アルファベットの入った町名

北広島市の北海道ボールパーク付近に新設される駅が「Fビレッジ駅」になるとのこと。

Fビレッジ で定着しているので当然の命名だが、アルファベットが駅名に入るのは珍しい。

アルファベットが入る駅名といえば1994年改称の「JR難波駅」が最も古い。

現在もほとんどがJR西日本が「JR」を付した駅で占められていて、

それ以外では路面電車の駅を除けば、YRP野比(京急久里浜線)とJヴィレッジ(JR常磐線)の2駅のみである。


それで言われて気づいたのだが、この一帯って町名もFビレッジなんですよね。

(株)北海道日本ハムファイターズの所在地は 北広島市Fビレッジ1番地 となっている。

そこで気になったのである。アルファベットの入る町名って他にあるのか? と。


なかなか厳密に調べるのは難しいのだが、郵便番号データというのがある。

必ずしも郵便番号は町名に従って振られているわけではないが、

一般的には町名単位か「○○1丁目」のような町名の○○の部分に振られる。

郵便番号簿のCSVファイルをダウンロードして[A-Za-z]で検索するとけっこうひっかかるが、

450-63xx 名古屋市中村区名駅 JPタワー名古屋(xx階)
のようなビルの個別番号の建物名に入っているものがけっこうひっかかる。

そのようなビルの個別番号を除いてひっかかったのは3件である。

  • 061-1116 北海道北広島市Fビレッジ
  • 939-1110 富山県高岡市ICパーク
  • 639-2211 奈良県御所市JR御所駅前通り

後で書くが御所のものは正式な町名ではないので、正式な町名として郵便番号に掲載されているものは全国で2つである。


高岡市ICパークは2019年新設の町名で、高岡砺波スマートIC付近の分譲地の町名である。

告示を調べると、正確には「大字ICパーク」らしい。

ICはインターチェンジの意味だったんですね。読みは「アイシーパーク」だが。

この付近には「オフィスパーク」「グリーンパーク」という町名もあり、

地番整理の一環でできた町名のようだが、えらい細切れである。


御所市は中心市街地に町名なしで「御所市120-4」のような住所表記になる地域がある。

この地域については通称町名により郵便番号を振ることにしたそうである。

この郵便番号はずっと「国鉄御所駅前通り」の名前で掲載されていた。

7桁郵便番号が導入された1998年の時点で国鉄はなかったはずなのに。

そもそも「国鉄○○駅」という言い方自体が異質だが、近鉄御所駅との関係ですね。

さすがに時代錯誤ということで郵便番号簿の記載も「JR御所駅前通り」に改められたようだ。


アルファベットの入る町名が問題なく存在していることに驚くも、

住所表示の町名以外の場所にアルファベットが入ることはいろいろある。

1つは建物名である。さっき出てきた「JPタワー名古屋」もそうですよね。

あるいは A棟・B棟のようにアルファベットで棟番号が振られることもある。

これが圧倒的に多いでしょうね。


もう1つは住居表示における街区符号である。

具体的には大阪市中央区上町の「A」「B」「C」がある。

普通なら1番, 2番, 3番と振るのだが、この町名ではそれができなかった。

それはそれ以前に実施された町名整理で上町一丁目が存在したためである。

納得できない住民の意思を尊重「大阪市中央区上町A」【ヤバい日本の住所】 (サライ)

もともとこの間には東区と南区の区界が走っていたが、合併して中央区になり、

同じ区内に上町と付いた町名が2つになり、混乱を避けるための町名整理も難しく、

旧来の上町についてはA, B, Cという街区符号を振って、上町一丁目と混同しないようにしたということだそう。


それに比べれば「Fビレッジ」はその町名でないといけない理由は弱いと思うが。

市町村でしかるべき手続きをすれば町名変更は可能なのはその通りなのだけど。

海外救助隊をあまり受け入れたくない理由

ネパールでの土石流、たいへんな惨事なので仕方ないのだが救助が難航しているよう。

土石流がかなり長い距離を押し流していったため範囲が広域で、

それに対して資材や人員が不足しているということが理由のようである。


こういう大規模な災害の場合、外国から救助に入ることも多いのだが、

今回は専門的な技量が求められるごく一部に限られているよう。

ネパールが捜索隊を受け入れるのは多数の不明者を出しているインドと中国、オーストラリア、韓国。ただしトンネル内救助やDNA検査などの専門家に限定され、小規模にとどまる見通しだ。

