手袋はめてスマートフォンを使えるように

長らく使っていた京セラ製のピーラーが壊れたのでイオンに買いに行くことに。

確かにセラミックのメーカーですね

刃の部分が悪くなったのではなく、その周辺のプラスチック部分が壊れたようで、

刃先の向きが定まらなくなったので、これは買い換えだなと。


今日は30日だから5%OFFということで大賑わい。

ブラックフライデーのキャンペーンも合わさって華やかである。

もっとも日用品・衣料品はサンキューパスポートなどで5%OFFで買うことが多く、そんなに特別感はないのだけど……

とお目当てのピーラーとあわせて食器を購入。

ついでに他の店も見ていくかと、イオンモール内を歩いて行く。


それでスポーツオーソリティの前に防寒着がいろいろとあったので、

比較的厚手のものでよさそうなのがあったので買うかと。

5%OFFの上、スポーツマイルというスポーツオーソリティのポイントが+5%とある。

というか、ここも20日・30日は5%OFFになるんですね。知らんかった。

それでスポーツオーソリティのアプリを開くと5000円以上購入で500円引きというクーポンがあり、

あと少し買えば5000円超えるので、そういえばと探しに向かったのは手袋である。

ランニング用のフリース生地の手袋があったので購入した。

ポイントは手袋を着用したままスマートフォンが使えるということである。


バイクで出かけるとき、地図を見たいことがある。

スマートフォンをハンドルに付けるキットを取り付けて使えるようにしたが、

手袋をしていてはタッチパネルが反応しないので、いちいち手袋を外さないといけない。

手袋を外したまま運転すればよいが、ずっと手袋を外しては寒い。

というわけでなかなか使いにくいなと最近思っていたのである。


実は手袋を付けたままだともう1つ問題があり、それが指紋認証できないことである。

しかし、こちらの問題については打開策があって、

それがBluetooth機器が接続されているときはロック解除を継続できる機能である。

指紋認証やPIN入力でロック解除した状態で設定した機器が接続されていれば、

それが切断されない限りは指紋認証・PIN入力なしにロック解除できる。


あとは指先が導電性になっている手袋さえあれば、

手袋をはめたままスマートフォンを操作出来てしまうわけである。

そんなことをスポーツオーソリティに来て思いだしたので探したと。

もっとも様々なスポーツ用の手袋はあるが、そういう必要性がある競技は限られる。

そんな手袋のニーズがあるスポーツがランニングだったというわけ。


そんなわけで帰り道ではめてみたのだが……

風を防がないので、特に走っているときだと冷たいなと。

ランニング用ということで汗で蒸れないように通気性がよいのだろう。

それでいて暖かさが保てるようにと、薄いフリース地のようだ。

バイク用の手袋としてはイマイチかもしれない。

ただ、それでも素手よりはだいぶ暖かいわけだし、これはこれで悪くない。


イオンモールとの往復でスマートフォンなんぞ見る必要は無いが……

帰ってきてBluetooth接続の骨伝導ヘッドフォンを接続して、

これが接続されているとロック解除が継続するようになっているので、

この状態ならば手袋だけでちゃんと操作出来ることを確認した。

ということで一応は目論見通りということで。


ちなみに指定のBluetooth機器が接続されていればロック解除が継続する機能だが、

この機器が接続されているとロック解除されるという意味ではない。

ロックされた状態で接続しても、指紋認証あるいはPIN入力が要求される。

接続後1回は指紋認証あるいはPIN入力を行わなければロック解除が継続する状態にはならない。

というわけで、単純に機器を奪われると危険という話ではない。

この機能は家などに設置したBluetooth機器を設定して使っている人もいるだろうが、

この場合でもBluetooth機器のある場所にスマートフォンを持ち込むだけでは足りず、

その場所で1回は指紋認証あるいはPIN入力でロック解除をしなければならない。

位置情報でロック解除を継続する設定も可能だが、その場合も同じはず。

読売333はなぜ必要か

こんなニュースが流れてきた。

日本企業への投資を後押し、経済の好循環図る…読売333「等ウェート型」で特定企業の値動きに偏らず (読売新聞)

