回転する発電機が必要だった理由

このニュースを見たとき意外だなと思ったんですが。

東海道新幹線の周波数変換装置が2037年度ですべて静止型に JR東海が発表  (TECH+)

東海道新幹線は東京~新富士では50Hz地域を走るが、全区間に渡って交流60Hzの電気で走っている。

後に開業した北陸新幹線では沿線の電源周波数に合わせて50Hz/60Hz両対応になっている。

この都合により、東海道新幹線には50Hzから60Hzに変換する変電所があるが、

なんと50Hzの電気で発電機を回して60Hzの電気を作る設備がまだ残っているという。


確かに当初の周波数変換は全てモーターを回す方法で行っていた。

電力会社の周波数変換所は最初からスイッチング素子を使った方法なのだが、

他励式変換器といい、他の発電所が動いているのが前提である。

東海道新幹線の開通当初はモーターを回すのが最も合理的だったと。

しかし、後に大容量の自励式変換器が作られるようになった。

これならば他の発電機に依存せずに電力供給が可能で、設備もコンパクトになる。

モーターを回すより効率がよいのは言うまでもなく、東海道新幹線では2009年から導入が始まったという。


段階的に置き換えが進められてきたが、まだ回転式は残っている。

西相模周波数変換所の2機は2027年度末に静止型への置き換えが決まっているが、

綱島周波数変換所の2機は技術的な問題があり、この時点では残ることになっていた。

しかし、打開策が見つかったということで2037年度末に全てが静止型になるという。


なにが問題だったのか。

伝統的な発電所というのは同期発電機を使っている。

系統内の全ての同期発電機は同一周波数を出すように回っている。

この特徴はごく短時間の需給バランスを保つために役立っていて、

急激に負荷が増加したときには、全ての同期発電機が揃って回転数を下げ、

回転エネルギーを放出して電力を供給するという挙動をする。

回転数が下がると電源周波数も下がるが、それを打ち消すように発電量を増やすことで短時間の需給バランスを取っているわけである。


全てが静止型の周波数変換器になると、このような機能が完全に失われる。

新幹線において急激な負荷増減が発生するケースとしては、

架線の地絡とダイヤ乱れ時に発生する列車集中があるという。

この2点に対処できれば、全ての周波数変換器を静止型にできる。

架線の地絡については電圧を下げるという方法で対応できるとのこと。

ダイヤ乱れ時については、運行管理システムによる調整を行うという。

このあたりは負荷を全てマネージメントできる新幹線だからこその方法か。


この問題はもしかすると新幹線だけの問題ではないかもしれない。

というのも太陽光発電・風力発電の導入拡大が進みつつあるから。

すでに需要に対して太陽光発電が集中するときに太陽光発電の出力抑制が発生しているが、

今のところは火力発電を最小限生かした状態を保っている。

現在、火力発電を最小限生かすのは日が落ちる夕方以降に備えてのものだが、

風力発電の拡大が進み、蓄電池の充実が進むと、それもほとんどいらなくなる時が来るかも知れない。

まとまった時間で停止できる火力発電所が増えれば、それだけ燃料の節約になる。

しかし、そうして火力発電が止まっていくたびに同期発電機の調整力が減っていってしまうのである。


この問題に対して、外国では同期調相機を設置するという対応例があるという。

同期調相機とは無効電力調整のために無負荷の同期電動機を接続するもの。

ただ、現在は無効電力調整の役目はコンデンサであったり、

スイッチング素子を利用したSTATCOMという機器で代替されたという。

同期調相機は無駄に回転するのでメンテナンスやエネルギ損失に難があると。

しかし、電力の需給バランスを回転エネルギの出し入れとして調整できるという点で注目されていると。

不要になった発電所の同期発電機を改造することで作ることができるのも長所。


実際のところ、どうなるかはわかりませんが。

この機能を蓄電池に持たせるという考えも当然ある。

まだ、系統に組み込まれている蓄電池の量がそこまで多くないので、

揚水発電のように昼間に蓄電して、夕方に放出するぐらいの使われ方だが。

しかし、蓄電池の速さを生かした使い方として短時間の需給調整は想定されている。

まずは火力発電所と蓄電池の協調で対応することになりそうですが。

売れてる方の雑誌をやめる

朝のニュースで言っていたのですが。

週刊朝日、独自路線貫き101年で幕 30日発売で最終号 (朝日新聞デジタル)

「日本最古の総合週刊誌」という週刊朝日が最終号を迎えたという。

非常にシンプルに言えば雑誌が売れないという話なのだが、

朝日新聞出版という会社全体を見た判断でもあったようである。


実は朝日新聞出版はもう1つ週刊誌を刊行している。

それが「AERA」で1988年から刊行されている。

週刊朝日と比べるとこちらの方が歴史も浅いし、部数も出ていない、

でも、こちらは今後も従来通りの形で継続することになる。

週刊朝日の機能を積極的に継承するというわけでもなさそう。


このことについてインタビューして書いたという記事が見つかった。

なぜこのタイミングで『週刊朝日』休刊、『AERA』を残す決断か、朝日新聞出版社長が語った真相 (Yahoo!ニュース)

