命名権は指定管理者から売る

イベント最後の告知でアイドルマスターミリオンライブの12thライブが、

「京王アリーナTOKYO」で行われると出て、一体どこ?

となったのだが、京王沿線でアリーナといえば飛田給駅下車、武蔵野の森総合スポーツプラザである。

命名権を取得したんですね。なるほどね。


気になったのは命名権契約を(株)東京スタジアムと結んでいること

【株式会社東京スタジアムからのお知らせ】京王電鉄株式会社とのネーミングライツに関する合意について

東京スタジアムはこの施設の指定管理者である。

管理の実務を担っているとは言え、あくまでも東京都所有の体育館で、

普通に考えれば東京都と命名権契約を結ぶのだと思うのだが。


調べてみると武蔵野の森総合スポーツプラザの指定管理者公募の際、

(株)東京スタジアムから提出された資料を見てみると命名権のことが書かれている。

武蔵野の森総合スポーツプラザの指定管理者候補者の決定について (東京都スポーツ推進本部)

後で書くのだが、この会社は名前からわかる通り、東京スタジアムの運営も行っている。

このためスタジアムと一体として命名権を売り出すのもあると書かれている。

具体的な収支計画は隠されているが、利用者からの施設使用料と東京都からの指定管理料だけでは赤字になることも想定していたようで、

「赤字分は当グループ内で負担」という記載もみられる。

スタジアムとの一体運営により費用を縮減したり、自主事業で稼いだり、

そして命名権であったり、企業・個人からの寄付なども考えていたようである。


ところでさっき出てきた東京スタジアムというのは、一般的には味の素スタジアムで知られている。

開業後まもなく味の素が命名権を購入、現在まで続いているからである。

このスタジアムは東京都の施設ではあるのだが、複雑な経緯があるそう。

平成15年度財政援助団体等監査報告書/株式会社東京スタジアム (東京都)

(株)東京スタジアムは金融機関より資金調達をして一連の施設を建設、

建設後、施設を東京都に売却すると当時に、45年の施設利用権を購入している。

ただ、東京都は即金で払ってくれるわけではなく、売却額と施設使用権の差額を20年分割で支払うということで、

会社はこの債権と借入金を信託銀行に移管したそうである。

東京都としては施設使用権の分、割り引かれた金額でスタジアムが建ったわけである。


このような経緯があるため、東京都はスタジアムの所有者ではあるけれど、

利用者からも会社からも使用料は受け取っていないし、

逆に東京都は日常的な維持費も支払っていないとみられる。

それで経営が成り立つように商業施設も一緒に建ててるんですね。

武蔵野の森総合スポーツプラザの赤字を負担してもよいというのはこのような経緯もあるのだろう。

収入源としては命名権を売却することも可能だったので、

メインスタジアムを「味の素スタジアム」、補助グラウンドを「アミノバイタルフィールド」、

西競技場を「AGFフィールド」といずれも味の素グループに売却している。


(株)東京スタジアムは東京都が株主筆頭なのだが、

それに次いで多く出資しているのが京王電鉄らしい。

スタジアムの命名権を持つ味の素に買わないかと営業をかけたのかはわからないけど、

京王にとっても自社の電車を利用しての来場者が多い施設であり、

スタジアム・体育館の運営に広く関わってきた経緯もあり、

命名権を買うにふさわしいという判断はあったのではないか。


このタイミングでの命名権売却となったのは、

オリンピック・パラリンピック期間は命名権が使えないということで、

その後に命名権売却に向けて動いたってことなのかなと。

3年契約なのでその先はどうかわからないけど、もともとつながりの深い会社なので、今後も長く買ってくれるんじゃないかな。


一般的には命名権契約は施設所有者と結ぶものだと思うのだが、

調べてみると確かに異なるケースもいくつかあった。

等々力陸上競技場の場合は、公園再整備のために設立された川崎とどろきパーク(株)の業務に命名権の売却が含まれていて、

それに従って命名権を売却する場合、川崎市がその可否を審査し、

認められればネーミングライツ料の50%を川崎市に支払う取り決めになっているそう。

「等々力陸上競技場」の愛称が「Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsu」に決まりました! (川崎市)

契約の相手方こそ管理者だが、川崎市との契約を仲介しているのに近い印象である。


千葉マリンスタジアムの命名権契約は所有者である千葉市とともに、

ここを本拠地球場として使用している千葉ロッテマリーンズも契約の相手方だという。

千葉ロッテマリーンズは同球場の指定管理者なんですね。

指定管理料を支払っていないので、実態は無償で貸しているのに近いが。

当然、アマチュアへの貸出などの役目を果たすのが前提ですが。

ゆえに市と球団の双方の収入源として活用されているということだろう。

マリンスタジアムは改築計画もあり、その資金源というのもあるのかも。

フォントを組み込むのに適したライセンスか

今作っている製品はうちの職場の製品には珍しくもディスプレイが付いている。

小さいんですけど、ドットマトリクスであれこれ表示できる。

稼働状態の表示やエラー表示などに使うらしい。


で、動かそうかと思ってマニュアルを見ると文字データを送れば表示できる、

というものではなくビットマップデータを送る必要があるという。

え!? そういうもんなのか。

確かに世の中には文字を送れば表示できるLCDユニットってのもあるけど。

そういう機能を備えていなくて、単にバッファメモリ上に書いたビットマップデータが表示できるというものらしい。


となると、フォントが必要じゃないか。

表示するのは数値とアルファベットぐらいのもの。

その気になれば手でドットを打てなくもないが……

かといってPCで普通に使っているフォントをビットマップ化して組み込むわけにもいかない。

製品にフォントを組み込むというのは様々制約がある。


で、調べたところ「SIL Open Font License」というのが、

比較的制限の緩いライセンスで、多くのフォントに適用されているという。

有名なのはNotoフォントですね。

Unicodeにある全言語のフォントを作ることで”No tofu”を目指そうというものである。

文字化けのことを豆腐って言うのがなんとも日本的だが。


このライセンスの日本語訳文がここにある。

SIL Open Font License (SILオープンフォントライセンス)

