ずっと新線建設している会社

少し前に気づいたのだが、JR西日本は発足以来ずっと大阪の新線建設をしているのである。

なかなかそんな鉄道会社もないと思いますが。


JR西日本(西日本旅客鉄道)の発足は1987年、かつての国鉄の路線を引き継ぐ形で設立された。

設立時の本社は旧大阪鉄道管理局のものを使っており、これは現在のヨドバシ梅田の場所である。

設立後まもなく、現在の本社ビルの建設に着手して移転している。

同じく設立後まもなく着手したのが片福連絡線の建設である。

この路線は後にJR東西線と命名されることになる。

(正式路線名に「JR」と入るのはこれが初めてのことである)


当然、計画自体は国鉄時代から存在したわけですけどね。

具体的に着手したのは1988年に建設主体となる関西高速鉄道(株)が設立されてからである。

地下鉄の補助制度を使うためには地方公共団体か地方公共団体が出資する会社でなければならない。

このためにJR西日本と大阪市・大阪府・兵庫県などが出資する会社が作られたんですね。

完成後も所有者は関西高速鉄道で、線路使用料という形で借入金の返済を行うスキームである。

トラブルはあったが1997年にJR東西線として開通、JRの路線網に完全に取り込まれる形となっている。


次いで着手したのが大阪外環状鉄道、のちにおおさか東線と命名される路線である。

純然たる新線ではなく、もともと存在した城東貨物線の複線・旅客化事業である。

これも地方公共団体が出資する会社が主体となる必要があった。

最初は関西高速鉄道にそのままやらせようとしてたらしいが、

JR西日本・大阪府・大阪市が出資する大阪外環状鉄道(株)が別に設立、

これが1996年のことである。ちょうど東西線開通の頃なんですね。

既存路線の改修とは言え、けっこう大がかりな工事ではあって、

2008年に久宝寺~放出、2019年に放出~新大阪が開通している。


そして現在行われているのがなにわ筋線の建設である。

これも東西線同様のスキームが適用され、関西高速鉄道が主体となっている。

2019年になにわ筋線の事業許可を得ている。

2021年に中之島周辺から建設に着手、2031年開通予定となっている。

なお、なにわ筋線はJRだけの事業ではなく、南海も関わっている。

関西高速鉄道は両社に施設を貸付、西本町(仮称)~大阪(うめきた)の間では共同運行を予定している。


純然たる新線ではないが、梅田貨物線地下化も大事業だった。

これ自体は大阪市が主体となる連続立体交差事業なのだが、

あわせて うめきた新駅(結果的には大阪駅の一部となっている)を作るということで、

この部分はJR西日本が建設主体となっている。2021年に完成した。

この駅は従来から梅田貨物線を通過していた はるか・くろしお が停車するだけでなく、

おおさか東線の列車の延長運転が行われている。

さらに将来的には なにわ筋線の接続が予定されている。


なにわ筋線に続く新線事業もあるのではないかと見ていて、それが 桜島~夢洲 である。

万博期間中はバスが頻発したが、予約が取れずに使えない人も多くいた区間である。

もともと、コスモスクエア~新桜島(JR桜島駅とは別)の北港テクノポート線の構想があり、

このうちコスモスクエア~夢洲はすでに中央線の一部として開通しているが、

夢洲~新桜島は未成線という形で計画だけ残った状態になっている。

元々、新桜島は京阪中之島線の到達地点として考えられていたそう。

ところが改めて評価を行ったところ、従来計画の費用対効果(B/C)は1を下回る一方、

JR桜島~夢洲の新線建設はB/Cが1を上回り、40年以内の黒字化も見込めるとのことだった。


まだやるときまった路線ではないが、可能性はかなり高いと見ている。

なにわ筋線の開通後は 大阪(うめきた)~西九条の貨物線を走る特急はおそらくなくなる。

すると万博会期中に運行されたエキスポライナー(新大阪~桜島)のような列車を多く設定できるようになる。

新大阪~夢洲の直通列車は頻発するようになれば国際観光拠点としてはメリットが大きい。

地方公共団体が出資する会社が建設主体になると思われるが、

開通後の運行はJRの既存路線と密接に関係するのでJRの新線という扱いになるのではないか。


なにわ筋線が2031年開通予定で、この後に着手とすると2040年代の開通になると思われる。

ちんたらやってるなぁという意見もあるとは思うんですけどね。

どの計画も昔からあったものではあるので。

ただ、資金や採算性のなどの事情が揃うのに時間を要したわけですよね。

それはより公共事業の色が濃い整備新幹線では顕著ですが。


あと見ての通り、どれも地方公共団体が出資する会社が事業主体なんですよね。

JR他社でこの方式で新線建設が行われたのは他にないようである。

JR東日本の成田線(空港支線)のうち京成との並行区間については成田空港高速鉄道(株)が所有者だが、

これは複線分の用地を京成・JRの各単線(レール幅が違う)で分けるという都合によるものに思える。

JR東日本では羽田空港アクセス線の建設が行われているが、

空港敷地内は国が空港事業の一環で整備し、他は休止中の貨物線を流用する区間が多いからか、

全体的な事業主体としてはJR東日本自身となるようである。

羽田空港第2ターミナルは偏っている

調べごとのために羽田空港のフロアマップを見てたのだが、

第2ターミナル 国内線出発階のマップを見ると、南側が完全に欠けているのだが?

その昔、米子行きの飛行機に乗ったゲートが存在しないのである。


といっても消えたわけではない。このゲートは国際線用に使用されている。

でも、この一帯全部が国際線専用になったんだっけ?

