日本の鉄道ネットワークは新幹線を中心に構成されていると言っていいと思う。
新幹線駅から主要都市へのフィーダー特急を走らせることがよく行われている。
そして新幹線の駅から新幹線で他の都市へ向かうと。長距離の鉄道での移動だとこの例によるところが多いのではないだろうか。
とはいうけど新幹線から遠い地域というのもある。
実際のところどんなもんか調べてみた。
都道府県庁所在地の市町村から新幹線駅へのアクセス (pdf)
主要な都市として都道府県庁所在地を持ってきた。これ以外にも主要な都市として挙げるべきものはあるだろうがこれぐらい。
これらの都市の最寄りの新幹線駅と中心市街地からのアクセスを示した。
47市のうち21市は市内に新幹線駅がある。ただし新幹線単独駅など中心市街地から離れたところにある駅もある。
けどだいたい鉄道でのアクセスが充実しているので、20分程度で到着する。
微妙なのが山口市なんだけど、もはや旧小郡町の新山口駅(かつては小郡駅だった)のあたりが中心市街地とも言えるのでこの表の中では新山口駅を中心駅としている。
隣接する市町村にあるなどで20分程度で到着できる都市には他に4市ある。
大津市からだと京都駅、岐阜市からだと名古屋駅が近いので府県界を飛び越えてるけど近い。岐阜羽島駅よりも名古屋駅が近い。
佐賀市は一般には博多駅で新幹線乗り換えが使われることが多いように思うけど、新鳥栖駅まで20分なので一応数えている。
あとで出てくる長崎市の事情もほぼ同じ。
これら合計すると47市中25市は20分ぐらいで新幹線駅にたどり着けるということで、新幹線自体のカバー率がなかなかのものであることがわかる。
では残りはどんなもんなのか?
1時間以内でたどりつけるのが奈良市・千葉市・津市・高松市ですね。
奈良市・津市はこの中では私鉄特急で新幹線駅にアクセスする唯一の例ですね。言うまでもなく近鉄特急のこと。
これから出てくるアクセスはほとんどJRによるものだけど、ここは近鉄、というのもここはJRの全国ネットワークの穴なんですよね。
一応名古屋から三重県へは特急あるけど、奈良県に至ってはJRの特急がないからな。
JRの全国ネットワークの穴であるわけだけど近鉄があるから大丈夫と。奈良県・三重県での近鉄の存在感の強さがよくわかる。
千葉市へは特急もあるのだけど1時間に1本ぐらいなので快速列車を挙げてある。千葉市より先にいくなら特急の方が便利かと。
高松市へのアクセスはJR普通列車となってるけど、これはマリンライナーですね。
マリンライナーは瀬戸大橋を渡る快速列車だけど、この列車の目的には新幹線アクセスというのがある。
指定席・グリーン車もあるので新幹線と合わせてどうぞ。立ち位置としてはフィーダー特急に近い。
1時間台でたどり着けるのが、福井市・和歌山市・水戸市・大分市・山形市・鳥取市・秋田市・長崎市・甲府市ですね。
山形市と秋田市はミニ新幹線として新幹線車両が直通しているので実感としては新幹線が既にあるような気がするが、東北新幹線から分かれたら在来線なので。
乗り換え無しということを考えると所要時間の割には便利なのではないかなと思う。
福井市は米原からしらさぎ号を使っている。しらさぎ は新幹線との接続に特化したものでなかなか使いやすい。
福井はすでに新幹線がかなり使いやすいところにあることがわかる。そんなんだから北陸新幹線が東から伸びてきても微妙だなと思っている人は多いんだとか。
和歌山市へのアクセスはくろしお号を使っている。くろしお号は新大阪駅から和歌山・田辺・白浜・新宮へ行くわけだけど、新大阪スタートなのは新幹線接続のため。
水戸市は東京の上野駅からのスーパーひたち・フレッシュひたち号を挙げている。
上野駅というと東北新幹線の駅だけど、東海道新幹線に乗るとなると東京駅に行かないといけない。そのためには少しだけ山手線か京浜東北線に乗らないといけない。
それは不便だということで現在、上野~東京に新しい線路を引いて東京駅や品川駅に直通できるようにする工事が行われている。これで新幹線へのアクセスが向上しそう。
大分市へは小倉駅からのソニックを挙げたが、なかなかのものである。ソニックはそのまま福岡に走っていくので福岡へも便利。
鳥取市へは姫路駅からスーパーはくと号を使っている。スーパーはくとは京都から鳥取へ向かう特急である。
