日本の障害レースはsteeplechaseかhurdleか

オリンピック前半戦を沸かせた柔道は今日の団体戦でおしまい。

決勝戦は日本 vs フランス といういかにもな組み合わせで、フランスの勝利で幕を閉じた。日本は銀メダルですね。

日本は個人戦で絶好調(男女14階級で金メダル9個、銀メダル1個、銅メダル1個)に対して、

フランスは金メダル1個、銀メダル1個、銅メダル2個と悔しい結果だっただけに、団体戦にも熱が入ったんじゃないかと。

団体戦で勝てば全員が金メダリストですからね。これにはかなわないね。


後半戦にさしかかり、国立競技場では陸上競技がスタートした。

最初はいろいろな種目の予選ですけど、3000m障害で日本の三浦選手が好タイムで決勝進出を決めた。

この競技で日本選手が決勝に出るのは49年ぶりということだそう。

タイムを競う種目でも決勝に出る人数を絞り込むために予選があると、まずここをくぐり抜けないといけない。

決勝でタイムを残せるということはたいへん名誉あることだと思いますよ。


オリンピックの陸上の走る競技で、飛びながら走るのは3000m障害と100mハードル(女子)、110mハードル(男子)、400mハードルがある。

ハードルは小中学校で経験があるだろうけど、倒しても走りきればOKというわけですね。

3000m障害は倒せないハードルと水濠が設置され、タイムロスにはなるがハードルの上に乗っかったり、水たまりを歩いてもOK。

陸上競技の中でも危険な種目だと言われている。飛び越えるのに失敗すると大きなケガにつながるからですね。

英語表記では 3000m steeplechase となる。略して3000mSCとのこと。


というところで思い出したのだが、競馬の障害レースについて、外国では steeplechase と hurdle という2種類のレースがあるらしい。

今日はオリンピックの裏では新潟競馬場で 新潟ジャンプステークス(J・GIII)が行われていた。

さて、このレースは steeplechase なのか hurdle なのか? 実は結構難題である。

JRAは障害レースは基本的には jump と記載している。

“Jump (Steeplechase)” という記載もあるから、どっちかというとsteeplechaseなのかな? とは思うがどうでしょう?


というところで、競馬の障害レースってどんな障害があるのかというと、競馬場やレースによってけっこう違う。

日本ではJRAの競馬場のうち、中山・東京・京都・阪神・中京・小倉・新潟・福島 で実施されている。

(地方競馬では現在は実施されていない。ばんえい競馬も坂を越えて走るという点では障害レースかもしれないが

基本的な障害物は生垣や竹柵だが、それ以外にも水濠、バンケット(飛び上がり飛び降り台)、坂路 なんてものも。

重賞レースでは難易度の高い障害物が用意されることがある。

ただ、さっき挙げた8つの競馬場のうち、中京競馬場・新潟競馬場は障害専用のコースがない。

この場合、置き障害と呼ばれているが、通常の芝コースに設置された可動式の障害物が全てなんですね。

(置き障害自体は他の競馬場でも固定式の障害と併用される)

置き障害は全て竹柵障害で比較的低く、実況では「ハードル」と言われることもある。

ってことは置き障害しかない、新潟ジャンプステークスって steeplechase というより hurdle なのか?


というわけで世界の障害レースを調べてみよう。

2021 International Cataloguing Standards Book

これは国際的なレースとその格付けをリストアップしたものですが、障害レースは国際的な格付け体系はない。

“Part IV (Jumps)” として11か国の主な障害レースが記載されている。平地に比べるとだいぶ限られますね。

レース名には Hurdle か Stp.(steeplechaseの略)のいずれかがついているのが大半ですね。

2020 Unibet Champion Hurdle Challenge Trophy – Racing TV (YouTube)

L’AUTONOMIE EN IMMENSE CHAMPIONNE ! | Grande Course de Haies d’Auteuil 2021 | Groupe 1 (YouTube)

イギリスとフランスの hurdle ですが、ハードルって言ってもだいぶ見た目が違うな。

あと、日本の障害レースを見慣れた人にとっては、スタートにゲートを使わないというのがまず驚きかも。

2020 Magners Cheltenham Gold Cup Chase – Racing TV (YouTube)

GRAND STEEPLE-CHASE DE PARIS 2020 | Docteur de Ballon | Auteuil | Groupe 1 (YouTube)

イギリスのチェルナトムゴールドカップ、フランスのパリ大障害という、有名な steeplechase のレースですね。

チェルナトムゴールドカップは単調に見えるけど、障害物がえらく高いな。


じゃあ、日本の障害レースってどんなもんだよって、YouTubeにはJ・GIしか上がってないな。

2021年 中山グランドジャンプ(J・GⅠ) | メイショウダッサイ | JRA公式 (YouTube)

これは間違えなくsteeplechaseであろうと思うんですが。

でも、それ以外でもJRAの全レースの映像がインターネットで見られますので。

重賞レース一覧(重賞) 2021年 (JRA)

今日の新潟ジャンプステークスとか、あと最近、中京開催の京都ハイジャンプ が置き障害だけのレースですね。

上で紹介したhurdle に似てるような気はするけど、若干高い気がする。

調べたところ、イギリスでは hurdleは1.07m以上、steeplechaseは1.37m以上の障害で構成されるとあり、

日本の置き障害は主に1.3m、一部1.2mの高さなので、hurdleの範疇だが、若干高いかもしれない。


それよりなにより日本の障害レースは速いらしい。

比較がなかなか難しいところがあるのだが……

Champion Hurdle Challenge Trophy(2mile87yard=3298m)の最近の優勝馬の走破タイムは 3分45秒~4分07秒程度、

典型的に3分50秒程度として、14.3m/s=51.6km/hということですね。

Ryanair Chase(2mile4furlong127yard=4139m)の最近の優勝馬の走破タイムは 5分05秒~23秒程度、

典型的に5分10秒程度として、13.4m/s=48.1km/hということで、steeplechaseは距離も難易度も高い分多少遅い。

それに対して、中山グランドジャンプ(4250m)の最近の優勝馬の走破タイムは4分43秒~5分02秒といったところ。

典型的に4分50秒程度として、14.6m/s=52.7km/hって、ハードル並みに速いんですよね。

置き障害だけで実施された、中京開催の京都ハイジャンプ(3900m)に至っては4分14秒8で優勝だから、15.3m/s=55.1km/hですからね。


なんで速いのかというと、負担重量がだいぶ違って、ヨーロッパだと70kg以上で騎乗するところ、

日本の障害レースは難易度が高いJ・GIで63kg、他の障害レースだと60kg程度なんですよね。

障害を速いスピードで飛び越えるほど難易度は上がり事故が起きやすくなるという話で、

安全に飛び越えるためにはよく練習して、時には競走中止という決断もしないとならないわけだよね。

日本の障害レースが目立って危ないという話は聞いたことはないけど、どうなんでしょうね?