確か相当割合は国内線と兼用だったはずだが……と思ったらどうも今年3月から国際線専用化されたようである。

なんと現在の羽田空港第2ターミナルには国内線・国際線を切り替えられるゲートが1つもないのである。


これは元々の国内線・国際線の切替方式によるところも大きい。

国内線・国際線ともに多く設定されている空港というと、

やはり関西・中部の両空港で、ここの第1ターミナルには切替可能なスイングゲートがある。

ドアの開け方によって国内線エリア、国際線エリアのどちらにつながるか選べるわけである。

関空はエリアの境目のゲートが、セントレアでは国内線エリアを立体的に乗り越えている。

このスイングゲートは時間帯により使い分けるという意味もあるが、

国内線と国際線が切り替わる便でも活用され、関空だとジェットスタージャパンがよく使っている。

成田空港は昔は国内線は必ずバス搭乗だったが、現在は一部の搭乗口が国内線エリアと接続されている。


一方の羽田空港第2ターミナルは待合室ごと国内線・国際線を切り替える方式である。

この方式は成田(T3)・中部(T2)という主にLCC向けの新設ターミナルでも使われている。

国内線・国際線の切替が多いことを想定してのことである。

比較的細かくゲート数を切り替えられるようになっているようである。

一方、羽田空港第2ターミナルでは66・67A/B・68・69・70番ゲートの領域を一気に切り替える必要がある。

国内線・国際線を切り替えるには事前に点検が必要なのは言うまでもない。

かなり広い範囲を一気に点検して切替というのは相当な手間だったのではないか。


今年3月にバス連絡になっていたサテライト棟が本館に連結された。

サテライト棟は元々本館への連結を想定して作られていた。

この間にある貴賓室の移設に時間を要することから飛び地での開業となった。

連結のための増築部には5つのゲートが設置されている。

これにより国内線のゲート数は十分確保できるということで切替をやめたわけである。


結果的に言えば切替機能は極めて短命に終わっている。

というのも羽田空港第2ターミナルの国際線機能は2020年3月から運用が始まることになっていたが、

当時は国際線の本数が激減、まもなく運用停止された。

切り替え可能な部分はずっと国内線に使っていたわけである。

2023年7月に第2ターミナルの国際線機能が再開したわけだが、

この切替機能はそんなに使われてなかったという話もある。


第2ターミナル国際線はANA専用だが、そのANA便でも全ては入っていない。

元々国内線の設備を転用したので必ずしもマッチしてない部分もあるようで、

70番ゲート(小型機専用)は1日通じて使われていない状況である。

そして問題は国内線のゲート位置が偏ってしまったことである。

中央から見て南側は国内線に使わなくなった結果、北側に大きく偏ってしまった。

端はすさまじく遠いが、移動手段はムービングウォークがあるだけである。

バス搭乗の削減のためにゲートを増やしたわけだけど、

バス搭乗なら中央部にあるバスゲートから乗れば飛行機の近くまで連れて行ってくれる。

歩けるようになったサテライト棟のゲートは歩くしかないので、かえって遠いという話も。


しかも恐ろしいことにかつてのサテライト棟の先もさらに拡張の予定があるという。

北側に保安検査場を追加するなど考えられるが、本質的に遠いことは変わりない。

こうなるともはや別のターミナルビルにしたほうが……と思いますが。

成田空港の第3ターミナルはわりとそんな感じよね。

ただ、他の施設の移設を考えると容易には実現しないのだろうし、

駅の位置は変わらないのだから結局歩くことに代わりは無いのかも。


で、どうも第1ターミナルも北側への拡張計画があるそうで。

羽田空港、第1ターミナル北側サテライトが26年夏開業 初の木造・鉄骨ハイブリッド構造 (Aviation Wire)

エプロンの改修工事のための代替ゲートという側面もあるようだが、

それ以外の用途としてはどういうことを考えているんでしょうかね。

やはり国際線なんですかね?

特定原付だと走れない路側帯

帰り道、緑色の最高速度表示灯を付けた電動キックボードが2台走り抜けていって、

友人同士なのかねと、それはいいけど路側帯を走っていたのが気になった。


普通自転車と特定原付の車道上のルールはほぼ同じだが、

歩道では特定原付は6km/hに制限された歩道モード(特例特定原付)にしなければならない。

この点は特定原付と自転車の重要な差異である。

(もっとも法令の想定では大差ないと考えているのだが)

ただ、この中間的な存在に路側帯ってのがあるんですよね。


路側帯というのは道路の歩道がない端に設けられるものである。

路側帯の使い方として道路交通法ではこのように規定されている。

  • 歩行者の通行 (歩行者の通行に十分な幅がある場合)
  • 軽車両(自転車含む)・特例特定原付の走行
    (道路の左側で歩行者用路側帯(2本線)以外)
  • 車両の駐停車 (駐停車禁止路側帯(実線+破線)・歩行者用路側帯(2本線)以外)