1つは週刊朝日の読者層の高齢化が進んでいたこと。

総合週刊誌ということでニュースも娯楽もいろいろ扱っていたが、これがなかなか古いスタイルだったのかもしれない。

一方のAERAはニュースに特化しているが、女性に読まれやすい記事が多い。

インターネットの「AERA dot.」との連動などで、子育て世代をターゲットにしたいと。

部数は週刊朝日に負けるが、広告という面ではAERAの方がよかったらしい。

また、朝日新聞出版としては書籍が好調で、小説でもヒット作を出しているという。

週刊朝日という雑誌は失うが、今後も小説は注力分野ということか。


2015年に独立したとき、紙の新聞を取らずに電子版だけ読める新聞は少なく、

朝日新聞か日本経済新聞かというところで、朝日新聞デジタルを選んだ経緯がある。

紙の新聞に比べると、速くて(紙面の限りがないから)量も多いので、

これはすばらしいと思うが、金にするのが難しいのが悩みである。

すなわちニュースを読むだけなら無料でも読めるじゃないかとなるので、

そんな中で有料購読者を伸ばすのが難しいのが悩み。

Yahoo!ニュースなどへの無料配信はそれはそれで収益源であり、

有料購読者の囲い込みに終始するのも合理的ではないという。

そんなところに翻弄されつつも朝日新聞はデジタル時代の新聞を姿を現していると思う。


それは雑誌でもそうなんですよね。

AERA dot.はAERAに限らず、週刊朝日を含めた朝日新聞出版の雑誌の電子版の位置づけである。

ただ、やっぱり基軸になってるのは AERA なんでしょうね。

AERAが注力してきたニュース、特に生活・教育に根ざしたものを集めている。

AERA dot.は無料配信で稼ぐスタイルなので、特に有料会員制はなさそうだが。

いずれにせよ、これに手応えを感じてることは確からしい。


紙面に制約されなくなれば、ニュースは速くなり量も多くなる。

このこと自体はとてもよいことではあるけど、新聞・雑誌が紙で提供されなくなっていくというのはいろいろ影響があるよね。

紙の新聞・雑誌は家や店舗に置いてあってなんとなく読むこともあったかもしれないが、

デジタル化されるとなかなかこういう形でなんとなく読む機会も減るだろう。

また、書店にとってみれば、定期的に売れる雑誌の存在で、それ以外の書籍も含めて販売できている面はあるでしょう。

もちろん書籍も電子書籍への代替は進んでいるのだが、これも分野による。

出版社により電子書籍の考え方も違いますからね。


週刊朝日が1つ休刊になったからといって劇的に変わる話ではないのだが、

やはり全体的な傾向としてデジタル化というのはあるなと思った。

速報性の高い新聞・週刊誌というのは、デジタル化のメリットは大きい。

ただ、それにより紙の雑誌・書籍の流通が細ると他にも影響してしまう。

こういうのが積み重なると苦しいんだろうなと思う。

まだ紙で続いている週刊誌はけっこうありますし、朝日新聞出版でもAERAは現状のまま続くことになる。

しかし、それも主戦場はデジタルに移っているのかもしれない。

桜花賞とかダービーに出る方法

昨日、日本ダービーの話を書いたとき「ダービーに収得賞金順で出るには重賞を勝つか、3勝するか、2勝+重賞2着ぐらいの戦績が必要」と書いた。

実は先日、桜花賞のときに気になって調べたのである。


JRAでは「収得賞金」というものを使ってクラス分けをする。

収得賞金は単位は「万円」だが、実際の賞金とはほとんど異なる。

加算されるのは1着か重賞の2着のときで、加算される数字は

  • 新馬・未勝利の1着 : 400万円
  • 1勝クラス・ひまわり賞(九州産馬限定)の1着 : 500万円
  • 2勝クラス(3歳6月以降に出走可能)の1着 : 600万円
  • 重賞以外のオープンクラスの1着
    • 2歳限定:600万円・800万円(リステッド)
    • 3歳限定: 1200万円(芝の3歳OPは全てリステッド)
  • 重賞の1着
    • 2~3歳限定GIII・2歳限定GII:1600~2000万円
    • 3歳限定GII: 2600~2700万円, 2歳限定GI: 3250~3500万円
  • 重賞の2着
    • 2~3歳限定GIII・2歳限定GII:600~800万円
    • 3歳限定GII: 1050~1100万円, 2歳限定GI: 1300~1400万円

3歳限定GIにとって重要ではない数値は省いているが。

基本的には新馬・未勝利を勝ってから、上級クラスで賞金加算するので、

ベースとして400万円はあって、そこにいくら加算するかというのが問題。


2・3歳のGIレースでは優先出走権を持たない馬は収得賞金が高い順に出走し、

収得賞金が同額の場合は抽選で出走馬を決めることとなる。

いくらで出走できるかは年によって増減はあるが、目安というのはある。

2014年以降の2週前登録時点で出走確定あるいは抽選で出走となるラインを調べた。

(実際にはその後に回避で繰り上げになるケースもあるが)

まずは過去9年の中央値を見てみると、こんな感じ。

  • 桜花賞: 1150万円(1100万円で抽選)
  • 皐月賞: 900万円(400万円で抽選)
  • NHKマイルカップ: 1050万円(900万円で抽選)
  • オークス: 1000万円(900万円で抽選)
  • ダービー: 1650万円
  • 秋華賞: 1450万円(900万円で抽選)
  • 菊花賞: 1400万円(1150万円で抽選)

