評価ボードの拡張ボード

今日から仕事が再開と。

どうせみんな今日からなんだろと社長の新年の挨拶も今日だった。

正月休みの間にいろいろ積み上がったりしないか心配だったけど、そんなことも特になく。


新しいシステムの検討のために使っている評価ボード、

搭載されているフラッシュROMをブート用のデータ格納用に使おうとしたら、

なんとマイコンから利用できないことが判明した。

なんでや! と思ったが、他の用途に特化しているのだろう。


そんなわけでフラッシュROMを評価ボードに外付けすることを考えたら、

mikroBUSと書かれたコネクタにSPI信号が行っているとある。

一体何に使うんだろう? と調べたら、ここに拡張ボードを付けられるらしい。

mikroBUS

そう言われると、他の評価ボードでも見たことあったような気がする。

構造はシンプルで電源(3.3V・5V)、SPIとI2Cの通信線が出ているだけ。


Click Boardというのが取り付ける拡張ボードですね。

センサーや通信関係のモジュールが多いようだ。

フラッシュROMを搭載した拡張ボードも確かにあって、

これを購入すればフラッシュROMを拡張できるようだ。

単にSPIのフラッシュROMを付けただけのボードなので、

わりと買うのもアホらしい気もしたが、取扱の容易性には意味があるかも。


こういう拡張ボードっていろいろあるみたいで、

Arduinoの形状に合わせたもの、Raspberry Piの形状に合わせたものがあり、

それをArduinoとかRaspberry Pi以外で付けていることもある。

mikroBUSはそれよりも小型の拡張ボードということでそれが命名にも現れているのでは?


実験用としては収まりがよくていいのかなとは思った。

自分で拡張したら線がぷらぷら垂れた形になりそうだし。

内蔵ROMはプログラム用では?

あるシステムで設定情報を保存する方法についてどう考えてるの?

と聞いたらマイコン内のフラッシュROMに書き込むんだと言われて、

いや、そのマイコンのROMはプログラムを書き込むことしか想定されていないのでは? と。


あるシステムでは少量の設定情報を保存するのにマイコン内蔵のROMを使っているが、

これはプログラム格納用のROMと分離されたものになっている。

このような分離されたROMがあるか調べたらなかったので、

それは外付けのEEPROMを付けるべきだと思っていた。


プログラムとは別のユーザーデータをROMに格納する話を調べるとこんなのが出てきた。

フラッシュメモリをEEPROMとして使う「裏技」 (EDN Japan)

消去が遅くて回数が限られるという欠点を踏まえた上で使えばいいですよとある。

ただ、本当に問題はないのかと気になって調べたらわかったことがあった。

この記事はSTマイクロの人が回答しているが、

同社のSTM32ではフラッシュROMを2つのバンクに分けており、

消去・書き込み中も、他方のバンクについては通常通りアクセスできるという。

すなわち2つのバンクを全部プログラム用に使うこともできるが、

1つをプログラム用、もう1つを設定情報用と使い分けるのは想定された作りになっているわけである。

一般のマイコン内蔵フラッシュROMがそうなっているとは言えない。

調べたところ今回採用すると言っているマイコンはそうはなっていなかった。


ところでEEPROMとフラッシュROMの指すところは少し違うらしい。

EEPROMは電気的に消去・書き込みができるROMを表す言葉で、

今どきマスクROMやUV-EPROMなど作られることは少ないので、ROM=EEPROMと言っても間違いではない。

この点ではフラッシュROMもEEPROMに含まれるのだが、

部品としてのEEPROMはワード単位や比較的少量のデータ単位で読み書きできるものを指す。

これに対してフラッシュROMは一定のまとまりをもったページ単位で消去を行うものを指す。


フラッシュROMの書き込みはビットを1→0にすることしかできない。

消去を行ってデータを全部1にしてから、書き込みを行う手順を踏むため、

少量のデータの保存に手間と時間がかかる傾向がある。

一方で大容量化には適している。概ね1Mbitが境目になるみたい。

EEPROMと呼ばれる部品も実態としてこういう動きなのかもしれないが、

消去を経ずに書き込み命令を出せばよいので取扱が便利である。

このような使われ方の差もあって書換(消去)可能回数が多い傾向がある。

例えばEEPROMは100万回、NOR Flashが10万回など。


先の「フラッシュメモリをEEPROMとして使う裏技」で言及されているのは、

フラッシュの消去は時間がかかるが、書き込みだけなら速いので、

書き換えごとに違う領域に書き込み、全部埋まったら消去するというやり方があるという話だった。

確かにそういう工夫をして使っているものを見たことはある。

一方でマイコン内蔵のROMは読み出しが高速であるというメリットもある。

書き換え回数も1万回もあれば十分と言うケースも多いだろう。


ただし、これはプログラム用と設定情報用でバンクが分かれている場合の話。

もしも分かれていない場合は消去・書き込み中のフラッシュへのアクセスが止まる。

このため、消去・書き込み処理中はSRAM上でプログラムを動かす必要がありそうだ。

ページ単位での消去ができるので、プログラムデータごと消去してしまうことはないが。


というわけで整理すると、

  • 書き込み頻度が高い場合は基本的には外付けのEEPROMを使うべき
  • プログラムと設定情報でROMのバンクを分けられるなら通常動作を継続しながら使うことはできる
  • プログラムと同じバンクを書き換える場合は、書換中はROMが読めなくなるのでSRAM上でプログラムを動かすなどする必要がある
    (結果として通常動作を継続しながら書き換えることが難しい)
  • フラッシュROMの消去にかかる時間には注意が必要
    (消去済みの領域に書き込むならむしろ速い場合もある)
  • 読み込みが高速である点は内蔵ROMを使うメリットである