冒頭の話の答えをもう書いてしまったのだが、あれは違反なんですね。

特定原付が路側帯を走行する場合は歩道モード(特例特定原付)にしなければならないので。

それぞれ注意点はあるが追って。


一方で歩道がある側の車道の端に引かれる線は車道外側線といい、

この外側も車道の一部とされている。車両の走行・駐停車には自由に使える。

車道の左端を走行すると規定されている自転車・特定原付にとって、

車道外側線の外側は走行に適することが多いので、自転車ナビマークが置かれていることも多い。

駐停車車両がいると真っ先に潰される場所なので常に走れるというわけではないが。


さて、路側帯の用途として3つ書いたが、それぞれ注意点はある。

まず、歩行者の通行だが「歩行者等の通行に十分な幅員を有する路側帯」の場合の話である。

裏返せば歩行者が通れない路側帯があるということなのだが……

実は路側帯の定義に「歩行者の通行の用に供し、又は車道の効用を保つため」と書かれている。

道路の端は舗装が壊れたり崩れたりしやすいので車は通るなということである。

この目的の場合、歩行者が通れないぐらい狭いこともあるので、

その場合は車道の右側を歩きましょうねということである。


次に軽車両・特例特定原付の走行である。

まず左側通行である。昔はこの左側通行というルールがなかったらしい。

すなわち自転車の歩道通行同様に右側の路側帯を走ってもよかったのである。

これ禁止されたのは意外と最近で2013年のことである。

線で区切られただけの路側帯を他の車と逆に走ると危険というのも理由だが、

車道外側線の外側と路側帯でルールが異なるという複雑さをなくすという意図もあったらしい。

路側帯は当然歩行者優先なので「著しく歩行者の通行を妨げることとなる場合」は通行できず、

「歩行者の通行を妨げないような速度と方法で進行しなければならない」となっている。


車両の駐停車だが、これは0.75mの余地を残しておく必要がある。

よく路側帯にギチギチに駐停車されていることがあるが、

あれはダメなんですね。左に歩行者1人通れるぐらいの余地はいると。

狭い路側帯の場合、実質的に駐停車には使えないことになる。

これは歩行者の安全という観点もあるが「車道の効用を保つ」という観点もある。

歩道がある場合は、車道の端は道路の端ではないので、端が崩れる心配はないのでギチギチに寄ってもよい。

とはいえ、この差異もどこまで意識されてるのかなという感はある。


自転車の歩道通行と自転車の路側帯走行、似ているようでけっこう違う。

歩道通行は原則として標識などで認められた歩道でしかできない。

最近は歩道通行可の歩道はかなり絞り込まれているように思うが。

基本的にはそれなりに幅に余裕があるところでなければ認められない。

一方の路側帯は原則として認められている。歩行者用路側帯はめったにない。

歩道通行が認められるのは普通自転車に限られるが、路側帯は全ての自転車、それどころか軽車両まで認められている。

この観点では路側帯は歩道というより車道の端に近い印象を受ける。

また、歩行者最優先である点は同じだが、法令上の要求は少し差がある。

  • 路側帯: 歩行者の通行を妨げないような速度と方法で進行しなければならない
  • 歩道(普通自転車通行指定部分なし): 歩道の中央から車道寄りの部分を徐行
  • 歩道(普通自転車通行指定部分あり): 歩行者がないときは、歩道の状況に応じた安全な速度と方法で進行することができる

この文章から果たしてどう走ればいいかわかるだろうか?


指定部分のない歩道は「徐行」と書かれている。

この徐行というのは6~8km/h程度までとされている。

冒頭に特定原付は歩道通行するとき6km/hの歩道モードにしなければならないと書いたが、

そもそも自転車も歩道を走行するならばそのぐらいの速度に落とさないといけないのである。

その速度だと転けそうで怖いが、法令上の要求はそうなんですね。

一方で線などで区切られた通行指定部分がある場合、

「安全な速度と方法で進行することができる」となっている。

自転車道に近い構造であれば、自転車道のように走ってもよいのだろう。

実は歩道の自転車通行指定部分だった

特定原付はそうもいかないので歩道モードで6km/hに制限されるのだが。


これに対して路側帯は「歩行者の通行を妨げないような速度と方法で進行しなければならない」となんとでも解釈できそうな書き方。

ただ「徐行」までは求められていないと言えそうだ。

歩行者がいない路側帯ならば、歩行者が見えれば止まったり避けたりできる程度の速度でよさそうだ。

というわけで歩道に比べるといろいろ緩いんですね。


歩道がなくて路側帯だけの道路というのはだいたい幅に余裕がない。

駐停車車両が路側帯を潰していることが多い理由でもあるが、

車道に余裕がないのでちょっとでも詰めたくなってしまうと。違反だけど。

自転車・特定原付は他の自動車に比べて遅いわけだが、

その追い越しをしてもらおうにも十分な余裕がないことが多い。

そういう場合、自転車であれば歩行者がいない限りは路側帯を通れる。

これによりスムーズに追い抜きができるケースが多いわけである。

ところが特定原付はルール上はそれできないんですよね。

歩行者いないのでいったん路側帯に入れば後ろの車に追い抜いてもらうのがよいが、

特定原付なのでそれは出来ないんだよなぁと心苦しい思いをすることはある。


歩行者保護のためのルールで、自転車にしても基本的には路側帯に入らず車道を走った方がよいと思う。

しかし、自転車にとっては路側帯を通るというオプションはほぼ常にあって、

歩行者がいない場合はそれを活用するほうがよい場面はしばしばある。

そういう選択肢が特定原付にはないというのはちょっと変な気はするんですよね。

特例特定原付ならばいいけど、歩道モードへの切替はそう簡単ではないので。


特定原付と自転車のルールはほぼ同じと言いたいが……

というところでひっかかるのが路側帯のルールだという話だった。

タッチ決済を導入するわけ、しないわけ

関東圏で私鉄・公営交通11社がクレジットカードのタッチ決済を導入するようである。

首都圏の鉄道11社、「クレカのタッチ決済」で相互利用 26年春以降 JR東と京成は発表に含まれず (CNET Japan)

