昨日、今日とニュースを賑わせていたのが、東京のタクシー運賃変更のことである。
これまで初乗り運賃は2kmまで730円だったのが、初乗りが約1kmで410円になる。
2km超なら大差ないという話だが、6.5km以上は若干高くなるとのこと。
都心タクシー「ちょい乗り」広がるか 初乗り410円 (朝日新聞)
日本のタクシーが近隣諸国のタクシーに比べて高いというのはよく言われていることである。
なかなか手軽に使える乗り物ではないなぁと思うんだけど。
そんな中でせめて初乗り運賃だけでも、と変更したわけである。
チップ込みの運賃で、ニューヨークが初乗り320mで420円程度、ロンドンが初乗り260mで420円程度だそうだから、
それと同程度にしたって話らしい。
今回の運賃変更の特徴は東京のタクシー事業者が連帯して新しい運賃体系に移行したことである。
いままで一部の事業者が初乗り運賃を下げた運賃体系を導入するようなこともあったような気がする。
その当時は運賃規制が緩かったからそういうこともできたんだろうな。今は上下限が厳密に決められてるから。
ただ、一部の事業者が運賃体系を変えてもタクシー業界全体の中では少数派なわけで大したことはなかったはず。
そんな中で今回は全ての事業者が一斉に運賃を変えると言うことで、非常に存在感があったわけである。
運賃規制が厳しくなったので、こう言う形で横並びで変わる方法しかなかったのだが、それはそれでメリットがあったのだ。
この運賃体系、2km以上の移動に使う分にはあまり差はない。
ゆえに郊外のタクシー会社がこういう運賃体系を取り入れても、ほとんど差はないだろう。
それでも中心市街地内々利用ならば1km程度の利用はあるだろうから無意味ではないだろうけど。
その一方で東京では短距離利用が多いので、これによる影響はかなり大きい。
そこでいくつかの例題を作って見た。
まず、都営バス有数の本数を誇る都01系統の走る、六本木通り沿いで渋谷駅~南青山六丁目、これが1.5kmだから、570円程度となる。
地図で見てみると、どの鉄道駅にも1km程度の距離があるので、ターミナルからタクシーで直行はメリットがありそう。
次に鉄道のかみ合いがあまりよくないように見える中央区の海側の地域、
バスでも鉄道でも中途半端に見える、聖路加国際病院~有楽町駅で1.5km程度、これが570円程度となる。
病院だからそういう利用は多そうだな。東京駅からは病院の近くに行くバスがあるみたいだけど、それ以外だとちょっと歩くようだし。
明らかに2km以内でメリット大と示せる例はなかなか思いつかなくて、
ここタクシーだとよさそうだなと思ったところを測ってみると2kmぐらいになっちゃうんだよなぁ。
とはいえ、たいていの人は歩くだろうというところでもタクシーに乗る人はいるでしょうからね。
新宿駅から西新宿界隈とか1km内で収まるし、歩きにくいわけでもないから多くの人は歩くけど、
そこを410円で済むかも知れないタクシーでという需要はあるかもしれない。(信号待ちでメーターが回る可能性はあるが)
あと、道に迷った人がタクシーに頼るというケースも増えるのでは? という期待もあるらしい。
そんなタクシーなんてアホらしいと思っても、絶対的な金額が安ければ選択肢に入るか。
今まで初乗りもらえてた利用が、それより安くなってしまうというのはタクシー事業者からすれば気がかりなところだという。
近距離の利用で裾野は広がったとしても、それに見合うほど回転がよくなるのか? というところに疑問があると。
確かに、昔は近距離利用者をないがしろにするタクシーもあったようだ。
道路運送法では、運送の申込みを受けた順に運送を行うこと、正当な理由なく運送を拒否することを禁止している。
ただ、昔は近距離の利用を拒否するようなタクシーもいたという話を聞いたことがある。あきらかに法令違反なのだが。
現在は近距離の利用で拒否するようなタクシーはないだろう。だって、えり好みできるほど客がいないんだから。
とはいえ、本音はまとまった距離を利用してくれる客にこそ出会いたいと思っているんじゃないのかなぁ。
本音はわからないけど、タクシー事業者が連帯して運賃体系を変えたことの意義は大きい。
これがうまくいけば他都市でも採用される可能性はあるんじゃないのかな?
なにをもって成功とするか? タクシー乗務員の稼ぎが上がることですよね。
ハンドルを握ってる時間に対して、多くの運賃が稼げるかどうか。そこが大切だと。
大きな挑戦だが、そこに業界全体で期待を寄せているということで、今後も注目していきたい。