こうして整理してみると、バンクが分けられないとかなり不便である。

通常動作の中で消去を行うのはほぼ困難なので、ここで制約されることは考えられる。

ただ、今回のケースは上記条件に照らして絶対不可能とも言い切れないところが悩ましい。

でも常識的に考えてそういう使い方する意味は乏しいと思うのだけどね。

わざわざそんな面倒なことやるんかいと。


あえて外付けのEEPROMを付けるのはそれだけの価値があるからだという話なんだと思うんですけどね。

高速・高頻度書き込みというところに価値を見いだしにくいのはあるが、

そこに価値を見いだせるケースはそれなりに多いとは思うんですがね。

塩にトリチウムはないと思うが

日本ではこういう話は聞かないけど、韓国・中国ではこういう動きがある。

韓国で「塩」が商品棚から消えた…買いだめの理由は「処理水の海洋放出」 野党代表は「核排水」と発言 (東京新聞)

中国各地で塩の買い占め、処理水放出で影響出ると誤った認識広まったか (東京新聞)

よりによって塩なんて小学校レベルの化学の知識があれば無意味なことが理解できるはずだが。


そもそも、今回、福島第一原子力発電所から放出される処理水とは何なのかという話。

原子炉への地下水の流入に起因して放射性物質を多く含む水が発生し、

そのまま垂れ流しというわけにはいかないのでくみ上げて処理することになった。

まず、セシウムとストロンチウムを除去する。

そして、次にRO膜を使って原子炉の冷却に使う淡水を確保する。

残った塩水を多核種除去設備(ALPS)で処理することで、トリチウム(三重水素)以外の放射性物質を除去する。

この状態で所内のタンクに大量に保管されているわけである。

これを海水で希釈して環境基準以下であることを確認した上で海に放出する。

放出する放射性物質の総量は通常運転時の排出量、年22兆Bq以下とすると。


放射性物質もいろいろあるが、例えばヨウ素の放射性同位体、129Iがある。

ALPSでの除去でも特に苦労している物質らしい。

そもそも同位体というのは、中性子数の異なる元素のことを指す。

銅は 63Cuと65Cuと異なる中性子数の元素が69%, 31%で混ざって利用されている。

同位体は化学的性質はほぼ同じで、物理的にも容易には分離出来ない。

同位体というのはそういうものなので放射性同位体だけを除去するのは難しい。

ただ、汚染水の129I について言えば Iを含む物質を水から除去すれば目的は達成される。

ALPSでは化学的手法(例えば、薬剤を注入して沈殿する物質にする)や、物理的手法(例えば、活性炭への吸着)を組み合わせて、放射性物質を除去している。

必ずしも放射性同位体を含む元素のみを狙い撃ちにしているとも言えなくて、

活性炭への吸着では当然他にもいろいろな物質が除去されてしまうが、目的を達成する点では問題はない。

廃棄物という点では問題はあるかもしれないけど……

東電の見通しの甘さ、ここにも 福島第一原発で放射性汚泥の満杯迫る (朝日新聞デジタル)