いずれにせよ日本の障害レースは速くて、速さに着目すればhardleだが、障害の難易度はsteeplechaseに近いといったところか。


あと、日本の障害レースを走る馬は、平地でデビューして未勝利だったり、クラスで頭打ちになった馬が転向することが多いけど、

ヨーロッパの障害レースが盛んなところだと、最初から障害でデビューする馬がいて、そういう馬のための平地レースってのがある。

アイルランドのJump Raceの一覧に”Champion INH Flat Race”ってのがあるけど、そういうやつです。

ハードル0個というだけでルールは障害レースと同じで、距離は他の平地に比べて相当長い。

このあたりのキャリアパスの違いも、日本の障害レースが速い要因につながっているのかも知れない。


というわけで、日本競馬の障害レースはsteeplechaseなのかhurdleなのかというのはちょっと難しいのだが、

多分、新潟ジャンプステークスは置き障害だけのスピード勝負なのでhurdleに該当すると考える方が自然でしょう。

でも、日本競馬のレース体系ではこれを区別することはないわけですよね。

どっちかと聞かれれば、固定障害を備えた競馬場が多いので、steeplechase と回答するわけだが、

最高難易度の中山グランドジャンプ・中山大障害でさえ、そのスピードはヨーロッパのhurdle並みですからね。なかなかですね。

"pingdemic"に苦しむイギリス

新型コロナウイルス対策でワクチンに手応えを感じて、

長らく続いていた各種制限を大きく緩和したのがイギリス。

成人の接種率は8割ほどに達しており、感染者数が増加しても死者数の増加は少ないということで、

感染者数が増加する中で規制をほとんどなくしたら、なぜか感染者数が減っていった。

このことに奇妙だと思っていたが、現在のイギリスでは非常に困ったことが起きているようだ。

規制解いた英国の誤算 自主隔離が急増し、人手不足に (朝日新聞デジタル)

“pingdemic”と言われているそうだが、アプリ接触通知(ping)で大勢の人が自宅待機となり、

生活必需品の供給や交通機関など生活インフラに大きな影響が出ているということである。


日本では全然役に立っていないといわれる接触通知アプリCOCOAだが、

イギリスではちゃんと機能しているようで、それは接触したという判定基準の差もあるのかもしれないが。

各種の制限が解除されたイギリスだが、接触者は10日間の自宅待機を要することになっており、

感染者数の増加により通知を受ける人がかなり多くなってしまったということらしい。

この状況と関係あるのか知らないけど、接触者は自宅待機を要するというルールはなくなる方向らしい。


制限緩和によりイギリスの感染者数が減少しているのは奇妙な話だというが、

明確な理由は見あたらなかったが、いくつかの複合的な要因が指摘されているようだ。

  • 学校が休み期間に入ったこと
  • “pingdemic”により自宅待機となる住民が増えたこと
  • 積極的な検査をしていたが、この実施件数が減ったこと(“pingdemic”を見て、検査を忌避する動きもある?)
  • “pingdemic”を見て、アプリをアンインストールする動きがあること

実態として感染者数が減っているのかはなんとも言えない。

今まで過剰検出の感はあったので、その反動で減ったように見えることはありうる。

死者数は緩和後に増加傾向だが、制限緩和が死者数増加に寄与しているかは不明である。

感染者数の増加と死者数の増加はタイミングがずれるものだから。

このまま横ばい程度で推移すれば、これはこれでよいのかもしれないが、果たしてどうなることやら。


先の記事にも書かれているのですが、現在もイギリスではマスク着用の励行が求められているところ、

公共交通・ショッピングセンターなどでのマスク着用率は3割程度とのこと。

ウイルスの変異が進む中で感染性が増しており、マスク着用だけでは十分な効果を得にくいところはあるが、

ただ、症状の有無、ワクチン接種の有無を問わず、マスク着用を行うということは、

蔓延状況の急激な悪化を防ぐという点では効果が期待できるところである。

日本ではそこまでのことは起きないのでは? と思うものの、注意していきたいところである。


日本ではどうしてもワクチン接種をしたくないというのは1割程度とのアンケート調査があり、

最終的には対象者の8割程度のワクチン接種は十分見込めるだろうから、

イギリスの対策というのはかなり参考になるものではないかと思う。

“pingdemic”は明らかに想定とは違う現象なわけだけど。

ただ、自宅待機すら働かなくなるとどうなるかね。

特に、今回の”pingdemic”で検査を忌避する動きが出たらしいことが気がかりである。

確かに無症状の人を網羅的に調べる必要はないと思うが、有症状の人すらも忌避するようになれば実態がつかめなくなりかねない。

そんなことはないかな? でも、そういう懸念も出てくるほどに”pingdemic”は大問題のようだ。

チャージは紙幣だけだから

先週、こんな話を書いて終わりましたが。

そういえば、小銭の取扱コスト削減といえば、前にとあるスーパーで気づいたことがあったけど、

それはこの話とはだいぶ違う話なのでまた改めて。

(J-Coin Payはどこへ行く?)