「フォントの使用、研究、改変、再頒布」は原則自由だが、一部は制約を受けるというもの。

オリジナルのフォントの再頒布、改変したフォントの再頒布、その他の3類型を考えれば良さそう。

  • フォントソフトウェアのオリジナルバージョン
    • それ自体を販売することはできない
    • 複製に上記の著作権表示およびこのライセンスが含まれている限り、他のソフトウェアとバンドル、再頒布および販売を行える
    • フォントはSIL Open Font Licenseに基づいて頒布しなければならない。
    • 他のライセンスに基づいて頒布することはできない。
  • フォントソフトウェアの改変バージョン
    • SIL Open Font Licenseを適用する(ゆえに上記の条件にも従う)
    • 予約されたフォント名を使用することは、その著作権所有者が書面による明示的な許可を与えていない限りできない
    • フォントソフトウェアの著作権所有者または著作者の名前は書面による明示的な許可がある場合を除き、改変バージョンの推奨、支持または宣伝に使用することはできない
  • 上記に該当しない 使用、研究、複製、統合、埋め込み、改変、再頒布および販売
    • 制限なし
    • フォントをこのライセンスに基づいた状態に保つという要件は、フォントソフトウェアを使って作成されたいかなるドキュメントにも適用されない

という解釈でよさそう。


フォントを使ってフォント以外のものを作った場合、

例えばフォントを使って文字を描画してポスターを作ったとすると、

全く自由に使用・配布・販売ができ、どんなライセンスを適用してもよいし、フォントの著作権表記もいらない。

フォントをそのままバンドルする場合、フォントファイル自体に著作権表示とライセンス表記があれば、

自由に使用・配布・販売ができて、フォントを使用するソフトウェア自体はどんなライセンスを適用してもよい。

一般的なフォントファイルにはメタデータに著作権表示とライセンス情報を組み込むことができるので、

ダウンロードしてきたファイルをポンと置くだけでもOKであることが多い。

(著作権表記とライセンスを書いたテキストファイルを同梱するのが好ましいが)


多くの場合はこの2つで済んでしまうのだが「フォントソフトウェアの改変バージョン」に該当すると事情が変わってくる。

まず、フォントを他の形式に変換すると、基本的には改変にあたるという。

その場合、著作権表記で”Reserved Font Name”で指定された名前があれば、

それは改変されたフォント名に付けてはいけないというルールがある。

混同防止のための規定ですね。全く別の名前を付ければいい。

もう1つは「フォントソフトウェア」の範囲である。

文字を描画した画像は一般的には自由に利用できるわけだけど、

文字を描画した画像を並べられるようにしたものは「フォントソフトウェアの改変バージョン」に該当しうるのである。


とはいえ、フォントソフトウェアの改変バージョンにあたったとしても、

フォントに著作権表示とライセンス情報があればOKである。

画像データを格納しているフォルダなどに著作権表示とライセンス情報があればよいのであり、

このフォルダを見る必要がない人に著作権表示やSIL Open Font Licenseの情報が知覚できる必要はない。

それはフォントファイルをそのままバンドルする場合と同じですね。


もう1つはもはや「埋め込み」に過ぎないというものである。

1.11  What do you mean by ‘embedding’? How does that differ from other means of distribution?
By ‘embedding’ we mean inclusion of the font in a document or file in a way that makes extraction (and redistribution) difficult or clearly discouraged. (略)

(OFL-FAQ)

PDFのフォント埋め込みというのがまさにこれに該当するらしいんだけど、

通常の方法ではフォントを抽出することはできないし、

できたところでドキュメントで使用されている文字しか入っていないから使い物にならない。

こういうものはフォントの配布ではなく、フォントを利用した文書の扱いでいいということですね。


ゆえにターゲットの環境に極めて特化した埋め込み方がされていて、

通常の方法では抽出して利用できないものは、もはやフォントではないという解釈が成り立つ。

一方で、汎用的に利用する意図をもって作られたものはフォントなので、

わずかに数字10種類と小数点・符号で13文字ぐらいの画像データでも、

画像データ部分が汎用的に使える余地があれば「フォントソフトウェアの改変バージョン」に該当する。


というわけで非常に微妙なところはあるんですよね。

ただ、販売する機器はフォントそのものではないので、

説明書にフォントの著作権表示やライセンス情報は書かなくてよいことは確かである。

MITライセンスのフォントとかいうのもあったけど、

それを使用したソフトウェアを販売することは問題ないけれど、

著作権表示とライセンス表示をしなければならないことになる。

SIL Open Font Licenseは派生したフォントにも同ライセンスの適用を強制する点では厳しいが、

フォントではないものには一切制約がないという点では緩いライセンスである。

フォント専用のライセンスだからこそできることである。


このあたり検討は必要そうだけど、自分でドット打ちするのは勘弁だし、

説明書に著作権表示やライセンス情報の記載となれば面倒だし、

ましてや商用利用に制約がかかるようなことはできない。

画像を生成するというだけならば比較的問題は少なそうだが、

数値データを表示するために並べる画像を作る行為はリスクが高い。


日本語を表示したりするなら素直にフォント買うべきですけどね。

ただ、表示する種類がたかが知れているので、わざわざ買うほどでもなかろうと。

むしろ最適な形式に変換して組み込む方が効果的だろうという判断ですよね。

車両通行帯のルールは複雑だ

道路の一番左に普通自転車専用通行帯が設定されているとき、

そこを左折する自動車はそれを踏んでよいかという話で、

基本的には車道の左に寄るということは踏むということになるのだが、

実際そうなのかというと案外難しそうである。


車両通行帯についてのルールは道路交通法第20条に記載されている。

原則的なルールとして一番右は走らない、軽車両・原付・小特は一番左を走るとなっているが、

様々な例外規定があり、その例外規定にも様々例外規定がある。

というわけで標識令の規定と合わせて読んだ限りで、

概ね優先順位の低いものから高いものに並べるとこうなりそう。

なお、簡単のためトロリーバスは存在しないものとする。

  • 軽車両・原付・小特以外は一番右以外の車両通行帯を走行できる(※)
  • 普通自転車以外の専用通行帯があれば、その車両は従う、それ以外で軽車両・原付・小特以外は通行できない
  • 一般原付・小特は第一通行帯を走行する(※)
  • 軽車両・特定原付以外が右折する場合はできる限り中央(一方通行の場合は右)に寄る
  • 普通自転車専用通行帯があれば、普通自転車はそこを走行する、軽車両・特定原付以外は通行できない
  • 軽車両・特定原付は第一通行帯を走行する(※)
  • 車両通行区分が定められている場合はそれに従う
  • 追越しするときは1つ右の車両通行帯を走行する
  • 左折する場合はできる限り左端に寄る
  • 軽車両・特定原付が交差点で右折する場合はできる限り左端に寄って二段階右折する
  • 環状交差点では直進・左折・右折ともはできる限り左端に寄る
  • 進行方向別通行区分がある場合は軽車両・特定原付・二段階右折する交差点で右折・左折する一般原付以外は従う
  • 一般原付は3車線以上の信号のある交差点 または 二段階右折の標識のある交差点で右折する場合はできる限り左端に寄って二段階右折する
  • 一般原動機付自転車の右折方法(小回り)の標識があれば、それに従う
  • 進路変更禁止の標示がある場合はそのままの車両通行帯を進む
  • 緊急自動車に進路を譲る場合、交差点を避け左側または右側に寄って一時停止する
  • 道路の損壊、道路工事、道路の状況、その他によりやむを得ないときはこの限りではない