新しい株価指数として読売株価指数ができるとのこと。

通称「読売333」で、日本の上場企業を333社選定して指数を計算する。

読売新聞のブランドが付いているが、実務は野村フィデューシャリー・リサーチ&コンサルティングが行うとのこと。


特徴は「等ウェート型」の株式指数であること。

算出開始時点の株価がA社:100円、B社20000円、C社4000円で、このときの指数を300とする。

等ウェートなので300をA社, B社, C社に100ずつ割りあてればよい。

すなわち 指数=A社株価×1+B社株価×0.005+C社株価×0.025 となる。

3ヶ月後の株価がA社:110円、B社19600円、C社5000円になったとする。

このときの指数は 110+98+125=333 となる。

読売333 では3ヶ月ごとにウェート調整を行うとのことだから、

これを3社に再配分すると各社に111ずつ割りあてて、

A社株価×1.01+B社株価×0.0057+C社株価×0.022 となる。


指数を計算するだけなら「経済の『体温計』」というだけにすぎないが、

指数があればそれに連動する投資信託が出てくるだろう。

読売333に連動する投資信託を買った場合には、上で書いたようなことが行われる。

すなわち資金は333社に等分に配分され、3ヶ月ごとにウェート調整される。

株価が大きく上がったC社は株価に掛ける係数が0.025→0.022と下がっているが、

これはC社の株式を売却することに相当する。その分は他の銘柄に再配分される。

あと333社は年1回入れ替えが行われるが、除外される銘柄を売って、新規採用銘柄を買うことになる。


日本の株式指数といえば、TOPIXと日経平均株価(「日経225」とも)が古くからある。

TOPIXは日本の上場企業の時価総額の合計を表す指標といってよい。

元は東京証券取引所第一部に上場する全企業の時価総額(株価×発行済株式数)を表す指数だった。

これ以外の市場だけに上場する企業は計算に入っていないものの、時価総額としてはごく小さい。

このため、TOPIXは日本株全てを表す指標といっても差し支えない。


2005年~2006年に浮動株の時価総額を基準とするようになった。

他の会社や役員・創業家などが固定的に保有する株は指数の計算対象から外すということである。

上場会社同士の株式持ち合いでダブルカウントされているのを除く意味もあるか。

さらに2021年~2025年で時価総額の低い439銘柄が順次除外されていった。

元々2168銘柄で計算していたのが2割ぐらい減ったわけだが、時価総額では99%以上カバーできている。

このため現在においても、TOPIXは日本株全てを表す指標と言える。


日経平均株価は上場企業の中から厳選された225社の株価の平均……というほど単純ではない。

現在は 225社の株価に会社別の換算係数を掛けたものの合計 を表す指標となっている。

この換算係数というのもあまり一貫性のあるものではなくて、

ファーストリテイリングだけで日経平均株価のウェートの10%超にも達することが知られている。

歴史ある指数なのはいいんだけど、投資対象としては考え物である。


TOPIXは日本株全体を代表する指数という点ではよくできているが、

投資対象として考えたとき、必ずしも優良企業ばかりではない点が欠点である。

2025年に2割減ったとは言え構成銘柄数が多すぎるという欠点もある。

日経平均株価は225社に厳選しているとはいえ、その比率はあまりに不規則。

そこで作られたのが JPX日経インデックス400 である。

TOPIXを算出してきたJPX(日本取引所グループ)と、日経平均株価を算出してきた日本経済新聞社がタッグを組んだわけだ。

まず、一定の基準で東京証券取引所に上場する優良企業を400社を選定する。

その400社の浮動株時価総額の合計に応じた指数がJPX日経400である。

この400社は年1回入れ替えが行われている。


話は戻って読売333の話である。

TOPIXの欠点と日経平均株価の欠点を踏まえた指数であることは明確である。

これに対して等ウェートの読売333ってのはどうなんだろうね。

時価総額の大きな会社の株価変動の影響を受けにくいことがまず書かれている。

後で書くのだが、実はJPX日経400もこの点は対策がされている。

もう1つの特徴が定期的なウェート調整でしょうかね。

相対的に株価が上がった銘柄から他の銘柄に配分されるという性質から、

「将来的な成長の余力がある企業の動きを取り込める特徴があり、中長期的に高いパフォーマンスも期待される。」

と言っているのではないかと思う。


JPX日経400にも時価総額の大きな会社の影響が大きいことへの対策が入っていると書いたが、

実は「400社の浮動株時価総額の合計」と書いたのは正しくなくて、

1社で1.5%以上のウェートになってしまう場合はキャップ調整比率を掛けるルールになっている。

このキャップ調整比率は年1回の入れ替え時に調整されるよう。

この結果としてTOPIXでのウェートが3.7%に達するトヨタ自動車も1.5%程度に抑えられている。

この調整が行われているのは400社中15社程度ではないかと思う。


もっともJPX日経400は様々工夫を凝らしてはいるものの、

全体的にはTOPIXの計算方法に似ているので、TOPIXとほぼ同じ値動きとなる。

さすがに厳選している分、若干よいリターンが得られているようだが。

TOPIXより少しよい というのがこの指標の最大の長所なんだろうな。

日本株全体の動きに対して悪い方向に乖離するリスクは低い。


読売333は時価総額が低い企業への投資が相対的に大きくなるのがどうかね。

「まず、売買のしやすさ(流動性)という観点から「売買代金」で絞り込み、その中から「浮動株時価総額」の上位333銘柄を採用する。」

とのことだから、ある程度は時価総額のある企業が選ばれるのだろうが……

TOPIXのウェート(=浮動株時価総額)が大きい順に並べると、

167位(中央値)が0.11%程度、333位は0.04%程度だった。

これらを全て0.3%ずつのウェートで投資するわけだから、

時価総額の大きな企業への投資をぐっと抑えて、広く配分することがよくわかる。

それが「将来的な成長の余力がある企業」への投資なのかはなんとも言えませんが。


本質的なことではないが、読売333の単位は「円」だそう。

とはいえ、この手の株価指数は基準日の数字をいくつと決めて算出を開始するもの。

JPX日経400では2013年8月30日の指数を10000(無単位)と決めている。

これを10000円と呼んでも、100ドルと呼んでも、10000kgと呼んでも、本質的な意味は変わらない。

日本企業の株価なんだから円単位の方が直感的だろうという程度か。

円単位なら小数点を使わないとうまく表せないような数字にはしないかなと。


あと、これこそどうでもいい話だけど「読売333」と聞いて、

読売ジャイアンツの長嶋茂雄終身名誉監督の名前を挙げている人がいた。

長嶋さんの背番号が3(現役時代)あるいは33(監督時代)というわけで、

読売と3と言えば長嶋さんだという話である。

特に関係ないと思うが、ジャイアンツにとって特別な数字であることは確かである。

不均一なセクタ構成

昨日、パラレルFlashのインターフェースを模擬する話を書いたが、

その後、いろいろ考えていたときに気づいたのがセクタサイズが不均一なことである。


そもそもFlashメモリというものは、消去は一定の範囲に一気に行うのが特色である。

ところでEEPROMとフラッシュROMの指すところは少し違うらしい。

EEPROMは電気的に消去・書き込みができるROMを表す言葉で、

今どきマスクROMやUV-EPROMなど作られることは少ないので、ROM=EEPROMと言っても間違いではない。

この点ではフラッシュROMもEEPROMに含まれるのだが、

部品としてのEEPROMはワード単位や比較的少量のデータ単位で読み書きできるものを指す。

これに対してフラッシュROMは一定のまとまりをもったページ単位で消去を行うものを指す。

(内蔵ROMはプログラム用では?)