(ネパール政府、海外救助隊を一転受け入れへ インド・中・豪・韓 ネパール・中国土石流 (産経新聞))

というわけで資材や人員の不足を打開できるほどの状況にはないようだ。


どうしてなんだろうかと気になったのだが、過去の経験があるよう。

2015年のネパール大地震の際に外国の救助関係者の調整で混乱が生じた経験などから、外国からの人的支援の受け入れには消極的だと報じていた。カナル外相は会見で、狭い渓谷を飛ぶヘリコプターの操縦にも技術が必要だと話し、現地の状況を踏まえ、外国には必要な分野を特定して協力を求めていると強調した。

(ネパールの土石流、遺体の身元確認進まず 政府が外国に技術支援要請 (朝日新聞デジタル))

救助隊を受け入れる体制を整えるのが大変なので、あまり多くは受け入れたくないとのよう。

わからなくもないのだけど、そこは苦労してもやる価値があるのではないかとも思う。


国内で必要な体制が充足していればあえて外国の救助隊を入れる必要が無いのはその通りで、

先の熊本地震でも外国から人的な支援の申出はあったが、

国内、特に九州内の消防・警察・自衛隊などで救助は間に合っていた。

これは被害を受けた範囲が狭かったのもあるとは思うのですが。


というわけで、これでは見つからないままの行方不明者が相当多くなるのだろうと。

カトマンズの病院に家族が貼り紙をして情報提供を呼びかけたりしている話が報じられていたが、

行政には期待できないということの表れなんだろうなと思う。


しかし土石流というのは怖い。

土石流の原因はいろいろあり、今回は氷河の崩落かと言われているが、

大雨による土砂災害、火山活動、地震など様々な要因がありうる。

日本でも2014年に広島市で大雨による土砂災害で土石流を起こし大変な被害を出している。

土石流の予兆を知ることができる場合とできない場合があるが、怖いということはわかると思う。

国籍よりは居住歴重視だったがゆえ

ラグビーのリーグワンで出場選手カテゴリを今冬から変更することになっていたが、

ここに新たな経過措置が追加されることになったようである。

ルール変更で不利益を被るとされた選手からの苦情によるもので、

あまり他のプロスポーツでは見ないタイプの騒動だったのでは?


前提としてラグビーでは所属協会主義というのがある。

一般的にはナショナルチームは当該国の国籍を有する選手で構成する必要があるが、

ラグビーでは国籍ではなく所属するラグビー協会ごとにチームが編成される。

なお、これはワールドラグビーの管轄する大会における話で、オリンピックの7人制ラグビーでは国籍が必要である。

代表チームの選手を得るためには下記のいずれかを満たす必要がある。

  • 当該国で出生している
  • 両親・祖父母の1人以上が当該国で出生している
  • 60ヶ月間継続して当該国の協会のみに登録されている
  • 通算10年、当該国に滞在している