これをさっきの収得賞金の目安に当てはめてみる。

新馬・未勝利の400万円はほぼ全頭持っていて、そこからいくら積むか。

1勝クラスを勝って+500万円加算した900万円だと、

皐月賞はこれで出走できることが多く、NHKマイル・オークスは抽選で出走できることもあるという感じ。

秋華賞・菊花賞は4歳以上馬と混ざって走って賞金加算もできて、

この場合は1勝・2勝クラスを勝って1500万円だとだいたい出走できそうと。

もっとも最近の秋華賞は1500万円は抽選になることが多く、

抽選に漏れた馬が同日の3勝クラスに回って勝つというのが3年続いている。


一方の桜花賞・ダービーは1勝クラス勝ちだと抽選にもならないことが多い。

桜花賞の場合、新馬・未勝利+750万円あれば出走できることが多いが、

1戦で加算するには 重賞かリステッドを勝つぐらいは必要。

場合によっては重賞2着でもいける場合があるが、GI 2着以外は微妙なところ。

1勝クラスを勝って、重賞2着・2歳オープン勝ちなども可能だが。

ダービーの場合は、新馬・未勝利+1250万円あれば出走できることが多いが、

1戦で加算できるとすれば重賞勝ちか2歳GIの2着ぐらい。

1勝クラスを勝っておけばそこから+750万円、リステッド勝ち、3歳GIIの2着でもいけそう。

このことを「重賞を勝つか、3勝するか、2勝+重賞2着ぐらい」と書いた。


桜花賞は時期も早いので、むやみにレースを走れるわけでもない。

そんな中で重賞以外のOPクラスというのは、出走頭数が重賞よりは少なくなりがちで、

1勝クラスからの挑戦もしやすく、勝てば桜花賞・オークスにはだいたい出走できる。

そんなところを狙って出走する馬が集まる傾向にある。


ただ、今年はその作戦がうまくいかなかったのである。

なんと今年の桜花賞のボーダーは当初1750万円、後に回避が出て1700万円。

これによりエルフィンステークス優勝のユリーシャ、紅梅ステークス優勝のダルエスサラームが出走できないことに。

ダルエスサラームについてはチューリップ賞での優先出走権獲得を狙ったが失敗。

ユリーシャは目標を切り替えてNHKマイルカップ前哨戦のアーリントンカップへ。

これは11着だったのだが、賞金順でNHKマイルカップに出て14着と。


しかし、エルフィンステークスといえば、2020年にデアリングタクトが勝ったレースで、

デアリングタクトも収得賞金1600万円で桜花賞へ向かったんだよね。

無事出走を果たし、そこから牝馬三冠を達成したわけである。

なんで今年はこんなことになっちゃったのか? という話だが、

優先出走権が得られる3レースで賞金上位馬が総崩れだったから。

すでに実績のある馬が前哨戦でも順当に上位になれば、賞金順から抜けるわけである。

ところが今年は収得賞金900万円以下の馬が全優先出走権を持っていった。


それもこれも桜花賞1番人気で優勝したリバティアイランドが年末の阪神ジュベナイルフィリーズ優勝から直行だったのはある。

こういうのは昔は優先出走権が得られるトライアルレースを経て桜花賞へ向かうのが普通だったんだけど、

最近は3歳初戦が桜花賞とか皐月賞ということも増えているし、それで結果を出すものは多い。

特に牝馬は間隔を開けた方が結果が出やすいのか、2018年のアーモンドアイ以来、トライアルレースをスキップした馬が桜花賞を勝っている。

アーモンドアイは1月のシンザン記念優勝からの桜花賞からの直行だが。


というわけで年によるのだが、桜花賞は特に難しいと思う。

ダービーの場合は皐月賞上位と重賞優勝馬がずらりというので、

ダービーまでに走れる重賞も多く、これはこれでわかりやすい。

今年は皐月賞上位5頭のうち4頭が重賞勝ちか3勝ということで、

ダービーではこれらが賞金順から抜けて、1600万円(新馬・未勝利勝ち+リステッド勝ち)でも出走できた。

結果的には桜花賞より賞金順の出走ハードルは低かったという。


トライアルレースの上位馬は賞金によらず優先出走権が得られる。

特に桜花賞とダービーのトライアルレースの重要性は高いと。

ただ、ダービーについては青葉賞・プリンシパルステークスともダービー優勝馬を輩出できていない。

青葉賞馬のジンクス

そこそこ好走する馬もいるので無意味ではないんだけど。


なお、来年から3歳春の芝GIは、優先出走権以外は芝の1勝クラス以上の収得賞金順で決めることになる。

これは大井のダート三冠が始まることも踏まえたものだと。

新馬・未勝利は芝・ダートどちらで勝っても収得賞金0として計算される。

芝GIを目指す場合は1勝クラス以上は芝を走るべきということになる。

現状もほとんどそうだけど、制度上はダートの収得賞金でも可能。

今後、ダートで1勝クラス以上を勝ってから皐月賞・ダービーなど出たい場合は、トライアルレースで優先出走権を得るなどしなければならない。

(トライアルレースの出走順は従来の収得賞金順なのでダートの実績でも可)

青葉賞馬のジンクス

今日は日本ダービーが行われていた。

ダービーというと「20年に生産されたサラブレッド7708頭の頂点」など言われるが、

そもそも牝馬はほとんどダービー登録していないだろとか思うところはある。

でも、やっぱり特別なレースですよね。


そんな日本ダービーには青葉賞組が勝てないというジンクスがある。

ダービーに出走するには優先出走権を得るか、収得賞金順で上位になる必要がある。

優先出走権が得られるレースはダービーでは3つある。

1つは皐月賞、上位5着以内に優先出走権がある。

そして青葉賞1・2着、プリンシパルステークス1着である。

ダービーに収得賞金順で出るには重賞を勝つか、3勝するか、2勝+重賞2着ぐらいの戦績が必要になる。


青葉賞というのはダービーと同じコースで行われる重賞レースで、

ここで好走した馬はダービー本番でも好走する?

というのはそこそこ正しいのだが、なぜかダービー優勝馬を輩出できていない。2着までならあるんですが。

なお、プリンシパルステークスも同様で、こっちもダービー優勝馬を輩出していない。

ただ、青葉賞は1984年からそこそこ長い歴史があるのに対し、

プリンシパルステークスは1996年にNHK杯(2000m)がNHKマイルカップに改められるにあたり、その代替のダービー前哨戦として誕生した経緯があり、

そのNHK杯は数々のダービー馬を輩出してきた歴史もある。


なんで青葉賞からダービー馬が出ないかというのは諸説ある。

デビューや体制が整うのが遅れて皐月賞は見送ってダービーを目指すのに、

青葉賞で2400m走って、そこから中3週でダービー本番2400mは厳しい。

こういうのが定説として言われているのだが、あれ? と思うことがある。

それはダービーの3週前に行われる京都新聞杯である。

このレースはダービーの優先出走権が得られるレースではないのだが、

ここで勝てば賞金順でダービーに出られるので、ダービーへの最終便として知られている。

そして、京都新聞杯からは3頭のダービー優勝馬が出ているのである。

こっちの方がレース間隔は1週詰まるし、距離も2200mだからほぼ同じ。


結局のところ明確な理由はわからない。

ただ、皐月賞に間に合わない馬はなかなかキツイのはそうなんだろう。

去年の優勝馬、シャフリヤールは毎日杯優勝後、皐月賞をスキップしてダービーへ向かった。

これは初めてのケースだが、NHKマイルカップを挟んで3連勝したディープスカイ(2009年)、京都新聞杯を挟んで3連勝したキズナ(2013年)はある。

むしろ京都新聞杯が特異的なのかもしれない。

キズナ以外でも京都新聞杯2着で賞金加算したロジャーバローズ(2019年)がいる。

それも西日本で唯一ダービー前哨戦として使えるレースだからなのかも。


そんなわけで今日の日本ダービー、1番人気は皐月賞を勝ったソールオリエンス、

2番人気はなんと青葉賞優勝のスキルヴィングだった。

青葉賞の前に東京芝2400mの1勝クラス、ゆりかもめ賞を勝っていて、

すなわちこのコースのスペシャリストとして期待されたわけである。

勝てるかはわからないけど、そこそこ期待してもいいのかも。


ただ、思いもよらない結果だった。

まず優勝したのは皐月賞2着のタスティエーラだった。

ソールオリエンスは2着ということで、皐月賞の1・2着の入れ替わりと。

3着には青葉賞2着のハーツコンチェルト、青葉賞組は勝てなくてもそこそこ好走すると。

じゃあその青葉賞を勝ったスキルヴィングはというと17着で最下位、

そればかりかゴール後に倒れ込んでしまった。

後の発表によれば急性心不全で死んだとのこと。まさかの結果である。


2400mのスペシャリストとして期待されたが、この2400mを3連戦がこたえたのかもしれないとか。

それこそ明確な根拠はありませんが。

真面目に走りすぎたのかな。レース間隔を空ければそれでもよかったのかもしれないけど。

ダービーというのはそこまでして走らせたいレースなんだろうけど。


ところでダービーの前の週にはオークスが行われる。

オークスのトライアルレースには青葉賞みたいな話はないのか?

ダービーが皐月賞からの転戦が有力なのと同じく、オークスも桜花賞からの転戦が有力だが、

それとともに有力なのは桜花賞の直前に行われる 忘れな草賞 である。

桜花賞は1600mと距離が短くて出走枠争いが厳しい。

そこでオークスに狙いを定めて、2000mの忘れな草賞を目指す流れがあり、

最近では2019年にラヴズオンリーユーがこの転戦でオークスを勝っている。

優先出走権が得られるレースではないが、ここを勝てばオークスはほぼ出られるので問題ない。


で、桜花賞以外でオークスの優先出走権が得られるのは、

フローラステークス1・2着とスイートピーステークス1着である。

あまり期待度は高くないとは言われるのだが、それぞれ優勝馬は出ている。

2021年のオークス優勝馬、ユーバーレーベンはフローラステークス3着からの転戦である。

その昔、4歳牝馬特別という名前だった時代には桜花賞とオークスの間に出る馬もけっこういたらしく、

その時代も含めればさらに多くのオークス優勝馬を輩出している。

スイートピーステークスも2006年にオークスを優勝したカワカミプリンセスが勝っている。


ダービーに比べればオークスの出走枠争いは厳しくないというのもあるが、

距離もフローラステークスが2000m、スイートピーステークスが1800mと、

牝馬限定ということもあって、全体的に短めの設定になっている。

この対比からすると青葉賞の負担が重いという説も説得力はあるが。


しかし、皐月賞1着・ダービー2着のソールオリエンス、皐月賞2着・ダービー1着のタスティエーラはどうするんでしょうね?