ちなみにFlashの消去というのはビットを1にすることを指す。

書き込みコマンドではビットを 1→0 にする操作しかできない。

消去は時間がかかるが、書き込みは比較的短時間でできる。


消去を行う範囲で最も広いのがチップ全体である。

とはいえ、チップ全体を消去したいケースばかりではないはずである。

一部データを残しながら、一部データを書き換えたいというニーズもある。

このときに使われる消去単位がセクタである。

シリアルFlashでは1セクタ64kBとなっていることが多いようである。

ただし、後で書く通り、これより細かい単位での消去も可能である。


一方のパラレルFlashなのだが、2タイプのものが売られているそう。

1つはユニフォームセクタ型で、32Kワード単位で揃ったもの。

16bit幅の場合は32Kワードは64kBに相当する。一般的なシリアルFlashと同じだな。

こちらはわかりやすいのだが、もう1つがブート型と呼ばれるタイプで、

先頭あるいは末尾にこれより小さなセクションを設けている。

例えば最初の64kBを 16kB, 8kB, 8kB, 32kB と分けたりしている。

ブートプログラムの格納に適しているらしいが、一体どうやって使っていたんだろう?

小容量のセクションは管理情報の格納などに使っていたのかな?


このセクタ構成というのは品種により多種多様なようで、

Flashを書き換えるプログラムではこの構成を把握しておく必要がある。

そしてパラレルFlashをシリアルFlashに読み替えるときも問題になる。

パラレルFlashのxxxxxx番地からセクタイレースというのは、

必ずしも xxxxxx番地から64kBであるとは限らないからである。


それで次の疑問はシリアルFlashは8kB, 16kB, 32kB消去ができるのかということ。

これは可能でセクタを分割した、サブセクタのような単位があって、

4kB単位と32kB単位での消去にも対応しているようである。

8kB, 16kB消去は4kBサブセクタの消去を2回, 4回行えばよいようだ。

なお、メーカーによっては最小単位の4kBをセクタと呼び、

32kB, 64kBはセクタをまとめたブロックという呼び名を使っていたりする。


というわけで、なんともならないわけではないが、めんどくさいなと思った。

ブート型なんて構造のものがあるとは知らなくて、

現行のROMのアドレスマップを見て、おかしいなというところで気づいた。

パラレルROMに書いたフリ

今どきのFlash ROMと言えばSPIなどのシリアル接続のものが一般的だが、

パラレルバスのFlashというのもあって、今でも古い設計のものでは使われている。


設計変更の中で様々な事情から、シリアルFllashをデータ格納先としながら、

パラレルFlashを操作するプログラムはそのまま使いたいという話があった。

ただ、操作方法がまるで違うわけでパラレルFlashへのライトコマンドなどを、

単純にシリアルFlashのコマンドに変換するという手は取れなくて、

ライトされたデータは一旦RAMに格納するという作戦が採用されることに。

ベリファイ処理ではRAMに格納したデータを確認する形になる。

その後のあるタイミングで、別のサブシステムでRAMに格納されたデータを処理、

最終的にはシリアルFlashに格納するという形になる。


それにしてもパラレルFlashをライトする方法ってどうなってるんだろ?

マジックワードを書き込むとライトできるような話は聞いたけど……

それでデータシートを見ていたのだが、思っていたよりシンプルだった。


パラレルFlashの統一的なインターフェースをCFI(Common Flash Memory Interface)というらしい。

いろいろ調べてみるとU-BootのCFI用のソースコードがあった。

u-boot/drivers/mtd/cfi_flash.c (github)

INTELとかAMDと書いてあって、何かCPUに関係あるのか?