といったところだと思う。(※)は第20条第1項の原則的なルールを分けたものである。

軽車両・特定原付は最後2つと追い越しを除いては第1通行帯を走るルールしか適用されないかな。


で、専用通行帯よりも左折・二段階右折で左に寄る、右折で右に寄る方が強いのだが、

それより強いルールもあって、それが進行方向別通行区分なんですね。

3車線+自転車専用通行帯で、中央の3車線を左折・直進・右折と指示した場合、

自動車は進行方向に従って中央の3車線を選ばなければならない。

なので、この場合は左端の自転車専用通行帯は踏まないんですね。

軽車両・特定原付は進行方向別通行区分に従わないので自転車専用通行帯でよい。

一般原付は二段階右折する交差点なので、右折時には進行方向別通行区分に従わないのはよいが、

なぜか左折時にも従わないと書かれている。直進時は従う。

このケースでは左端に寄るルールが適用されるので、自転車専用通行帯に入ってもよい。

ちなみに3車線以上というのは自転車専用通行帯も含めて3だと思うので、

2車線+自転車専用通行帯でも該当するが、そういう交差点は小回り右折の標識があるんじゃないかな。


でも、こういうケースってなかなかないんじゃないのと指摘があった。

というのも右折レーンや左折レーンを作る幅を捻出する場合、

交差点手前で自転車専用通行帯を削ってしまうことが多いからである。

この場合、指示された方向に進む自動車と全ての軽車両・特定原付は一番左を走ることになる。

左折車と自転車専用通行帯の関係があまり問題にならない印象があるのは、

左折車が多い交差点はだいたいこうなっているからだろう。


もっとも強い例外規定が緊急自動車に進路を譲る場合だが、

これは当然のことだと思う。自転車専用通行帯を割ってでも左に寄る。

あと、全てに通じることなのだが道路状況によりやむを得ない場合は従わなくてよいとある。

これをどう考えるかは1つ大きな問題である。

交差点手前の左端に自転車がいる場合、左折車は後ろに並ぶのがルール上は正しいが、

幅に余裕ある交差点でそうやっているのはそうそう見なくて、だいたいは右に並ばれてしまう。

そのまま左折すると巻き込み事故が起こるので自転車を見送って発進するべきですが。


自転車(特定原付)にとっても一番左の車両通行帯を通るのが難しいケースはある。

それが一番左が左折専用レーンの場合である。

第一通行帯の中でできるだけ右に寄って通行するので済むケースが多いが、

左折車との関係でもう1つ右の車線に入る方が安全なケースもある。

他の車両との関係に注意しながら入る判断は成り立つ可能性はある。

普通自転車の場合は歩道に入ることで回避していることも多いんですけどね。特定原付はそれ大変なので。


ところでさっきの車両通行帯のルールでは追越しは1つ右の車両通行帯に出て行うとある。

同じ車両通行帯の右側から追越すのは禁止されていて、1つ右に出なければならない。

あと、これは車両通行帯うんぬんではなく左からの追い越しは禁止されている。

ところが「追い抜き」はこの限りではないんですよ。

追い抜きとは進行方向を変更せずに他の車両を抜くことを言う。

軽車両・特定原付とその他の車両の間ではこれが容易に成立する。

なぜならば軽車両・特定原付は「道路の左側端」を走るルールだからである。

道路の左端というのは車道外側線の外側も含む。車道外側線の外に自転車走行の目安があるのはこのためである。

ゆえにそれぞれ真っ直ぐ走っているだけで追い抜きができてしまう。

他の二輪車でもこの解釈が成立する場合はあるのだけど、

自転車に比べると無理のあるケースが多く、左からのすり抜けは追い越しの違反になることが多い。

追い抜きが成立しない場合は、右側の車両通行帯に出て追い越す必要がある。


左折時には自転車専用通行帯も車両外側線の外側も問わず、車道の左端に寄るのが原則としても、

それは余裕を持って左に寄っておくのが前提のことである。

左に自転車が迫っている中で自転車を潰すように左に寄っていいわけではない。

左ウインカーを出す車を妨害してはいけないルールはあるが、

自転車に急減速を強いることは出来ないし、左折車側が減速せざるを得ないだろう。

となれば左端にいる自転車の後ろに並ぶことになるが、幅に余裕のある道路ではめったに見ないことである。


そもそもの問題として停止線を守らない自転車が多すぎるという話があるんですけどね。

歩道通行している自転車が車道通行に移転して、交差点手前の車道左端を自転車がずらりと並ぶと、

これはこれで大混乱になるのではないかと考えることはある。

そうはいっても停止線を守るのは基本ルールですからね。

それがうまくいかないなら構造的な工夫を考えるのであって、

はなから停止線なんて守られませんからねなんて言ってはいけない。


というわけで原則に従ってうまく行くケースもそれなりにあるとは思うが、

自転車も自動車も多いとうまくいかないケースが増えてくる。

そのような場合は安全になるまで待つしかないんですよね。

