昨日、Finnairのビジネスクラスがフルフラットだという話を書いたが、
どうも世の中ではフルフラットのビジネスシートというのは一般的になっているそうで。
それもこれもスタッガード配列という方法を取り入れたからこそできたことだそう。
JAL SKY SUITE II
左にずれた座席と右にずれた座席が互い違いに並んでいると。
こうすることで、前の人のふところにあたる部分に足を伸ばすことができ、
フルフラット確保したとしてもシートピッチはそこそこに抑えられると。現在の長距離路線のビジネスクラスでは一般的なものだそう。
ところで飛行機のビジネスクラスというのは、元はエコノミークラスを正規運賃で利用する人へのサービスから始まったのだそうだ。
エコノミークラスを使う人もいろいろだけど、格安運賃で乗る人もいれば、普通運賃で乗る人もいて、その単価は大きく異なる。
せっかく高い値段で使っていただいているのだから、と始めたサービスだったそうだ。
なので、ビジネスクラスはファーストクラスと比べればずっとずっとお手頃な値段で使うことが出来る。
とある日の東京~ロサンゼルスのJALの運賃を列挙すると、
- エコノミークラス割引運賃 95000円
- エコノミークラス普通運賃 681000円
- ビジネスクラス割引運賃 661000円
- ビジネスクラス普通運賃 897000円
- ファーストクラス普通運賃 1639000円
いわんとすることがわかっただろうか。エコノミークラスの普通運賃とビジネスクラスの割引運賃だとそんなに差はないのだ。
ファーストクラスは普通運賃しかないのだけど、こんなもん。
エコノミークラスの割引運賃からするとビジネスクラス割引運賃でも目玉が飛び出るほど高いけど、普通運賃を基準に考えればそんなもんなのだ。
最初はそんなささやかなサービスから始まったビジネスクラスだが、
気づいてみれば、ファーストクラスにも匹敵するほどの高いサービスが受けられるようになってしまった。
全く追いついたわけではないけど、それにしてもあえてファーストクラスを選ぶ理由は減ってしまったのだろう。
こうしてファーストクラスの設定路線は非常に限られるようになった。よっぽど需要の見込める路線にしか設定していないのだろう。
JALだと東京発着のアメリカ線とヨーロッパ線の一部で、それ以外だとなぜかジャカルタ行きにもあると。
Finnairの最上位クラスがビジネスクラスなのは、それで十分だろうし、ファーストクラスの需要は見込みがたいということだろう。
そうしてファーストクラスを駆逐してしまうほどの力を持ったビジネスクラスだが、
一方で、プレミアムエコノミーという、これまたエコノミークラス普通運賃での利用者向けのサービスが提供されることが出てきた。
導入路線は限られてるけどね。
やってることが当初のビジネスクラスと一緒だが、まだプレミアムエコノミーは質素だ。
シートにはゆとりが増しているが、機内食などのサービスは基本的にエコノミーと同じ、
ただし、希望に応じて間食が提供されるところなど、多少ビジネスクラスに近い部分もある。
ちなみに先の東京~ロサンゼルスのプレミアムエコノミー割引運賃は226000円、
普通のエコノミークラス割引運賃にくらべるとかなり高いが、普通運賃よりはかなりお手頃なので、そういう選択肢もありなのかもね。
これらは国際線の一般的な事情だが、JALの国内線ではまた違った流れがあった。
以前はスーパーシートという上級クラスを設定してきたが、2004年にクラスJという+1000円でゆったりとした座席を使えるサービスが導入された。
手頃な値段でゆったり移動できるとあって歓迎されたのだが、上級クラスとしては不足する部分が多いという意見もあった。
それで、2007年に一部路線にファーストクラスを設定して、食事や地上サービスも充実させたクラスを追加した。
国際線ではビジネスクラスにファーストクラスが追いやられ、エコノミークラスとの間が開きすぎたからプレミアムエコノミーが出てきたわけだが、
国内線ではスーパーシートがエコノミークラス+1000円というところまで近づいたら、やはり上級クラスが欲しいとファーストクラスが追加されたと。
経緯はともかく、現状だけ見ると、近距離国際線のビジネスクラスと国内線ファーストクラス、プレミアムエコノミーとクラスJの姿がそれぞれ重なるわけだけど、
客のニーズとしては国際線も国内線もそんなに変わらんのかも知れない。
もちろんそれに全て対応できる路線は全体からすればわずかなのだけど。
プレミアムエコノミーこそビジネスクラスの原点回帰だとは思うわけですが、
やはり、今日、ビジネスクラスがこれほどまでに存在感を増したのは、
ファーストクラスに追いつくほどのサービス向上があったからこそだと思うわけですよ。
ファーストクラスほど高い運賃はいただけないわけで、座席配置など、経済性も考慮したサービスになっておるわけだけど、
それでも十分という路線が大半を占めているわけだから大したもんだと思うわ。