これ、万代というスーパーの「mandai pay」の話ですね。


夏休みに親元で厄介になったときに買い物に行ったのだが、そこで万代に行った。

万代に買い物に来てるのは意外だったのだが、時々行ってるみたいですね。

で、ここでの支払にmandai payという専用の電子マネーを使っているのだという。

特定日にチャージすると特典が付与されるというのもあるのだが、

mandai payを使わないと支払がめんどくさいという事情もあるようだ。


まず、mandai payのチャージは専用の機械が置かれている。

カードの裏面を上向けて入れるみたいだが、裏面に書かれたバーコードを読み取ってるのでは? とのこと。

あらかじめチャージしておいて、カードをレジ係に渡して精算する。

これで済むということが重要で、そもそも万代は現金以外での精算に対応していない。

万代も店によるのかもしれないが、この店はセミセルフレジが設置されている。

このため、mandai payを使わない場合は、レジでの登録後にセミセルフレジに回って現金精算する必要があるところ、

mandai payを使えば、セミセルフレジに回らずとも精算が完了するわけである。これがとてもありがたいわけだ。

なので、万代で買い物するという前提で言えば、mandai payは便利である。


最初に書いた話ですが、mandai payを利用して買い物する人は、チャージは紙幣で行い、つり銭を出す必要はない。

最近は小銭の取扱コストが増しているが、紙幣の預け入れで手数料を取る銀行はおそらくない。

このため万代はmandai payを運用することで、小銭の取扱コストを大きく削減できる。

さらに、売上金は現金で入ってくるので、資金繰りの面でも有利なはず。

その代わり、mandai payのシステムは自社専用なので、その運用コストは自社で持つ必要がある。

また、自社専用の電子マネーでも事業規模より自家型前払式支払手段としての規制を受ける。

第三者型前払式支払手段に比べれば条件はゆるやかだったはずだが。


小銭のやりとりがなくなるのはよいが、mandai payは店に現金を持参してチャージする必要はある。

WAONのような電子マネーも現金を持参してチャージする人は多いですけど、

一方でイオンカードでのクレジットチャージ、イオン銀行からの銀行チャージという手段もあり、

この場合は店に現金を持ってくる必要はないので、そうすればキャッシュレスでの買い物になる。

これに対して、現金チャージ以外の手段を持ち合わせていない mandai pay はキャッシュレスというには弱い。

現金チャージのみにすることでコストを低減し、資金繰りのメリットも得ようとしているのでしょうけど、

キャッシュレス化のメリットとして言われる、現金の手持ちがなくても買い物できるというメリットは得られにくいだろう。

(あらかじめ mandai pay に残高を積んでおけばよいが、使える店が限られ、払戻はできないので


小銭の取扱コストが増大する中で、キャッシュレス化が進むこともあるのではないかと言うが、

できるだけ紙幣だけでの収受を行うようにすれば、小銭特有の取扱コストを回避することはできる。

せいぜい、おつり用の千円札を両替してもらうのに手数料がかかるぐらいかな。

現金を取り扱う以上、盗難・警備といったコストはかかるのだが、それはもともとかかっていたものですから。

紙幣のみの現金取扱コストというのは、おそらく他の支払手段のコストより安いはず。

ただし、それを実現するために mandai pay のような自社専用電子マネーを導入するコストまで含めて安いかは知らない。


ほとんどの人は給料などを銀行振込で受け取るわけだから、銀行口座から現金を引き出すことなく決済できてこそキャッシュレスである。

手段はいろいろあって、クレジットカードだけでなく、銀行口座からチャージする電子マネーやデビットカードでもよいと思うし、

利便性を考えると日常の買い物では使うことは少ないが、銀行振込というのもキャッシュレス決済手段の1つである。

そういえばレンタル業者からノートPCを買ったときは銀行振込で払いましたね。(cf. レンタル業者の特別販売)

でも、よっぽど高額じゃなければ手持ちの現金で払えるという人がほとんどなわけですから、

mandai payのような現金チャージして買い物するというのは、わりと受け入れられるかもしれない。

でも、キャッシュレス化が進む中で、ATMの撤去、手数料増大という懸念もありますからね。どうなることやら。

男女競技あってもルールが違うことも

オリンピックでサッカーの女子競技を観戦していた人が、

男子に比べると体力が劣るので、競技として面白さに欠けるというような指摘をしていて、

そこを埋める戦術もあるわけですが、それは本質的な面白さではないのではと、そういう考えもあるのかもしれない。

あくまでもこの人の意見だし、僕はサッカー観戦をしないからなんとも言えないんですが。


オリンピックでは今はほとんどの種目で男子・女子両方の競技が行われている。

女子競技しかないものとして、新体操とアーティスティックスイミングがある。

特殊なものとして、野球・ソフトボールはそれぞれ男子競技・女子競技のみが実施されている。

(もっとも、オリンピックの正式種目からは除外されて、東京大会は追加競技としての実施だが)

また、馬術は男女不問で行われる唯一の競技である。


一方で男女で実施種目に差があるものはあり、顕著なのが体操ですよね。

まず、男女で実施する種目が異なる。

男子は ゆか・鞍馬・吊り輪・跳馬・平行棒・鉄棒、女子はゆか・跳馬・段違い平行棒・平均台 と。

男子の鉄棒、女子の段違い平行棒 など類似性のある種目はあるのだが。

女子競技では音楽を流して、技の連続性が重視される一方で、男子競技では音楽なしでピシッとした演技が評価されるという。

この違いは体操界として共通的な見解であろうから、特に言うことはないのだが、ここまで違うのは不思議だなと。


最初にサッカーの女子競技について指摘していた人に、野球とソフトボールの話をすると、それはうまくやってるよねとの反応。

野球・ソフトボールともに男子・女子の競技は行われているが、女子野球は普及度が極めて低い。

男子野球は、アメリカ・カリブ海・東アジアに偏ってはいるが、プロ・アマチュアともに人気が高いスポーツである。

なので、これをオリンピックでやりたいのだが、それと対となる女子競技が野球では難しい。

一方でソフトボールはレクリエーションスポーツとして発展した経緯から、男女まんべんなく行われているわけですよね。

この背景には野球に比べて狭いフィールドで実施するという競技の特徴もあるわけですが。

オリンピック競技としては珍しい組み合わせだったけど、これはこれで受けいられていたわけですね。


そういうルール上の工夫があってもいいのかもねという話ではあるが、今さらなのかも。

女子サッカーの強豪というのは、かつては男子サッカーの強豪とはまるで違ったのだが、

最近は男子サッカーの強豪国が女子サッカーで力を付けてきているなんて指摘がある。

そのように力を付けてきたチームに日本チームは苦戦しているという、そういう話らしい。

今回のオリンピック、なんとか予選リーグは突破したが、厳しい戦いだったようだ。

世界の競技レベルが上がってきていると考えれば、ポジティブに捉えることもできるのかもしれないが、試合で勝たんことにはね。


ちなみに現在、オリンピックでは女子競技のみ行われているアーティスティックスイミングと新体操だが、

どちらも男子競技は行われていて、国際大会も行われている。

歴史が浅い分、競技レベルの引き上げには時間がかかりそうだけど、男子競技としての特色を見いだそうとしているようだ。

これは将来的なオリンピック競技への採用というのも見据えた活動なんだろうかなとは思う。

オリンピック競技に採用されれば、俄然熱が入る国もあるでしょうから、そこは期待してもいいのかも。

転売って日本国内だけで閉じないもの

ゲーム機の品薄が長引いてこんな話があるらしい。

PS5、ソフトが売れず転売の影響浮き彫り 日本市場軽視で消費者離れも (産経新聞)

ゲーム機で遊ぶためには、ゲーム機とそれで動くソフトがセットで必要なはず。

遊びたいゲームがあるからゲーム機を買うというのが一般的なはずだが、

なんとPS5は本体の売上に比べて、ソフトの売上が極端に少なく、

ゲームソフトを開発するメーカーにとってもPS5のソフトが売れないことが問題のようだ。


その背景としてこのような指摘がある。

ソフトの販売が低迷する原因は転売だ。PS5は、メルカリなどのフリーマーケットアプリで発売直後に10倍の値をつけ、現在も希望小売価格よりも数万円高い値段で取引されている。