左折する自動車としては左に自転車がいる場合は巻き込まないように見送る。

自転車としては左に曲がる自動車の左を通らずに待つ必要があり、

左ウインカーを出していれば明確だが、交差点は変則的な動きも多いので、前の車の動きをよく見て進むべきだろう。


自動車の運転者は巻き込み事故のことを知っているはずだが、

自転車の運転者がその危険性を正しく認識しているかは課題がある。

だから左端に寄って自転車が物理的に入れないようにしたいが、

それができないケースでは左にいる自転車を見送る選択をせざるを得ないのではないか。

結局は「道路の状況その他の事情によりやむを得ないとき」というところに結実してしまうのかもしれない。

原則は原則で大切だけど、事故を起こしてはどうしょうもないですから。

初めての献血者を見る

ラブラッドで献血バスの来る場所を調べると近所に来るらしいので、

そこを狙って全血400mL献血をしてきた。

雨の中では来る人もまばらだと思ったが、意外と待たされた。

なぜかというと前の人が初めての献血だったからである。

なにしてるんだと首元を見ると赤いストラップを付けてたので。


初めての献血なんて何回前だよと調べたら78回も前だった。

今はなき大阪の日本橋献血ルームである。

そのときは初めての献血者の赤いネックストラックもなかったけど、

他にも違うことはあって、指先から採取した血液で血液型判定することである。

これが大変そうで、普通なら血液は1滴取れればいいんですよ。

1滴というけど、プレパラートに毛細管現象でごくわずか吸い上げられる分でよいので、

少し血液がしみ出すぐらいの量で足りてしまう。

でも、血液型判定にはしっかり3滴集めなければならない。

プラスチックの棒みたいなので集めていたが大変そうで手を少しでも下げていた。

無事に血液型の仮判定が出来て、その血液型のラベルを貼っていた。


そんなことになるぐらいなら、初めての献血の人は腕から採血すればいいじゃないかとも思ってしまう。

そう、昔は全血献血の検査時にも腕から2mLぐらい取っていた。

(そのさらに昔、初流血除去の導入前はさらに検査用の血液を取ってたらしいが)

そこから1滴落とすのも3滴落とすのも何も変わらないわけである。

でも、それはよくないなと思うわけである。

針を刺す回数は1回でも減らしたいというので指先採取にしたのである。

初めての献血者はなおさらのこと。初めてだけ腕から取りますねなんてのはよくないと。


そこからの自分の採血はスムーズなものだけど。

もはや採血してた時間より、その後処理の時間の方が長いんじゃないかって。

で、終わって休憩していたら、その初めての献血者の人が献血カードと記念品を渡されていて、

でも献血カードって廃止予定だよねと思ったら、ラブラッドアプリの導入方法の説明書を渡していて、

休憩するうちにインストールしたら記念品やるよというのでインストールしているようだった。

昔からメール会員に登録したら記念品やるよとかあったけどさ。


ラブラッドは当初は「複数回献血クラブ」の全国統一愛称だった。

そもそもこの言い方に歴史を感じるのだが「複数回献血」というのは年2回以上の献血を指す。

一般人でも年1回は献血するだろうけど、そこから一歩進んで年2回以上献血してということである。

年1回献血するだけでも上等だろうと思ってしまうけど。

とはいえ、さっきもちらっと書いたが、来年には献血カードの新規発行・更新は停まってしまう。

ラブラッドアプリがない人の献血

次回献血をスムーズに行うにはラブラッド入会・アプリ導入が必須である。

すなわち複数回と言わず年1回でもラブラッドは欲しいし、なんなら初回献血前にもあった方がよい。


そうなんです。今はラブラッドは初回献血前に入会することもできる。これをプレ会員と呼ぶ。

目的は問診入力と予約のため。確かに電話で予約する時代じゃないよな。

この場合は献血カードの発行自体が行われないとみられる。

もっともそういう人はあまりいないと思う。

だいたいの人は献血後にラブラッドってあるんですけどと言われて登録するだろうから。


おそらく献血カードの新規発行が停まると、

初回献血者にはラブラッド登録の手引きみたいな名目で献血者コードを書いた紙を渡すんじゃないか。

それを見てラブラッド登録をするのが本線でしょうね。

どうせ献血後の休憩時間は暇するわけだし。

登録しなければ次回以降は氏名・生年月日などで検索することになりますが。

元々献血カード持ってる人は更新されない献血カードでも献血者番号はわかりますけど。


雨ということもあり来場者はまばらだったが、自分の後ろにも初めての献血者がいたみたいですね。

そういう形で献血の輪が広がればいいですよね。

年2~3回400mL献血して、その間に成分献血挟むようになってきたら、

それはすごいけど、年1回の400mL献血でも上等ですよ。

これだっていろいろ条件が揃わない人は多いのだし。

いきなり国宝

太陽の塔が重要文化財に指定されることが決まったよう。

文化審議会の答申(国宝・重要文化財(建造物)の指定) (文化庁)

