前にニュースになっていて気になったことだが、
青森県六ヶ所村で作っている原子力燃料の再処理工場ってどうなってるんだ? と。
そもそも長いプロジェクトだったが、それに輪を掛けて遅れているはず。
気になって調べたところ2026年度中の完成予定らしい。
原子力発電の使用済燃料には燃え残りのウランやプルトニウムがある。
これを再利用することを目的として行われるのが再処理である。
再処理を行わずに使用済燃料を埋めるという選択肢もあるが、
燃え残りの核燃料が回収できない上に、高レベル放射性廃棄物の量が増える課題がある。
このため再処理には意義があるとされている。
ただ、この前提が崩れかねない問題があった。
再処理ではウラン・プルトニウム以外の放射性物質を多く含む溶液をガラス固化体にする。
このガラス固化体は安定性が高く、長期間安全に保存できることが見込まれている。
ところがこのガラス固化体を作る中で詰まりが多発、
対策として燃料を入れずにガラスを流せばよいが、そうするとガラス固化体の本数が増えてしまう。
そしたら前に書いたような目論見が外れてしまうのでは? と。
結論から言えば、この問題は打開されたようである。
ガラス固化技術の確立から新型ガラス溶融炉の開発へ (日本原燃)
2008年に問題が発生し、そこから2014年頃に対策した設備の効果が確認出来、
余計な洗浄運転を挟まずともガラス固化体が作れる目処が立ったと。
あとは原子力規制委員会の審査だが、ここは関西電力がサポートに入っているよう。
関西電力が助っ人 32年〝漂流〟の核燃料再処理工場 2026年度完成へ今度こそ正念場 (産経新聞)
関西電力は福井県内に原子力発電所を多く保有しているが、
福井県からは使用済燃料の搬出が求められている。
こういうのは福井県に限った話ではないが、関西電力は再処理工場への搬出を中心に考えている。
でも、それをするには再処理が開始する必要があるので、強力に支援していると。
ただ、再処理が軌道に乗ってもそこからはまた長いんだよな。
まずは再処理を行うとプルトニウムが生じる。
この使い道は当面は、というか今見えている範囲ではMOX燃料として、現在の原子力発電所に装填するしかない。
というわけでMOX燃料が発電所に運ばれて使用されると。
MOX燃料はいつか使用済燃料となり、当面は発電所内で保管される。
これも再処理を行うのだが、現在の再処理工場はMOX燃料の再処理を想定した計画ではないそう。
10月10日付 東京新聞1面『再処理誤った設問』の報道内容について (NUMO)
ただし、原理的には可能なので、次に作る工場では対応予定と。
運べるようになるまで発電所で長期間保管している間に話は進むだろうということか。
もう一方の放射性廃棄物、これこそ行き先は決まっていない。
こちらもできてすぐに埋められるわけではないので、どのみち当面は保管である。
ところでここで発生する放射性廃棄物はガラス固化体だけではない。
地層処分相当低レベル放射性廃棄物(TRU廃棄物)とは何ですか? (NUMO)
燃料棒というのはジルコニウム合金の被覆の中に酸化ウランとして焼き固められた燃料が入っている。
再処理では燃料棒を切り刻んでウランなどを溶かすわけだが、
ジルコニウム合金の部分は低レベル放射性廃棄物ということになる。
低レベル放射性廃棄物ではあるのだが、高レベル放射性廃棄物と同じような地層処分を行う。
それって高レベル放射性廃棄物と何が違うんだ? と思ったのだが、
燃料そのものに比べれば発熱量は少ないわけですよね。
高レベル放射性廃棄物の処分(その2)処分場の設計に係る現状と諸課題 (pdf) (NUMO)
ここに地下施設のイメージというのがあるが、TRU廃棄物用の設備はかなりコンパクトである。
TRU廃棄物はトンネルの中にどんどこ積んで、そのトンネルを埋めてしまう。
こういう形で比較的高密度に集積できると。それは比較的発熱量が低いからと。
これに対してガラス固化体はトンネルに穴を開けて、ガラス固化体と緩衝材を入れたり、
ガラス固化体と緩衝材を合わせたブロックをトンネルに並べたりすると。
このため処理密度が全然違うわけですね。
と、ありとあらゆるところで時間稼ぎを行う計画なわけですね。
再処理工場に運び出しますからといいながら、かなりの長期間を原子力発電所で保管してきたわけだが、
その言い訳もさすがに通じなくなる頃にはなんとか再処理工場ができて、
再処理工場で生じるMOX燃料はとりあえず発電所で活用するが、
その使用済燃料は再処理に回すけど、当面は発熱量が多いので発電所保管でと。
再処理工場で生じる高レベル放射性廃棄物も発熱量が大きいから当面は保管するが、
これもさすがに言い訳できなくなるまでには埋めるところを用意しないといけないと。
これも難航しそうですが。立地場所もさることながら、掘って埋める仕組みが大変ですよね。