どっちも見事に三冠の挑戦権はないという。

ソールオリエンスはお兄さんが1600~1800mで活躍したヴァンドギャルドなんですよね。

そしたら菊花賞より2000m前後を走りたいんじゃない? とか思うけど。

タスティエーラは菊花賞か天皇賞(秋)という話を言っているらしい。

ダービーと菊花賞の二冠は達成すればけっこう珍しいのだが、チャンスはありそうな気配はある。


というわけでなかなか思うようにはいかんものだなという話だった。

それにしてもスキルヴィング、ダービーがボロ負けでも、

その先にはチャンスがあったかもしれないのにと思うと無念だよなぁ。

過去の青葉賞優勝馬にはアルゼンチン共和国杯2勝、ジャパンカップ2着のオーソリティもいる。

彼の場合は青葉賞優勝後に骨折のためダービー回避になったんだけど。

しかし、こればかりはどうしょうもないでしょう。

給与扱いされないストックオプション?

「株式報酬で税負担増も、税率最大55%に 国税庁が見解」というニュースが流れていて、

詳細は読めていないのだが「信託型ストックオプション」と呼ばれる物に関連しているらしい。

というので、ストックオプションと税金の話。


ストックオプションは一定の価格で株式を買える権利、日本語で言えば新株予約権ですね。

役員・従業員の報酬として使われることがあり、特にベンチャー企業で効果が大きいという。

これはストックオプション自体はお金がかかるものではないこと、

役員・従業員が会社の価値を高めるよう努力するインセンティブが働くこと。

裏返せば株価が上がらなければなんの価値も生まないものなんですけどね。


役員・従業員がストックオプションを付与された場合、

ストックオプションを行使したとき、行使価格と株価の差が給与として扱われる。

株価が大きく上昇した場合、このタイミングで多額の所得が発生し、

累進課税のシステムと相まって高額の税負担になることがある。

しかし、ストックオプションを行使しただけだと手元にあるのは株式、

株式を売却しなければ納税に窮することになるが、インサイダー取引との兼ね合いもあり売却が容易でないこともある。


このような事情からストックオプションには典型的な使われ方がある。

1つ目は税制適格ストックオプションというもの。

これはいくつの条件を満たせば行使時に給与としての課税を行わず、

売却時の課税となり、分離課税(所得税・住民税あわせて約20%)の対象になる。

ストックオプション行使時に納税に窮する問題と、行使した年に多額の課税をされる問題が回避できる。

満たすべき条件はいろいろあるが、最も大きな制約が年間の権利行使価格の上限が1200万円となっていることらしい。

あまりに株価が上がってしまうと、この枠内でストックオプションが消化しきれなくなる。

総合課税に比べて有利な分離課税が適用される都合、このような制約が設けられているのだと思うが。


2つ目は株式報酬型ストックオプション、あるいは1円ストックオプションとも。

条件を満たせば典型的に1株1円で買える権利を与えるもので、

これは条件を満たせば株式をもらえるということにほぼ等しい。

これは役員の退職金として使われることが多いそう。

なぜならばストックオプションは行使時に課税されるため。

退職時に行使できるストックオプションは退職所得として扱われるのだ。

そうすると税額は給与に比べて少なくとも半額には圧縮される。


3つ目が有償ストックオプションと呼ばれるもの。

これはストックオプションを有償で買うということを表している。

給与ではなく純粋な金融商品としての課税が行われる。

欠点はストックオプションを買うためのお金が必要なこと。

発行時点の株価で株が買える権利というのもタダではないんですよね。

ただ、行使できる条件を制限するとストックオプションの価格は安くなる。

こうして買いやすい価格にした上で、行使条件を満たすように、会社の価値を高めるように努力すると報われますよということである。


冒頭に書いた「信託型ストックオプション」は有償ストックオプションの一種ということになるのかな。

ただ、ストックオプションを買うのは従業員ではない。

信託型ストックオプションの典型例はこんな形らしい。

  1. 委託者(オーナー経営者など)が信託の受託者に資金を拠出する
    (この時点では受益者が決まっていないことがポイント)
  2. 受託者は会社からストックオプションを購入する
  3. 信託終了時(上場時など)に会社が決定した受益者(役員・従業員など)にストックオプションを与える

