭くなっている部分の両岸、守山市と大津市堅田を結ぶ有料道路の橋である。
1964年、片側1車線で開通、当初の通行量見通しではこれで足りるつもりだったらしい。
ところが周辺の都市化が著しく、当初の見通しを超える通行量になったため、有料道路事業で周辺道路の改良を行い、
1989年には4車線化に着手、1994年に完成、これも有料道路事業で行われ、無料化は先送りされている。
4車線化の計画では無料化は2021年の見込みだったが、2016年に値下げの上、さらなる延長が行われ、現在の見込みでは2029年無料化とのこと。
2016年の有料期間延長の目的は耐震化や周辺道路の改良ということで、琵琶湖大橋の将来を見据えたものとは言える。
とはいえ、当初は有料期間22年間のつもりが、実際にはその3倍の65年間だからすさまじい話だ。(本当に2029年に無料化されるのかはわからないけど)
八木山バイパスを再び有料化するにあたって、地元からは料金設定には配慮して欲しいという要望があったそうだ。
2014年の無料化前の通行料金は普通車で530円(本体価格で495円)だったそうだが、今回は普通車で250円(本体)で許可が出ている。
有料期間は2025年~2040年と、一部区間での4車線化の完成から15年間ということのようだ。
ということで、有料化されるといっても2014年以前の半額程度ということだ。
それでも一度無料化された道路が再び有料になることには抵抗がありそうだが、
一方で有料化することで早期に完成できるのは確かで、トンネルがない区間では着手から5年で拡幅できるようだ。
NEXCOの全国路線網や都市高速は無料化はほぼ想定していないと思うが、
こういう国道バイパスとして建設された道路って基本的には将来の無料化を想定しないといけないんだよね。
とはいえ、有料のときと無料のときではまるで車の流れが変わってしまうというのは悩み所だろうと思う。
琵琶湖大橋のように想定以上の通行量に対策が必要と言い切れるような道路なら有料期間延長で対応しやすいけど、
現に利用は少ないんだけど……という道路にとっては悩ましい話である。
一般道路として改良してもらうというのが、利用者にとってはありがたい話ではあるけど、やっぱり有料道路事業の方が機動性がありますからね。