この要件には国籍は全くないので、日本国籍があっても要件を満たさない人はありうる。

逆に外国籍であってもいずれかの要件を満たす場合はあり、そういう人は代表チームにもけっこういると。


もっともこの条件を満たす国が複数あるからといって、自由に選べるわけでもない。

過去にいずれかの国の代表チームになった人は原則他の国の代表チームに入ることができない。

これまでのリーグワンの選手区分A・B・Cというのは、

Aはすでに日本代表チームの選手資格を有する人、

Bはこのまま日本でプレーし続ければ代表チームの選手資格を取得できる人、

Cはそれ以外だが、それは過去に他の国の代表チームに入ったことがある選手であろうと。


ナショナルチームの強化という点ではこれでもよかったのかもしれないが、

ラグビーが地域に根ざしていく中では、中学以前より日本に居る選手の活躍を見せられる場を確保するべきではないかと。

そういう考えがあったようで、カテゴリAをA-1とA-2に細分化することになった。

まず、代表選手資格の日本生まれ、両親または祖父母の1人以上が日本生まれ、

そして義務教育年代の9年間のうち6年間を日本に過ごした人をA-1とすると。

それ以外は基本的にA-2だが、日本代表で60キャップ以上出場した選手はA-1とする特例がある。

これは対象となる選手は2人だけで功労者枠だねということで。


カテゴリA-2にあたる選手はカテゴリB・Cほどではないが、出場できる選手数に制限が入る。

試合登録の23人のうち、従来はカテゴリAで17名以上だったが、

来シーズンからはカテゴリA-1で14名以上、カテゴリA-1・A-2で17名以上となる。

カテゴリA-1に該当しない選手の起用には全体的に影響のある話で、選手の契約にも影響が出ていたわけである。


そんな中でカテゴリA-2に分類される選手が訴訟を起こすという事態に。

義務教育期間を日本で過ごしていないという理由で他の日本生まれの日本人選手と差を設けられ、出場機会にも影響が及ぶことは、独占禁止法に違反すると考える

(新ルール見直し求め公取委と地裁に訴え 日本国籍取得のラグビー選手 (朝日新聞デジタル))

といってもこれは無理のある主張ではないかと思う。

もともとリーグワンでは国籍という観点を全く持っていなかった。

居住歴を重視してきて、その居住歴の考え方をより細分化したに過ぎない。


そんな中で新たな経過措置が導入されたが、対象は概ねこれまでに帰化で日本国籍を取得した選手である。

ジャパンラグビー リーグワン 2026-27シーズンからの選手登録におけるカテゴリ登録区分の一部見直し(特別措置としての追加)について (ジャパンラグビーリーグワン)

前身のトップリーグの時代には日本国籍を取得するということに意味があって、

他にもアジア枠など日本人と同一扱いするルールがあったそう。

このルールにあてはまっていた人と、2025年5月までに帰化した人は、

経過措置としてカテゴリA-1に区分するということである。

昨シーズンまでカテゴリAにいた日本国籍の選手は引退するまではカテゴリA-1になるということである。

現在は国籍によるルールはないが、オリンピックのためなどに日本国籍を取得した人もおり、

過去の経緯なども踏まえて日本国籍の有無を経過措置の条件にしたようである。


他のプロスポーツでも外国人枠と呼ばれるものはあるが、

一方で外国人であっても日本人と同一視される選手というのもいる。

野球の場合、日本のドラフト会議の対象者であるというところが重視されていて、

中学校・高校で3年以上在学、大学で4年以上在学、5年以上居住して社会人野球で3年以上プレーなど。

ラグビーの場合、高校・大学年代で日本に来て長年プレーしている選手が多く居るが、

そういうのは野球の場合は外国人枠にはあたらないということである。

むしろドラフト会議を経る必要が無いというのが外国人選手のメリットで、外国人枠の目的はそこにあると思われる。

なお、外国人枠で長年プレーしてフリーエージェント資格を得た選手も外国人枠を外れるとも規定されている。


バスケットボールではBリーグには外国人選手とともに帰化選手の制限もある。

一方で日本で義務教育を修了するか、親が日本人の場合は国籍によらずこの制限を受けない。

(もっとも親が日本人であれば通常は日本国籍を持っているわけだが)