ただ、見出しにあるんですけど、京成が入ってないんですね。

成田空港の接続路線なのに意外なんですけどね。


すでに区間など限定して導入している会社も多いのだが、

関東圏特有の事情としては会社間の直通や改札を通らず乗換が多いことである。

すでに京急と都営地下鉄など対応しているところはありますけど、駅を限っての導入である。

なのである程度一斉導入する必要があるわけですね。


これを見て思い出したのだが、関西でも私鉄・公営の多くがタッチ決済を導入している。

2021年、南海が難波・新今宮・関西空港・高野山など外国人客の利用が多く見込める駅にタッチ決済を導入したのが日本初である。

関空~大阪都心の移動がまずタッチ決済でできると早いということで、導入の動機として大きかったわけですね。

南海の導入が関西各社での導入の呼び水になったことは間違いないが、

やはり多くの会社が導入するきっかけとして大きかったのは万博である。

といっても万博合わせで導入する必要があったのはタッチ決済ではなく、QRコード乗車券である。


QRコード乗車券、何を起点に取るかという話はあるが、

関西においては近鉄が2022年に名古屋~伊勢志摩エリアで発行を始めたデジタルきっぷが起点であろう。

QRコードで乗れるようにする理由

近鉄って前日まで購入が条件の割引きっぷが多くて。

遠方でも近畿日本ツーリストなどの旅行代理店で購入はできる。

でも今はそれも店舗数が減っていて、なかなか手間がかかる状況。

これをWeb購入で窓口での引換なしに自動改札機に呈示すれば利用できるようにした。

これが近鉄のデジタルきっぷのスタート地点である。

当初は名古屋~伊勢志摩に特化していたが、大阪・京都からの利用もできるようになった。


この仕組みは関西各社の共通プラットフォーム、スルッとQRttoに発展することになる。

スルッとKANSAIのプリペイドカードがなくなって長いが、カードタイプのフリー乗車券は依然多く存在していた。

これをデジタル化するということになったわけですね。

同時期にJR西日本も自社内、他社またぎのQRコード乗車券を発行するようになった。

これを万博合わせでやる必要があったわけですね。


このときに自動改札機の改造が必要になるので、同時にタッチ決済を導入しようという話が出てきたわけである。

ここに乗らなかったのがJR西日本と京阪である。両社はQRコード乗車券のみ。

京都市・叡電・嵐電はそもそも自動改札機のQRコード対応をしていない。

(叡電は京阪発行のデジタル乗車券が利用できるが、目視で対応している)

なお、このあたりは会社により若干の差があり、

近鉄は生駒ケーブルを除く全線全駅、相当利用者数の少ない駅にも導入する一方、

南海はほぼ全駅と言いたいが、汐見橋線・多奈川線は全駅非導入である。

(一応、汐見橋線は大阪市内なのだが……)

神鉄はかなり歯抜けで有馬温泉方面の利用をカバーすることを重視したことが見て取れる。


関西にやってくる外国人観光客にとってみれば、

京都にさえ行かなければだいたいクレジットカードで済む感じかね。

JRは使えないけど、観光地への往来を考えればJRはなくてもよいので。

バスはまだ導入路線が少なくて、高野山・六甲山と奈良の一部路線に限られる。

高野山と六甲山はタッチ決済で来て、その先は使えないだとけっこう困りますからね。

奈良は市内循環線と西の京・法隆寺方面の路線に限られているので、

同じ区間を走るバスでも対応車両を探すのが難しそうだが。

ただ、これも京都に対応路線がないのがダメですね。

京都方面は足並み揃えて非導入にしたという見方も出来る。(阪急・近鉄はあるけど)


関西におけるJR・京阪もそうなのだが、足並みが揃わないのが気になるところで、

関東圏について言えば、JRが使えないと東京都心の移動もけっこう苦労するし、

京成は成田空港アクセス路線の筆頭である。

全般的にJR各社はタッチ決済には消極的で、一方QRコード乗車券は積極的な傾向がある。

このあたりはICカードのプラットフォーマーとしての側面もあるのかも。

どうせ地元の人は当地のICカードを使うわけだし、すみ分けはあると思うんですけどね。


それにしても京成が不在なのは本当に不思議なんだけどね。

ただ、これは京成成田空港線の事情によるところが大きいのかも知れない。

確かに成田空港線には浅草線・京急(羽田空港)方面に直通の通勤電車もあり、

これを成田空港と都心の往来に使えるが、本数が少なめである。

成田空港線自体はスカイライナー中心の運行体系になっている。

すなわち特急券が必要なわけですね。それなら特急券・乗車券合わせてクレジットカードで買えば? という話になる。

で、調べたらオンラインで割引きっぷが買えるんですね。まぁ窓口引換ってのがいまいちだけど。

顔認証乗車券なんていうのも導入しているけど、これはどうなんだろ?

いずれにせよ空港アクセス路線とはいえ、関空における南海とは少し違うようである。

歩行者専用と貨物を除く車両通行止め

大阪に行ったとき、御堂筋線難波駅を出て、日本橋の電気街に向けて歩いていて、

あまり考えずにNAMBAなんなん の地下街を端まで歩くと出口になっているビルが解体中で……

周辺のビルとあわせて改築予定なんですよ。というわけで引き返して、地上に出ると、

今までの景色とだいぶ違って、ああ、そういえな なんさん通り の歩行者空間化が完了したのかと。


南海難波駅の前、もともとはタクシープールがあり、通り抜ける車も多かった。

商店街の出入口にもなるところで、ここを広場のように使えるといいねという話があり、

タクシー乗り場を御堂筋沿いに移設、それに合わせてこの一帯は歩行者専用道路になった。

これまでの経緯から道路という扱いではあるが、もはや広場ということで、

歩行者利便増進道路(ほこみち) の指定を行い「なんば広場」の名称で常時占用されている。

道路というか公園のようにも見えるが、公園にしては緑が少ない。


この広場化した道路と難波中2交差点の間のなんさん通りについても、

従来のような通り抜けが想定されないことから歩行者中心の道路となったが、

この沿線には高島屋の搬入口があり、比較的トラックの出入りが多い。

このため高島屋搬入口の少し先で通行規制を分けるようにしている。

昼間に行くとこの場所にフェンスが置かれている。

このフェンスより広場側の通行規制は 歩行者専用[9-1] + 車両通行止め[1-9/貨物を除く] となっていて、

このフェンスより難波中2交差点側は 車両通行止め[貨物を除く] ということになっていた。


東京都では「最大積載量2t以上の貨物」のような補助標識が時々ある。

これ使い方が変なんじゃないとずっと思ってるんだけど。(cf. 自動車・原付って記号で書けば)