当然だけど、正規商流で買いたい人が圧倒的に多いはずで、それは価格面もそうだけど、メーカーサポートなどのこともある。

ところが、それで入手するのが非常に難しく、これによりPS5の本体は買えないものだと思われてしまっていると。

売ったPS5がきちんとゲームをプレイする人に届いていれば、それなりの市場になっているはずだが、

転売によってゲームをプレイする人に本体が届かず、ソフトが売れないというそういうことらしい。


でも、ちょっと変だと思った人もいるかもしれない。

転売目的で購入したとしても、転売というからにはそれは誰かに売る必要がある。

非正規の商流だとしても、ゲーム機が実際にプレイする人に届いていれば、ソフトの売上にはつながるはず。

買い占めにより在庫を抱えて価格のつり上げを図るとしても、売れなければ不良在庫である。

長期的に見ればPS5の需要と供給がつり合うときが来るはずで、そこまでに売り抜けられなければ大損害である。


そこで知ったのだが、このようなゲーム機の転売価格というのは、

「買取屋」と言われているが、転売のターゲットとなっている商品を定価以上で買い取る業者によりマーケットメイクされている。

例え、転売が行われているのがメルカリのような個人間取引であったとしても、

その価格というのは取引量の多い買取屋の買い取り価格を基準にして決められているだろうと。

じゃあ、買取屋はその商品をどうするのか? という話になるのだが、どうも輸出しているらしい。

非正規に外国から輸入されたゲーム機を使うのはリスクが高いと思うのだが、

それでも日本の定価に上乗せされた金額を出してでも買いたいというニーズがあるらしい。


このような地域ごとの需給ギャップが転売の温床になっていることはメーカーも認識しているのか、

日本向けのPS5の供給は絞って、それ以外の地域への供給を厚くしているのだが、

それでも日本向けに供給したPS5が外国に渡ってしまうという状況が続いていると。

もともと日本国内に潤沢に供給できないことはメーカーも覚悟していたが、

その想定以上に日本国内のユーザーに届いていないというのが実情らしい。


日本から外国に渡る電子機器というのはけっこういろいろあって、

有名な話だと、ソフトバンクなどが下取りで買い取ったiPhoneは再製品化した上で外国に輸出されている。

新型iPhoneが発売されると、既存のiPhoneを下取りすることで、新型iPhoneを比較的安価で提供できるが、

その下取りしたiPhoneが日本国内に流通しては新品が売れなくなるので、外国に輸出しているとか。

これにより日本国内の買換サイクルがスムーズに回るようにしているというわけですね。

Android端末ではなかなかこうはいかないらしいけど、日本ではiPhoneが圧倒的ですからね。


日本で生活してると日本国内の転売が目に付きますけど、

その裏では国境を越えた需給ギャップに目を付けて、輸出により一儲けしようという人がいる可能性があると。

こういう輸出入で儲けるというビジネスは基本的には正当な商売だが、

日本国内のユーザーに向けて供給された商品を買い取って輸出するという行為はどうだろうか?

輸出により日本国内の需給バランスを破壊しているようなケースは問題だと思うが、

日本では普通に買える商品を個人で利用する目的で輸入したいというニーズに応えることは一般的に否定されるものではない。

外国からヤフオクに買いたいと

僕が売った中古の本を外国から買いたいという人がいて、代行業者を通じて購入してきたって話ですね。


転売といえば、チケットの転売は条件付きで違法化されているし、一時期はマスクの転売が違法化された。

前者は公演毎の供給量が限られているとか、他人への転売は一律禁止するルールを設けている興行主が多かったこと、

後者は生活必需品であるということで、転売行為を広く制限してでも対策するべきと、それなりの理由があった。

それに対して、ゲーム機などを転売により需給バランスを破壊する行為は問題としても、

通常許される商行為とどうやって区別するかというのが非常に難しい。

一般論として暴利で売りさばく行為は物価統制令で禁止されているが、暴利であるというのはハードルが高い。

対策の必要性はあると納得する人は多くても、何を制限するかということの難しさにぶち当たる難しい問題だ。

飲料のぼったくりは怖いかもしれない

今回のオリンピック、ほとんどの会場は無観客だが、

自転車競技が多く行われる静岡県では有観客で行われている。

そんなわけで有観客の会場の話がTwitterなどで見えるんだけど、気になったのが飲料の価格。

ノンアルコール飲料はコカコーラが独占しておりペットボトル飲料、水以外1本300円、水は1本200円とのこと。

まぁイベント会場での飲料の価格としてはこんなもんではという話はあるのだが……


実はこの手の話はちょっと前から話題となっていた。

それがプレスセンター内の売店・自動販売機での飲料の販売価格で、水以外280円、水180円というもの。

ここを利用するのは報道関係者ということで、いわばオリンピックの身内なのだから、

独占はともかく、標準価格よりはるかに高い価格を設定するのはどうなのだと。

食堂の価格も、スタッフの食堂と考えるとかなり高めの設定で、それに見合ったサービスが提供されているかが気になるところ。

日本の飲食は安いと言われていますから、これぐらいの価格設定でも、外国から来たスタッフにとっては高くないかもしれないが……

しかし、身内からぼったくりとも思える価格で販売するのはどうなのだろうかと。

なお、選手へは無料提供なので念のため。


さて、それで会場の話に戻るのだが、今回のオリンピックは近年では異例となる飲料の持込が認められることとなった。

東京五輪、都予算でミネラル水配布へ スポンサー配慮 (日本経済新聞)

750mL以下の水筒・ペットボトル1本まで、入場時に試飲することを条件に持込を認めることとなったが、

これは会場外の熱中症対策ということで認めさせたんじゃないかなぁと思っている。

飲料は会場に入れば没収されるからと、飲料を持たずに会場にやってくると入場までの水分補給に苦労することになる。

駅から会場への徒歩や入場待機場所も炎天下に見舞われることは当然想定されるので、ここで水分補給しないことは危険である。

とりあえず1本までは没収されないとすれば、会場までの水分補給を躊躇する可能性は低くなるんじゃないか。

ただ、これにより会場内の飲料売上が細ることが考えられるので、

補償として東京都はコカコーラからミネラルウォーターを購入し、これを観客に配布することも考えているとある。

(これは東京都内の会場で予定されていたもので、東京都全会場が無観客化されたことから、これは実施されていないとみられる)