と思ったのだが、NOR Flashを世界に先駆けて投入したのがIntelで、

それに次いで投入したのがAMDと富士通だったらしいですね。


もっともこれらの会社は現在、Flash ROMの製造を行っていない。

AMDと富士通は2003年に両社の合弁会社のSpansionに移管、

その後2015年にCypressに買収、さらにCypressは2020年にInfineonに買収された。

S29……という型名が付いているが、SはSpansionのことでしょうね。

いずれにせよInfineonがAMD系の正統なんですね。

一方のIntelだが、STMicroとともにNumonyxを設立、同社は2010年にMicronに買収されている。

ただ、調べた限りではMicronの現在のFlashもAMD系のコマンドのようだ。


というわけでAMD系を考えればよいわけである。

flash_write_cfiword がライト、flash_eraseがセクタイレースに相当する。

いずれも最初にflash_unlock_seqで2つのマジックワードをライトしてロック解除する。

ライトはその後にもう1つマジックワードをライトして準備完了、

次にライトしたいアドレスにライトしたいデータをライトする。

その後、flash_status_pollで同アドレスをリードして、ライトデータが読み出せるようになるまでポーリングしている。

セクタイレースは、その後にマジックワードを3つライト(うち2つはflash_unlock_seqと同じ)して準備完了、

次にセクタアドレスにマジックワードをライトするとイレースを開始する。

flash_status_pollで同アドレスをリードして0xFF…が読めるまでポーリングしている。


普段はリードするとそのアドレスのデータがリードできるのだが、

ライト・イレース中は特別なデータが読めるようになっている。

ポイントは7bit目がライト中はライトデータの7bit目の反転、イレース時は0であること。

ライト・イレースの完了後は通常のリードができるモードに戻って、

正常にライトが完了すると、ライトデータが読み返せるはずだし、

正常にイレースが完了すると0xFF…が読み出せるはずであると。

ライト・イレース中は少なくとも7bit目は完了後の期待値と違うはずだと。


シンプルに言えばこれで終わりである。

冒頭に書いたのだが、ライトコマンドをRAMへのライトにすり替えるとすれば、

マジックワードがライトされた後のライトアクセスをRAMに投げて即完了、

次にリードしたときにはRAMからデータがリードできればOKということになる。

イレースも少なくともセクタ先頭アドレスに0xFF…をライトしてやれば、

以後はそのデータが読み出せればOKということになる。


ライト・イレース中は少なくとも7bit目は最終結果と不一致になる仕組みだが、他のbitにも意味はある。

6bit目はライト・イレース中はトグルすると記載されている。

リードするたびに6bit目のデータが反転するそうである。

トグルが止まったことを確認することでライト・イレース完了を確認する考えもあるらしい。

5bit目はライト・イレース中は通常0だが、時間制限を超過した場合に1がセットされるとなっている。

7bit目が不一致で5bit目が1だったらエラーという意味なんだろうな。


ピン数削減などの考えもありシリアルFlashを搭載するというのを最初に考えたときは、

パラレルFlashのコマンドをシリアルFlashのコマンドに変換すればいけるはずと本気で考えていたらしい。

しかし、いろいろ無理があったようである。

RAM容量に余裕があったのが救いだろうか。

0とか1と書くよりも

マイコンのプログラムを静的解析にかけるといろいろ指摘が出てくる。

アライメントについての指摘は真面目に検討した記録を残さないとなとか、

符号あり/なしとかビット幅に関する指摘はほとんど空振りだなとか考えて見ていたが、

その中で気になったのがNULLポインタと_Bool型についての指摘である。


C言語でNULLポインタは 0 と書けばよいと理解していた。

(void*)0 をNULLと定義して使っている例も多いが、

本質的には 0 でNULLポインタの意味になるので問題ないと。

これは間違いではないのだが、単に0と書かれると数値なのかポインタなのか判然としない。

なので直接0と書かずに、定数NULLを使いなさいという指摘だった。


_Bool型、C99で導入された論理型である。

C言語に後から追加された型ということで、互換性の問題からアンダバーはじまりの型名になっている。

_Bool型も同じような話があり、真は1、偽は0で表すことができる。

ただ、これも一見するとただの数値型に見えるのでわかりにくい気がする。


例えばJavaとかだと null, true, false というのは予約語となっている。

しかし、Cにはこの手の予約語は存在していない。

なのでCでそれに相当するものは 0, 1 というただの数字だと考えていた。

でも、そんなコーディングしてると危険ですよと指摘されてしまったと。


調べたところ判明したのは所定のincludeを記載すれば、そのための定数が使えるということだった。

#include <stddef.h> とすると、NULLポインタを表す定数NULLが定義される。

#include <stdbool.h> とすると、定数true, falseが定義され、それぞれ_Bool型で真・偽を表す。

ついでに_Bool型のエイリアスとして bool型が使えるようになるらしい。

_Bool x,y = 0,     1;    //stdbool.hなし
bool x,y = false, true; //stdbool.hあり

stdbool.hなしだと上のような怪しげな表記になるが、stdbool.hだとわりと素直である。


そういえば uint32_t などの型名を使いたい場合も #include <stdint.h> と書かないといけないんだよね。

stdint.h はC99で追加された標準ライブラリで、ビット幅を使った型名が定義されている。

あまり使わないかも知れないけどポインタ型と同じ幅の整数型 uintptr_t なんてものも規定されている。


できるだけ新しい予約語を増やしたくないということで、

統一的な記号でも標準ライブラリのヘッダに組み込むようにして、

それが必要な場合はincludeするようにしているのだろう。

裏返せばincludeしなければ、これらの記号を別の使い方をしてもよい。

#define true 100
#define false -100

のようなstdbool.hとまるでちがう定義が過去になされていたとしても、

stdbool.hをincludeしなければ特に問題ないというわけである。


ちなみに2023年版のC言語である C23 が制定されたらしいのだが、

そこでは nullptr, bool, true, false が予約語になるらしい。

さらにNULLポインタを表す型として nullptr_t という型が規定されるらしい。

nullptr_t型はC++ではC++11で導入された概念らしく、これがCにも展開されたと。

さすがにC23にはコンパイラが対応していないわけだけど、

C23なら stdbool.h もなく true, falseが使えるし、

NULLポインタは nullptr と書くのが好ましい対応になる。

現時点で考えることではないでしょうけど。

ウマ娘はコラボしていると言えるか?