放射性物質を多く含んだ汚泥が大量に貯まっているのだが、処理方法は決まっていない。

脱水により減容・安定化を図る方針は定まっているのだが、まだ脱水には至っていない。


トリチウム(3H)の除去が困難であるのは、水(H2O)として存在するためである。

汚染水の主成分は言うまでもなく水であり、それを捨てない限りはどうにもならない。

化学的性質に差がない同位体を分離することはおおよそ困難である。

これがトリチウムだけは放出しなければならない理由である。

一方、放出されたところで他の水素原子との化学的性質には差はない。

生物が水を飲むと、多くは排出され、一部は体内に残るわけだが、

一般的な水とトリチウムを含む水は化学的に差がないので、入ってきたのと同じ比率で排出・蓄積されることになる。

トリチウム分がやたらと高い水を飲み続ければ、放射線の影響はあるかもしれないが、

幸いにして海には大量の水があるため、これで希釈すれば比率は大きく下げられる。

海水で希釈しても総量が減るわけではないが、トリチウムの比率がやたらと高い水が存在する状況は回避される。


これがトリチウムを含む処理水を放出する理屈である。

その上で食塩ってどうなのかと考えて見る。

食塩の主成分は言うまでもなく塩化ナトリウム(NaCl)であり、

微量成分として にがり(塩化マグネシウム:MgCl)なども含むが。

塩を作る中では水分を何らかの方法で減らしていくので、当然その中でトリチウムがあっても抜けていく。

少なくとも処理水に必ず残るといっているトリチウムとは関係がない。


もしも他の放射性同位体が存在すれば、それが濃縮される可能性は別途検討がいるが、

日本ではイオン交換膜法による製塩が行われている。

日本の伝統的な製塩は塩田で濃度の濃い塩水を作って煮詰める方法だったが、

この濃度の濃い塩水を作る部分をイオン交換膜と電気エネルギを使ってやる方法にしたと。

実はこの方法、塩田のように広大な土地がいらない以外に、分子量の大きな物質は濃縮されないという特徴もある。

単純に海水の水分を減らして濃縮する方法だと重金属や有機物も濃縮される可能性があるが、

イオン交換膜だと膜を通り抜けられないので濃縮されず、排出されてしまう。


確かに中国や韓国では天日塩の生産を行っているようである。

そのため、日本とは同じように考えられないところもあるのだが、天日塩の場合、洗浄という工程が入る。

洗浄というのは塩を飽和塩水で洗う工程で、NaCl以外の成分を除去する作業である。

こちらの方がNaClの割合が高めやすいとされており、このためソーダ工業用の塩は日本でも輸入天日塩を使っているのが実情である。


というわけで食塩の主成分はNaCl、せいぜいMgClを含む程度である。

と考えれば、そこに今回放出される処理水の放射性物質は寄与しないのは明らか。

これが小学生レベルの化学の知識があれば理解できるという理由である。

放射性同位体だなんだというけれど、化学反応に限って言えば何も特別なことはなにもないのである。


放出まで時間を要したのは関係者の調整というのもあるのだが、

技術的な問題もなかったとは言えない。

先ほども書いたようにALPSは物理的・化学的手法により放射性物質を除去する装置だが、

元々の濃度が高くて除去率が低い放射性同位体もあって、129I, 106Ruあたりが問題だったよう。

現在は改良によりこれらも基準以下の濃度に下げられるようになったものの、

かつては不十分な場合であると知りながらも除去を続けざるを得なかったという。

なぜかというとタンクから放出される放射線量の低減が必要だったからである。


海水で希釈して放出する施設に投入する処理水はトリチウムを除く告示濃度比総和1倍以下であることが求められている。

トリチウムを除けば、希釈せずに海水に放出しても問題ないという意味である。

ところが実際にタンクにある水のうち、これを満たすのは35%だという。

用語として、ALPSを通したが基準を満たさない水を「処理途上水」と呼んでいる。

処理途上水をALPSに通し直せばそれは当然基準を満たすが、

それ以外の方法としてはRO膜を使った処理も考えられているようである。

RO膜は水(放射性同位体はトリチウムのみ考えればよい)を通し、

それ以外の物質(トリチウム以外の放射性同位体を含む)を多く含む水を分離できる。

分離された水だけをALPSに通し直して、それ以外は排出に回す。

そういうフローもありうるとは言っているが、まだ確定はしていない。

まずは基準を満たすALPS処理水に注力するとのことである。


もう1つの問題が年間22兆Bqという排出基準である。

そもそも原子力発電所では運転時にトリチウムなどの放射性物質を排出している。

そのときのトリチウム排出量の基準が年間22兆Bqで、これを処理水の排出にも適用すると。

初回の放出では31200トンの処理水を放出し、これが5兆Bq相当らしい。

年間放出量のおよそ1/4で、そして現在タンクにある水は134万トンである。

さらに新たに流入する水もあるので、放出は30年程度続くという見積もりである。

かなりの長丁場であり、これだけの長期間にわたり、安全に保管できるか、設備を維持できるかというのは課題と言える。

どうにもならない数字なら基準値の変更も考えたんだろうけど、

これなら対応可能と通常運転時の基準値を適用したのだろうが、これはこれで大変である。

トリチウムだけならば、十分希釈できれば問題ないような気もするが……仕方ないかな。

電気運搬船の使い方は何がある?

昨日、東海道新幹線の周波数変換所の話を書いた。

同期発電機がなくなると発生する問題があるところを打開したという話だった。

これと部分的に似ているかもしれない話。

パワーエックス、電気運搬船の初号船「X」の詳細設計を発表。25年完成を目指す (DRONE)


電気運搬船というが、単純にバッテリーを大量に積んだ船である。

余剰な電力を積んで航行して、需要地で放電するというもの。

蓄電池を運ぶというのは運搬にかかるエネルギーがあまりに無駄そうだが、

蓄電池なので機動的な充放電ができるというのは長所である。

その上で市場価格ではタダ同然になる電力系統で受け入れきれない電力を積み、

需要地で夕方など太陽光発電が減りながらも需要が高い時間帯に放電すれば、

その差額というのは相当に大きなものになると考えられる。

また、電気駆動も可能で、そうすればタダ同然で手に入れた電気で動けるわけである。


ただ、これを太陽光発電が盛んな九州から関東圏への運搬に使うのはなかなか実用的ではなさそうだ。

確かに九州電力と横浜市港湾局と、それっぽい名前は並んでるんだけどね。

宮崎~横浜は900kmぐらいあるが、電気だけでそんなに航行するのは難しそう。

電気での航行距離は100~300km程度を想定しているという。

900kmを普通に航行すると2日ぐらいはかかってしまう。

それなりに高価な船を使って、移動に燃料を使い、航行・放電・航行で5日ぐらいはかかる。多分割に合わない。

多分、九州に留まり、昼に充電、夕方に放電を繰り返す方がお得だと思う。


なのでもっと近くで使いたいということであろう。

洋上風力発電との組み合わせも考えられているようだが、まずは陸から陸でやるという。

一体どんな使い道があるんだろうといろいろ考えてみたのだが、

そういえば九州って独立した電力系統を持つ離島が多かったよなと。

そんな離島こそ太陽光発電の制限が問題になっている。


それが顕著な島が種子島である。

2015年に日本で初めて太陽光発電の出力制限が行われた地である。

種子島には内燃力発電所、ディーゼルエンジンを回す発電所がある。

内燃力発電所はコンパクトであるとともに、始動・停止が容易であるのも特徴。

ただ、急に太陽光発電の発電量が減少したとき、それをすぐに補うには発電所が動いてなければならない。

それに対応できる下げ幅が発電機の出力の50%だったという。

このため種子島では太陽光発電が多い時間帯でも内燃力発電が50%を占めることになる。

なお、蓄電池が充電された時間帯では、太陽光発電の出力が急に下がったとき、

追加の発電機を動かすまでの時間稼ぎに蓄電池を使えるそうで、

これにより太陽光発電の受け入れ可能幅を増やしている部分もあるそう。


このあたりは狭い島特有の問題でもあり、同じ太陽光発電でも広域に分散していれば、

急激な出力低下といっても太陽光発電がほぼ0になる想定はしなくてよい。

一方で九州では夕方以降のために石炭火力発電所が必要で、石炭火力発電所は機動的に始動・停止が難しい。

なので必要な石炭火力発電所は出力を15%まで下げて運転し続けているそう。

(かつては1機残して日中停止していたが、故障すると大変なのでやめたらしい)