1970年にできてから55年後の指定というのは、

文化財としての価値を持つのに最低50年必要という原則からするとほぼ最短である。

とはいえ、これは既定路線であって、それは直近に耐震工事をしていて、

これにより長期の保存ができるようになったこと、

そしてこの工事の中で太陽の塔の調査が様々進んだこと。

これらを踏まえて重要文化財に指定するというのはもっともな対応である。

大阪・夢洲での国際博覧会のさなか、1970年の万国博覧会のシンボルが重要文化財指定されるというのは大きなニュースである。


と、太陽の塔の重要文化財指定はあまり驚くことではなかったのだが、

「琵琶湖疏水施設」の一部が国宝(建造物)に指定されることである。

琵琶湖疏水施設を重要文化財に指定するにあたり、

その中でも特に意義が大きい 第一隧道・第二隧道・第三隧道・インクライン・南禅寺水路閣を国宝にするということである。

すなわち元は未指定文化財だったということになる。

なお、琵琶湖疏水は京都市の水道施設として現役である。


明治以降でいきなり国宝指定というのは驚いたのだけど、

美術工芸品の場合、明治以降に制作された国宝はないはずだが、

建造物ではいくつかあって、初めて指定されたのは2009年の旧東宮御所(迎賓館赤坂離宮)である。

実はこれもいきなり国宝指定だったという。

琵琶湖疏水施設は近代の土木構造物としては初めての国宝指定になる。


とはいえ、琵琶湖疏水そのものは1996年に史跡指定されている。

史跡というと例えば平城宮跡のように全て埋まってしまったものもあるが、

東大寺旧境内のように現役の寺社として使われているものもある。

現役の水道施設が史跡というのは一見変だが、それも可能である。

史跡で何らかの現状変更を行う場合は手続きが必要だが、

史跡の中にはすでに他の用途で使われているものも多くある。

あるいは平城宮跡の復原建物や展示施設のように史跡への理解を深めるための施設が後からできることもある。

史跡としての価値を失うような変更は認められないけど、

そこに関係ない部分や、あるいは史跡の保存に必要なものは認められる仕組みである。


史跡の上にある建物に手を加えることは史跡の現状変更にあたるので、

足利学校跡のように建物の保護が目的では? という史跡もある。

「聖廟および附属建物を含む」と明示されてますからね。

何に史跡の価値があるのかというのは史跡により異なるので、

何が保護されて、何は保護されないのかというのは一概には言えないが、

史跡指定するときの根拠とかが保護対象を示しているのではないか。


この史跡の上に建つ建物の価値を明確化するということでは、

建物を重要文化財・国宝に指定する方法もある。今回の琵琶湖疏水もこれにあたる。

例えば、水戸藩校の弘道館は「旧弘道館」で1922年に史跡指定されている。

のちの1952年に特別史跡に指定されている。あれ特別史跡だったのか。

その上に立つ建物で戦前から残る物は1964年に重要文化財に指定された。

建物の保護というよりは、建物を含む敷地一帯の保護が先行した一例である。


というわけで琵琶湖疏水は元々史跡として保護されていたが、

それを構成する土木構造物の価値を明確化するために重要文化財・国宝に指定されたということである。

もともと保護対象だったとはいえ、未指定からいきなり国宝というのは手続き上どうなるのかという話だが、

一旦、重要文化財に指定して、改めて国宝指定するという手順を取るよう。

文化庁の資料の中で、琵琶湖疏水施設の5つの施設を国宝指定する根拠は

「重要文化財のうち極めて優秀で、かつ、文化史的意義の特に深いもの」としている。

なので重要文化財であることは前提で、その上で重要文化財 新指定の中に、

琵琶湖疏水施設として24の施設が列挙されているが、その中にはさっきの5つも含まれている。


実際の告示でもこのようなケースは「有形文化財を重要文化財に指定し、これを国宝に指定する件」となるそう。

このBlogではたびたび国宝も重要文化財の一種として書いているが、国宝指定されるものは、事前または同時に重要文化財に指定されるからというのが正確だったらしい。

国宝指定されるとあえて重要文化財とは書かれないわけですけどね。


もっとも国宝も重要文化財も保護制度としては全く同じである。

重要文化財というのがそもそも極めて価値が高いためである。

国宝というのは重要文化財以上に地域・分野・時代の偏りが大きい。

国宝建造物は奈良県には61件もあるのに、11道県では0件である。

一方で重要文化財建造物は全ての都道府県で2桁はある。

京都府には307件、奈良県には267件もあるけど。

分野という観点では歴史資料というのは重要文化財(美術工芸品)10910件中の263件で2%程度を占めるが、

国宝となれば912件中3件で0.3%程度で、件数から見てわかるようにかなりレアである。

歴史資料というのは重要文化財指定の歴史が浅いんですよね。

琉球国王尚家関係資料(国宝)のような古文書もあるんだけど、

科学史・技術史に関わるものも多く、前に万年自鳴鐘のことを書きましたが。(cf. 本当に150年後の国宝はいるのか)

まずは重要文化財に指定して、将来的にその中で価値が高いものを国宝にするのではないか。


今回の夢洲での国際博覧会のレガシーが重要文化財になることはあるのか。

基本的には更地にするので、そこに残ることはおおよそ考えられない。

ただ、移設というのは考えられる。

建造物というのは移設しても文化財としての価値が保たれる場合がある。

明治村にある建物はその典型である。

それこそハードルは高いのだが、大人気のシグネチャーパビリオンとかはあるかもしれないよって。

株主割引券の効果が少ない理由

航空会社の株主割引券を「他動保険」と言っている人がいて、

これは面白い言い方だなと思ったんだけど。

というのも飛行機の株主割引運賃は他の割引運賃に対して必ずしも安くない。

ところが普通運賃ベースなので直前購入も可能で変更の自由度が高い。

……と言われていたのだけど、最近は事情が違うそう。


というのも便ごとに株主割引運賃の枠を設定して、その範囲でしか売らないのだという。

この結果として使いたい便で株主割引運賃で買えない事象が多発していると。

この結果として株主割引券の取引価格も相当安くなっていて、

ANAは1枚300円、JALは1枚700円ぐらいで取引されているよう。

暴落もよいところである。


もともと劇的に安くはないが柔軟性が高いのが長所だったのに、

割引運賃の枠の問題で柔軟性がなければ、果たして何がいいのかという話である。

株主優待での利用が少ない路線ならばよいのかもしれないが、

かなり条件を選ぶ状況になっているのだろう。


安くしか売れないなら自己使用も……

というのはあるけど、それがそもそも難しい状況なんだろうな。

株主としては株主割引券の売却益も重要な収入源ですけど、

それが難しい状況はこの通りである。

ということをJALの株主優待券を受け取って思い出したと。

三輪以上の「二輪」

基本的には車というのは四輪と二輪に大別できるわけだが、

なかなかイメージと異なるものも存在する。


道路標識で「二輪」は 大型自動二輪車・普通自動二輪車・一般原付を表す。

一般的な自転車も二輪車には違いないが標識における二輪には含まれない。

ただ、二段停止線の「二輪」は軽車両(自転車含む)・特定原付も従う。

それこそまず見ないけど、リヤカーも二段停止線の「二輪」なんですね。

それは知らんかった。


リヤカーはタイヤ2つだから二輪かもしれないが、横に2つ並ぶのは二輪車とは言わないだろう。

このため自転車以外の軽車両を四輪側に分類することを想定した仕組みがあった。

車・バイク・自転車・リヤカーのシルエットが書かれた通行止め標識である。

この4つ全てで車両と同義になる仕組みになっている。(cf. 自動車・原付って記号で書けば)

車の標識、バイクの標識は単独で使われることは比較的ある。

この2つを組み合わせたものは東京都ではわりと見る。(cf. 多摩湖周辺の自動車通行止め標識)

一方で自転車の標識とリヤカーの標識は単独で使われると言うよりは、

2つ組み合わせて軽車両通行止めの意味で使われることの方が多いように思う。

このリヤカーの通行止め標識、正直なんのためにあるのかよくわからないのだが、

車+リヤカーの通行止め標識で幅のある車を通行止めにするという用途が想定されていたらしい。

極めて稀だが、その組み合わせの標識が踏切に付けられていることがあるそう。

(それが稀なのは四輪でも「小特を除く」で部分的に通行を許すことが多いのもあるのでは)