この飲料持込については開会少し前にこんなことが話題となった。

五輪観戦にはコカ・コーラ社製を 鹿嶋市の小学校が通知 (朝日新聞デジタル)

茨城県ではカシマサッカースタジアムでのサッカー競技を小中学生に限って観客を入れることになった。

これに参加する学校に対して コカコーラ社製以外の飲料を持ち込む場合はラベルを剥がすように という指示があったという。

学校団体は1人2本までの持込を認める特例を認めさせた一方で、こういう指示があったということだった。

実際のところ、これはこのオリンピックにおける基本的な考えらしい。

五輪取材ノート:コカ・コーラ社以外のラベルは不可 (ロイター)

全会場で徹底されてるのかはよくわからないんだけどね。なにしろ、開会前の騒動で相当に批判を浴びた方針だったから。


飲料1本の持込を認めたことでも、近年のオリンピックでは異例だったわけだが、

炎天下での観戦には相当な水分・塩分補給を要するということで、会場内での飲料確保の重要性は高い。

しかし、会場内での飲料は日本での標準的な価格よりはるかに高い価格設定である。

必要なものならお金を出して買うべきという考えもあるかもしれないが、価格から躊躇するようなことがあれば大変危険である


そこで思い出したのだが、2019年のラグビーワールドカップのときは無料給水所が設置されていた。

そういうものはあるのかと調べたら「水飲み場」を多く設けることにしていたようだ。

気になって自転車会場の「水飲み場」の写真を調べたら、手洗い場のような出で立ちだった。

まぁ水飲み場って水道の蛇口ってことで、ここから水道水を水筒などに取って飲めるようにしてあると。

感染症対策の一環でここに石けんも置いたので手洗い場のようになってたが、あくまでも「水飲み場」である。

というわけで、水道水は無料で提供されるので、これは水分補給に使えるようだ。


しかし、それで観客の満足が得られるか。あるいは観客の安全確保に十分であるかというところが課題である。

満足度という点では日本では単なる水を飲むというよりは、茶を飲むのを好む人が多いということ。

実際、日本では駅などの水飲み場は数を減らしているが、ニーズが減ったということに尽きるとされている。

ペットボトルの茶もバリエーション豊富ですからね。まぁコカコーラ製品に限ると選択肢は減りますけど。

(調べたらオリンピック会場にはコカコーラ製品でも綾鷹しか置いてないみたいですね)

無料の水道水よりは、150円程度の標準的な価格の茶が買えるならそっちを買いたいという人は多いはず。

でも、それは会場の価格設定だと300円になっちゃうんですよね。果たしてそれでも買うかというのは悩ましい。

安全という点では水分とともに流出する塩分補給も求められること。

この点ではコカコーラ製品、アクエリアスは人気がありますよね。酷暑での観戦にお供には好適だろうが300円である。


イベント会場での価格設定として著しく高いとも言えないのはそうなのだが、

やはり酷暑での開催を考えたときに、持込量の制限(これは警備上の都合もある)、他社飲料のラベルは剥がせだの、やたら高い価格設定だの、

こういうのではコカコーラ社の悪評につながるのでは? という指摘もあり、それはそうかもしれないなとも思う。


スポンサーといえば、アサヒビールが会場での酒類提供中止するよう提言した話が合った。

酒盛りが新型コロナウイルスの感染拡大に寄与するというのはかなり確からしいという状況があった一方、

緊急事態宣言の解除により条件付きで東京都でも酒類提供が再開されていた時のことである。

オリンピック会場でも条件付きでの酒類提供を可能とする案がニュースで報じられたとき、

スポンサーへの配慮から認めることを考えているということがニュースに書かれたもので、

感染症対策よりもスポンサー(アサヒビール)の方が重要なのかと組織委員会への非難が出たのだった。

五輪会場の酒類提供取りやめ アサヒビール「支持する」 (朝日新聞デジタル)

アサヒビールからしてみれば、当初想定通りに酒類の販売ができないのは覚悟してただろうが。

結局は大半の会場が無観客となったが、有観客となった会場でも酒類の提供は行われていない。


スポンサーが独占するなら、それなりの責任というものはあるだろうということで、

嗜好品と断言できる酒類や、オプショナルなサービスである軽食販売などは仕方ないかなと思うところはあるが……

でも、軽食は案外良心的な価格設定なんですよね。

日清食品もスポンサーでカップヌードルを売ってるみたいだが、300円というのは、湯を入れてくれることを考えれば良心的だと思う。

これに比べれば、一般の飲料というのは酷暑の開催では観客の安全にも関わるものであるのになんでそんなに高いんだって。

というかそんな高い金額で売らなくても、ちゃんと利益は得られると思うんだけどなぁ。

無観客化で販売体制を整えたのに回収できないというのはあるかもしれないんだけど、そうでなければそこまでではないと思うんだがな。


いずれにせよ無観客化で熱中症で倒れる客はさほど出さずに済むようになりましたから、

これだけでも大会関係者への負担は大きく減って助かったんじゃないかなと思う。

そしてコカコーラも無観客であったがために悪評が広がることが避けられたのではと。

カシマサッカースタジアムの一件だけでも相当ではありましたけどね。

それでコカコーラに愛想を尽かした人が、卓球で大快挙を果たした伊藤選手がラベルを剥がした特徴的なボトルのジュースを飲む姿を見て、「トロピカーナが飲みたくなってきた」なんて言ってしまうんだよな。

ゆうちょ銀行も耐えきれないよ

この前、三菱UFJ銀行の口座に預けて、キャッシュカードをしまおうとしたらカードに亀裂が入っていることに気づいた。

調べたら無償で再発行できるらしく、しかもスマートフォンアプリで手続きができると。

まぁアプリをインストールする必要性はさておき、電話かけたり店舗に出向かなくて済むのは助かる。

書留で届いたけど、受け取ったカードをみてそういえば銀行名が変わってたなと。

従来のキャッシュカードは「東京三菱UFJ銀行」でしたから。


いくつか持っているキャッシュカードの中でもひときわ汚いのがゆうちょ銀行のキャッシュカードだが、

もともと使用機会が少ないところ、なおさら使用機会が減るかもなと。

一部商品・サービスの料金新設・改定について (ゆうちょ銀行)