風力発電が増加するとこのあたりの事情も変わってくるのかもしれないが。


というわけで、種子島のような離島に大型蓄電池船がやってくると、

太陽光・風力発電の多い時間帯は、余剰な電力を貯めつつ、急激な出力低下時に放電できるように備える。

こうすると内燃力発電所の運転台数を減らすことができそうだ。

少ない時間帯は蓄電池から放電して、内燃力発電の肩代わりもできる。

日単位ではこうして島内の調整をして、全体として余剰な電力を運び出す。

種子島から志布志までは85kmほど。これなら電気駆動の想定範囲である。


離島での再生可能エネルギーの導入拡大と、離島の電力供給の安定化に寄与するので、

こういう使い方はメリットを感じやすいかもしれない。

発電に向かない天候が続くときに他地域の電力を島に運ぶこともあるかもしれない。

内燃力発電所をなくすことはできないだろうが、稼働率は大きく下げられそう。


実際、この船はどういう使われ方をするのだろうか。

やはり洋上風力発電との組み合わせなんだろうか。

送電線を通じて時価で売却するより、輸送費はかかるが送電線なしで高価なところで売る方がお得というのが成り立つとすればあるのかもなぁ。

少なくとも冒頭に書いたような九州~関東みたいな使い方をするもんじゃないな。


蓄電池は機動的に充電・放電できることに期待があるが、

この機動性を発電所に持たせることができれば経済的である。

レシプロエンジン発電に脚光、機動性理由に東京ガスが30万kW導入 (日経xTECH)

ガスタービンじゃなくてガスエンジンを使った発電があるという話。

停止状態から90秒でフル出力になるとかそんなんらしい。

熱効率はコンバインドサイクルに劣るが、運転時間が4時間以内なら経済的と。

だから離島以外でも内燃力発電所の出番が増えるのでは? という話。


機動性という点では太陽光・風力発電もそうである。

というのも現在はこれらの発電所には指令により出力を止める機能を持たせている。

出力制御というとネガティブな印象もあるかもしれないが、

他の発電所と違うのは出力制御を解除すれば、すぐに発電が再開できること。

出力制御にかかるのは発電が多い数時間のみで、それも輪番である。

出力制御が解除されればすぐにフル出力に戻ることが出来る。

この下げる方向の機動性の高さは他の発電所にはなかなかない特色でもある。

発電を止めるのはもったいない気がするけど、全体としてわずかな時間帯のために余剰な電力を吸収する設備を作るのもなかなか経済的ではない。


電気運搬船は発電所自体に調整機能を持たせるより高価な方法だとは思うのだが、

時間帯・地域をまたぐことで得られるものもまた大きい。

マネージメントとしては難しいと思うのだが、条件次第では役立ちそうだ。

回転する発電機が必要だった理由

このニュースを見たとき意外だなと思ったんですが。

東海道新幹線の周波数変換装置が2037年度ですべて静止型に JR東海が発表  (TECH+)

