ふとニュースを見てたらこんな記事を見つけて「えっ?」と思った。
関西で物流施設建設ラッシュ ネット通販、企業の「在庫嫌い」追い風 (Yahoo!ニュース)
関西各地に大規模な物流施設が増えているという話なのだが、驚いたのはこの部分だ。
プロロジスは同市にある彩都(国際文化公園都市)中部地区に物流施設を建設する。すでに用地造成を始めており、来春には建屋の工事に入る意向という。6階建てで、延べ床面積は約18万平方メートルと国内最大だ。平成28年に完成する。
北側には中堅スーパー、万代(大阪府東大阪市)も大型物流施設を整備するなど、近辺は一大物流拠点となりつつある。
彩都中部地区にプロロジスと万代の物流施設ができるという話なのだが、
彩都にそんなもんが立地できるのか? いや、立地できるから事業化してるんだろうけど。
そもそも彩都というのはライフサイエンスの研究開発拠点を中心とした新都市という話だった。
それとともに住宅、国際的な文化・学術交流のための施設を立地させようという意図で開発されてきた。
ただ、彩都というと今はまだ住宅地の印象が強いかな。
特に茨木市域では小学校がパンクするというからマンションの立地を制限するほどの盛況だという。
まぁモノレールもあるし、土地も割安らしいので、住宅用地はほぼ完売してるようだ。
ところが本来意図していたライフサイエンスの研究施設の立地はなかなか進まなかったそうだ。
というのも、研究施設用地の用途地域は当初、第二種住居専用地域(二住)だったのよね。
二住というと住居系の中では制限のゆるい用途地域で、住宅というよりはオフィス、そして研究施設・研修所を想定したものと言っていいだろう。
ただし工場は小さなものしか立地できない。すなわち研究施設単独で立地する場合にしか使えないわけだ。
しかし現実には研究開発拠点を工場に併設させることを選ぶ会社が多いわけで、ニーズに合わず売れ行きは思わしくなかったよう。
そんなこともあって、用途地域が準工業地域(準工)に変更され、研究開発拠点とそれを製品化する工場を一体としたものは立地できることになった。
そして、彩都ライフサイエンスパークの土地は全て売れたという経緯があるようだ。
似たようなことは学研都市でもあったようで、それ以後、事業用地の売れ行きもよくなったようだ。
高山地区はそれで開発した全ての用地を売り切ったようだからな。
工場立地に合わせてバスも増発され、いくらか活気も増したのではないか。
工場と一体とできるようになったことでより強力な研究開発拠点ができるようになったとも言えるけど、
実態としては研究施設用地を工場用地に転用したとも言えるわけで、そこは賛否が分かれるところだろう。
さて、ところで彩都の計画というのは西部・中部・東部と3つに分かれていて、まずは西部から開発が行われることになった。
だから今、彩都にあるモノレールの駅は 彩都西駅 なのね。この先、中部・東部と伸びることを想定しているわけだ。
しかし、当初の目論見通りには進まず、東部地区は全く造成されていない。
中部地区は造成を進めているので、なんしか土地を売らないといけないのだが、
当初想定していた用途での活用は見込めなくなったということで、どうしたもんかという状況だったようだ。
それで中部地区の活用についていろいろ模索した結果、万代が物流施設を立地したいと言ってきたようだ。
というのも中部地区は全て事業用地で、宅地に隣接しているわけでもない。
その上、茨木ICにも近く、新名神の茨木北ICの予定地にも近い。そんなこともあって確かに物流施設の立地には適している。
しかし、当初想定していたライフサイエンスの研究開発拠点という用途とはあまりにかけ離れているんだよなぁ。
用途地域変更で想定していた研究開発拠点と工場を一体化した施設でもない。
けど、それでもOKということになったようで、中部地区の開発が本格化したとのことだ。
その後、プロロジスも物流施設の立地を決め、彩都中部地区は一大物流拠点となることになったとのこと。
東部地区については開発が全く進んでいない上に、URが新規市街地の開発から撤退する方針であることから、彩都の計画から外れることになった。
民間事業者でやるところがあればやればという話なのだが、事業としてなり立たないだろうともっぱらな評判だった。
しかし、交通の便がよいということで物流施設用地としての引き合いがあるようで、
東部地区の予定地の一部で事業用地としての開発が事業化されようとしているようだ。
東部地区は一旦計画が破綻した上で、その予定地の一部を使って開発しようという話なので、
それはそれでありかなと思うんだけど、中部地区への物流施設の立地はどうにも解せない思いがある。
住宅用地のない地区だったからこそというのはあるんだけど、そこまで計画をねじ曲げてまで事業を進めるかと。
元々は大学とかの立地も想定されてた地区だと思うのよね。それがこれじゃあねぇ。
まぁ造成が進んでたとか、地権者(主に阪急)の意向とかあったのかなとは思うんだけどね。
それで彩都建設推進協議会のWebサイトを見ると、中部・東部地域も含めて研究施設の誘致を進めるとか言ってるんだからちゃんちゃらおかしい。
思うところはいろいろあるが、確かに物流施設の立地に好適であることは間違いない。
当初の想定が外れたとはいえ、そういう形で土地の活用が進むのは、
これまで彩都に期待を寄せてきた地権者には朗報ではあるのだろう。
西部地域だけでも当初の彩都のコンセプトがある程度実現できたのならそれはそれでいいのかもしれない。
リスクがあるからこそ段階的に事業を進めてきたんだろうし。