じゃあ自転車ってのは二輪でなければいけないのかというと、

そんなことはなくて三輪、四輪の自転車というのも世の中には存在する。

もっともその多くは幅60cm・長さ190cmに収めて普通自転車の条件を満たすように作られている。

こうなると自転車通行可の歩道でも走ることが出来るので便利である。

なお、2020年までは普通自転車の条件は「二輪または三輪」となっていたが、

2020年に「四輪以下」となったことで、四輪の普通自転車が認められるようになった。

実用上無意味というのもあるだろうが五輪以上の自転車は普通自転車になり得ない。

とはいえ、自転車として存在することは出来て、3輪自転車+リヤカーも自転車には違いない。

もっともこれは普通自転車ではないし、自転車道の通行はできない。

普通自転車でないということは「自転車を除く」の除外対象でもない。

それは自転車というよりリヤカーなのではという感じもするけど、従うのは自転車のシルエットの通行止め標識である。


次に原付なのだが、道路運送車両法上の原動機付自転車の区分はかなり複雑である。

まず、排気量50cc以下・定格出力0.6kW以下の原付一種の場合だが、

ほとんどのものは道路運送車両法上の原付になるが、道路交通法上の扱いは複雑である。

  • 普通自転車サイズ(幅60cm・長さ190cm以下)の電動車で条件を満たす場合(車輪数不問) → 特定原付
  • 排気量20cc以下・定格出力0.25kW以下(車輪数不問) → 一般原付
    • 実用上存在しないと思われる(以後、20cc超・0.25kW超の条件は省略)
  • 二輪 → 一般原付
    • 二輪に限っては排気量125cc以下で最大出力4kWに制限した車も含む
  • 三輪以上で輪距50cm超 → 普通自動車(ミニカー)
  • 三輪で輪距50cm以下の車
    • 車室がない or 側面が開放された車室がある → 一般原付
    • 側面が閉じた車室がある → 普通自動車(ミニカー)
  • 四輪以上で輪距50cm以下の車
    • 車室のある車 → 普通自動車(ミニカー)
    • 車室がない車 → 一般原付

普通自転車は「四輪以下」の条件があるけど、特定原付は車輪数不問なんですよね。

といっても実用上は二輪・三輪・四輪のいずれかでしょうけど。

あと、幅60cmという制限からすると輪距もそこそこに収まるでしょう。

それ以外は二輪なら明らかに一般原付でよいが、三輪以上はとても複雑である。


輪距50cm以下・車室無し という条件を満たすと、四輪でも一般原付になるんですね。

四輪なのに標識上では「二輪」に含まれることになる。昔はそういう車もあったらしい。

ただ、二輪の一般原付と同じ取り回しにならない部分もあり、それが押し歩き。

三輪以上の一般原付は歩道の押し歩きが認められず、軽車両として車道を押す必要がある。

一方の特定原付は車輪数によらず歩道の押し歩きが認められる。

一般原付の要件の輪距50cm以下と、特定原付の要件の幅60cm以下では意味が違うが、

実態は似たようなものではないか、というか一般原付の要件の方が厳しい気もする。


排気量50cc超125cc以下・定格出力0.6kW超2.4kW以下のレンジに入ると事情が一転する。

このレンジは二輪車に限って原付二種として扱われるためである。

ただ、実は三輪車で原付二種というのもあるんですよね。

それが特定二輪車の条件を満たす三輪車で、バイクと同じく車体を傾けて運転する車ですね。

この条件にあたる車は二輪車の保安基準で作るので、三輪でも原付二種になりうるらしい。

側車付きだと原付二種にならないと書かれているけどね。

道路交通法上は原付二種は普通自動二輪車に該当する。

運転免許は小型限定でよいので少し楽だが、四輪の運転免許に付帯し、ペーパーテスト+講習の原付免許に比べると手間はかかる。


普通は排気量50cc超・定格出力0.6kW超の三輪以上の車は軽自動車になるんですよ。

二輪は125cc以下・2.4kW以下は原付二種に該当するので、

そこを超えたところで軽自動車に該当する。

この軽自動車というのは道路運送車両法上の区分なので、運転免許にはあまり関係はない。

この軽自動車というのは検査対象と検査対象外に分かれるのだが、

基本的には検査対象外軽自動車は二輪の軽自動車を指す。

三輪以上の軽自動車は検査対象ということになる。

が、そういう車は今はほとんどなく、多くは側車付きの二輪車として扱われている。

  • 二輪(125cc超250cc以下、電動の場合は2.4kW超すべて)
    → 二輪の軽自動車, 普通自動二輪車
  • 三輪
    • 側車を外して二輪で走れる車(125cc超250cc以下)
      → 側車付きの二輪の軽自動車, 普通自動二輪車
    • 特定二輪車の条件を満たす車(125cc超250cc以下)
      → 側車付きの二輪の軽自動車, 普通自動二輪車
    • 側面が開放された二輪で走れない車(125cc超250cc以下)
      → 側車付きの二輪の軽自動車, 普通自動車
    • 側面まで囲われた車室のある車(660cc以下、電動は法令上は上限なし)
      →三輪の軽自動車(検査対象), 普通自動車
  • 四輪以上(660cc以下、電動は法令上は上限なし)
    → 四輪の軽自動車, 普通自動車