東海道新幹線は東京~新富士では50Hz地域を走るが、全区間に渡って交流60Hzの電気で走っている。

後に開業した北陸新幹線では沿線の電源周波数に合わせて50Hz/60Hz両対応になっている。

この都合により、東海道新幹線には50Hzから60Hzに変換する変電所があるが、

なんと50Hzの電気で発電機を回して60Hzの電気を作る設備がまだ残っているという。


確かに当初の周波数変換は全てモーターを回す方法で行っていた。

電力会社の周波数変換所は最初からスイッチング素子を使った方法なのだが、

他励式変換器といい、他の発電所が動いているのが前提である。

東海道新幹線の開通当初はモーターを回すのが最も合理的だったと。

しかし、後に大容量の自励式変換器が作られるようになった。

これならば他の発電機に依存せずに電力供給が可能で、設備もコンパクトになる。

モーターを回すより効率がよいのは言うまでもなく、東海道新幹線では2009年から導入が始まったという。


段階的に置き換えが進められてきたが、まだ回転式は残っている。

西相模周波数変換所の2機は2027年度末に静止型への置き換えが決まっているが、

綱島周波数変換所の2機は技術的な問題があり、この時点では残ることになっていた。

しかし、打開策が見つかったということで2037年度末に全てが静止型になるという。


なにが問題だったのか。

伝統的な発電所というのは同期発電機を使っている。

系統内の全ての同期発電機は同一周波数を出すように回っている。

この特徴はごく短時間の需給バランスを保つために役立っていて、

急激に負荷が増加したときには、全ての同期発電機が揃って回転数を下げ、

回転エネルギーを放出して電力を供給するという挙動をする。

回転数が下がると電源周波数も下がるが、それを打ち消すように発電量を増やすことで短時間の需給バランスを取っているわけである。


全てが静止型の周波数変換器になると、このような機能が完全に失われる。

新幹線において急激な負荷増減が発生するケースとしては、

架線の地絡とダイヤ乱れ時に発生する列車集中があるという。

この2点に対処できれば、全ての周波数変換器を静止型にできる。

架線の地絡については電圧を下げるという方法で対応できるとのこと。

ダイヤ乱れ時については、運行管理システムによる調整を行うという。

このあたりは負荷を全てマネージメントできる新幹線だからこその方法か。


この問題はもしかすると新幹線だけの問題ではないかもしれない。

というのも太陽光発電・風力発電の導入拡大が進みつつあるから。

すでに需要に対して太陽光発電が集中するときに太陽光発電の出力抑制が発生しているが、

今のところは火力発電を最小限生かした状態を保っている。

現在、火力発電を最小限生かすのは日が落ちる夕方以降に備えてのものだが、

風力発電の拡大が進み、蓄電池の充実が進むと、それもほとんどいらなくなる時が来るかも知れない。

まとまった時間で停止できる火力発電所が増えれば、それだけ燃料の節約になる。

しかし、そうして火力発電が止まっていくたびに同期発電機の調整力が減っていってしまうのである。


この問題に対して、外国では同期調相機を設置するという対応例があるという。

同期調相機とは無効電力調整のために無負荷の同期電動機を接続するもの。

ただ、現在は無効電力調整の役目はコンデンサであったり、

スイッチング素子を利用したSTATCOMという機器で代替されたという。

同期調相機は無駄に回転するのでメンテナンスやエネルギ損失に難があると。

しかし、電力の需給バランスを回転エネルギの出し入れとして調整できるという点で注目されていると。

不要になった発電所の同期発電機を改造することで作ることができるのも長所。


実際のところ、どうなるかはわかりませんが。

この機能を蓄電池に持たせるという考えも当然ある。

まだ、系統に組み込まれている蓄電池の量がそこまで多くないので、

揚水発電のように昼間に蓄電して、夕方に放出するぐらいの使われ方だが。

しかし、蓄電池の速さを生かした使い方として短時間の需給調整は想定されている。

まずは火力発電所と蓄電池の協調で対応することになりそうですが。

たんぱく質はアンモニアになるね

おとといSAFの話を書いたが、最後にこうまとめた。

バイオマスが油脂として入手できるなら水素化して燃料にして、

糖に分解できるならアルコールにして、そこから燃料を作り、

どちらでもなければ熱分解してFT法で燃料に出来るというわけである。

(SAFは何からどうやって作る)


バイオマスの構成要素は大きくは たんぱく質・炭水化物・脂質 であると。

バイオマスの利用という観点では炭水化物はアルコールにでき、脂質はそれ自体が燃料になるというわけである。

そしたら、たんぱく質ってもうちょっといい使い道ないのか。

出所がはっきりした たんぱく質 ならば飼料になるのはいいんだけど……

もっと雑多なたんぱく質ですよね。


メタン発酵は雑多な有機物をメタンガス・二酸化炭素・水に変換するものである。

下水汚泥や生ごみの処理に活用できるが、導入施設は限られている。

生ごみも下水汚泥も燃やすのでは?

メタン発酵によりメタンガスが得られ、廃棄物の減量を図ることができる。

発酵後の固形分・液体分はそれぞれ肥料として使うことができるが、

実態としては肥料として使いにくく、固形分は焼却、液体分は下水処理へ回っている。


特に問題なのが液体分で、アンモニア分が多いというのが難点だと。

アンモニア分は肥料として有用だが、濃度が薄すぎて輸送・散布が大変で、

周辺に農地があって、タダでどうぞと言っても全然減らないのだという。

ところがアンモニア分を処理せずに流すとアオコや赤潮の原因となる。

このアンモニア分の処理にコストがかかるのがメタン発酵導入の課題という。

では、アンモニア分はどこから来るのか? これが たんぱく質 である。


下水汚泥や生ごみを直接焼却に回せば、設備はコンパクトだし、

発酵後のアンモニア分の処理を考える必要はない。

ただ、実は窒素分を多く含む汚泥は焼却するとN2O(一酸化二窒素)が発生し、

これが温室効果ガスとして影響が大きいので、削減が求められていると。

高温で焼却すると減らせるので、今後は焼却設備の改良や、石炭と混燃できる固形燃料化での削減を目指す方向らしい。


ここで気づいたのだが、アンモニア分を除去するのが大変と言っているけど、

逆にメタン消化で得られる液体からアンモニア分を濃縮できれば、

肥料としての有用性も高まるし、NOx対策の還元剤、化学原料としても使えるよねと。

確かにそれはその通りで研究されているようだが、なかなか難しいらしい。

もしそれが実現できれば、たんぱく質をメタン発酵させることの価値が高まり、

アンモニア製造のための天然ガスの削減で省資源にもつながるのだけど。


冒頭に書いたが、出所がはっきりした たんぱく質 は飼料として有用だが、

例外があって、それが牛である。BSE対策が必要になったためである。

魚・鶏・豚については、内臓など不要部位ならなんでも集めて、

ここから脂肪分を分離して、フィッシュミール、チキンミール、ポークミールといったものを作る。

これらは牛以外の動物の飼料として使用することが出来る。

一方、牛については、頭部や脊椎などの特定危険部位は焼却処分に回る。

ここだけは絶対に他に流出させてはいけないということであろう。

残りは脂肪分を分離するのは同じだが、牛肉骨粉は用途制限が厳しい。

焼却処分しかなかった時代もあったようだが、現在は肥料か魚用飼料に使える。

ただ、間違えて牛が食べてしまうと大変なので、いろいろ条件が付いている。


というわけで たんぱく質 というのはかなり有効活用されている。

飼料などにならない たんぱく質 がアンモニアになって喜ばれるといいが、

現実にはアンモニアになって困っているというのが悩ましいことである。

なんとかならんものか。

SAFは何からどうやって作る

SAF(Sustainable Aviation Fuel: 持続可能な航空燃料)についての記事を見て、

気になって調べたらわりと詳しい解説が見つかった。

SAF(持続可能な航空燃料)とは?特徴や製造方法、開発企業を紹介 (朝日新聞デジタル)


飛行機の燃料といえば灯油ですね。(地上で燃料に使う灯油より品質基準は厳しいが)

灯油と同じような成分の燃料を持続可能な方法で作ることをSAFと言っている。

同じようなことは灯油に似た軽油を使う自動車や船にも言えそうだが……

その中でも航空燃料に注目されるのは、2つ事情があるのではないかと思う。

1つはそもそもエネルギ消費が大きく、ゆえにCO2排出量も多い輸送手段とされていること。

もう1つは自動車のような電動化が難しいということではないか。

これは燃料の重量が燃費に大きく影響するがゆえのことである。


SAFを製造する方法は大きく3つの方法があるそうである。

  1. FT合成油: バイオマスを熱分解したガス分子を結合して灯油にする
  2. 水素化植物油: 油脂(廃食油など)に水素を加えて分解して灯油にする
  3. アルコール合成パラフィン: バイオエタノールから酸素を取り除いて結合して灯油にする