帰化しても生まれながらの日本人や義務教育年代から日本にいる外国人とは違う扱いを受けるという点では、

ラグビーのカテゴリA-2に通ずるところはあるのかもしれない。


サッカーの場合は現在は日本国籍があるかないかである。

外国籍は全員制限される一方で、帰化すればすぐに制限がなくなる。

このあたりはナショナルチームの強化を重視しているからだろうが。

ただ、独特な制度としてホームグロウン選手というのがある。

これは各クラブで12~21歳の間に3シーズン以上登録された選手を指す。

各クラブの育成組織で育成された選手を想定している。

ホームグロウン選手にあたる選手を一定保有する必要があるため、地元出身の選手が優遇される形になっている。

この点ではラグビーが考えている課題の解決策の1つとは言える。

ただ他の競技だと、学生なら学校のチームでプレーする方が優先という考えだろうけど。

そう、サッカーだと高校のチームに所属するか、地域のクラブに所属するかというのは両にらみなのである。


義務教育年代から日本にいた選手を優遇する制度の妥当性はなんとも言えない。

高校・大学から日本に来て長年プレーする選手は大事にしていくべきではないかという意見はある。

逆にそういう選手が出場機会をかっさらっていくのではおもしろくないという意見もある。

バスケットボールは必要な選手数が少ないこともあり、この考えが強いのかなと思う。

ラグビーの場合、高校・大学年代から日本でプレーする選手は今後も依然重要である。

制限はかかるにせよ、カテゴリB・Cの選手とは違うわけである。


将来的にはサッカーのホームグロウン選手のような制度にすることも考えているようで、

2026-27シーズンから導入する登録区分は、リーグワンの普及育成の強化施策の一環として導入するものです。リーグワンでは現在各チームがラグビースクール・アカデミーの運用や、地域ラグビースクールを含む地域ラグビーの支援を通じ、ラグビーの普及育成に取り組んでいます。(略)

スクールやアカデミーの制度がさらに充実した場合には、当該基準についても、適宜見直しを検討してまいります。

感覚的には高校年代から日本でプレーしているなら、それは評価してよいように思うけど、

それだけでは不十分というのが現状の判断なのかなと。

経過措置については元々考慮されるべき内容だった気がするが、

あくまでもカテゴリAの細分化で、カテゴリA全体として見れば従来通りなので、

なかなか経過措置にも向かない内容だったのかなという気はする。

告知した翌シーズンから実施は厳しかったとも言えるが。

マンジャロとゼップバウンド

突如としてアセンブラを書かないといけない仕事が発生して、ガリガリ書いている。

アセンブラで所望の処理は作れたのだが、コードを見てもさっぱりわからないので、

後でフローチャートとか書かないといけないなとか考えていた。

数命令だけアセンブラで書くとか、そういう話じゃないんですよね。


最近はマンジャロの不適正使用がいろいろ問題となっている。

「マンジャロ」はGLP-1受容体作動薬という薬で糖尿病の治療薬である。

インスリンの効きが悪い、分泌が悪いことにより血糖値が上がるタイプの糖尿病(2型糖尿病)に適用される。

インスリンを分泌させるためのスイッチとしてGLP-1受容体というのがある。

これは小腸から分泌されるホルモンによって作動するわけだが、

GLP-1受容体を活性化することで、十分なインスリンが分泌できるようにすると。

インスリンそのものや、ホルモンそのものを投与する方法に比べて低血糖になりにくく、投与回数も週1回なので便利そうだ。


GLP-1受容体作動薬に共通する話なのだが、食欲を抑制する作用がある。

2型糖尿病の患者は肥満であることも多いので、血糖値のコントロールとともに、肥満の解消による糖尿病の改善も期待しているそう。

マンジャロはこの効果が他の同種の薬より高いそうである。

この効果が強いのがよいか、弱いのがよいかは患者により異なるので、

これがGLP-1受容体作動薬の使い分けの1つになっているそう。


元々のGLP-1受容体作動薬の目的は糖尿病の治療薬なのだが、

この薬は肥満症の治療にも使えますねという話がその前からあった。

低血糖になりにくいので、必ずしも糖尿病の治療でなくても使えると。

その1つが「ゼップバウンド」という薬なのだが、成分はまるっきりマンジャロと一緒らしい。

同じ成分の薬でも使い方が違えば、薬の形態が違うということはある。

でも、この2つの薬は投与量の考え方はほぼ同じで注射薬であることも同じである。


じゃあ、なんで違う薬として売られているのか?

