マイナーアクチノイドを分ける

昨日、こんな話を書いた。

MOX燃料はいつか使用済燃料となり、当面は発電所内で保管される。

これも再処理を行うのだが、現在の再処理工場はMOX燃料の再処理を想定した計画ではないそう。(略)

ただし、原理的には可能なので、次に作る工場では対応予定と。

運べるようになるまで発電所で長期間保管している間に話は進むだろうということか。

(運び出す先が再処理工場)

ただ、そのさらに次となると考えないといけないことも増えてくる。


それがマイナーアクチノイドである。

そもそも現在、核燃料に使われているウランは地球上に天然である元素では最も重いとされている。

一時的にこれより重い元素が生じることはありうるが。

このウランのうち核分裂しやすいウラン235の割合を3~5%程度に高め、

残りはウランの大半を占めるウラン238で構成されるのが、現在一般的な核燃料である。

で、ウラン235に中性子を衝突させると、核分裂が生じるのだが、

核分裂により新たな中性子が生じて、それは他のウラン235の分裂にも寄与するが、

他の物質に捕獲されることもあり、ウラン238に捕獲されると、

ウラン239を経てプルトニウム239になることがある。

このように中性子を捕獲することで原子番号が増えることがある。

このウランより重くなった原子のうち、プルトニウム以外のもの、

具体的にはアメリシウム、キュリウム、ネプツニウムなどが該当する。


で、MOX燃料を軽水炉で使うと、マイナーアクチノイドが相当増加すると。

原因として大きいのがプルトニウムの同位体の1つ、プルトニウム241である。

これがβ崩壊するとアメリシウム241になるが、これが半減期432年とえらく長い。

プルトニウムを燃料にすることによりなおさら生じやすくなると。


ところで再処理というのは化学的な性質の差で物質を分離していくので、

得られるウランとかプルトニウムはいろいろな同位体が混ざっている。

燃料を使い終わって早く再処理に回すと、プルトニウムにはプルトニウム241が多く含まれる。

最初はプルトニウムを抽出したつもりが、だんだんアメリシウムの割合が増えていくと。

使い終わってから長期間放置して再処理に回すと、分離される高レベル放射性廃棄物にアメリシウム241が多く含まれる。

現状だとどっちの方がいいんでしょうね。といっても日本では現実的に後者にしかならんのだが。


マイナーアクチノイドをどうするかは様々検討されているが、

さらに中性子を衝突させると、だんだん核分裂していくわけですね。

現在の軽水炉ではこのような働きは期待しがたいが、

高速炉では中性下が大量に生じるので、マイナーアクチノイドも核分裂の対象になるわけである。

この特徴から高速炉の燃料には一定程度マイナーアクチノイドを混ぜることができる。

高速炉というと、ウラン238をプルトニウム239に変換する能力の高さでも知られているが、

それだけではない効能ってのがあったんですね。


もう1つは加速器で発生させた中性子で核分裂を起こす方法。

こちらは加速器駆動未臨界炉というもので、まだ研究段階ですかね。

加速器にエネルギーは消費するが、一応は核分裂により得られるエネルギーの方が大きいようである。


ただ、どちらにしてもマイナーアクチノイドの抽出をしないといけない。

これがけっこう大変なことらしくて、いろいろ研究されている。

ウラン・プルトニウムを分離した溶液から、さらに分離していくと。

長寿命放射性廃棄物の短寿命化技術の現状と展望 (pdf) (NINS)

分類のグループは大きく4つに分かれる。

1つ目はマイナーアクチノイド、これは高速炉の燃料の一部にするか、加速器駆動未臨界炉にぶち込む。

2つ目は白金族元素、ルテニウム・ロジウム・パラジウムなど。

これらは希少な金属なので資源として利用したいと。

放射性同位体もあるだろうと思うのだが、使い方次第では使えるということか。

3つ目はセシウムとストロンチウム、発熱性元素と書かれている。

4つ目がその他の核分裂生成物、これはガラス固化体にして埋める。


使用済燃料の発熱として大きいのがストロンチウム90とセシウム137による崩壊だが、

両元素の半減期はおよそ30年、300年経てばほぼ崩壊してしまう。

これだけ分けて冷やせば放射性廃棄物の処分がだいぶ容易になる。

再処理で生じる低レベル放射性廃棄物はTRU廃棄物に該当し、

高レベル放射性廃棄物同様に地層処分が必要だが、

発熱量が比較的少ないのでトンネル内に積み上げて処分できる。

ストロンチウムとセシウムを分離したガラス固化体も発熱量が低く、

こうなるとそれなりに集積して埋め立てられるわけである。

ストロンチウムとセシウムは崩壊が進んでから埋めれば効率的だが、

100年で1/10、200年で1/100と考えると長い話である。

とはいえ熱源として利用できるなら意味もあるかもしれない。


どこまでやるかという話はありますが……

マイナーアクチノイドは高速炉などで核分裂を起こすことはできるが、

当然これらの炉内では新たに生じるマイナーアクチノイドもある。

現在の核燃料サイクルはウラン・プルトニウムを発電所に戻す仕組みだが、

このスコープにマイナーアクチノイドも加わる方向であると。

結果としてはウランとそれより重い元素は発電所と往来し続けると。

それより軽い物質は基本的に埋立に向かう考えですね。

このあたりの当たりが付けば、マイナーアクチノイドの燃料化を想定した再処理方式に移行するということなのだろう。