それぞれ長所も短所もある。


現在、SAFと言えば2.の廃食油に水素を加えて分解したタイプが多いのかな。

水素を加えて分解するというのは石油精製でも使われている技術で、

それと同じことを廃食油に対してやればよく、技術的にも成熟している。

廃食油は食品産業で油を使うと発生するので再利用すれば無駄がない。

ただ、問題は廃食油の確保できる量は限られているということ。

航空燃料のために植物油を増産するのに農地開発というのも難しい。

この方法を拡大するなら、藻類を栽培して油を得る方法との組み合わせが必要だと。


1.のFT合成法は、これはゴミから航空燃料を作ると言った方がよいかも。

木でも生ゴミでもプラスチックでも、熱分解すれば水素と一酸化炭素が得られる。

このようなガスから炭化水素を作る技術は古くから存在して、FT法という。

石炭や天然ガスからガソリン・灯油・軽油を作る技術として開発されてきた。

ただ、FT法では投入した原料のエネルギの半分程度の燃料しか得られないという。

熱分解と合成で多くのエネルギが熱に変換されてしまうためである。

それでもFT法を積極的に使ったのが南アフリカだというのだが、

これはアパルトヘイト下で石油の輸入が困難なので、石炭から自動車燃料を作る必要があったから。


ろくでもない技術だなと思ったかも知れないが、FT法にはよい面もある。

それは熱分解できれば効率はともかくなんでも燃料にできることで、

このため、他の方法での資源化が難しいバイオマスの燃料化に適する。

後で書くのだが、木材からエタノールを作る技術というのが開発されていて、

セルロースやヘミセルロースは発酵してエタノールになるのだが、リグニンは分解できずに残ってしまう。

しかしそれも熱分解すれば燃料になりうるというわけである。


3.のアルコールから燃料を作る方法が増産への期待度が大きいらしい。

バイオエタノールの原料というのは食品との関係が深いものが多い。

例えば、サトウキビだと砂糖を抽出した残りの糖蜜がバイオエタノールの原料になったり、

トウモロコシは逆にアルコール発酵後の残渣から飼料や油を作ったり……

ある程度は共存できると思うが、食料・飼料との競合が課題だという。

ただ、木やわらなど、食べられない繊維質のものを原料とするバイオエタノールもあって、

こちらは現状、有効に活用されていない原料を使えるので期待があると。

しかし、サトウキビやトウモロコシと違って、先に何らかの処理が必要になる。


エタノールはそれ自体が燃料でもあるし、プラスチックの原料にもなりうる。

そういうところで注目が多いというのもあるようだ。

そう考えると航空燃料より優先するべきところがあるのでは? とも思う。

ただ、それを上回るほどの増産を期待した技術なのかなと思った。

廃食油は天井が見えているけど、バイオエタノールはまだあるということかね。


SAFということは別にしてもバイオマスの利用というところでは、

  1. 飼料化: 食品残渣を家畜の飼料として利用
  2. アルコール発酵: デンプン分などを発酵によりエタノールにする
  3. 堆肥化: 生ごみを発酵(4.のメタン発酵を含む)により肥料にする
  4. メタン発酵: 有機物を発酵によりメタンガスにして発電などに利用
  5. 熱分解: 有機物を熱分解して炭にしたり、ガスをFT法で合成して燃料にする
  6. 燃焼: 有機物の燃焼により発生する熱エネルギを利用