貨物というのは大型トラックから軽トラまで全ての貨物車を指す。

むやみに貨物車は通ってほしくないが、軽トラのような小さいのはいいよ、

という趣旨で「最大積載量○t以上の貨物」という規制をしてるんですね。

なお、一般的にはこの規制はトラックのシルエット「積○t」と書いた補助標識を使う。

「貨物を除く」というのは、大型トラックから軽トラまで貨物車なら何でも通って良いが、

乗用車・二輪・自転車・軽車両は全部ダメという、相当変な規制である。


ただ、趣旨としては東京都でよく見る「居住者用車両を除く」と似ている。

商店街に「居住者用車両を除く」と書いた規制標識があれば、商店街の店舗への搬入車はあらかじめ許可を得ずとも通れる。

ここでは「貨物を除く」とすることで、高島屋やその他の店舗への搬入車を通すことを予定している。

当然、沿線店舗の搬入車みたいなのは除外許可を得ることはできるが、

事前の手続きが必要なので、それを省略できるように「貨物を除く」としていると。

もし乗用車や荷車で搬入するなら許可が必要だが、軽自動車でも貨物車ならば「貨物」である。


高島屋搬入口付近~難波中2交差点はそこそこ貨物車が通るので、

ここは歩行者が端によって歩く必要があるのはそうかなと思う。

ちなみにこのあたり一帯の歩道は以前より拡幅されたとのこと。

一方で、高島屋搬入口付近から広場までは朝9時~翌深夜1時は歩行者専用ということでこれはよいが、

深夜1時~朝9時は「貨物」は通行可能ということになる。

ただ、このために車両通行止め標識を持ってくるというのは見慣れない。


じゃあ、どうやって書くのかというと案外いい例も見あたらないが、

武蔵野市の吉祥寺サンロード商店街には、自動車通行止め[9-12の居住者用車両を除く]という標識があった。

この商店街って自転車走っていいのか? 標識上は軽車両は通って良いことになるが。

(自動車通行止め+[居住者用車両を除く]は東京都では定番の組み合わせなのだが)

そもそも歩行者専用が通行止め標識の一種であることを考えれば、

歩行者専用に「1-9の貨物を除く」と書いても同じような効果はありそうではある。

ただ車両通行止めを使った場合、歩行者は端によって歩く義務があり、

歩行者専用を使ったときは端によって歩く義務がなくなるという差がある。

その差を意識してこういう書き方をしているのかはよくわからない。

その理屈で言えばサンロード商店街は歩行者は端によって、中央は自転車、居住者用車両(9-12時のみ)、除外許可を受けた車両のために開けておかないといけないのだが。


ただ、隣接するエリアの通行規制を見てみると、そんなもんなのかもなと。

千日前一帯ではアーケードの商店街を中心に歩行者専用[9-1]という規制がある。

ということは裏返せば深夜1時~朝9時はどんな車も自由に通ってよいことになる。

そうなんですよ。搬入車に限定するような規制が全然ないんですよ。

なんさん通りは貨物車に限定しているという点でむしろ先進的である。

僕もさっき調べててびっくりしたんだけど、渋谷センター街の規制は 歩行者専用[15-5/日曜・休日は12-5]ってなっていて、

裏返せば、平日・土曜の朝5時~15時、日曜・祝日の朝5時~12時はどのような車両も通行できるということになる。

それぐらいの規制でやってる商店街もけっこうあるんですよね。


なんさん通りの歩行者空間化というのは万博合わせの事業だったみたいですね。

ちょうど完成したのが今年3月の万博開幕直前だったと。

確かに万博会期中に大阪には来ているが、難波あたりには来ていない。

だから気づいてなかったんですね。それ以前から準備はしてたんだけどね。

出来上がってしまえば大したことないような気もするのだが、

昔の景色を知っていると、ええっ!? とびっくりする変化なので。

嵯峨野トロッコ列車の牽引車のため

明日帰るわけだが、どうも出発しても雨、到着しても雨らしくげんなり。

なんというか今回の旅行は天気にはあまり恵まれなかった気がするな。

飛鳥に行くときに雨が降らなかったのはよかったけど。


さて、前に嵯峨野トロッコ列車の車両置き換えについて発表されていた。

改造用の貨車がJR西日本の車両工場に運び込まれていて、これを改造するのだろうと。

そして、これにハイブリッド式の牽引車を付けて走るという話は言われていた。

さて、ハイブリッド式の牽引車とは一体どういうものなのか。いろいろ憶測を呼んだが、答えはこうだった。

新型事業用車およびバラスト散布車の導入について (pdf) (JR西日本)