ANIMAX MUSIXではテレビ番組のごとく特集コーナーが差し込まれ、

その中ではコラボレーションやカバー曲など行われるわけだが、

常々思うのは、ウマ娘はコラボが苦手ということである。


どういう観点で特集枠で披露する曲やその組み合わせを決めるかというのはある。

ファン投票上位の曲に適宜割りあてているだけというのもあるだろうし、

キャラクタを演じたとか、作詞・作曲に関わったという観点もある。

「KOTOKO 3本勝負」としてKOTOKOさんが作詞に関わった曲でコラボ3連発したのはその一例。


バンドリのバンドが出演することも多いが、

この場合はカバー曲としてやったことがある曲を活用することが多い。

半分持ち歌みたいなものなのだが、そこに何らかの意味を持たせていると。

コンテンツものはこのあたり難しいなと思う。


一方でそれコラボか? というのもある。

印象深いのは2023(横浜)に大橋彩香さんがMUSIX BANDとのコラボという名目で「Be My Friend!!!」を披露したこと。

ソロで2曲披露して、自分の持ち歌をコラボ枠の1つとして追加で1曲やった形である。

しかもコラボ相手はバックバンドである。大橋さんがドラムを叩く人だからこそ成り立つものだった。

コラボという体裁ならば追加で1曲できるという考えと言ってもいいかもしれない。


で、冒頭の話に戻るのだが、ウマ娘のコラボというのは常にそうなのである。

2019 OSAKAのとき、シークレットゲストとしてウマ娘が登場したが、

これは「大橋彩香×Machico×ウマ娘」という名目のコラボである。

元々ソロの歌手で出演していたウマ娘出演者2人に4人加わって、ウマ娘として登場したと。

元々いた2人も耳付けて、うまぴょい伝説 と Make debut! の2曲を披露した。

2021にはウマ娘は出演者にいて2曲披露、

その後「お祭り!全力ペンライト SELECTION」で小倉唯さんとのコラボで「うまぴょい伝説」をやった。

小倉さんはウマ娘出演者、ちゃんと耳も付けてステージに立っている。

それ言うほどコラボか? フェスの機会を狙って1曲だけ追加出演した感じだな。

2022でもウマ娘は出演、2曲披露した後に オーイシマサヨシ とのコラボで うまぴょい伝説 を披露。

2023でもウマ娘は出演、トリで3曲披露したのだが……

そういえばここまでコラボなかったなと思ったら、伊藤美来さんとのコラボでうまぴょい伝説 を披露。

今回は3曲披露した中で1曲目のReady!! Steady!! Derby!!は作詞・作曲つながりでオーイシマサヨシ とのコラボ、

さらにCHARACTER SONG SELECTIONで中川翔子さんとのコラボで うまぴょい伝説 を披露……


と見てわかる通り、これまでのコラボと言っているもの、

全部ウマ娘の楽曲だし、うまぴょい伝説をやるための口実という側面が強いのである。

2019 OSAKA・2021・2022は2曲+1曲、2023・2024は3曲+1曲となるわけ。

このコラボが真に効果的なのかは疑問である。

ただ、ウマ娘にとって他の歌手の曲をやったりするのは難しいのかも知れない。


ウマ娘はもうちょっとやりようあるだろとは思ってるんですけどね。

でも、設定的にはウマ娘はウイニングライブをやるというだけであって、

一般的なアイドルのごとくカバー曲を普通にやるようなコンテンツじゃないんだよな。

そう考えると仕方ないのかなとも思うけど、面白くないよなとは思う。


アニメ・ゲーム関係の音楽フェスで筆頭はアニサマで、

これはとにかく規模がでかくて出演者も多いが、その分出番は絞り込まれる。

逆にリスアニ!LIVEは出演者は少ない分、きっかり区切ってまとまった曲数をやる。

これらと比較するとANIMAX MUSIXは企画コーナーの多さが目立つ。

それぞれ2~3曲程度はやった上で、コラボやカバーなどが別に入ると。

そこに適している出演者かというのはあるんですけどね。

ウマ娘のコラボがあまり効果的でないと書いたけど、

今回で言えば「Sizuk」も、それSizukとしてのコラボか? という話はあった。

Sizukとは何者か

これは「俊龍SELECTION」とかやればよかったのだが、入り切らなかったということでリベンジに期待。

はるか号が山科発着になる理由

話題になっていたのですが……

京の東の玄関口 山科駅改良について ~特急「はるか」の山科駅延伸により京都市内アクセスがより便利に~ (pdf) (JR西日本)

関空~京都を結ぶ特急はるか号が1駅延長となり山科発着になると。

このためには山科駅の改造工事が必要で、ホーム増設も伴う大がかりなものである。


昔から新幹線などから東西線への乗換には山科駅を使うことが推奨されている。

京都市内発着の乗車券がなければ高く付くことも多いのですが。

京都市としても市内各所が観光客で混み合う中で、

山科・醍醐への観光客の分散を図りたいという話がある。

観光客、とりわけ外国人観光客の足として重要な はるか号を山科に延長することで、

主に東山方面への往来を山科経由にシフトさせ、山科・醍醐への観光客誘導を図りたいと。


ただ、山科駅の改造ってのはけっこう大変な話なんですよね。

そもそも はるか号は朝夕を中心に滋賀県内まで延長運転をしている。

滋賀県内の通勤客が利用することを意図してるんだけど。

滋賀県内までの延長運転を増やすことでも同じ効果は得られる。

とはいえ、1日中、京都~草津を延長運転すると所要編成数も増えてしまう。

京都~山科の延長に留めれば現状と同数ぐらいで対応できるのではと。


この計画には別の目的が隠れているのではと言われている。

それは京都駅の「はるかホーム」こと 30番のりば である。

現状でも滋賀県内発着便はここに入らないが、残りも山科発着になれば全く使わなくなる。

そうなるとこの乗り場はどうなるのだろう? と気になるわけである。

この乗り場をはるか以外で使えるのは嵯峨野線(山陰本線)に限られる。

(実際、1日1本だけ きのさき号 が使っている)


