以前、JAL(J-AIR)がE170・E190をたくさん注文したという話をちらっと取り上げた。
MRJ導入までのつなぎという名目でMRJの注文と一緒に発表されたのだが、
老朽化したCRJ200と初期に導入したE170の置き換えにしては数が多いことが指摘されており、
これはJACのプロペラ機の置き換えも考えているのでは? と思っていたら、今年7月以降、本当に置き換えられるようで。
JALグループで100人乗り以下の小型機を専門に飛ばすコミューター航空会社は4社ある。
まず、さっき出てきたJ-AIR、この会社はリージョナルジェット専門の航空会社である。
4社の中で唯一、プロペラ機専門ではなくジェット機専門で、JALの補完色の強い会社である。
というかJAL便名だからそこまで大きな差があるわけではない。
現在は伊丹空港を本拠地に、伊丹空港発着路線の大半、その他、福岡・新千歳から各地への路線にも使われている。
次に、日本エアコミューター(JAC)、もとはJAS傘下で、JASの前身の東亜国内航空と鹿児島県・奄美群島の市町村の共同出資でできた会社である。
だから奄美路線がメインなのだが、そうはいいつつもJAS時代から奄美路線以外でもJASからの付け替えで担当することが多く、
JAL・JASの合併後も奄美路線以外も担当している。驚くべきことに新千歳発着便を担当していた時期まであったよう。
あと2つはかなり地域色が強い会社で、1つが琉球エアコミューター(RAC)、沖縄県内または沖縄県~奄美群島の路線を担当している。
この会社は南西航空、現在の日本トランスオーシャン航空(JTA)の子会社として生まれ、JTAのプロペラ部門の意味合いもありそう。
もう1つが北海道エアシステム(HAC)で、一時JAL傘下から外れていたが、また戻っている。
というわけで、J-AIRとJACはできた経緯こそ全く違うが、広域で100人乗り以下の小型機を飛ばしている点では共通している。
ただし、ジェット機とプロペラ機という役割分担は明確だ。
そのためこの両社の間での路線付け替えは過去にも行われていたはずで、
実際、かつてJACの担当も多かった伊丹空港発着路線は、現在、J-AIRで埋め尽くされ、JACは但馬・出雲・隠岐・屋久島の各路線で残るのみ。
J-AIRのE170・E190買い増しでさらにこの傾向が強まるようだ。
7月以降、福岡~徳島が全便JAC担当からJ-AIR担当に、福岡~宮崎がJ-AIR・JACで分担しているところ、全便がJ-AIR担当になる。
他にも置き換えられる路線はあるんじゃないかなという気はする。
JACはDHC8-Q400(74人乗り)とSAAB340B(38人乗り)の2つの機材を保有している。
このうちSAAB340BについてはATR42(48人乗り)に置き換えることが決まっている。
一方でDHC8-Q400については特に今後の方針は示されていない、といってもこっちは今すぐ考える必要はないというのもあるのだろうが。
ただ、プロペラ機とジェット機の差はあるが、客席数で言えばJ-AIRがたくさん持っているE170が76人乗りなので大差ない。
だから、JACからJ-AIRへの路線付け替えをやっていけば、JACはQ400の使用数が減り、Q400の置き換えは考えなくてよくなる。
ただし、プロペラ機はジェット機に比べ短い滑走路でも離陸できるメリットがあるので、Q400の路線をそのままE170に置き換えられるとは限らない。
実態としては問題ない路線が大半だろうから、あまり問題は無いような気はするけど。
JAL・JALエクスプレス(JEX、現在はJALに合併済)から路線移管を受け拡大してきたJ-AIRだが、
今はJACからの路線移管という形でまた拡大するようである。
それだけリージョナルジェットの使い勝手がよいということなのだろう。
ほどよいサイズでジェット機というのはやっぱり便利なんだろうな。そんなことをこれまでのJ-AIRの歴史から感じている。