信託というのもいろいろあって、受益者を後から決める信託というのがある。

例えば、まだ生まれていない孫を受益者とする信託などが一例である。


ストックオプションを信託するメリットの1つが信託した時点の行使条件が保たれること。

ストックオプションは付与するタイミングの株価で行使価格を決めるのが一般的、

通常は早く会社に加わった人ほど有利なストックオプションが得られる。

それが成果に見合っていればよいが、早く会社に加わっただけで貢献度に見合わないほど大きな利益を得てしまうケースもある。

ストックオプションを報酬として使うのはこのような不公平さもある。

そこで信託終了時点で関わった役員・従業員の貢献度を評価して、

その評価に応じてストックオプションを分配することで、この不公平を解消しようとしたわけである。


ただ、この方式にはそれだけではないメリットがあるとされていた。

それが給与としての課税を逃れられるという点である。

信託からストックオプションが割りあてられ、これを行使したら、

給与としての課税が発生しそうに見えるのだがそうはならないという。

受益者がまだいない信託に適用される法人課税信託という仕組みによるらしい。

信託というのは受益者に課税されるのが原則だが、

受益者がまだいない場合は信託に法人税が課税されるという規定がある。

この時点で課税されているので受益者が決まった後の課税はないということらしい。

ただし、受益者が委託者の親族である場合は、贈与税または相続税とすでに支払った法人税の差額が課税される。


このため、ストックオプションを行使するときに給与としての課税はなく、

株式売却時に行使価格と売却価格の差が分離課税の対象になる。

ここには年1200万円の上限もないという主張がなされていたらしい。

しかし、国税庁としてはそうではないという見解を出すということである。

形式上はともかく、実態は会社が従業員にストックオプションを付与しているだけで、

これは給与として扱うストックオプションと何も変わらないじゃないかと。


確かにこれが給与として扱われないのは正義に反すると思う。

税制適格ストックオプションという制度がすでに存在する中で、

この枠から逃れることを大きな目的としている点もよくない。

貢献度に応じて後から付与できるというのは確かにあるかもしれないが、

それって結局は信託終了のタイミングでボーナスを計算しているだけだし。

全てにおいて、目をくらませるためだけに信託を使ってるだけなんだよな。


すでにかなりの企業に普及しているため、裁判になるのはほぼ確実だろう。

やはりそれなりの理論武装があって導入された仕組みではあるので。

ただ、国税庁の言うように給与として課税するべきという判決が出てしまうと、

それで損害を被るのは最終的な受益者となる役員・従業員である。

となれば、信託終了前に なかったことにするのが現実的なんだろうなぁ。

制度間のバランスを考えれば明らかにおかしいわけですから。


というわけで一部においては相当に衝撃的なニュースだったようである。

ストックオプションもメリットあるケースはあるけど、現実にはなかなか難しく、

困った挙げ句に信託なんて持ち出したけど……って話かね。

簡易書留を はこぽす で受け取る

今日は午後半休だったのだが、家に帰ると日本郵便の不在連絡票が。

どうも簡易書留が来ていたらしい。そうですか。

郵便局に取りにいってもよいが、まだ郵便局に戻ってないかもしれない。

というので、「はこぽす」での受取登録してたから使うかと。


はこぽす は日本郵便の宅配ロッカーシステムで、多くは郵便局に設置されている。

PUDOの宅配ロッカーも はこぽす のシステムに組み込まれている。

うちの近所だとそれを加味しても郵便局併設の はこぽす が近いんだけど。

はこぽす の使い方は主に3つある。

1つ目が通販でそもそも はこぽす を送り先に指定する方法。

楽天市場、メルカリ、ヤフオクなどで使えるようだが。

2つ目が「ゆうパックのお届け予定のお知らせ」のメールで変更する方法。

配達時間帯の指定・変更には使っているが、それだけではないと。

3つ目が不在連絡票を受け取った郵便・荷物の受け取りに使う方法。

1つ目はよいのだが、あとの使い方は他人の郵便・荷物を横取りされては困るので、事前の確認手続きが必要になる。


以前、不在連絡票を受け取った郵便・荷物 を はこぽす で受け取れるとメリットがあると気づいた。

引越前の社宅は宅配ボックスがあったが、今はない。

ゆうパック の場合はお届け予定のお知らせを見て、在宅時間帯に合わせて来てもらうように変更する対応ができる。他の宅配便も同様。

しかし、これが難しいのが事前の通知がないものである。

レターパックプラス、書留郵便、ポスト投函が困難な ゆうパケット など。

こういうのは小さいので、はこぽす で受け取って持ち帰るのも容易。

自宅で受け取るよりも早く受け取れる可能性もある。

もちろん不在連絡票を持って ゆうゆう窓口 に行っても同じなのだが、

それが出来ないケースでも はこぽす は有用な可能性がある。


とはいえ事前の登録手続きはやや手間である。

MyPostに登録して、本人限定受取郵便を受け取るという形で認証が必要だから。

MyPostは重要な通知をインターネット経由で受け取れる仕組みだが、

あまりそういう活用例は多くないのが実情である。

はこぽす はMyPostのアカウントが住所・氏名の確認と紐付くことを活用したもので、

MyPostに登録して認証が完了すると「日本郵便 『はこぽす』(ロッカーサービス)登録完了のご連絡」という通知が届く。

この通知に不在連絡票を受け取った郵便・荷物をはこぽす受取にする申込みフォームへのリンクがある。

ここから申し込む形になる。(なので通常の再配達申込みとは異なる)


というわけで昼に帰宅してこのフォームから はこぽす での受取申込みと。

すると選べる はこぽす が郵便局併設の1つしかない。

これが最寄りの はこぽす なので、これだけ選べればよいのだが……

おかしいなと思い、後で調べたのだが 書留 の場合は郵便局・ローソン併設のはこぽすに限るという制約があったらしい。

管理上の問題だと思うのだが、そうするとかなり限られた存在である。

それ以外の郵便・荷物ならばPUDOも含めて大丈夫なはず。


あとは はこぽす への配達がいつ行われるかという話だが、

申込みの3時間後ぐらいに入庫の連絡があった。

配達担当者が郵便局に戻してから、はこぽす に配達するという形だと思うが、

担当郵便局併設の はこぽす なので配達頻度自体は多そうな感じはする。

で、こうすると用事から帰宅する足で取りに行けると。

入庫メールには パスワード と 問い合わせ番号 が書いてある。

パスワードを先に入力して、確認用に問い合わせ番号を入力すると受け取れる。

こういうのって受取用QRコードとか発行するもんじゃないの?

と思ったけど はこぽす にはそもそも読み取り機が付いてなかった。

パスワード7桁、確認用番号が11桁(荷物だと12桁)は正直面倒だが、

本人確認書類も印鑑(サイン)もなく、ゆうゆう窓口の行列とも無関係に、

入庫さえされていれば ゆうゆう窓口 が閉まっていても受け取れるのはメリットか。


なお、はこぽす の使い方の2つ目に書いた配達予定メールから変更する方法、

こちらの本人確認はMyPostとは別の手続きを行う必要がある。

こちらは簡易書留を受け取る形だが、MyPostで先に手続きが済んでいれば省略となっている。

なので、先にMyPostの登録をして、これが完了後に ゆうびんポータル→オプション設定で「e受取チョイス」の申込みをするとよい。

この記事を書くときに別途申込みが必要であることを知って、

なんで別々なんだよと思ったけど、確認手続きは一度で済むようになっていると。


郵便局・ローソン併設の はこぽす だけだと結局使えないよという話もありそう。

さっきも書いたように ゆうパック ならば配達時間帯の指定で済むことが多い。

はこぽす を使いたいのはそれができないケースだから、そうすると書留の割合が比較的多くなってしまう。

書留なのであまりいい加減なことはできないこともわかるのだが、

そうすると該当する はこぽす は全体にしてかなり限られたものになる。

ゆうゆう窓口 のある郵便局に併設されたものでは はこぽす のメリットが薄れてしまう。

(もちろん、ゆうゆう窓口の営業時間と無関係などのメリットもある)


というわけで微妙なところはあるのだが、一応役立つケースはあるということで。

登録手続きや受取時の手入力の多さなど、気になる点は多々あるが、

それでも はこぽす の設置場所が便利ならばそこそこ使い道はあるかなと。

でも、書留でこの設置状況だとそもそも使えない地域が多いんじゃないかなぁ。

郵便区内に1つもないケースだって多いでしょう。

というわけで僕にとっては悪くないけどねという話だった。

追加ディスクをくっつけて容量拡張

朝起きるとPostfixでエラー発生の通知が多数届いていて、

“Insufficient system storage”ってなんだ? と思ったらディスク容量が足りないらしい。

調べてみると確かに / の容量を100%まで食い潰していた。


取り急ぎなんとかする必要があるとフォルダ容量を調べて下記3つの対策をした。

  1. 個人用のデータ保管庫のうちほぼ使っていなくて復元可能なデータを削除
  2. メールボックスの迷惑メールフォルダの中身を削除
  3. MySQLのログファイルの容量を削減 (innodb_log_file_sizeの設定変更)