上ほど条件が厳しい印象がある。

飼料にできる食品残渣は限られるし、アルコール発酵は糖に分解できるものでなければならない。

とはいえ、飼料もバイオエタノールも利用価値が高い物質である。

堆肥化は下水汚泥など広範囲に行われているが重金属が多く含まれては肥料にならない。

都市化が進んだ日本では堆肥化しても肥料の行き先に困る問題もある。

このため下水汚泥は発酵の有無によらず最終的には焼却されることが多い。


メタン発酵は残渣を肥料にしない前提ならば、プラスチックや金属が多少混ざっても可能である。

そこで発生するのがガスなので燃料としてその場で使わざるを得ないが、精製して都市ガスに注入したり、自動車燃料にしたりというのはある。

燃焼や熱分解は有機物なら何でも良いし、燃焼して残るのは灰だけでコンパクト。

さらに灰はセメントの原料になるので、これもリサイクルになる。

単純に燃焼してその場で熱エネルギを使うとなると用途は限られるが、

熱分解して燃料を作る方法は効率はともかく、できた燃料は輸送できる。


その上でSAFの3つの製造方法を見たときに、

バイオマスが油脂として入手できるなら水素化して燃料にして、

糖に分解できるならアルコールにして、そこから燃料を作り、

どちらでもなければ熱分解してFT法で燃料に出来るというわけである。

上に書いた方法ほど効率が高いと思うが、それぞれ原料が異なる。

特に熱分解は他の方法で利用されなかったり、分別困難なものが利用できる。

この点では将来的な期待はけっこうあるのかも。

白熱電球をLED電球に交換する

今の家は、玄関・キッチン・廊下が一体となっている。

玄関に至る廊下という性質から、玄関側・居室側にそれぞれスイッチがある。

3路スイッチになっていて、どちらでも入・切できると。

ただ、この区画には天井に照明が2つあるのに、1つは入居したときから点灯していなかったのである。


つい最近までは設計変更の痕跡? と思っていたのだが、

よく見ると電球が取り付けられていて、反対の照明器具を見ると白熱電球であることに気づいた。

ということは……と点灯していなかった照明器具の電球を取り外してみた。

そして観察してみると切れたフィラメントが転がっていた。

ということで、単純に切れた電球が取り付けられていただけだった。

入居前の点検で気づかなかった理由はよくわからないが。


とりあえずこの一件で白熱電球であることが判明したので、

そしたら他の電球もそのうち切れてしまうなと。

そこで長寿命のLED電球への交換を考えた。これならそうそう切れないと。

調査した結果、この家の白熱電球は廊下・トイレなどの天井にE17口金4個、風呂にE26口金1個あることが判明。

トイレなどは点灯時間も高々知れてるし、あえて交換するほどかとは思ったものの、

突然トイレの電球が切れたらそれは惨めだなと、全て交換することを決意した。


E26は一般的な電球のサイズなのであまり考えなくてよかった。

白熱電球との価格差も小さく、2個分の値段でLED電球が買えるほど。

それ以外のE17というのはあまり見慣れないサイズだなと思った。

当然、この形にもLED電球はあるのだが、選択肢がやや少ない。

元々付いていたのが40W相当で、照明器具には60W相当を付けろと書いてある。

25W相当だとかなり安かったが、せいぜい現状と同じ40W相当だろうと。


さらにいろいろ調べていてこういう罠があることも知った。

せっかくLED電球買ったのに!コイズミ製ダウンライトに対応したLED電球はコレ  (MEのHigeブログ)

天井に入り込んだ照明器具は周辺の断熱材のため熱が溜まりやすい。

このため当初は電球型蛍光灯・LED電球は適しないとされていた。

そのような電球の取り付けを防ぐため差し込み口に出っ張りを付けた器具がある。

電球型蛍光灯・LED電球は電気回路の配置上、根本が太くて入らないが、

通常の白熱電球であればひっかからないような位置に出っ張りがあると。


ではLED電球は取り付けてはいけないのかというと、

現在は「断熱材施工対応」となっているLED電球が多い。

今回購入したのはこのLED電球である。

LDA4N-G-E17S40V2P (NVC Lighting Japan)

この電球の形状を見てみると、根本を絞っていることがわかる。

こうして差し込み口に出っ張りがついた器具にも入るようになっていると。

その上で配光角180°と、ある程度広い範囲を照らせること、

太陽光に近い色温度で台所などにも適する昼白色のものを選択した。

元が電球なので電球色もよいかと思ったが、台所もあるしねと。


コジマの通販で注文したら翌日にはもう届いて、取り付けてみた。

入居時から点灯していなかった照明器具もちゃんと点灯した。

配光角が広めとはいえ、白熱電球とは違うので心配なところもあったが、

特に問題なくまんべんなく照らせているように見える。

昼白色になって今までとは雰囲気が少し変わったが、これは想定通り。


LED電球にすることで入居期間中に電球交換をすることはなくなると思う。

費用もさることながら、電球を常備して交換する手間がなくなるのはよい。

あと、電気代の削減効果も意外とありそうだなと。

玄関・台所・廊下の照明は常に付けておく必要はないが、

煩わしいと長期間点灯しっぱなしになっていることも多かった。

40W相当の白熱球の消費電力は36W、LED電球の消費電力は4Wである。

1日平均6時間で年間で削減できる電力量は70kWhである

1kWhあたり約25円(2023年1月実績)とすると1750円となる。

LED電球1個800円だから、半年で元が取れるという計算である。


もうすっかりLED電球だと思い込んでましたけど、

むしろLED電球を拒む構造になっていたのは微妙な時期だったんでしょうね。

現在は電球・蛍光灯の照明器具を新規に取り付けることはないと思われる。

これはLED照明の価格が下がり、電球・蛍光灯を選ぶ合理性がないため。

蛍光灯照明器具は安定器の老朽化対策で取り替えが進んでおり、

前の社宅も、今の家もメインの照明はLED照明が備え付けになっているが、

おそらく当初は蛍光灯だったのを後から交換したのではないかと。

一方、電球の場合は照明器具自体の老朽化は問題になりにくい。

LED電球に交換できればそこからは長く使えるが、惰性で白熱電球使い続けているところも少なくないでしょう。


これで家の中の白熱電球は駆逐したつもりだったが、

台所の換気扇の中に電球が入っているらしい記載がある。

ただ、電球の現物を確認していないのと、使用頻度もそこまで高くないのでよいかなと。

台所には流しの上に蛍光灯があるが、こちらは引越前から使っているLED照明を移設している。

台所を照らすLED照明

これは一瞬で点灯するという点でLEDのメリットが大きい。

試作品は不良品だらけ

明日は早朝に家を出るというのに、珍しくも残業。

というのも今日の午後に試作品が届いたのである。

それで月曜が休暇なので、今日中にセットアップと簡単な動作確認ぐらいはやろうと。

そこまでやっとけば月曜の作業で困ることはないでって。


ただ、この試作品、なんと届いた基板のうち6割ほどが不良だった。

しかもプロジェクトの特殊性から特定のタイプは予備品がない。

「1枚でも壊れたらスケジュール崩れるから」とは言っていたけど、まさかね。

正しく動くものもあるので設計ミスということはないわけだが……


調査したところ、ある部品のはんだ付けの不良であることがわかった。

特殊な はんだ付けが必要になる部品だとまずいなとおもったのだが、

幸いにして一般的なはんだごてで修正可能な内容ではあった。

工場に送りつける証拠写真を撮影した上で、修正しやすいもの1枚を先行してリワークしてもらい、

これで最低限のテストができる体制になった。

他もこの部品のはんだ付けの問題ではないかとみられる。


けっこう試作品の製造不良って多いんですよね。

工場に言わせれば「試作品にはAOI(自動光学検査)かけないからね」と言うけど、

そういうレベルではないミスが見つかっている状況である。

どうしてこういう不良を引き起こしたのかという背景はある程度想像できるのだが、

なぜその手順で作業する必要があったのかという疑問はやはりある。

あと、その手順でやるにしても作業者の技量としてどうよという話はある。


工場にとってみれば試作品の製造というのは非定常作業であって、

それでやはりいろいろあるのは理解できる面もあるけどね。

しかし、怖いのは製品の製造でもこういうミスをやらかしていることであって、

製品の場合は各種の検査で発見されることも多いんだろうが。

(AOIをかけてないのを免罪符にされるほどにはAOIが効果的なのだろうか?)