全般的に言えば、現金扱いの手数料が増えるという話である。

ゆうちょ銀行はこれまで硬貨扱いの手数料設定がなかったり、

郵便局設置のATMの硬貨扱い時間が長かったり、ATM時間外手数料の設定がなかったり。

他行と現金関係の制度・サービスには差があったが、概ねここを埋める内容になっている。

払込のためだけにゆうちょ銀行を使うという人もいるかもしれないが、それも無関係ではなく、

払込サービスで現金扱いの場合は110円の手数料が加算され、料金加入者負担(赤い用紙)の場合でもこれは払込人負担という。

ゆうちょ銀行口座から出金しての振替の場合はこの手数料はかからない。

なお、公金などはこの対象ではないとされている。


ゆうちょ銀行がこういう制度変更をしてくる背景には、他行で硬貨扱いの手数料が増す中で、

ゆうちょ銀行なら手数料がいらないからと硬貨での預け入れなどが集中してきて、

それが現実に装置の故障などのコスト増につながっているのではないかと。

ATMに「大量の硬貨は故障の原因となるので窓口へ」という記載があるのを見ることも多い。

ATMでの硬貨預け入れは僕も何度かやったことあって便利だけど、

硬貨1枚以上含む預け入れは硬貨の枚数によって110~330円の手数料がかかり、

硬貨を含む(1000円未満の端数のある)払戻は110円の手数料がかかるようになる。

硬貨扱いは平日7~18時のみに短縮されるのも、故障があったときの対応の難しさなんだろう。

なお、窓口での硬貨扱いは50枚までは手数料がかからないとなっている。


ATMの時間外手数料も設定されるが、対象は郵便局以外の場所に設置されたゆうちょ銀行ATM、

ファミリーマート設置のATMや、それ以外でもショッピングセンターなどに設置のATMが対象。

ただ、郵便局に設置されたATMは休日は動いてないことも多いですからね。

手数料がかかる場合は一律110円だから、他行に比べればマイルドとは言えるが。

何らかの優遇制度が設けられたりするんですかね。


というわけで、今までこのあたりの手数料がかからないなどの事情でゆうちょ銀行を愛用してきた人には、

なんとも辛い内容が並ぶことになってしまったが、他行とのバランスでやらざるを得ないところに追い込まれたという見方もあると思う。

基本的にはキャッシュレス化により不要になるサービスの手数料を上げたという立場ではあるんですよね。

一番顕著なのは払込手数料じゃないかな。現金扱いに限り110円上げたというのはそうだよね。

払込取扱票をATMに突っ込んで、口座から出金して払込で済むならば、これまで通り安価な手数料で済むわけだし。

問題は手数料がかさむからキャッシュレス化に動けるかという話ではあって、これが微妙なところである。

ただ、今まで逃げ道になっていたゆうちょ銀行が封じられることの意味は大きいのだと思う。


ちなみに、汚いと書いたゆうちょ銀行のキャッシュカードですが、汚いだけで機能的に問題はない。

とはいえ、キャッシュカードも長く使っていれば破損することはまぁあるという話で、もし破損したらどうなるのかと調べた。

そしたら破損でも基本的には1100円の再発行手数料がかかるみたいですね。

三菱UFJ銀行は紛失ではなく破損なら手数料はかからない、みずほ銀行は磁気・ICの異常は手数料はかからないと書いてあるが、

見た限りでは、ゆうちょ銀行ではそういう例外はなく破損させたときは手数料を払って再発行する必要がある。

もっとも破損したのが郵政省時代の磁気ストライプしかないキャッシュカードであれば、

それは破損の有無によらずICキャッシュカードへの交換として無手数料で手続きすることができるというのはある。

キャッシュカードがとても汚いのは仕方ないが、機能的に問題ない限りは丁寧に扱う必要があるということである。

今どきの柔道は消耗戦

ふとNHK BS1を付けたら、オリンピックで柔道をやっていた。

会場は日本武道館、東京開催なら当然ここですよね。

ちなみに柔道が終わった後には、今大会限り臨時で追加された空手の会場となる。

その都合かレスリングの会場は幕張メッセとなっている。今はテコンドーの会場になってるけど。


柔道の試合映像、リオデジャネイロオリンピックのときとはちょっと違う。

と言うのもリオのときは 100 のように3桁の数字を表示できる欄があったのが、「0」のように1桁分しか見えなかった。

3桁の数字はそれぞれ「一本」「技あり」「有効」を表していた。(それぞれアルファベットで I,W,Y と略され、数字の上に付されることもあった)

これが「有効」の判定が廃止されたことで「一本」「技あり」の2桁で表記できるようになった

開始時点では「0」で始まって、技ありを取れば「1」、一本勝ち(技あり2回含む)あるいは反則勝ちは「10」だが、

一本となったときは「IPPON」という表示で見ることも多い。相手が反則負けのときは「10」って表示されてたけどね。


スコアボードに表示される数字が「0」「1」「10」の3つしかないというのは、オリンピックでも珍しいと思うが、

これは柔道が一本重視ということでルール変更をした結果である。

合わせ技一本、廃止から一転復活 【五輪のミカタ この技このルール】(8) (JIJI.COM)

なぜ一本を取ればそれで試合が決着するのかというと、一本というのは相手の命を奪うぐらいの技という位置づけだからである。

そのために満たすべき条件は厳しいが、一本の条件を満たせば、即決着となるのはそういう意味があるとされている。

これに対して技ありというのは、一本の条件を全て満たさないが、相手に重傷を負わせるものであるということで、

そんなものを2発も食らえば、それはもう一本と同じだろうというのが「合わせ技一本」ということだった。


で、2017年以前のルールでは、技ありの条件は満たさないがある程度効いた技を「有効」とするルールがあった。

有効をいくつ取っても技ありに満たないし、ましてや一本となることはないのだが、

一方で一本・技ありが出ないまま試合時間を終えると、有効の数が多い方が勝ちとなるルールだった。

さらに、審判は軽微な違反(消極的な姿勢を含む)があったときは「指導」を出すのだが、

指導が4回になれば反則負けになる一方で、指導を受けた数の差で決着が付くルールもあった。

このことからダイナミックな技を狙うのでなく、「有効」「指導」で差を付けた状態で時間切れを狙うような試合も出ていた。

そこで有効の判定を廃止、指導は3回で反則負けとなるが、2回以下の状態では試合結果に影響を与えないこととなった。

さらに延長戦の時間制限もなくした。これにより、技で決着が付かないとき、審判の多数決で優劣を付けていた(旗判定)のも廃止された。


この過程で一時は「合わせ技一本」も廃止になったのだが、これは撤回されている。

一本重視とはいえ、なぜ合わせ技一本を廃止したのか気になっていたのだが、

それが今は技ありの解釈が広がり、以前の有効にとどまらず、効果レベルの技も2回続けば一本と同等になることが起こり得る。一本に近い技ありが、効果のような技あり2回に屈することを疑問視する見方は、柔道発祥国の日本に限らず世界的にもあるという。

