その放送はなぜその周波数帯?

今の日本では、AMラジオといえば中波、FMラジオと言えばVHF、テレビといえばUHFとなっている。

昔はVHFのテレビもあったし、短波放送はAMラジオではあるが、現在は一般的には上の通り。

なぜFMラジオはVHFでないといけないか? なぜUHFのラジオはないのか?

気になった人はいるだろうか?


日本で各放送で使われている周波数とチャンネル数を列挙すると、

中波放送(AMラジオ)では531kHz~1602kHzで9kHzおきに使うことになっているので120チャンネル、

FMラジオでは76.1MHz~94.9MHz、ただし80.8~81.2MHzは遭難信号との混信を防ぐために使えないとのこと。

これを0.1MHzおきに使うので184チャンネル使える。

ちなみにVHFをテレビで使っていた時は、90.0MHz~108MHzはテレビの1~3chに使っていて、86.0~89.9MHzもガードバンドということで使えず、

実態としては76.1MHz~85.9MHzのうち80.8~81.2MHz以外という使い方だったので、94チャンネルだったということになる。

比べるとテレビのVHF撤退でかなりFMラジオにもゆとりが増えたことが分かる。このゆとりを使って新規の中継局が増えているのだ。

テレビは470MHz~710MHzで6MHz間隔でチャンネルを切っている。13ch~52chの40チャンネルが使われている。

アナログ時代~デジタル移行中は770MHzまで使っていたのであと10ch多くて、UHFで50チャンネル確保されていたそう。


こうやって比べてみるとよくわかるけど、周波数の間隔はAMラジオは9kHz、FMラジオは0.1MHz、テレビは6MHzと、

帯域幅がそれぞれ1桁ずつ増えていっていることがわかる。

FMラジオの0.1MHzって100kHzだから、AMラジオ11チャンネル分の幅を使っているわけだ。

テレビはVHFから1ch撤退すれば、その6MHz幅にFMラジオは60チャンネル切れるほどの帯域があるのだ。


これこそがそれぞれの放送方式と周波数のチョイスに深く関係している。

周波数が低いほど帯域は貴重なので、広帯域を使う用途ほど高周波に追いやられるのだ。

電波の呼び名は周波数や波長が1桁変わるごとに変わっていくのだけど、

中波は300kHz~3000kHzの2700kHz間を指し、VHFは30MHz~300MHzの270MHz間を指し、UHFは300MHz~3000MHzの2700MHz間を指す。

中波と呼ばれる周波数帯、2700kHz全てを0.1MHz間隔で切っても27チャンネルしかないのだ。

一方でVHFと呼ばれる周波数の一部に過ぎない76.1MHz~94.9MHzだけを0.1MHzで切っても184チャンネル確保できる。

ゆえに中波放送でFMラジオはできなくて、FMラジオはVHFを使う必要があるわけだ。


テレビにしても6MHz幅でチャンネルを切るとすると、VHFと呼ばれる270MHz間を全てテレビで占有しても45チャンネルしか確保できない。

そんな中でテレビは12チャンネルをVHF帯で確保してたということだから、VHF帯でテレビはずいぶんな邪魔者だったことが想像できる。

だからデジタル放送に移行するときにテレビはVHFから追い出されたということだ。

一方で12チャンネルというのはテレビにとって十分なチャンネル数ではなかった。

干渉の可能性がある局同士は隣接チャンネルにならないようにしていたから、

大都市圏の本局で6チャンネル使ったら、それが飛ぶ範囲には他の中継局やら、地域放送をほとんど置くことができないほどに窮屈だ。

テレビがUHFに進出した背景には、VHFでは数多くの中継局を設置するということが難しいという事情があったようだ。

UHFなら50チャンネル確保できたし、VHFに比べるとUHFは遠くに飛びにくいという特徴がある。

UHFの豊富なチャンネル数を生かして、狭いエリアをカバーする中継局を多数設置する。今のテレビはそうなっている。


逆に高い周波数帯で狭い帯域を確保するのは簡単なので、

UHFラジオとかあってもよさそうな気もするが、そういうのはないんだな。

VHFでも十分なチャンネル数が確保できて、UHFよりVHFの方が遠くまで飛びやすい傾向にあり、

かといってVHFで混信の心配があるわけでもないので、あえてUHFを使う理由はないということだろう。

ラジオにとってはVHFは音質・チャンネル数・カバーエリアとも好都合な周波数帯なのだろう。

中波も使われているけど、音質や混信という点で難ありというのが実情ですから。


ちなみにAM(振幅変調)の占有帯域幅は、搬送する音声の帯域がBならば、

搬送波の上下に帯域幅Bの側帯波ができるから、2Bの帯域を使うことになる。

ということはAMラジオで9kHzの幅に収まるようにしようと思えば、音声の周波数は4.5kHzまでしか収まらない。

ちなみに電話では0.3~3.4kHzの音声を伝えることができる。9kHz幅で切ったら各放送局、電話ぐらいの音質にはなるということだ。

ただ、実際は両側で20kHzぐらいの幅で飛ばしているらしいね。ということは10kHzぐらいまでの音声が含まれていると。

中波放送の帯域幅って (mac’s Blog)

AMラジオで他の放送局から18kHzぐらいしか離れていないチャンネルを聞くと、隣の放送局の高音成分が混ざり込んでくることがあるが、

現実の放送局は行儀よく9kHzに収まっているわけではないということが原因だ。

これぐらいはみ出すと音楽を流してもそれなりに聞けるってことでしょうね。近接するチャンネルの迷惑にはなるが。