理由の1つは価格の差である。ゼップバウンドの方がだいぶ高い。

同じ薬の値段が違うのは変な気がするが、いろいろ事情はあるそう。

マンジャロは糖尿病治療薬同士の横並びで決められた側面がある。

ゼップバウンドは肥満病治療薬同士の横並びで決めようとしたが、

原価から計算した方が安かったのでそちらが採用になったと。

原価には臨床試験などにかかる費用やそれをわり算する患者数などの要素もあるのでしょうけど。


さて、冒頭の話に戻るわけだが、マンジャロの乱用というのは、

本来、糖尿病の治療の必要ない人の体重を減らす目的で使うことである。

一方で、ゼップバウンドは用法用量の範囲では肥満症の治療に使うことができる。

「ダイエット目的でマンジャロを使う」のはそれだけで不適正とわかるが、

「ダイエット目的でゼップバウンドを使う」だとそれだけでは不適正かはわからない。

でも、後者は全然聞かないわけである。なんでだろうね。


主な理由は2つあるそうで、1つは価格、もう1つは入手性である。

価格はさっき見ての通り、同じ薬なのに効能の違いで値段が違う。

もう1つの入手性なのだが、どうもゼップバウンドは「最適使用推進ガイドライン」というものがあるそう。

これは薬を使用する上での条件を細かく書いたガイドラインなのだが、主な目的はこうである。

また昨今、革新的かつ非常に高額な医薬品が登場しているが、こうした医薬品に対して、国民負担や医療保険財政に与える影響が懸念されており、「経済財政運営と改革の基本方針 2016」においても、革新的医薬品の使用の最適化推進を図ることとされている。

真に患者が必要としている薬は高額でも健康保険制度の下で少ない負担で利用できる必要がある。

でも、他の治療法が適するとか、効果が期待できない患者に使っては金の無駄だということである。

当然、健康被害を防ぐことなども目的にはあるだろうが、主目的はこれである。

ガイドラインは最新の知見により適宜見直されているようである。

このガイドラインにより処方できる医療機関が限られているということらしい。


当たり前だが、薬を投与してまで解消する肥満というのは相当なものである。

肥満により各種の生活習慣病(糖尿病を含む)が生じているようなケースで、

食事療法・運動療法で十分な効果が得られないものに限られる。

ゼップバウンドの効能には対象となるBMIや症状が書かれており、

さらに食事療法・運動療法を行っても十分な効果が得られない場合と、治療の優先順位も定められている。

(食事療法・運動療法が優先することはマンジャロにも記載されている)

これをより明確化しているのが最適使用推進ガイドラインである。


マンジャロの不適正使用には、糖尿病のために処方されたものの横流しもあるが、

自由診療として堂々ダイエット目的で処方されているものもある。

保険診療では用法用量を守って処方しなければならないが、自由診療なら問題ない?

いや、医師・薬剤師が堂々そういうことをやるのは論外では?

ゼップバウンドがあるので肥満に効果があることは立証できているとは言えるが、

それはゼップバウンドの処方でやるというルールなわけですよね。


マンジャロによる健康被害がどれぐらい深刻なのかはわからない部分はあるが、

これは一部の薬で行われている医師・薬局・患者の登録制も必要なのかもしれない。

コンサータは歴史を繰り返している?

覚醒剤に近い性質のあるリタリン、コンサータ、ビバンセもそうだし、

重篤な副作用の懸念があり、患者への指導が必要などの理由で実施されているものもある。

やるならマンジャロとゼップバウンドの両方なんだろうなとか思いますが。

他のGLP-1受容体作動薬にも共通する課題としてやる必要もあるのかもしれない。

そんな話を言い出すと、糖尿病の治療に真っ当に使っている患者が少なからず困るんだけど。


果たしてそうなるのかわからないけど、医師・薬剤師が不適正使用に積極的に関与している状況では、

医師・薬剤師が適正な治療ができるか問わざるを得ないでしょう。

それを実現する手段は登録制しかないと思いますけどね。

そうしない限り収束しそうにはないですが、どうでしょうか?

病院船の はくおうII

前にこのBlogでPFI船舶のことを紹介している。

PFI船舶に供出される船

現在は新日本海フェリーと津軽海峡フェリーなどが設立した高速マリン・トランスポートが、

はくおうII(元は新日本海フェリーの はまなす)とナッチャンNEO(元は津軽海峡フェリーのブルールミナス)の2隻を運用している。

自衛隊が必要時に使える商船を確保しておくことが目的である。


以前、能登半島地震のときも被災者の宿泊・入浴などのために はくおう が七尾港へ向かっているが、

今回の熊本地震でも行くんだろうなと思っていたら、やはり はくおうII は八代港へ向かって行った。

八代港も地震の被害が激しかったが、はくおうIIが行く分には問題ないようだ。

そして制度上初めて「病院船」に位置づけられ、医療提供を開始した。

八代港で初の「病院船」が医療提供開始…内科診療やけがの治療のほか薬の処方、被災者向けに大浴場も (読売新聞)