嵯峨野線の利用者は近年伸びている。

観光客の利用が増えていることが大きい。サッカー観戦とかもありそうだが。

その混雑をさらに激化させているのが京都駅の構造だと言われている。

京都駅西側に行き止まり式のホームなので、京都方の車両が混みやすいのである。

ただでさえ4両編成が多く混みやすい上に、その中でもだいぶ偏りがあると。

分散乗車を呼びかけているが、そうはいっても構造上難しいのが実情である。


このような問題にはホームの中間に通路を新設するという方法が考えられる。

過去にそのようなことが試みられたことはある。それが西洞院口である。

2007年に新設された改札で30・31番のりばの先端付近に出入口が作られ、

ビックカメラ店内に設けられた改札口につながる形になっていた。

しかしビックカメラJR京都駅店は2023年に閉店、閉鎖となった。

店の都合で改札口がなくなるとはひどい話だと思うかも知れないけど、

元々あまり効果的ではなかったのである。

直接、京都駅の外に出る人しか使えない上、30・31番はどちらも特急用、

混雑で問題なのは普通・快速だからどうやっても使えない。


そこで気づくのだ。「はるかホーム」が明け渡されれば30・31番を普通・快速で使ってもよいのである。

30・31番のりば の幅は比較的広いので、これだけでも混雑緩和効果がある。

さらにこうなれば西洞院口は日常的な利用には有用になる。

33番のりば自体なくすか、降車用ホーム(34番)を撤去して動かすことで、

幅が狭くて西洞院口への通路を作れなかった(と思われる)、32・33番も先端に通路を作れる可能性がある。

ここまで来れば嵯峨野線の専用改札としては十分役立つものとなる。


この他、京都駅西側に新設が予定されている橋上駅舎との関係を考えても有利である。

京都駅新橋上駅舎・自由通路の整備について~西エリアへの玄関口・動線の一体整備による機能強化~ (pdf) (JR西日本)

日本郵政・JR西日本は京都中央郵便局と隣接ビルをあわせて改築する計画を進めている。

この新ビルにつながる形で橋上駅舎を作り、そこに改札口を新設すると。

この図を見てみると、嵯峨野線と0番のりばへの接続は30番のりばの付け根になっている。

利用者の多い普通・快速の乗り場を30・31番に寄せた方が効果的だし、

この接続点を作るために30番のりばを西にシフトさせる必要があるので、

最大で9両編成になる はるか号 が来ないようにしたかったという事情もあるのかもねと。


というわけで壮大な計画の一歩がはるか号の山科延長のようだ。

ただ、これ自体もけっこう大がかりな工事なんですよね。

嵯峨野線の混雑は待ったなしだけど、山科駅の工事は4年はかかるんだよね。

なかなか即効対策とは言えないのが難しいところである。


余談ですが、少し前まで はるかホーム に由来して改札口があった。

京都駅の秘密の改札口がクリスマスに営業終了 元は空港関連の施設だった (鉄道コム)

地下中央口という30~33番のりばへの通路の途中につながる改札口が2022年まであった。

そう言われると便利そうだが、中央改札の地下あたりにつながっているだけで効果的ではない。

元々はこの地下中央口の前の地下空間には京都CATという飛行機の搭乗手続きができる施設があった。

初代はるか号には京都CATで預かった荷物を運ぶための荷物室が設けられていた。

京都CATで手続きして、人は地下中央口を通って、はるか号に乗るという考えだった。

ところが京都CATは保安体制の強化などもあり廃止されてしまった。

京都CAT跡地は荷物預かり所として活用されているが、特にここに改札口がある必要性はないので廃止されたと。

Sizukとは何者か

今日はANIMAX MUSIXのため横浜アリーナへ。

チケットを取ったのは先月に河口湖から帰ってきてからのことである。

というのも、Poppin’PartyとAve Mujicaが目玉なら河口湖3連戦と丸かぶりだから。

でも、コラボとか他の出演者もいるわけだしとチケットを取ったと。


ANIMAX MUSIXについて書きたいことはいろいろあるけど、

その中でも出演者の一つに名を連ねていた「Sizuk」について。

出演者一覧には基本的に写真が並んでいる。

「甘神三姉妹」と「ウマ娘 プリティーダービー」はイラストがあるが、

甘神三姉妹はキャラクタを演じる3人、ウマ娘は後日「出走者」が発表されている。

「Sizuk」は写真がないどころか、文字だけが置かれている。何これ?


Sizukと言われて思い浮かぶのはこれである。

THE IDOLM@STER STARLIGHT STAGE/咲いてJewel (日本コロムビア)

「作詞・作曲:俊龍 編曲:Sizuk」と書かれているが、

実はSizuk=俊龍なので、この曲は作詞・作曲から編曲までを俊龍が手がけたことを表している。

でも、あくまでも俊龍さんは作曲家、ステージの上に立つ人ではない。

もともと俊龍さんはアイドルやアニメ・ゲーム向けの楽曲提供を行ってきたが、

自らボーカルなど手配して音楽プロジェクトを行うようになった。

この名前こそが「Sizuk」である。


じゃあなんで出演者に「Sizuk」としか書いてないんだよとなるわけである。

俊龍さんはステージに立たないとすれば、ボーカルの誰かだが、誰かわからない。

実際にはSizuk側から事前に発表されていて AYAMEさんだったんだけど。

ただ、他にもSizukのボーカルはいるんですよね。

ところでSizukのボーカルというのは、それだけやっているわけではなく、

他でもボーカルをしていて、AYAMEさんはAliAというバンドのボーカルでもある。


だからAYAMEさんがボーカルを担当したSizuk曲を披露するわけで、

「Para Bellum」「Dystopia」 の2曲を披露していた。

AWAで見ると「Dystopia feat.AYAME」のような曲名で登録されてるな。

便宜上そういう書き方をしていると。


ANIMAX MUSIXではテレビ番組のごとく特集コーナーが差し込まれ、

その中でカバー曲や出演者同士のコラボレーションが行われるのが常である。

SizukはAve Mujicaとのコラボで「暗黒天国」のカバーをした。

バンドリがコラボするときはこれまでカバーした曲を使うことが多いよね。

ただ、ふと思うのである。これってSizukなのか?

俊龍さんが関わった曲をコラボでやるならSizukだなと思うのである。

でもそうじゃないですからね。Sizukを離れてAYAMEさんでしかないのでは?