2.はあんまり効かなかったね。でも、これで10%以上の余裕は確保できた。


おそらくトドメを刺したのはメールかMySQLだと思うのだが、

容量を圧迫する要因が個人用のデータ保管庫ですね。

今回、ほぼ使っていないデータは消したのだが、今後追加の予定もあった。

でも、このVPSで使える容量に対してはだいぶ余裕があったような。

調べてみると、VPSで使えるストレージ容量は100GBなのだが、

実際にシステムで使える容量は17GBほどとだいぶ少ない。


この原因はお名前.com VPSのストレージが「基本ディスク」と「追加ディスク」に分かれていることだった。

あらかじめ設定しておけば契約容量を自由に割り振ることができるのだが、

初期設定では基本ディスクが20GB、残り(本契約では80GB)が追加ディスクという扱いになる。

これをあらかじめ基本ディスク100GBにしておけばこんな問題はなかったのだが。

サイズ変更はできるのだが、サイズを縮小する方のディスクが吹き飛ぶなど、

操作ミスに対するリスクが高いのでやりたくないなぁと。


確認したところ、基本ディスクは /dev/vda 、追加ディスクは /dev/vdb で、

ディスクは分かれているが、現在のままでもちゃんと100GB使えるようだ。

追加ディスクに新しくパーティションを切ってマウントすれば……

とも思ったが、LVMでは複数ディスクを合算して使うことができたよねと。

調べたらちゃんとできそうなのでやってみることにした。


まずLVMの用語を確認する。

物理的なディスクにパーティションを切ったものをPhysical Volume(PV)と呼ぶ。

次にPVを1個以上組み合わせたVolume Group(VG)を作る。

現在は1つのPVから構成されるVGがある状態になっている。

VGを適宜分けてLogical Volume(LV)を作成する。

このLVには物理ディスクに切られたパーティションのようにファイルシステムを作ることができる。

現状は2つのLVがあって、1つがスワップ領域、もう1つがXFSのファイルシステムで、ルートディレクトリに割りあてられている。


というわけで、まずは追加ディスクにPVを作成する。

そして、このPVを既存のVGに追加して、VGを拡張する。

VGを拡張した分、LVを拡張して、ファイルシステムを拡張すると、

基本ディスク・追加ディスクの構成を変えずにメインで使っているファイルシステムを拡張できるというわけである。


まず、追加ディスクにパーティションを作成する。

# fdisk /dev/vdb

Hex codeで”8e”とするとLVMになる。全領域をLVMにしてしまう。

次にこのパーティションをPVにする。

# pvcreate /dev/vdb1

pvdisplayコマンドでPVの状況を確認出来る。

基本ディスクのPVがあって、追加ディスクのPVが”NEW Physical volume”と表示されている。

VGの状況はvgdisplayコマンドで確認出来る。

これを見ると基本ディスクのPVで構成される”cs_gmo2”というVGがあるので、

# vgextend cs_gmo2 /dev/vdb1

で、新しく作成したPVを既存のVGに加える。

LVの状況もlvdisplayコマンドで確認出来る。

ファイルシステムの方は /dev/cs_gmo2/root という名前で、これを拡張したいので、

# lvextend -l +100%FREE /dev/cs_gmo2/root

で、当該VGの未使用領域全部をこのLVの領域拡張に充てる。

最後にファイルシステムの容量も拡張する。

# xfs_growfs /

マウント先が/のXFSを拡張する場合はこう書くらしい。


これでVPSのストレージ容量がフルに使えるようになった。

最初から基本ディスクに割りあてておけばこんなことにはならなかったが、

後から気づいてもほぼ同じ状態にすることができたのでよいということで。

これらの作業は動作中にすることもできるので安心である。


それにしてもなんでこんな仕様なんだろうね?

なにか歴史的な経緯でもあるんだろうか?

他社を見ると、ストレージを追加購入できるような場合はともかく、

標準装備のストレージを基本・追加と分ける構成は独特に見える。

新規申込みの人は基本ディスクに100%からスタートにしておけばいいのにとか思いますけどね。

窓口で現金を扱わないか手数料を取るか

先日、スルガ銀行のWebサイトを見ていたらこんな話が。

当社初!沼津駅支店が「キャッシュレス店舗」へ移行します (スルガ銀行)

スルガ銀行の1店舗で窓口での現金扱いをやめるという話。

店舗併設のATMでの現金扱いはありますが。


かなり実験的な試みなんだろうと思う。

というのもこの沼津駅支店のわずか650m南に本店営業部の窓口があるから。

もし窓口での現金扱いを必要とする人がいてもそちらに回ればよい。

おそらくは現金扱いをやめた銀行窓口がどれぐらい使われるか調べたいのだと思う。


現金扱いをやめた窓口ではどのような手続きができるのか。

銀行窓口に行く用事として比較的多いのが振込・公金納付だが、口座振替での取扱ならば可能である。

これはやっぱり現金で払う人も多いのかなぁ。

その銀行で取引がある人なら口座残高で払ってもいいんですよね。

口座と紐付くことで取引目的確認が省略されるメリットもある。

口座開設・解約も可能だが、現金扱いはできない点に注意が必要で、

残高0円での開設はともかく、解約時には振込で残高0円にするしかない。

「口座開設についてはスマ口座をおすすめします」とWebから Dバンク支店 での口座開設を推奨するような掲示もあるみたいだけど。

あと、入出金も現金扱いがなければ可能とある。

現金扱いのない入出金って? と思うけど、小切手・手形の入出金ですね。


あと、これはキャッシュレス店舗と関係があるのかわからないけど、

投資信託、外貨預金、公共債、保険の取扱もないと書いてある。

このあたりは現金扱いとはあまり関係のない業務だと思うし、

店舗詳細では投資信託・外貨預金は○が付いているんですよね。

資産運用の相談業務をやっている店舗なので何らかの形で対応できると思うが。


窓口での現金扱いに一石を投じたのが2022年のゆうちょ銀行の手数料改定だった。

従来設定していなかった硬貨の取扱に手数料を設定したことが多く取り上げられた。

特にATMについては硬貨が絡む取引に110円以上の手数料がかかるようになったことは大きい。

(一方で窓口では50枚までの手数料は無料なので、ATMの故障が相次いだことを踏まえての対応という面も大きい)