いかにも機関車っぽい見た目である。この車両は砕石輸送や車両回送にも使われるが、「嵯峨野観光鉄道(株)の予備機として使用します」ともある。

現在もそうなのだが、梅小路にいる1機のディーゼル機関車が嵯峨野トロッコ列車用の塗装がされている。

嵯峨野観光鉄道は専用車を1機持っているが、使えないときは梅小路からJR所有の機関車を持って行っている。

これと同様の体制をとるとみられ、嵯峨野観光鉄道は同型機を1機、トロッコ列車専用機として買うということである。


このデザイン、オリジナルデザインの方はいかにも古風な機関車という感じだが、

先頭部の形を嵯峨野トロッコ列車に合わせてあるんですね。

トロッコ列車は片側に牽引車を付けて、牽引車が先頭になるときは牽引車に運転士が乗り込むが、

折り返すときは牽引車の付替をせずに、トロッコの客車先頭に設けられた運転席から操縦を行う。

ヨーロッパでは機関車牽引だが客車から操縦できるようにした列車というのがけっこうあるそうで、

客車と一体にして見栄えする機関車というのを目指したんじゃないかという指摘があった。


JR西日本と言えば除雪用機関車を置き換えるための事業用ディーゼルカーを作っている。

これも元になった機関車と似たようなデザインで古風だなと言われたものである。

これも牽引車に利用できる可能性は言われていたが、あくまでも除雪車である。

より牽引に適していて、環境への配慮の行き届いた車両を作る必要があり、

この除雪用ディーゼルカーのリピートオーダーではなく、新たな車両を作ることにしたんでしょうね。

あわせてJR西日本が保有する他の機関車も置き換えてしまおうということになったようである。


これでJR旅客各社のうち、新規に機関車を買ったJR九州以外が機関車廃止の目処が立った。

JR旅客各社が機関車を保有する目的としては、客車列車の運行、砕石・レール輸送といった工事目的、車両回送、雪国では除雪というのがある。

客車列車は定期列車ではないが、SLの保存目的で運行されるものと、団体列車(クルーズトレイン)の「ななつ星in九州」がある。

JR九州がJR貨物と同仕様の機関車を買ったのは、この目的での利用がまとまって見込まれるからだろうね。工事にも使いますが。

JR東日本は砕石輸送や車両回送用の事業用車をSL列車の回送や補助のため使用している。

見た目がよくないっていう話は言われているが。

JR西日本はSLもあるが、子会社の運行する 嵯峨野トロッコ列車 のこともあるのでそれを念頭に購入した形である。

工事目的ではJR東海が早い段階で専用のディーゼルカーに置き換えている。

JR東日本も似たような考えで、そのための車両をSL用にも使っている形で起点がそちらにある。

JR西日本は今回、嵯峨野トロッコ列車の牽引車と同仕様の車両を砕石輸送用に使えるようにしたと。

除雪についてはJR東日本は車籍のない除雪用機械をこまめに配置することで対応している。

JR北海道も同じような考えだったが、一部は除雪車として保安装置を持たせている。

JR西日本はいかにも機関車みたいな除雪車を作っている。


こうして見るとなんかJR西日本ってやたら古風だなと思いますけどね。

新型検測車(DEC741形)も、昔からの事業用車の塗り分けということで青と黄色に塗っている。

中身は現代的なんですけどね。

嵯峨野トロッコ列車の牽引車はいろいろ憶測があって、除雪用車をベースにしたものではないかとか、

客車タイプのディーゼルカーで引くとか、JR貨物と同仕様の機関車を買うとか、

いろいろ言われてたが、奇をてらったことはせずに、綺麗に収まるようにしてきた感じですね。

特定原付とクルーズコントロール

先週、バイクで出かけているとき、誤操作をきっかけに偶然発見したのだが、

どうもこのバイク、クルーズコントロール機能が存在するらしい。

走行中にとあるボタン操作をすると、スロットルを放してもその速度を保つ。

ブレーキ、あるいはスロットルの操作をすると解除されるので、

スロットルを少し回して放すと惰性走行になるという。


といっても特定原付は20km/hリミッタがあるので、

特段の問題が無ければ20km/hリミッタにぶつけて走るので加減する必要が無い。

例えば15km/hに保ちたいというなら、この機能がないとけっこう大変だが、

20km/hに保つだけならずっとフルスロットでいいんですよ。

というわけで元々特定原付にはこの手の機能を備えているものも多い。

例えば、8秒間定速を保ってスロットルを放すとクルーズコントロールが働くなど。


楽というのはあるし、必要時にすぐブレーキ引ける位置に手を置いておけるのもよい。

クルーズコントロール機能を有効にするためのボタン操作がこれでいいのか?

という感じでちょっと気になるのだが、一度設定してしまえば減速の必要があるまでそのままで、

ちょうど昨日の映画館との往来は定速で走れる区間が長く、

これは本当に楽だった。そんなわけでそこそこ意味はありそう。


さて、来週末は徳島へ、その足で関西にしばらく滞在ということで、

バイクを持って出かける予定である。おそらく年内ではバイクを持って遠出するのは最後かな?

徳島にバイクを持って行く方法

寒くなってくるとなかなか割に合いませんからね。

新川崎駅とは

ガールズバンドクライで主人公らのバンドに「トゲナシトゲアリ」の名前が付く前、

「新川崎(仮)」というよくわからない名前を付けていたわけだが、

これは横須賀線の電車が停車する新川崎駅に由来するものに違いない。


しかし新川崎駅というのも変な駅名だなと思う。

この駅が開業したのは1980年のことである。

従来は東海道線と横須賀線の列車は東京~大船で同じ線路を走って、東京発着で走っていた。

ところがこれでは持たないということで増線を行うことを決定。

鶴見~大船はもともと並行して貨物線があったのでこれを転用。

代替となる貨物線を作り、ここに新しい貨物駅、横浜羽沢駅を作った。

後にこの横浜羽沢駅に隣接して相鉄との接続点となる羽沢横浜国大駅を作り、JR~相鉄の直通運転に使われることになる。

代替の貨物線は鶴見で南武支線に入り浜川崎駅へ、そこから東京貨物ターミナルや汐留駅に向かうルートを新設した。

もっとも東京貨物ターミナルから先はかなり短命に終っている。

そんなところに貨物線あったの?