Sizukとしてコラボするよい方法はないかと検討したんだろうけど、そうもいかなかったのかな。


ちなみにANIMAX MUSIXのコラボではユニットの一部メンバーだけ切り出して出て行くこともあり、

今回にしても「私は最強」のコラボで鈴木このみ × 戸山香澄として、

Poppin’Partyのボーカル1人でコラボに出て行ったりしている。

経緯としてはバンドリのゲームでPoppin’Partyは 私は最強 のカバーをしていて、

ただ演奏する想定のカバーではないのでボーカルの収録だけなんですよね。

だからボーカル1人でカバーに臨んでいると。こういうこともある。

その理屈で言えばSizukのボーカルのAYAMEがAve Mujicaとコラボの方が正確ではないかと。


Sizukの俊龍さんはステージに上がらない点で特異だが、作曲家+ボーカルのユニットはいろいろある。

そう言われて真っ先に思いうかぶのがfripSideである。

なにしろこれまでボーカルが2回変わっているのだから。

発起人で作曲など手がける 八木沼悟志(sat)はずっと固定だが、

ボーカルはnao → 南條愛乃 → 上杉真央・阿部寿世 と変わっている。

これらを区別する必要がある場合は phase1, phase2, phase3が付記される。

なお、ステージ上でのsatはキーボードで演奏していたりコーラスを入れたりしているが、

要所で掛け声を入れる人という印象が強く「八木沼せーの悟志」呼ばわり。

fripSideを率いる人であることに疑いはないけどステージ上での扱いはそんなの。


で、実はANIMAX MUSIXのラストセッション、全員で歌うところで、

この曲やるのにこの人呼ばないわけにはいかないと登場したのが「八木沼悟志(fripSide)」である。

それで披露したのが「only my railgun」である。

この曲、fripSide phase2の代表曲の1つなのだが、今日の出演者には南條愛乃さんがいた。

すなわちALL CAST×八木沼悟志(fripSide) とはいうのだが、

実態としては fripSide phase2と残り全部のコラボというわけである。

この曲は僕にとっても印象深い曲である。

なぜかというと ANIMAX MUSIX 2019 OSAKA でPoppin’PartyとfripSideのコラボでやった曲だからである。

このような縁のある曲を最後に持って来たことはとても大きな話である。

那覇空港の新滑走路とILS

最近、空港の2本目の滑走路のことを話題にしているが、

那覇空港に新設されたB滑走路には特別な意味があるらしい。


那覇空港は忙しい空港である。

県外・県内の航空便が集中すること、航空自衛隊も利用することが要因である。

そんな空港で滑走路閉鎖なんてことになれば大変なことである。

そのため沖合を埋め立てて滑走路が新設されたのだった。

滑走路間を大きく離して同時着陸可能なオープンパラレルで作られたが、

空港南側にある瀬長島を避けた結果、オープンパラレルになったという事情があるらしい。


で、実は他にも目的があったらしい。

それが空港北側からILS進入できるようにするという目的である。

ILSは電波を利用して飛行機を誘導する装置で、悪天候時に役立つ。

日本ではジェット機が発着する空港では少なくとも1方向にILSを設置していることが多い。

松本空港のように地形的に付けられないためILSなしの空港もあるが……

風向きにより滑走路の向きを使い分けるので、風向きによってはILSをフル活用できない。

伊丹空港は稀に南向きに着陸となり、その場合はILSで接近後、滑走路を目視して反対に回るサークリングアプローチを使うが、

これが続くと大混乱になるというのは以前紹介したことがある。(cf. 風向き次第で飛行機が遅れる)

というわけで特に主要な空港では両側からILSを利用できるようにする。


ILSが両側に設置されている空港は 新千歳・成田・羽田・中部・関西・福岡・那覇 といったところだが、

実は那覇空港はB滑走路が新設されるまでは南向きに着陸する場合にはILSがなかった。

これはILSを設置するためのスペースが取れなかったのが原因らしい。

とはいえ代替策はあって、それがGCA(Ground Controlled Approach)という方式だという。

レーダーで地上から着陸機を捕捉して、滑走路近くまで誘導する方式である。

スイカ割りに例えられていたが、濃霧などで先が見えないとしても、

管制官からの細かく誘導されるので、それに従えば滑走路近くまで連れてきてもらえると。

悪天候でILSが利用できなくても、GCAを使えるのでなんとかなると。


GCAは旅客機で使われることは少ないらしいのだけど、軍用機ではけっこう使われているのだという。

飛行機側には特別な機器がなくてもよいので、軍用機には好都合だと。

先ほど書いたように那覇空港は自衛隊も利用する空港である。

こういう空港ではGCAを行う体制があるのでしばしば使われるようだ。

ただ、不慣れな旅客機も多いようで、それに伴うトラブルもあるようだ。

那覇空港 覆う特殊事情 「沖縄の縮図」識者警鐘 (琉球新報)

最近の旅客機は人工衛星を利用するRNP方式も利用できるので、

それで対応できるならRNPが優先だけど、GCAの方が悪天候に強いので、そちらを選ぶとこうなると。


ターミナルビルから見れば既設のA滑走路を横断しなければB滑走路は使えず、

この観点でもA滑走路で離陸、B滑走路に着陸がよいのだけど、

新設のB滑走路は両側にILSを付けられたので、B滑走路を着陸に使うという側面もある。

実際のところ、B滑走路は北側でしか往来できないので、

南向きに着陸すると北側に回り込んでターミナルビルに向かうので時間がかかる。

しかしこの向きこそA滑走路を使うとILSがないのでB滑走路のメリットが大きいのである。


このようなILSの穴は新千歳空港にもあった。

ターミナルビルに近いA滑走路は両側にILSが付いているが、

ターミナルビルから遠いB滑走路は北向きのみILS対応となっていた。

南風のときは風に逆らうように南向きに着陸することになる。

基本的には遠いB滑走路を着陸に使うが、悪天候時はILSが使えないのでそうもいかない。

その場合は離着陸ともA滑走路を使うので遅延が生じることになる。

さらに言えば新千歳空港は冬に滑走路を交互に閉鎖して除雪を行うが、

A滑走路を閉鎖すると着陸自体が困難になってしまうケースがある。

これは問題ということで2016年にB滑走路の南向きにILSが設置された。


AIS JAPANで那覇空港のGCAに関する記載を見るとこんなことが書いてある。

If radio communications with Naha Approach/Arrival/GCA are lost for 1 minute, or 5 seconds on final approach(PAR) …