三輪車の多くは道路運送車両法上は側車付きの二輪車なので、二輪のナンバープレートを付けているのが多い。

完全に囲われた車室を持つと四輪と同じになるんだけどね。

一方で道路交通法上の扱いは二輪扱いと四輪扱いが混在している。

とはいえ、このグループは原付と違って、四輪以上で二輪扱いになることはない。


原付一種はミニカーに該当すると軽自動車税の額も変わるので、

ここはちゃんと切り分ける必要があって、ナンバープレートも水色のを付けることが多い。

四輪以上でも一般原付・特定原付になる車は存在する一方、

三輪でもミニカーに該当し、道路交通法上は普通自動車になるものもあり、

規制や免許という面では大違いということになる。

50cc超・0.6kW超では四輪以上で二輪扱いというのは生じ得ないが、

三輪は境界部ということで二輪か四輪か混在する部分がある。


なんでこんな話を書いたかというと、特定原付+リヤカーは法令上想定されているとみて、

気になって調べたら電動キックボードにリヤカーを付けている人がいて、

もっともそのキックボードは原付二種タイプのものなのだけど。

それを見て、リヤカー部分を切り離せないように一体化して1台の車として各種の要件を満たした場合、

そういう車はどういう扱いになるんだろうと気になったわけである。

特定原付は車輪数の規定がないので範囲に入ればなんでもOK。

一般原付も輪距50cm以下で車室がなければ何輪でもOKになる。

原付二種はタイヤが3つ以上ある時点で原則的に非該当。

軽自動車は三輪は側車付き二輪に該当する可能性があるが、四輪以上は可能性がない。

これが答えだったようである。


タイヤが4つある「二輪」ってなんだよという気はしますけどね。

確かにほとんど存在しないが、一応はあるんですね。

バイクに積める荷物の限界

今朝、5時ぐらいに目が覚めて、太陽がさんさんと差し込むのを見て、

そういえばそろそろ冬の布団洗わないとなと思った。

なぜ太陽を見て思いだしたというと、布団を洗って干すなら天気のいい日じゃないと困るから。

で、布団は家で洗うのは厳しいので、コインランドリーの出番となる。

コインランドリーはそんなに遠くはないが、短時間に2往復するのを考えると電動バイクがよい。


後ろの荷台に布団をくくりつけて走って洗濯機にぶち込む。

ここでふと思ったのだけど、このとき荷物の幅が特定原付の要件の60cmを超えてもよいのだろうか?

もし、それで特定原付ではないということになると大変である。

コインランドリーとの往復では「自転車を除く」一方通行の道路を逆走するし、

ヘルメットはしてるけど自転車用のヘルメットで一般原付に乗るのはあり得ないし。


そもそも自動車・原付の荷物積載方法は道路交通法施行令で定められている。

道路交通法上の原付(特定原付を含む)は積載装置に30kgまでの積載物を乗せられる。

積載装置というのは強固に固定されていれば後付けでもよいので、

リアキャリアに金網を強固に固定したものも積載装置と考えてよいだろう。

なお、積載装置のない車は積載物を乗せることが認められていないので、

荷台のないキックボードは全く荷物を積載できないことになる。

その積載物の幅は積載装置の幅+30cm、左右15cmまでのはみ出しを許容している。

また、長さ方向では積載装置の長さ+30cmで、前後に最大30cmまでのはみ出しを許容している。

軽車両の積載制限は都道府県の交通規則で規定されているが、

東京都を含むほとんどの都道府県で自転車と原付は同じルールである。


ここで気になったのだが、積載装置の幅+30cmだと、

特定原付の条件である幅60cmを超えるケースもありうるのでは? と。

実際には僕がバイクに付けている金網は30cmなので、+30cmとなっても60cmには収まるのだけど。

これだが、おそらく積載装置の幅が規定内ならOKのはず。

実際にはそんなに広い積載装置を備えている車がほとんどないが、

理屈の上では最大90cm幅で突っ込んでくることはありうると。


自転車・原付に荷物を積載するルールとしては基本的にそれでよいが、

実は他にも積載方法があって、それがリヤカーの牽引ですね。

そう、自転車・原付それ自体が軽車両であるリヤカーを牽引できるんですね。

原付では最大120kgまで牽引できるルールである。

自転車での牽引は都道府県により異なるが概ね原付と同じと見てよいだろう。

あと、道路交通法上は自動二輪車に含まれる原付二種も同様のルールでリヤカーを牽引できる。

それ以上の車が牽引するトレーラーは道路運送車両法上の自動車のためナンバープレートが必要になる。


リヤカーをつけた自転車は普通自転車や自転車道を通行できる自転車には含まれない。

このため歩道走行、「自転車を除く」規制からの除外、自転車道・自転車(歩行者)専用道路の通行、歩道の押し歩きは認められない。

標識における「自転車」は普通自転車+特定原付を指すためである。

「軽車両を除く」なら大丈夫ですよ。普通自転車でなくても自転車には違いないので。

特定原付で牽引というのはなかなか想像できない話だが、

特例特定原付の要件には「他の車両を牽引していないもの」という条件がある。

だから正しい牽引装置があれば電動キックボードでリヤカーを引くのも不可能ではないんだろうな。


特例特定原付の要件は、リヤカーを牽引していると歩道モードでの歩道通行が認められないことを指している。

自転車道を通行できる車両も「他の車両を牽引しているものを除く」とあるので、

これもリヤカーを牽引している特定原付は対象外。

ゆえに自転車(歩行者)専用道路も通行不可になる。

歩道の押し歩きも「側車付きのもの及び他の車両を牽引しているものを除く」なので、

リヤカー付きの特定原付・二輪の一般原付・自動二輪(原付二種)の歩道押し歩きは認められない。

一方で標識の「自転車」は基本的には特定原付を全て含むそうなので、

リヤカーを引いている特定原付は「自転車を除く」規制から除外される。

それはいいのか? おおよそ考えられないシチュエーションだが。


普段は積載装置の幅を超えて荷物を載せると言えば、長ネギだな。

そう、買い物するとシートバッグからはみ出てしまうのである。

でも積載装置からはみ出るのはせいぜい5cmそこらじゃないかね。

こういうのは全く問題ないってことですね。

3値論理とヒステリシス

以前こんな話を書いている。

計算の中間値を置くところを浮動小数点型に統一していたためのようだ。

ここに格納される値は必ずしもアナログ的な量に限らず、論理値も入りうる。

その論理値、具体的には –1.0, 0.0, 1.0 の3値論理が多かったのだが、

この比較のために==や!=を使っていたようである。

(浮動小数点数比較の謎)