被災者の入浴にも対応しているわけですが。


病院船というと、現在横浜港に係留・公開されている氷川丸の名前が思い浮かびますが。

海の横浜を歩く

昔は海軍が専用の病院船を運用して傷病者の救護にあたってきた。

現在、海上自衛隊には専用の病院船というのは存在しない。

ただ、必要時に艦船に野外手術システムを積み込むことは想定されている。

専用の病院船があったところで使い道が限られるというのはあるだろう。


一方で海に囲まれた日本ですから、災害などで医療機能が低下したときに病院船があれば役立つという考えはある。

このために「災害時等における船舶を活用した医療提供体制の整備の推進に関する法律」が制定された。

医療が必要な人を避難させる脱出船、被災地での医療サービス提供のための救護船の2パターンが想定されていて、

今回は救護船の目的である。ただ、さほど高度な医療体制があるわけではない。

地震後、被災した医療機関もあったが、熊本県内の他の医療機関でカバーしており、

どちらかというと八代周辺での日常的な診察を継続することが目的のようだ。

あえて病院船というほどの話ではないような気もする。


PFI船舶は病院船の担い手としてもっとも想定されているところである。

他の商船を使うことも想定していて、特に脱出船はすぐ行ける船を使うのがよい。

ただ、どのような場合でも、ある程度自由に使える船はPFI船であろうと。

とくに元長距離フェリーの はくおうII はスタッフや患者が滞在するための設備が充実している。

はくおうII を病院船とは言わないだろうけど、実質的にはそうなんだろうなと思いましたね。


病院船といっても使われるシチュエーションはいろいろある。

自衛隊員の救護を中心としていれば護衛艦への機材積み込みが中心になるだろう。

野外手術システムをPFI船舶に積み込むことも想定にはあるらしいが、

現状は自衛隊の船で運用する方が訓練実績などからすれば優位では?