ということで、有効を廃止する中で技ありの範囲が広げられたんですね。

とはいえ、合わせ技一本という勝ち方を認めた方が試合進行などの面でメリットがあるだろうという判断だったようだ。


では新ルールでの柔道はどうなるのかというと、ハイレベルで実力が拮抗するオリンピックでは非常に過酷である。

すんなり一本を決められればよいが、相手が強いとそうそう簡単に一本も技ありも決められない。

このため延長戦に突入することも多く、時間制限がないので、消耗戦の末に一本が決まるような決着が多いようだった。

さらに双方が決め手に欠けるような状態では延々と決着が付かないことにもなりかねない。

積極的に技をかけることを促すために審判は指導を出すわけだが、それでも決め手に欠けるようなこともある。

その場合は指導3回での反則負けで決着することになる。

これは従来のルールなら「優勢勝ち」ということで決着していたのが、相手の「反則負け」となるケースがけっこうあることを表している。


柔道は1日に男女それぞれ1階級ずつの決勝戦まで終わるというスタイルで、今日は男子60kg級・女子48kg級だった。

男子60kg級の方が新ルールの影響が顕著だったように見えるのでこちらに着目しますが。

準決勝の2試合は11分・8分にも及ぶ大変な消耗戦だった。

どっちも指導2つ取られた選手が追い込まれて、ヘロヘロになる中で技を決められてしまうという状況だった。

ここで勝ったのが日本の高藤選手と、台湾の楊選手だった。

この2人が決勝で戦って金メダルか銀メダルか決まるんですけど、双方とも消耗も激しく、

積極的に技をかけようとするも決め手に欠けるような状況が続き、結局は楊選手が指導3回の反則負けとなった。

これにより高藤選手は今大会日本初の金メダルを獲得、楊選手は銀メダルで台湾初の柔道でのメダル獲得となった。


反則負けっていうと後味が悪いなと思うのだが、ここまでの戦いを見てたら無理はないなと。

どっちもよく準決勝をくぐり抜けて決勝にやってきたということに尽きる。

チャンスを狙いつつも、指導を取られないように注意を払いながら守りに努めた結果なんだろうと。

試合後に高藤選手は「豪快に勝つことができなかったのですがこれが僕の柔道です」というコメントを残しているが、

消耗しながらもなんとか優勢を保って決勝戦を終えることができたことが、相手の反則負けということなんですね。


というわけで、新ルールでの柔道は実力が拮抗するオリンピックでは非常に過酷な競技となっている。

消耗戦に持ち込まれたときにどういう勝負ができるかということも問われるようになっている。

今までのオリンピックなどの国際大会で見てきた柔道とはだいぶ感じが違う印象を受けた。

一方で早々に一本で豪快に決めて終わる試合もあるんですけどね。

これはこれで作戦が問われるようになったのかなという感じは受けましたね。


女子48kg級もすごかったですね。

これは日本の渡名喜選手が銀メダルで、これが日本のメダル第1号となった。

準々決勝ではリオデジャネイロの金メダリスト、アルゼンチンのパレト選手と当たり、関節技で「参った」で決着。

あんまり「参った」って見た覚えがなかったんだけど、関節技で勝つには相手に「参った」させるしかないらしい。

準決勝ではウクライナのビロディト選手、世界選手権の金メダリストで、背が高い分だけ足が長く、これに苦戦しつつも延長戦の末に一本勝ち。

ビロディト選手はその後に3位決定戦で勝ち、銅メダルを獲得していったが、まぁ強いですよ。

後で調べてびっくりしたけどモデルとしての活動もしてるらしい。確かに美人だとは思ったけど。

決勝戦はコソボのグラスニチ選手、なんと世界ランキング1位だという。

強いんだろうなと思ったら時間ギリギリで技ありを決めてきて、渡名喜選手は敗れたのだった。

でも、ここまで勝ってきた相手はどう考えても強い選手ばかりですから、そこは立派ですよね。


というわけでこの先も柔道は大変タフな試合が続くことになりそうである。

オリンピックでおなじみの格闘技としては、レスリング、テコンドー、ボクシングがありますけど、

一撃での決着(レスリングではフォール、テコンドーとボクシングではノックアウト)もある一方で、基本は点数制。

柔道の一本重視というのはかなり特色があると言えるし、現在のルールはその考えをより徹底したものとなった。

その結果、一本、それに準ずる技あり、あるいは指導3回という決着が付くまで延々と試合が続くことになってしまったが、

とはいえ、それが柔道らしいというのは世界の柔道関係者の共通見解ということですから。

こうも暑くては熱中症が怖い

昼間に市内で買い物のために出かけていたが、やはり暑い。

オリンピックは開会式の日に競技あるんか? と調べたら、アーチェリーとボートをやってたようで。

いずれも東京港の埋立地が舞台ということで、日差しが大変そうだなと思ったが、案の定というべきか。

ROCのアーチェリー女子選手が熱中症でダウン 競技終了後に意識を失う (Yahoo!ニュース)

ロシアの選手が競技後に意識を失うということが起きたと。すぐに手当てされ意識は取り戻したとのとだが。

アーチェリーという集中力が問われる種目で競技を終えてホッとしたところで倒れてしまったのかもしれませんね。

ウラジオストクで合宿して暑さに慣れてから来たというのがロシアらしいが、そんなもんじゃないでしょう。


よくネタにされていますが。

この時期の天候は晴れる日が多く、且つ温暖であるため、アスリートが最高の状態でパフォーマンスを発揮できる理想的な気候である

これはオリンピックの招致資料に書かれていた東京オリンピックの特徴である。

といっても、これは後付けであって、夏の定められた期間内にオリンピック・パラリンピックをやるなら、

オリンピックを7月下旬~8月上旬、パラリンピックを8月下旬~9月上旬にせざるを得ないということである。

どちらも過酷だが、オリンピックの開催時期はもっとも暑い時期ですよね。

国際競技大会と暑さといえば、熱中症になる選手が多く出た2007年の世界陸上大阪大会が思い起こされるが、

大阪の暑さは日本でも特に過酷である一方で、開催時期が8月下旬~9月上旬とわずかに暑さが和らぐ時期だった。

東京の暑さはそれより少しマシだが、時期を考えれば単純に世界陸上大阪より楽とは言えないでしょう。

この時期は熱中症警戒レベルはほぼ毎日「厳重警戒」に達し、時に「危険」の水準に到達することもある。

晴れる日が多いことは事実だが、パフォーマンスを発揮するという点では課題が多い。


ところで、熱中症対策の指標として使われる数値はWBGTという数値である。

暑さ指数(WBGT)について (環境省)