GCAではアプローチ中は1分、アライバル中は5秒、管制官からの通信が入らなければ通信が失われたとして処置するように書かれている。

5秒に1回、向きを補正するための指示が管制官から入るということである。

そこまでする効果はどんなもんかという話なのだが、

GCAで誘導される場合は高度216ftで滑走路が見えればOKとなっているが、

RNPの410ftよりも粘れるし、ILSの263ftよりも若干低いという。

悪天候に強いという点ではGCAは強いということは確かである。


滑走路増設の効果としてあまり知られていなかった内容かもしれない。

今までもGCAがあったからその向きで悪天候でも着陸はできていたのである。

でも、より一般的な方法で対応できるようになったのはメリットだと。

滑走路を国際線離陸用にする意味

セントレアの代替滑走路は将来的なセミオープンパラレル化を見据えている? という話を書いた。

誘導路が代替滑走路となり離陸用滑走路となる

いろいろ調べてみると、福岡空港の新滑走路がわりと性質として似てるらしい。


福岡空港の新滑走路は来年春から運用開始されるのだが、こういう使い方になるらしい。

この2本目の滑走路について、国土交通省が位置関係などで一定の制約があることから通常時は国際線の離陸用として使う運用方針を固めたことがわかりました。

(【独自】来春から運用の福岡空港第2滑走路は国際線の離陸用に (NHK))

福岡空港は滑走路を挟んで西側に国内線、東側に国際線がある。

地下鉄の駅に直結しているのは国内線だけなんですよね。

地下鉄で国際線を利用する場合は国内線からの連絡バス(所要時間10~15分)を使うことになる。

そのため博多駅~国際線ターミナルの路線バスが多く設定されている。


新しいB滑走路は、現在のA滑走路の東側に新設される。

このB滑走路は電波で着陸機を誘導するILSが付いていない。というか付けられないらしい。

悪天候でも着陸できるILSは万が一の時に備えて着陸帯(滑走路両脇の空地)を広く取る必要がある。

限られたスペースに滑走路を新設するのだからそんな余裕はない。

なのでB滑走路は離陸メインというのは当然なのだが、離陸にしても基本的に国際線のみなのだという。


2本の滑走路がある場合、ターミナルビルに近い方を離陸用に使うのが通常らしいが、

これは遠い方の滑走路との往来には滑走路横断が必要になることが理由である。

着陸機が降りてくるかも知れない滑走路を横断させるわけにはいかないので、

着陸用の滑走路を横断するのはかなりタイミングを見計らって行わなければならない。

一方で離陸用の滑走路は離陸準備中に横断させることができるなど、

着陸用の滑走路に比べれば横断できる時間帯が長く融通がききやすい。


A滑走路に着陸した国際線の到着機は、B滑走路を横断するが、B滑走路が離陸専用ならば特に問題はない。

一方の国内線の出発機がB滑走路から離陸しようとすると、A滑走路の横断が発生する。

しかし、着陸機が多く使うA滑走路を横断するのはタイミングが難しい。

ゆえに国内線の出発機は従来通りA滑走路を使うべきとなるようだ。

平時のB滑走路の分担率はそう高くならないということだ。


条件が合えば国際線の到着機をB滑走路に着陸させるということは考えられる。

この考えに近いのが伊丹空港の短い方の滑走路(A滑走路)である。

A滑走路は短いのでプロペラ機・リージョナルジェットが中心に利用する。

B滑走路を発着する飛行機がA滑走路を横断するため、さっきの理屈で言えばA滑走路は離陸に使うとよいが、

短い滑走路なので離陸の全てをA滑走路でやるということはできない。

こうなるとB滑走路ばかり忙しくなるわけだが、条件が合えば小型機をA滑走路に着陸させるということもやる。

ILSがないので、サークリングアプローチか人工衛星による測地を利用したRNP進入で着陸することになる。

ILSと目視とGPS


福岡空港のB滑走路も同様で、条件が合えば国際線の到着機が着陸する構想もあるらしい。

A滑走路の閉鎖時にはB滑走路を着陸にも使うわけだから、B滑走路へのRNP進入は設定されるはずである。

ただ、平時においては当面使わずに行くようである。

とはいえ、将来的にはそういうルートも使う必要があるだろうとのことである。


クロースパラレルの滑走路は離陸用・着陸用とある程度役割が決まっているわけだから、

ILSなどの装備も主に着陸用に使う方だけあればよいとは言える。

ただ、新千歳空港はクロースパラレルの両側にILSが付いているようである。

確かに普段はターミナルビルに近い方は離陸用、遠い方が着陸用なのだが、

冬には一方閉鎖して除雪、その後もう一方を閉鎖して除雪を繰り返す。

当然そういう状況は悪天候でもあるわけですよね。

そこで2016年の両滑走路の両方向のILSの整備が完了している。


忙しい福岡空港が滑走路増えたところでどれぐらい楽になるのか? と言われるとかなり微妙な話である。

ただ、この新滑走路は何らかの事情で滑走路閉鎖が生じても、

福岡空港の機能をなんとか保てるようにするという目的も多い。

その上で少し処理能力向上ができると。その程度の期待である。

国際線の誘致も進めていきたいでしょうから、国際線離陸用としても価値はあるんじゃないか。