ただ、この線路は羽田空港アクセス線に転用されることが決まっている。


というわけで鶴見~品川も貨物線の線路が利用できるわけだが、

鶴見~品川については貨物線と東海道線のルートが大きく異なった。

この貨物線の上は東海道新幹線を作るときに線路を通す空間として使われている。

で、元々貨物線なので途中駅は事実上なかったわけですよ。

一応、新鶴見操車場という貨物の振り分けを行う施設はあったが、一般的な駅ではない。

品川~東京~錦糸町は新設の地下線を経て総武快速線につなげられている。

この総武快速線と一体化するという方策は、秋葉原駅の混雑対策という側面もあって、

総武快速線ができる前は総武線の東京側の乗換が秋葉原に極度に集中していた。

これを東京駅・品川駅に分散するのと、横須賀線を東京駅まで引っ張ってくるのを合わせたと。

ここは国鉄初めての地下鉄区間である。


横浜~品川では東海道線の快速は川崎駅のみ停車するが、

同区間にも1駅ぐらい停車駅があってもよいじゃないかという話があったとみられる。

それで請願駅としてできたのが新川崎駅、開業当初は同区間唯一の中間駅である。

命名自体は東海道線の川崎駅の代替で新川崎駅というものだが、

そんなに近いわけでもなく、幸区の中央付近にある駅である。


ただ、かつてはこの駅は川崎区方面へのアクセスに使われることもあった。

なぜならば南武線の鹿島田駅が近いからである。

このため鹿島田駅と乗り換えて利用する人がいたという。

特に東海道線が運休になり迂回運転のときはその重要性が増す。

この特徴から、新鹿島田駅という仮称だった時期もあるらしい。

ただ、乗換駅としては仕立てられなかったんですよね。


その後、品川~鶴見には1986年に西大井駅が開業、地域対策らしい。

そして2001年、湘南新宿ラインの運行が開始された。

この湘南新宿ラインは山手貨物線を利用して、宇都宮線・高崎線と東海道線・横須賀線を新宿経由で直通運転するものである。

山手貨物線は東京都心を貫通して貨物列車を走らせるルートとして活用されてきた。

今は東京都心と考えられている、池袋・新宿・渋谷もかつては田舎だった。

しかし武蔵野線の開業により貨物列車のルートとしての意義が薄れていった。

それと入れ替わるように埼京線の運行が開始、まずは新宿まで、

1996年には渋谷駅・恵比寿駅にホーム新設(この渋谷駅のホームが大きくズレていた)、

2001年に大崎駅通過で湘南新宿ラインの運行が開始。

2002年に埼京線・りんかい線直通化のときから大崎駅停車になっている。


この湘南新宿ラインは大崎駅で山手貨物線と接続する都合、

大崎~大船では必ず横須賀線の線路を通るという特徴がある。

もともとは東海道線の代替ルート上にあるに過ぎなかった新川崎・西大井だったが、

新宿・池袋まで直通の電車が停まるようになったわけである。

これによりこのルートの重要度が増したわけだが、また事情が変わる出来事があって、

それが武蔵小杉駅への横須賀線ホーム新設である。

実は横須賀線ルートと南武線の交差点付近には、一大ターミナルである武蔵小杉駅があった。

ここにホームを新設して乗換駅にする話があり、2010年開業している。

最初は乗換ルートが遠かったりいろいろあったけど、多くの人が利用するようになった。

これにより新川崎-鹿島田の非公式乗換ルートを使う人は減ったという。


相鉄・JR直通線は埼京線の延長運転のような体裁になっているが、

運行経路の都合、「各停」でも武蔵小杉~羽沢横浜国大がノンストップ、

新川崎駅は近くは通るのだが、ホームのあるところを通れないので通過である。

このルートは利用者が少ないのだが、武蔵小杉~新宿に限っては利用者が多く、

湘南新宿ラインが与えた影響の大きさというのを感じることができる。


というわけで結局はおいしいところは武蔵小杉駅に持って行かれてしまったわけだが、

この周辺の人が東京方面に向かうには便利なので活用されているはず。

川崎市内の移動は南武線で、東京・横浜へは横須賀線(湘南新宿ライン含む)と。

それにしてももうちょっといい命名はなかったんかいとは思うんですよね。

新鹿島田ではあんまりだという意見もわかるんですけど。

自転車は通行可を使うように

先日、東京に行ったとき、上野→秋葉原と歩いていたとき、

上野二丁目の商店街の入口に 歩行者専用+「自転車は通行可/17-6」とあった。

以前なら「自転車を除く」だったが「自転車は通行可」に順次変更されているよう。


そもそも 歩行者専用+「自転車を除く」ってなんだよという話ですが。

歩行者専用+自転車を除くの意味

歩行者専用の標識は通行止め標識の一種と規定されている。

実は赤丸に斜線の「車両通行止め」と通行止めの効果自体は同じである。

ただ、「歩行者専用」の標識がある場合、「歩行者の通行の安全と円滑を図る」となり、歩行者は端によって歩く義務がなくなる。

東京都では歩行者専用+「自転車を除く」の組み合わせを多用しているが、

これは普通自転車以外の自転車が通行できないことを明示することと、

歩行者最優先であることを示すことを目的としているそうである。

他府県だと 自転車・歩行者専用の標識を使ったり、

歩行者専用や自転車・歩行者専用に「軽車両を除く」を付けたり……


でも、歩行者専用に「自転車を除く」って直感的ではないよねと。

こういう疑問は今に始まったことではないと思うのだが……

この状況が変わるきっかけとなったのが特定小型原動機付自転車(特定原付)の制度だった。

標識令では特定原付について、「車両の種類」標識では普通自転車と同様に扱う、

ただし特定原付について別に示している場合はその限りではないとなっている。

このルールにより標識を書き換えなくても、車道上では特定原付は自転車と同じ走り方になるわけですね。


ただ、ここで特定原付について別に示す方法ってどうするんだろう? と気になるわけですよね。

普通自転車は規制対象だけど、特定原付は規制対象外というならば、

「自転車」「特定原付を除く」を区分線を引いて並べればよさそうだが、

そもそも「自転車」なんて補助標識はそうそう見ない。

(京都で歩道上の駐輪場に駐車可+「自転車」というのは見たことがあるが)

やはり圧倒的に「自転車を除く」なんですよね。

普通自転車は除くが、特定原付は規制対象ってどう書けばいいんだ?