ただ、制度的に大きな話は窓口・ATMとも現金扱いでの振替手数料に110円加算するようになったことである。

料金受取人払の払込票(赤いやつ)でも現金での払込は払込人が110円払わないといけない。

ゆうちょ銀行の口座残高から払い込みを行えば回避できると。


手数料を取られるというとネガティブな話だが、裏返せば手数料を払えばやってくれるということである。

公金の納付、義援金などの無料送金についてはこれらの手数料も免除になる。

社会的意義の大きな業務については従来と変わらないのである。

ゆうちょ銀行は代理店の郵便局を含めると圧倒的なネットワークを持ち、

特に送金・貯蓄という分野では大きな役割を担っている。

窓口での現金扱いを閉ざしてはこの役目を十分果たせなくなってしまう。

そこは残していきたいというのが現時点での考え方ではないかと思う。


窓口での現金扱いをやめた銀行といえば新生銀行ですね。

今はSBI傘下に入りSBI新生銀行ですか。

一応、全廃というわけではなく、ATMの限度額を超えるなど、特別な事情があれば店舗を限って窓口での現金扱いはあるようだが。

それでATM手数料が全て有料だった時期もあった。(cf. 自社ATMをやめる)

SBI傘下に入ってからは全ての利用者にATM手数料の無料回数が設定されるようになったが。


スルガ銀行は静岡県東部・神奈川県西部の地域金融機関として役目を持っており、

なかなか窓口での現金扱いをやめるというのは難しいところだと思う。

ただ、もしも現金扱いをやめた店舗でもそこそこ役目を果たせるなら、

店舗網は維持しつつ、現金扱いをする店舗を集約する選択肢もあるかもしれない。

なかなかそうはならないような気もしますけどね。

インターネットバンキングやATMへの移行が進み、窓口の役目が激減したとなりそうな気もする。


銀行の店舗網に何を見いだすかというのは大きな問題なのだと思う。

多くの銀行は付加価値の高いコンサルタント業務とかに力を入れたいのだと思うが。

そうすると窓口での現金扱いは重要じゃないねという話はある。

このような取り組みが店舗網の維持につながればよいが、

実際には店舗網の整理を進めていくきっかけにもなりかねない話。


そうなってくると ゆうちょ銀行 が送金・貯蓄といった古典的なサービスで、

これを圧倒的な店舗網で扱うことの価値は大きくなってくるのかなと思う。

そこで適正な手数料を得ることができればよいわけである。

しかし、現金利用がしぼんだり、インターネットバンキングへの移行が進むと、

ゆうちょ銀行の店舗網の価値は結局減ってしまうのかもしれない。


このあたり、結局どうなるんでしょうね?

スルガ銀行のキャッシュレス店舗にしてもATMの存在を前提としているところだが、

ATMの整理というのも進んでいて、ATMもだんだんと減ってきている。

今後、新紙幣対応のATM更新というのもあるので、さらに整理が進むかも。

コンビニATMの活用という手はあるが、銀行にとって手数料が重い話はあり、

なかなか従来と同じ手数料と利便性を維持するのは難しくなってきている。

あるいは存続する場合も通帳・硬貨の機能を省いたものへの置き換えも考えられる。

(硬貨対応のATMの設置場所はもともと限られているが)

それで済むならまだよいかもしれないが。

オリコカード経由の積立

今どき借家を借りるということは保証会社が絡むわけだけど、

そこにオリコが関わっているということで、指定のオリコカードを作ると特典があると。

すでに家賃保証のために審査をしているので好都合なのもあるのだろう。

そのオリコカードは実店舗で使うことは少ないとみて引き出しに入れている。


そんなカードの明細を確認しに行った時にこんなのを見た。

オリコ投信積立はじめよう!キャンペーン (オリコ)

SBI証券でオリコカードを使って投資信託積立をすると、初月の積立分に5%のポイントを付与すると。

上限2500円相当ということは50000円の積立でよい。

その後に金額を変更してもよさそうなので積立といいつつ1回限りでもよいか。


僕はSBI証券でつみたてNISAを使って投資信託の積立を行っている。

現在は現物株はGMOクリック証券が中心だが、

NISA登録時はSBI証券で全てやっていたし、SBI証券のラインナップの広さもあり、

つみたてNISAについては現在もSBI証券で継続している。

よくよく考えれば、この つみたてNISA をオリコ経由での積立にすれば、

年40万円に対して0.5%相当だと2000円相当もポイントが付く。

投信マイレージ(後で紹介する)よりも大きいぐらい。


というわけでオリコカード経由での積立に変更することにした。

そのためにはSBI証券のオリコ仲介口座を開設する必要がある。

ただし、すでにSBI証券の口座を持っている人は変更手続きが可能。

というわけで変更手続きを行った。現在のところは変更待ちの状態。


この手のクレジットカードを介しての投資信託積立はいろいろあり、

SBI証券では三井住友カードでの積立を2021年6月から開始している。

以後も提携先をいろいろ増やしていたようで、オリコも今月から加わった。

調べてみると三井住友カードについては仲介口座でなくてもよいが、

それ以外の提携先とは仲介口座限りという条件があるよう。

なお、三井住友カードとの仲介口座も存在するとのこと。


オリコとの仲介口座については、オリコ以外のクレジットカードでの積立はできなくなるが、

それ以外は他のSBI証券の口座と同じとみられる。

三井住友カードとの仲介口座だと投信マイレージなどの付与先がVポイントに固定されるが、

おそらくそのような制約はオリコにはないはず。

なお、投信マイレージは投資信託保有高に応じてポイントが付与されるもので、

僕が持っている信託報酬が安いものだと年0.05%の割合で付与されている。

つみたてNISAの制度が導入されて今で5年半だから、上限まで積み立てるとおおざっぱに残高は220万円である。

これで年0.05%ということは年1100円相当ということになる。

(投信マイレージの計算は時価に対して行われるので厳密には異なる)

積立額の0.5%のポイントが付くと投信マイレージより大きいというのはそういうこと。


なお、クレジットカードでの積立は月5万円まで、つみたてNISAは月33333円までという制約があるらしい。

オリコカードのポイントは1000円単位で付与されることも考えると、

つみたてNISAで月33333円、課税口座で月667円とか組み合わせるとよいのかも。

厳密にはつみたてNISAの枠を数円余すことになるが、それは仕方ないと。

(現在は月33000円・ボーナス月2000円加算でぴったり年40万円にしている)


クレジットカードでの積立は毎月こんなサイクルで動くらしい。

  1. 毎月10日に申込締め切り
  2. 当月11~15日に1.の内容に従ってカード認証を行う
  3. 翌月1日(休日の場合は翌営業日)に買付
  4. 翌月27日(休日の場合は翌営業日)に口座引落