途中、智頭急行の線路を走るわけだけど、智頭急行が開業したことにより従来ルートより1時間短縮されたんだとか。
京阪神に近くなったのはいうまでもなく、姫路で新幹線と接続することにより名古屋・東京との所要時間も短くできた。
2003年から姫路駅には毎時1本ほどのぞみ号が停まるようになったので、これと接続するようになったのよ。
甲府市はどの新幹線駅へ行くか悩みどころ。一応一番近いのは新横浜駅かな。けどあまり新横浜で乗り継ぐ人は多くないんじゃないかと。
というのも静岡駅までふじかわ号というルートがあるから。ただ現在、台風の影響で身延線が運転見合わせ中でして、3月17日に再開予定。西へいくならこちらだろう。
東へ行くなら新宿駅まで特急で行って、そこから普通列車で東京駅または大宮駅へ向かった方がいいでしょうね。
2時間以上となるのが札幌市と那覇市を別とすれば、金沢市・富山市・徳島市・宮崎市・松山市・高知市・松江市ですね。
金沢市・富山市は新幹線駅へいくのに2つの選択肢がある。しらさぎ号で米原駅にいくか、はくたか号で越後湯沢駅にいくか。
金沢からだと米原の方が近くて2時間、富山からだと越後湯沢まで2時間、目的地に応じて使い分けるのが賢い。
東京が目的地ならばはくたかを選べばいいけど、金沢から横浜だとしらさぎで米原経由の方がいい。名古屋へ行くのなら富山からでも米原経由だろう。
2014年には長野~富山~金沢の北陸新幹線が開業するので、開業後は新幹線を直接使うことができるエリアになる。
とはいえ、大阪や名古屋へ行くには北陸新幹線は使えないので、新幹線が出来ても劇的に便利になるかは微妙。
徳島市・宮崎市へのアクセス手段は高速バスを挙げた。
徳島へ行くなら淡路島経由のルートがやはり便利である。JRバス系の神戸発着便は新神戸駅を通るが新幹線との乗り換えを意図している。
徳島駅から新神戸駅までは2時間ほど、東京・名古屋から新幹線なら新神戸駅で新幹線乗り換えが便利なはず。
ただ、岡山から高松経由のルートも2時間10分なので、西へ向かうならバスじゃなくて鉄道がよいだろう。けどそんなに多くないよね。
宮崎市ですが、ここは鉄道が使い物にならん地域で、もともと飛行機や福岡への高速バスが重宝されてきた。高速道路はいいのがあるんで。
そんな状況だったわけだけど、九州新幹線全通を受けて新八代駅からのバスが設定された。その名前はB&Sみやざき、バスと新幹線だからB&Sなんだと。
新幹線との組み合わせは陸路最速ということでそれなりに人気はあるようだ。2時間10分で新幹線駅というのはこれまでのことを考えればかなり画期的なんですね。
とはいうけど本州までの利用者がどれぐらいいるかは疑問。さすがにここは飛行機かなと。
松江市へのアクセスには岡山駅からのやくも号を挙げた。高速化してるはずだけど岡山から2時間40分と所要時間は長い。
大阪・神戸~米子・松江・出雲では高速バスの運行も盛んで、なかなか厳しい戦いに見える。
松山市・高知市だが、非常に新幹線へのアクセスが悪い。
岡山からの瀬戸大橋経由の特急の所要時間が、高知まで2時間40分、松山まで2時間50分、どちらも高速化が行われているのだが……
この表では松山の最寄りの新幹線駅が広島駅で船でアクセスとなってるが、実は松山と広島は近い。高速船もあってアクセスはよい。
とはいうけど現実には新幹線との乗り継ぎに使われることはあまりないでしょうね。あるとすれば岡山からだけど、それだって微妙。
ここも飛行機の本数は多いし、大阪・神戸へは高速バスもあるしなかなか新幹線接続で優位に立つというのは難しそう。
新幹線が近くにない都市でもその恩恵を受けられている都市はかなり多いことがわかった。
各社とも新幹線接続には力を入れていて、その結果多くの都市への所要時間が短縮されている。
飛行機だとある都市への所要時間しか短縮されないけど、新幹線接続ならば1つのみならず多数の都市への所要時間が短縮されるのでメリットは大きい。
高知・松山あたりは一見使い物にならないように見える。JR四国ががんばってるのはわかるけどこれじゃあなぁと。
東京だと飛行機だろうし、京阪神だと乗り換え無しのバスが便利かとなる。バスのルートの方が短いし。
ただ、バスもない飛行機も大してないような名古屋へのアクセスだとわりに新幹線ルートも使えるので、きちんと使い道があるので無駄ではないのも確かである。
主流となるには足りないけどこういう使い道はあるようだ。