この前、外国航空会社がアメリカ(太平洋諸島含む)~日本~アジア各地という路線を飛ばしていて、
中には日本人の需要をあてこんだような路線もあるという話を書いた。
韓国の航空会社が関空からグアム?
経由便の自国~A国~B国のA国~B国区間のみの利用が認められる権利である以遠権を行使することで、
韓国やマレーシアの航空会社であっても日本~アメリカの利用ができるし、アメリカの航空会社であっても日本~アジア各地の利用ができるわけだ。
一方で、外国~日本~日本と日本国内の空港2箇所にとまる路線が設定されることがある。
この場合、日本国内区間とはいえ、国際線扱いとなるので、経由するだけの空港では入出国審査を行わない。
このような国際線の国内区間だが、実は以前は日本の航空会社も国際線乗継便として設定していた。
関空~成田、セントレア~成田で、JALが主に成田空港発着の国際線への接続を意図して飛ばしていた。
ただ、国際線扱いで飛ばすと国内区間のみの利用ができなくなってしまうし、あんまり国際線扱いで飛ばすメリットもないということでなくなってしまった。
特にJALの場合、ここ最近はジェットスタージャパン(GK)の路線が成田・関空から多く設定されているのを利用して、
国際線乗り継ぎ客に限りGK国内線をJL便名で利用できるようにしていることもあって、成田発着の国内線すら縮小されている。
国際線乗り継ぎ客だけで利用者が確保できる路線なんてそうそうなくて、割安な運賃で国内利用者を稼いでやってかないとやってられないということか。
なので、現在、日本国内区間を国際線扱いで飛ばすのは外国航空会社ぐらいのもんだろう。
外国航空会社でも乗り継いで日本~外国を移動する客だけを扱う場合は、日本国内相互の路線を取り扱うことができる。
実は多くの外国航空会社がこの制度で日本国内線を自社便として扱っている。
もっともその国内線を運航するのは大半が日本の航空会社で、コードシェア便として自社便名も付けて乗り継ぎ客に販売している。
実際に自社で飛ばしているのは、貨物便ならいろいろあるのかもしれないけど、旅客便だと本当に少ない。
今だとハワイアン航空(HA)のホノルル→仙台→新千歳→ホノルル便ぐらい。それも10月からはホノルル~新千歳だけの運航になるとのこと。
ハワイアン航空、新千歳/ホノルル線を直行便に、仙台経由は運休 (Travel vision)
なぜこんなことをやってたのかというと仙台~ホノルルって他に運航してる会社はなくて、おそらく単独ではなり立たない路線なんだろうけど、
そこにHAが目を付けて、新千歳からの需要とくっつければ週3便なり立つんじゃないのとやってみたそうだ。実際は経由すら厳しかったと。
似たような話で、ルフトハンザ航空(LH)が成田~関空~フランクフルトを飛ばしていた。
なぜ? と思うかも知れないが、LHが羽田~フランクフルトの運航を開始し、成田~フランクフルトは需要が減るだろうからと関空~フランクフルトと需要を集約したと言われている。
そこまでしてなぜ成田発着便を飛ばしたか。まぁ成田縛りだの言われてた通りだ。現在は以前同様、直行便が飛んでいる。
過去にはこういう成田~関空~外国の便もいくつかあったような覚えがあるんだが、路線分離や経由取りやめでなくなっちゃったな。
そんな状況だったのだけど、来年3月からデルタ航空(DL)が関空~成田~ニューヨーク線の運航を開始する。
デルタ、関空/成田線を再開、米国7都市に乗継可能 (Travel vision)
名目上は関空発成田経由アメリカ行きなのだが、関空~成田で使用するのはアメリカ本土まで飛べない機材のような気がする。
以前も書いたけど、デルタ航空は成田空港にアメリカ本土まで飛べない機材を置いて、グアム・サイパン・コロールへの路線で使っている(成田空港を手放せないアメリカの会社)
なので実態は関空~成田だけを飛ぶ飛行機があるということで、かつてJALがやっていた国際線扱いの国際線乗継専用便とほぼ同じようなものと言える。
成田空港ではデルタ航空のアメリカ線、いずれへの乗り継ぎもできるということからも分かるとおり。
デルタ航空は日本国内での提携先がないので、日本国内線を扱おうにも自分で飛ばすしかないのだ。
この路線が長続きするかどうかはわからないけど、まだまだアメリカ線の品揃えが少ない関空にとっては朗報かもしれない。
ところで2009年頃、関空発着の国内線を外国航空会社にも開放するという案が出ていたことがあった。
関空便に限り、海外会社の国内路線運航容認 国交省方針(朝日新聞)
DLを見ても分かるとおり、外国航空会社でも日本~外国での利用客を乗せるだけならば日本国内区間の運航はできる。
ただ、日本国内完結の利用はできないので、当然、国際線扱いで飛ばすことになる。
関空発着の国内線を外国航空会社に開放するという話はそういうことではなくて、日本国内完結の利用もできるようにしようという話だった。
ただし、日本の航空会社と提携してコードシェア便として、日本国内完結の利用は日本の航空会社の便名で乗せることという話だったと思うが。
なかなか日本の航空会社は関空発着の国内線を増やさないので、関空を内際ハブとして活用することが難しい。
けど、外国の航空会社の中には関空をハブとして活用したい会社もあるかもしれない。とはいえ、国際線乗り継ぎ客だけではなかなかなり立たないだろう。
ならば、日本の航空会社と提携して日本国内相互の客を乗せてもいいから、関空発着の国内線を飛ばさないか。という話だったはず。
この話は結局実現しなかったのだが、2011年には関空を拠点とするPeach(MM)が運航開始し関空発着の国内線が急激に拡大し、
GKも関空を拠点化しこちらの国内線も拡大し、結果的には関空発着の国内線は日本の航空会社の手で拡充されることなったのだった。
もし、MMもGKもなければ、中国の航空会社あたりが本当に関空発着の国内線を飛ばしていたかもしれない。
国内相互の輸送を国内の事業者に限るのは船もそうだし飛行機もそうだけど、国内の事業者保護のため当然とされている。
けど、日本の航空会社が乗り気ではないときはどうすればよいのか? そこに切り込んだ提案だったと言える。
DLの関空~成田もDLが日本に提携先がないという事情はあるにせよ、
狭い時間帯に集中したDLのアメリカ方面各線に最適化された時間に飛ぶので、短い乗り継ぎ時間で広いネットワークにアクセス出来るというメリットがある。
日本国内は日本の航空会社が飛ばすのが自然だけど、外国航空会社がやる意味というのもあるのだ。