申し込んでから実際に積み立てられるまでのタイムラグが20日ある。

一方で買付日のほぼ1ヶ月遅れで請求が来るので、金銭的には有利かも。

現在は毎月10日に買付余力から積立を実施しているが、6月分は1日に繰り上げる。

買付完了後10日までにクレジットカードでの積立設定を行い、

7月1日がクレジットカードでの買付スタートという形になる。

これだと特に隙間も空かないのでよいのかなと。


クレジットカードでの積立のメリットは証券口座への入金の手間が省けること。

もっともSBI証券には「銀行引落サービス」というのがもともとあって、

これを使えば投資信託などの積立額相当を自動入金してくれるんだけどね。

ただ、新規の口座自動振替設定がいらないことはメリットだろう。

とはいえ、僕にとってそれがよいことかというと微妙な面もある。

みずほ銀行に切り捨てられるわけにもいかない

もともと給与振込は みずほ銀行(経費口座でもある)で、クレジットカードの引落はスルガ銀行と分かれていた。

当初はみずほ銀行から他行への振込手数料に無料回数があったので、それで送金していたと。

ただ、みずほ銀行の制度変更でこれが難しくなってしまった。

なので給与をスルガ銀行に定額、みずほ銀行に残りと分けて入金してもらっている。

みずほ銀行は経費口座でもあり、みずほ銀行のATMの利用が多いことも考慮してのことである。


当初はクレジットカードの請求額を見て決めたのだが、

その後、家賃もスルガ銀行からの引落にしたので、それに応じて再度変更している。

この結果、給与の8割ぐらいがスルガ銀行に入っている状況。

SBI証券への入金は主にみずほ銀行から行っているのだが、

これも つみたてNISA分はオリコ経由でスルガ銀行に回るとなれば、

さらにスルガ銀行への給与振込額を増やす必要があると考えられる。


もうそれ みずほ銀行 への給与振り込みいるのか? というレベルだが。

ただ、口座振替やATM利用などみずほ銀行特有の用途があることは確かだし、

スルガ銀行はGMOクリック証券への即時入金に対応していないのもある。

実際には住信SBIネット銀行からの即時入金が大半なんですがね。

みずほ銀行からの投資には一応のアドバンテージがある。


直近ではキャンペーン狙いでFamiPay翌月払いにシフトさせた影響もあり、

スルガ銀行の残高がリッチで、みずほ銀行の残高が少なめなので、

つみたてNISA分を中心にスルガ銀行からの引落にシフトしても問題はない。

しばらく様子を見て、給与振り込み設定も見直すということで。

給与振込先の社内手続きも簡単にできるようになってるからね。

サミットで平和公園に勢揃い

広島でのG7サミットで平和公園への遠足はあるんだろうと言われていたが、

G7メンバー揃って原爆資料館を視察、慰霊碑に献花というのは、なかなか驚くべき光景だった。

G7広島サミット 各国首脳ら原爆資料館を訪問 そろっては初めて (NHK)

あと首脳らの記帳内容、大したこと言っていないなという人もいるけど、

アメリカのバイデン大統領とか、イギリスのスナク首相あたりは核保有国の首脳がここまで言えるだなと驚くばかり。

G7サミット 各国首脳らが原爆資料館で記帳した内容を公表 (NHK)


やはりどうしても比べてしまうのが2016年のオバマ大統領の訪問である。

このときもG7サミット合わせだったんですね。

現職のアメリカ大統領が原爆資料館を視察するというのは大きな話だが、

アメリカ国内の目もあり、なかなか言えることも少なかったのが実情。

さらに言えばオバマ大統領は任期満了が迫っていましたから。

本人としては核兵器廃絶に向けて動きたい思いはあったと言われているが、

立場的に難しかったことが読み取れる。


いくら広島開催のG7サミットとはいえ、実現は容易ではなかったという。

G7首脳 バイデン大統領ら広島原爆資料館へ 難航した水面下交渉 (NHK)

ただ、ウクライナの惨状を見てきたことも後押しになったようである。

核兵器が実用されたところなんて、広島か長崎ぐらいしかないのだし。


僕もこの資料館は2017年に広島訪問したときに見ているのだけど。

原爆と船と温泉

もちろん大惨事ではあるのだが……

現在の広島が瀬戸内最大の都市であるように、広島を壊滅に至らしめるほどのものではなかった。

医療資材の不足などの問題はあったが、医療機関もごまかしながら動いていたし、

放射能障害にしても寿命をまっとうする被爆者はいくらでもいる状況。

当時の核兵器というのはその程度のものだったとも言える。


だから、これを見て核兵器も大したことないと思われては困るなと。

現代の核兵器はよりコンパクトで高い破壊能力を持つとされているし、

だからこそ脅威であるわけだけど。

あと、通常兵器ならよいという話でもないですからね。

それはG7メンバーがウクライナ訪問時に知ったと信じたいところですが。


この訪問も踏まえたか「核軍縮に関するG7首脳広島ビジョン」が示されたが、

この内容には案外非難も多いところである。

元広島市長「岸田首相、ヒロシマを利用するな」 核抑止力維持に憤り (朝日新聞デジタル)

「ロシアによる核兵器の使用の威嚇」への非難というのはよいとして、

核兵器廃絶に向けたアプローチとしてこう書いたことが問題だという。

我々は、全ての者にとっての安全が損なわれない形で、現実的で、実践的な、責任あるアプローチを通じて達成される、核兵器のない世界という究極の目標に向けた我々のコミットメントを再確認する。

安全が損なわれない範囲でしか核兵器削減はしないと言っていると。

これは実質的に核兵器の正当性を認めたということになるんではないかと。


ただ、G7メンバーの岸田総理大臣が平和公園に招き、

特にアメリカ・イギリスあたりの首脳があれだけのメッセージを残し、

それで核兵器を使うようなことがあれば、岸田首相の顔に泥を塗ることになる。

それはできる限り避けるように動くだろうと言うのは期待できるんじゃないか。

やはり各国国内の事情を考えれば言えることと言えないことがあるが、

冒頭で示したような行動に表れた部分は評価してよいのでは?とも思う。


ところで今回G7サミットには招待国の首脳も来ていた。

これら招待国の首脳も別のタイミングで原爆資料館を訪問したという。

そこで気になったのがインドのモディ首相である。

というのもインドというのは核保有国だからである。

さらに現在もロシアとそれなりに深い関係を維持しているとされている。

G7の連帯と一線を引き、核兵器を使いうる立場にある人である。

そもそも訪問したの? と思ったのだがTwitterで展示を見る様子が投稿されるなど案外積極的である。


あと、韓国の大統領が訪問したというのも大きな話でしたね。

被爆者の中には韓国人もいる。当時は朝鮮も日本国内だったからね。

現在も日本に住む人もいるが、韓国に住む人もいて在外被爆者の最たるものである。

尹大統領が慰霊碑献花、韓国人被爆者ら感謝「長生きしたらいいことがあるんだ」 (読売新聞)

韓国もガッツリ当事者だったのだが、なかなか機会もなかったのである。

こういうこともあると。


岸田総理大臣が広島県選出という背景は大いにあるのだけど、

それにしてもここまでとはというのが正直なところ。

これで世界平和に近づくのかといえばそう単純とは思わない。

なにしろ相手がよくわからない理由で「特別軍事作戦」を始め出すロシアだから。

どうすれば打開できるのかもわからないというのが実情である。

まさかロシアに肩入れするわけにはいかないしね。

やむにやまれず核兵器を使うことだって考えないといけない。

ただ、そうならないように最善は尽くそうということだと思う。