ただ、全般的に見れば心配していた問題はあまりなくて、とりあえず一安心。

とりあえず製造不良らしきものはリワークして使えるようにした上で、

壊さないように注意深く扱って、評価でも問題が起きなければ……

というわけだから、来週・再来週は忙しそうだ。

周波数変換設備はどこに置く?

昨日、直流送電の話を書きましたが。

日本海経由で北海道から電気を送る

日本で直流送電と言えば忘れてはいけないのが、周波数変換設備である。

60Hzの中部電力と50Hzの東京電力の間の送電は直流送電による必要がある。

これを周波数変換設備と呼んでるんですね。


この周波数変換設備、両社の営業エリアの境目付近にありそうなもので、

確かに東清水変電所はそういう立地なのだが、これは3番目に出来た設備である。

他はあんまり境目付近じゃないんですよね。

日本初の周波数変換設備は 佐久間周波数変換所 なのだが、

所在地は浜松市天竜区佐久間町、静岡県ではあるけど1kmも行けば愛知県豊根村なんですね。

かなり中部電力エリアに入り込んだところだが、なぜそこで60Hz地域と50Hz地域をつなごうと思ったのか?


その理由は近くにある佐久間ダムと佐久間発電所(水力)にある。

このダムと発電所はJ-POWERの施設で、1956年に運転開始している。

天竜川の豊富な水量と、大きな渓谷を生かした当時としては破格の大規模発電所である。

このため静岡県・愛知県境という立地にもかかわらず、60Hz・50Hzを切り替えて発電できる仕組みが導入された。

発電所からの電力を送る送電線もJ-POWERが建設・所有していて、

60Hzの電気は名古屋付近で中部電力の送電線に接続する佐久間西幹線、

50Hzの電気は川崎付近で東京電力の送電線に接続する佐久間東幹線で送られる。

両地域に大電力を送るのだから2つとも275kV送電線である。

これが1965年に日本初の周波数変換設備が佐久間町にできた理由だという。

この頃は大電力を扱える半導体素子がなく、水銀整流器(整流器という名前だがコントロールにより直流→交流の電力変換も可能)を使っていたという。

1993年には光サイリスタを使った設備に更新されている。


次に作られた周波数変換設備は新信濃変電所である。

信濃とある通り中部電力の営業エリアである長野県朝日村にあるのだが、

この変電所は東京電力の50Hz用の施設である。

なぜかというと東京電力は信濃川水系の水力発電の権利を持っていて、

このために長野県内に東京電力の水力発電がいくつかある。当然50Hzである。

特に1970年頃には揚水発電所が3つもこの地域にできて、大量の電気が出入りするようになった。

当時、送電線の大容量化のため500kV送電線というのが導入されつつあり、

水力発電所群と埼玉県方面と500kV送電線で接続するための変電所として作られたのが新信濃変電所だそう。

周りは60Hzの中部電力管内、その中に東京電力の営業エリアと大電力をやりとりできる変電所があるということで、ここも周波数変換設備の適地とされた。

そこで中部電力の275kV送電線が引き込まれ、1977年から周波数変換設備が稼働している。


そして3つ目が最初に「営業エリアの境目付近」と書いた東清水変電所である。

これ自体は中部電力が静岡市清水区周辺に電気を供給するための変電所で、

末端の需要家に向けて電圧を下げるために存在していた変電所である。

ちょうど営業エリアの境目付近ということで周波数変換設備が置かれることになったが、

実は中部電力にとっても、東京電力にとっても営業エリアの端なので、送電線の増強が必要だったのである。

中部電力側の送電線はもとも154kV送電線だったので、275kV送電線を新設する工事を行ったが時間を要したとのこと。

東京電力側は駿河変電所(富士市:東京電力の営業エリア内)まで来ていた154kV送電線を延長するのがやっとだった。


2021年、4つ目の周波数変換設備として飛騨信濃周波数変換設備が運用開始された。

飛騨と信濃とついているのは、60Hz側が飛騨変換所(高山市)・50Hz側が新信濃変電所と違うところにあるためである。

他の周波数変換設備は同じ敷地内に60Hz・50Hzの送電線を引き込んでいるのだが、

この周波数変換設備は2つの施設の間を直流送電線で結ぶ形で作られている。

どうしてこういう方法が取られたのか?

明確な理由は書かれていないが、おそらくは中部電力側の送電線の都合ではないかと思う。

飛騨変換所は越美幹線、越中と美濃を結ぶ500kV送電線に接続されている。

この送電線の沿線には目立った発電所や需要地はないが、おそらくは北陸電力と接続する南福光連系所(南砺市)のために作った送電線であろうと思う。

この送電線にはかなり余裕があるので、60Hz側の接続先に選ばれたのではないか。


現在、佐久間周波数変換所・東清水変電所の周波数変換設備の増強が進められている。

変換設備を増設すれば済むという話ではなく、接続する送電線の増強も必要である。

佐久間東幹線を増強し、そこから分岐して50Hzの275kV送電線を東清水変電所に引き込むルートを作り、

60Hz側も接続先の変電所を通る電力が増えるということで、変圧器の増設をしたり。

周波数変換設備が4箇所に分散して設けられているのは、地理的分散というのもあるかもしれないけど、周辺設備の都合もけっこうありそう。


結局のところ交流のまま接続できたとしても、送電線の増強、変圧器の増設といった対応は必要なんですよね。

50Hz地域・60Hz地域ともども連系線の強化を進めているが、これもけっこう大変なんですよね。

直流送電(周波数変換設備含む)がいらないけど、だからといってそう簡単ではないのはこういう事情である。