この疑問に対する答えは「特定原付は通行不可」と併記することだった。

パーソナルモビリティ安全利用官民協議会 資料(pdf) (警察庁)

ここでは「自転車を除く」に「特定原付は通行不可」を併記しているが、

「自転車は通行可」「特定原付は通行不可」のセットの方がわかりやすい。

という流れのような気もするんだけど、どうなんでしょうね。

もっとも今のところ「特定原付は通行不可」のように特定原付に別の規制をする標識はないと思うが。


この「○○は通行可」「○○は通行不可」という表記、他にも拡大するんだろうか?

歩行者専用、自転車・歩行者専用の標識では広く活用できそうだけど。

「軽車両は通行可」「自転車・居住者用車両は通行可」とか。

それ以外の規制に対して「○○は通行可」「○○は通行不可」を使えるのかは定かではない。

一方通行とかは従来通りの「○○を除く」でいいんだろうけど、

一方通行出口の進入禁止は「○○は通行可」の方がわかりやすい気がする。


標識というのも少しずつアップデートされていて、

外国から来た人が理解しやすくなるように一時停止標識に「STOP」と書かれたり、

歩行者対象の標識ということで小学生以下でもわかりやすいよう、

歩行者横断禁止の「横断禁止」が「わたるな」になったり……

この「自転車は通行可」も同じような話ではあるのだけど、

問題は古い標識の取り替えペースは地域差がかなりあること。

東京都はかなり取り替えペースが早いのだが、これは珍しくて、

錆びた標識、色褪せた標識が残っているところは多いですよね。

なので、このあたりのアップデートを実感出来ない人が全国的には多いんじゃないかと。

徳島にバイクを持って行く方法

久々にマチ★アソビに行こうかなと思って先週末に準備に着手した。

毎度のことだが宿には困るのである。

まぁ鳴門なら取れるので列車で往来するならそれでもいいのだが、

バイクを持って行くならそこにこだわることもなかろうと。


松茂か小松島かというので、最初は松茂かなと思った。

松茂は高速バスで徳島と往来する人にはバス停があるのでよくご存じでしょうが。

あるいは徳島空港があるところですね。

ここだと列車というわけにはいかない。バスはあるけど。

ただ、結果的には小松島ということになった。こっちの方が総合的に近いという判断である。

これだと冷静に考えれば列車で往来でもよかったのかな。


しかし、徳島にバイクを持って行くというのが少し問題である。

東京と徳島を往来する手段として主なところは、徳島空港まで飛行機で飛ぶか、

新神戸駅あたりまで新幹線で行って淡路島経由のバスに乗るか。

折りたたみ自転車のように運べるバイクではあるが、

飛行機に乗せるのは難しそうだし、バスのトランクも載せられるか不安がある。

かといって岡山経由で列車で行くのは遠回り過ぎる。

というところで使えると考えたのが和歌山経由のフェリーですね。


和歌山~徳島をフェリーというのは、高速道路を走れない原付・自転車の往来手段としても一般的な方法である。

明石~淡路はジェノバラインの小型フェリーまたは高速船(自転車のみ)で往来できるが、

淡路島~四国を渡るルートがないので淡路島経由は使えない。

自走にこだわれば しまなみ海道 になるが、これは遠すぎる。

今回は折りたたみということで船内に手荷物として持ち込むので、

車両甲板に特殊手荷物として積載するわけではないが事情は似ている。


これはこれでよかったが次の問題は和歌山との往来である。

徒歩客は 好きっぷ を使うと南海電車の運賃が実質無料になる。

クレジットカードのタッチ決済で南海電車とフェリーをともに利用すると、

それで自動的に好きっぷ相当の運賃になるので楽ですね。

ただ、新幹線からの往来を考えると、うーん……となってしまった。

和歌山に新幹線で行く場合の最寄り駅は当然新大阪駅である。

ここから南海電車に乗り換えようとすると、御堂筋線に乗るのが一番楽に思える。

ただ、新大阪も難波もけっこう乗換が遠いんですよね。

そこをあのクソ重いバイクを担ぐのは勘弁してくれと。


南海電車にこだわらないなら楽なのはくろしお号ですね。

くろしお号は新大阪まで乗り入れてますからね。新幹線乗換なら最良である。

好きっぷの権利は捨てることになるし、特急料金もそこそこするが。

和歌山~和歌山港については自走での移動になるが、距離はそう遠くない。

というわけでこのルートで金曜夜に徳島入りする。


土日をマチ★アソビを楽しんだ後は関西の他のところへ向かうため、

月曜5:30発のフェリーに乗って、今度は南海電車で移動する。

というわけでこちらは好きっぷの権利を活用できるつもり。

ただ、5:30の船に乗るように港に着くということは相当早起きにはなる。

仕方ない。前日中に動くよりはこっちの方が楽だろうという判断である。

船に乗ってしまえば少し休めるのでね。


マチ★アソビなんだから徳島に滞在して参加できるといいんだけど、出遅れると難しいですね。

バイクを持って行くと列車の時間に関係なく往来できるのはよいが、

どこにバイク置いとけるのかは考えとかないといけないな。

自転車みたいなものなので、あまり厳しく言われない気もするが。

そうでなくても原付一種ですから、停められないということはまずないけど。