気温・湿度・日差しといった要素で決まるもので、この数値と熱中症での救急搬送数の相関は高いとされている。

このことからWBGTは熱中症の警戒度の指標として使われるわけですね。

「危険」というのはWBGTが31以上ということだが、この領域では運動は原則中止とすることが推奨されている。

この領域までくると安静状態でも熱中症の危険があるので、気温・湿度の低いところや日差しを避けられるところへの避難が推奨される。

「厳重警戒」というのはWBGTが28~31の範囲で、この範囲で運動をする場合、10~20分おきの休憩と水分・塩分補給が求められる。

おそらく今回のオリンピックはこの状態で競技を行うことが多くなるんじゃないか。

大半無観客化されたものの、観客もこの状態での観戦には水分補給に注意するなど、熱中症予防のための対策が求められただろう。


「警戒」というのはWBGTが25~28の範囲で、この辺は安静にしている分はある程度リスクは低い。

労働安全衛生規則で定められた気温・湿度上限の気温28℃・湿度70%で日差しなしという条件だと、WBGTは27、なので警戒レベルだと。

オフィスワークをするのなら、適度に水分補給をしていれば、安全な環境ということですね。

ただ、運動や作業をするとなれば、積極的な休憩や水分・塩分補給が求められる。「警戒」ということの意味はそういうことですね。

注意すれば可能だが、熱中症リスクを下げるという点ではもう少し気温・湿度を下げたり、日差しを避けるなどした方がいいですね。

しかし、激しい運動となればこの範囲でも熱中症リスクは高い。30分おきなどの休憩を推奨している。

マラソン・競歩のような長時間にわたる競技はまさにそうで、スタート時間を前倒しにしても警戒レベルで競技を行うこととなり危険が高かった。

このことから札幌での開催となったわけだが、札幌だって昼は気温が上がるし、日差しは過酷である。

なので札幌開催でも早朝や夕方のスタートが予定されているわけですね。昼間について言えば札幌も過酷ですよ。


屋外競技ではWBGTを直接的に下げる手段は乏しい。日陰で競技できたりすれば楽になるんだけどね。

いかにして休憩・水分補給の時間を確保するかというところがポイントになるんでしょう。

競技によっては水分補給のための中断時間を取ることができるルールを用意したりしているようだ。

これで「厳重警戒」レベルの暑さに対応しようということなんじゃないかと思う。

しかしそれを上回る「危険」レベルに達したときに、果たしてそれでよいのかというのはある。

時間帯など工夫されている部分もあると思うが、想定以上の暑さになることもあるだろう。

スケジュールを守ることは重要だが、安全を考えれば時間変更や中断時間でスケジュールがズレることもあるのかも。


無観客化の理由は会場外での感染リスク軽減という意味が強いが、熱中症対策としてもよかったんじゃないですかね。

ある程度、覚悟はしてたと思うけど、それでも実際に観客がバタバタ倒れては辛いでしょう。

選手については、もともと日本である程度長く滞在して、暑さに慣れることが推奨されていたが、

日本滞在期間を短くすることを選んだチームが多く、暑さへの順応が不十分なところもあると思う。

熱中症で不調を来す選手が出ないわけはないのだが、それを少しでも減らせるように期待したい。

テイクアウト2食の日

今日はトークイベントのために横浜まで出かけていた。

2部構成で、2部とも参加することにしたから、昼過ぎについて夕方までと。

これが慌ただしかった。なぜならば昼食も夕食も家で食べたから。


普段なら寄り道しながら横浜まで行き、夕食を食べて帰ってきてたんだろうけど。

夕食は営業時間短縮の影響もありそうだが、終わるの早かったからやろうと思えばできたよね。

とはいえ、あまり時間に猶予もないですからね。

積極的に寄り道する用事もなかったし、会場付近でたむろするなという話も合ったので

ぴったりに到着するぐらいなら、昼食を食べてからでもギリギリ間に合いそう。

昼食はインスタントラーメンでも作って食べることも考えたが、ちょっとそういう感じでもない。

そんなわけで昼食も夕食もテイクアウトということになった。


昼は自宅近くの松屋、松弁ネットで注文して取りに行った。

あまり意図したわけではないのだが、キャンペーンで松弁ポイントが20%付与され、

PayPayのキャンペーンでPayPayボーナスが10%、さらに松弁ネットで特別に100円引きになってるメニューだったので、

これらを全部差し引くと食堂のカレーみたいな値段になっていた。

ハンバーグビーフカレーを注文したんですよね。こういうのも松屋らしいメニューなんですよね。


昼食を食べて急ぎ足で駅へ行き、電車に乗り込み横浜へ。

会場はそごう横浜店にある「新都市ホール」という多目的ホール。

新都市ホールがある9階だけはフロアの雰囲気がだいぶ違って、ここは百貨店ではないんですね。

商業施設の中に多目的ホールがあるのはまぁ見るけど、それにしても不思議な気がしたので帰ってきて調べたところ、

そごうの入るビルは「横浜新都市ビル」という名前で、横浜新都市センターという会社が所有している。

このビルの大半は そごう・西武 に貸し付けて百貨店として供されているが、

地下駐車場と9階「市民フロア」は横浜新都市センターが直接経営しており、だから雰囲気が違ったんですね。

なお、横浜駅東口バスターミナル は「そごう1階」とか書かれてたりするけど、ビルの一部というわけでもないらしい。

(一方でこういう書き方をするのは、隣接するYCATのバスターミナルとの区別の意味もある)


終演した頃はまだ外は少し明るかった。東急に乗り込んで東京方面へ。

夕食は中華料理の気分だったので、市内の日高屋かと思ったが、受取可能時間を外れているようだ。

それなら渋谷で乗り換えるときに買うかと思ったら、餃子の王将があって、

しかも22時まで受取可能となっていて、ここはテイクアウトだけの営業やってるんですね。

渋谷ハチ公口店、JR高架下にある店なんですね。コンパクトな店だがテイクアウト用の窓が開いていて、そういう利用は元々多いんでしょうね。

電車の中で注文して、受取可能時間より早く着いちゃうなと思ったけど、店に行くと少し早く受け取れた。

というわけで、そのまま電車に乗り込んで帰宅して食べた。

ちょっと匂いは気になったかもなぁ。


ここまでする必要があったかというのはさておき、

同じイベントに遠方から来ている人をTwitterで見てたら日帰りの人が多そうだった。

終わるのが比較的早いだろうから、それならそのまま帰れるわと、それだけのことなのかもしれないけど。

ただ、この状況の東京近辺に長居したいとは思わないというのは、まぁそうなんでしょうね。

無観客化で宿が取りにくいとかそこまでのことはないと思うんだけど。