しかし3値論理ってなんだよって話である。


電気回路ではトライステートというと、ハイインピーダンスを含めた3状態を表す。

HIレベル, LOWレベルを出力している時を”H”,”L”と表記して、

ハイインピーダンス状態を”Z”と書くのはよくみられる。

でも、そういう話ではないんですよね。

3値論理を使って論理演算をしているんですよね。


コンピュータの世界で3値論理というとSQLのものがよく知られていて、

true, false, unknownの3状態をとるそうである。

値が存在しないNULLに関わる論理をunknownと呼んでいるそうである。

比較式 foo=1 の結果がfoo=1ならばtrue, foo=2ならばfalse, foo=NULLならばunknownとなると。

このためSQLのunknownはNULLと書かれることもある。

今回のシステムではこういう考えで生じる3値論理ではないんだけど、

論理演算の考え方はSQLの3値論理と同じで良さそうである。


X OR Y という論理演算は、XがtrueならばYの値を見るまでも無くtrue、

XがfalseならばYの論理値がそのまま計算結果になる。

これはPerlなどある種のスクリプト言語ではよく使われる仕組みで、

“or die”と付けると、結果がfalseの場合はdieを実行する意味になる。

“$x[$n] || 0”と書くと、$x[$n]にtrueと評価できる値があるときはその値、

空の場合などfalseと評価できる場合は0を与えるという式になる。

この考えをunknownが絡む演算に適用すればよくて、

true OR unknown = true, false OR unknown = unknown である。

交換則が成り立つので前後を入れ換えても同じ、あとはunknown OR unknown = unknownと定義すれば求まる。


同様に X AND Y という論理演算も、Xがfalseの場合はYを見るまでも無くfalse、

Yがtrueの場合はYの値がそのまま計算結果になる。

それゆえ false AND unknown = false, true AND unknown = unknown, unknown AND unknown = unknown となる。

論理反転は単純に trueとfalseを入れ換えるということだから、

unknownは反転してもやはりunknownになる。

排他的論理和は X XOR Y = (X AND (NOT Y)) OR ((NOT X) AND Y)で、

X=unknownとおくと、Y=trueのときは unknown OR false = unknown、

Y=falseの場合は false OR unknown = unknown となるから、

unknownが絡む排他的論理和は全てunknownになると考えるべきようだ。

3値論理で排他的論理和を考えるシチュエーションはわからないけど。


さて、このシステムで3値論理は何に使われているのか。それはヒステリシスを持たせるためである。

デジタル回路でシュミットトリガというのがありますが、

あれは2つの閾値があり L→HとH→Lで閾値電圧が変わるわけですね。

2つの閾値電圧の間で入力電圧がばたついても前状態を保つわけである。

この実現手段として、上の閾値以上、下の閾値以下、その間の3状態を持つわけである。

これにそれぞれ 1.0, –1.0, 0.0という数値を割り当てていると。

SQLの3値論理表現でいえば true, false, unknownに対応する。

その上で演算結果がunknownの場合は出力値は前回値保持にする。

true→unknown→trueと変化すればずっとtrueを出力し続けるし、

false→unknown→falseと変化すればずっとfalseを出力し続ける。

出力値が変わるのはunknown状態を越えて状態が変化したときだけである。


で、この条件を複数組み合わせるときに論理演算が必要になると。

X or Y or Z という論理演算の結果を出力する場合、

いずれかの条件がtrueとなればtrueを出力し、

全ての条件がfalseとなればfalseを出力するという形になる。

これ以外の状態、すなわちfalseとunknownが混在している場合は前回値保持である。

こういう形で複数条件を積み重ねるのが基本ということか、

さっきの閾値判定を行う処理は必ず他の論理値を取るようになっていたが、

やっていることとしてはこんなところである。


さらにこの出力処理の先にはオンディレータイマ、オフディレータイマもあるんですけどね。

オンディレータイマはON状態を出力する指示が一定継続してからONを出力するものである。

結果として一定時間以下のON指示は無視されることとなる。

こちらもバタつき対策だとは思うのだが、こちらはごく短時間の急変動を想定しているのだろうな。

一方のヒステリシスは中途半端な値でゆっくり動く場合にも対応できる。


判定処理で3値論理を出力するところに「ヒステリシス」と書かれていて、

これじゃあヒステリシスとして機能していないのでは?

と思ったけど、unknownは出力処理で前回値保持とすることで対応してたんですね。

勘違いしてたんですけど、確かにこれならいけましたね。

Cities:Skylines2の水力発電

新しいPCになってCities:Skylines2は高画質にしてもそこそこ回っている……と思う。

セーブデータがSSDから救出できていないこともあり、新しい都市を作り始めた。

その地形を見て、水力発電が作れそうだなと思った。


このゲームの水力発電はダムの高低差と幅で決まるそう。

なので幅を広くするとよいのだが、単純に谷にダムを作ればよいわけでもない。

というのもダムの端が現に川の端に近くなければ「水辺にありません」と言われてしまうからである。

というわけで大きなダムを作るには地形を変形させないと難しい。

谷を掘り込むようにダムを作る部分だけ川幅を広げる。

これにより谷に大きなダムを作ることができる。


しかしこのダムというのは高価である。

基本が158万¢なのだが、幅が広がると価格も上がり、

今回のケースでは230万¢も必要で、こうなると借入金の上限が問題になる。

マイルストーン7「にぎやかな街」まで来ると220万¢の借入が可能になるので、

水力発電の電力を売れば余裕も出るのになと思いながら進める。

浄水場・リサイクルセンターといったところは建設費が高く、

これらの借入金を返済した上で、自己資金を確保しないと水力発電所なんて作れない。


しかし、こうして大枚はたいて発電所を作っても「水位が低い」と発電量が少ない。

確かにある程度水がたまるのに時間がかかるのだが、

そうはいっても「水位が低い」で効率99%減はさすがに低すぎる。

いろいろいじくっていたらダムの堤体の下の標高を下げると発電効率が上がって、

40%ぐらいの効率が出るようになった。

もっと上げられるのかはわからないけど、これ以上上げても今は意味がなくて、

なぜかというと送電線の接続1個で売れる上限が400MWで、

都市内の需要を加えて概ね満たせるレベルの発電量が得られたためである。

こうなると売電収入で都市の収支も大幅に改善し、

税率や水道・電気料金を上げていたのも基本の税率・料率まで戻して、

エリア拡張したり、病院を建てたり、高速道路の建設をしたりと。


地形変形は今のところ無料なのでこれでいいわけだけど、

地形変形に相応のコストがかかるとなおさら高価な発電所である。

出来てしまえば騒音ぐらいしか問題はないけど。

騒音は堤体の両端でとてつもない音が発生しているようで、

その周辺に住宅地があったので公園やオフィスへの差し替えを行った。


というわけで水力発電は難しいという話だった。

基本料金が安ければ序盤でも使えるけど、158万¢はそもそも高いわ。

序盤は風力発電頼みだね、といってもこれもマップ次第だけど。