一方で今回の様に軽症の民間人の救護を目的としているなら、

あまり特別な船は必要ないように思えて、もっと小回りの利く船を借りて対応するなどもあるのだろう。

今回は八代だけで済んでいるけど、場合によっては複数箇所に展開したいこともあるでしょうし。


ところで日本では専門の病院船があっても使い道が限られるだろうと書いたが、

インドネシアでは専門の病院船が平時から活躍しているらしい。

インドネシア海軍では3隻の病院船が運用されていて、離島を巡回しているという。

もともと離島の医療体制は脆弱なため、それをカバーする目的がある。

病院船で定期的に専門的な診療を受けている人もいるのではないか。

そしてインドネシアも地震の被害を受けやすい地域である。

いざとなれば被災地でそれなりに高度な医療も提供できるように考えられていると。

揚陸艦をベースとしており、救急車も積み込んでいるので、

港を拠点に陸に入り込んで救護活動をすることも可能である。

日本ではそこまでの体制を平時から持っておく必要はないだろうが、

自衛隊も民間も多目的な船や機材を持っているので、それを活用するのがよいという話なんでしょうね。

民間にはPFI船や赤十字社のような公的な性格が強いものも含みますが。

永住許可の条件が厳しくなったとて

前々から話は出ていたのだが、永住許可の基準の明確化、永住者の在留資格の取消の基準がパブリックコメントに出たそう。

理解できる部分はあるのだが、嫌がらせにしかならない部分もありそう。


特に就労系の在留資格で長く滞在する人にとって永住許可を得ることには大きな意味がある。

就労系の在留資格を持っている本人にとっては職業選択の自由が増えるわけだが、

それ以上に大きいのは家族滞在で在留する家族も永住者となることで、

これにより配偶者や子の職業選択の自由が大幅に増えることになる。

前にも書いたのだが、帰化や永住には生計要件があり、働いていない子だけが帰化や永住することはできない。

しかし、家族揃って帰化や永住許可を得ることはできるので、

親がこのような要件を満たしているかどうかは子供の人生を左右するものではないか。


まず、そもそも永住許可を与えるかどうかという話だが、

生計要件については、日本人世帯の平均収入を上回る水準が継続しているか、

そして将来の年金支給見込みは十分か、不足する場合は十分な資産があるかという要件が増える。

こういう話が出てきたのは日本に渡ってきて老後に困る外国人が多いことが判明したからだろう。

比較的若くて安定した職にあればそんなに困る条件ではないが、

年齢によっては今さらどうにもならないということは考えられる。


国益要件だが、ここはいろいろ書き足されている。

日本への定着という点で、日本語能力、義務教育年代の子を学校に通わせること、日本の制度への理解があることが掲げられている。

日本語能力はB1相当以上ということで日本語能力試験のN3の受験などで立証できそうだ。

日本の小学校~高校に6年以上通っている場合などは改めて要求することはないと書かれている。

あと高度人材外国人についても日本語能力は求めないとある。

このあたりは努力によりなんとでもなりそうな話である。


ただ、厄介な話も書かれていて、それが子の永住許可である。

永住者の子は通常は永住許可が認められ、永住者となることが多い。

これは本人が生計能力などなくても永住許可が出せるためである。

ただ「申請者の属する世帯が、現に公共の負担となっている場合や、そのおそれが現実的である状況」では消極評価をするとある。

今でも親の素行が悪い場合には子の永住許可が出ないことがあるというが、

親が貧乏な場合は、永住者の子でも永住許可が出ないことがあると。

もっともその場合、日本で生まれていることが前提だが「永住者の配偶者等」の在留資格が認められる。

これも日本での活動には制約がないので、問題は期限付きであることか。

じゃあ更新を認めないことが可能なのか? けっこう難しそうですが。


それは永住者の在留資格取消についても言えることである。

入管法に規定する義務を遵守しないこと、故意に公租公課の支払をしないこと、特定の刑罰法令違反により拘禁刑に処せられたこと

の3つの要素のいずれかにあたる場合に永住者の在留資格を取り消せるというものである。

適用対象としてはかなり悪質なケースを想定している。

ただ、このガイドラインを見ていると「職権変更」という言葉がある。

永住者の在留資格を取り消すということは、日本への在留が認められなくなるということだが、

そもそも永住許可が出るような人は日本との地縁が相当ある人である。

このため日本への在留継続を認めざるを得ないケースが大半ではないかと思う。

多くの場合は定住者の在留資格への変更が職権でなされるだろうという記載もある。


なお、永住者の子や配偶者として永住許可が出た人の在留資格は取り消されることはないとある。

永住者の子にとっては「永住者の配偶者等」は永住者の子として生まれれば、その後の親の在留資格は関係ない。

配偶者はそうもいかないが、これも定住者の在留資格を認めることになるだろうとあった。


結局のところなんやかんやと言っても、一度永住許可が出たような外国人や、永住者の子の在留資格は認めざるを得ないんですよね。

そういう人に永住者の在留資格を認めないというのは嫌がらせにしかならないのでは? というのが僕の理解である。

年金の支給見込みが低いので永住許可は出さないということは考えられるが、

現に就労系の在留資格で日本で働く限りは問題はないはず。

退職後は家族もろとも帰国だと言われても、それが現実的かは疑問である。

元は家族滞在だった子や配偶者が他の在留資格や資格外活動許可で働いていることもあるだろう。

永住許可が出ないことで家族の職業選択を縛って日本への定着を遅らせた上に、

結局は定住者の在留資格など認めざるを得ない状況はあるかもしれない。


日本への定住を目指すならば、これらの要件を満たすように努めるようにいう指針としては価値があろうかと思う。

日本語能力、子を学校に通わせること、日本の制度への理解、年金など老後の備え、

こういうのが重要であるというのはとても納得感があるし、

これを実現するためには受け入れ機関の協力も重要である。


でも、それを満たさないからといって追い出せるわけではないと。

確かに在留資格の中には定住を想定していないものというのもあって、

技能実習はその1つで、そのため家族帯同を想定していない。

いつでも追い出せるように定着させないというのも外国人との関係性の1つにはある。

ただ、特に就労系の在留資格で来る外国人は何らか日本での役目があって、

経験を積んだ人をいちいち帰国させてはもったいないわけですよね。

技能実習の話を書いたが、2027年から育成就労という新たな在留資格で代替される。

これは日本で人手不足のある産業分野の働き手を育成することを主な目的としている。

すぐに家族帯同は認めないが、十分な技能や日本語能力が立証されて特定技能2号になれば認められる。

元々日本国内にいる配偶者や日本で生まれた子の在留資格は認められるだろう。(cf. 告示外の特定活動で救われるかも)


そうして日本に必要とされた人の家族の暮らしはやはり重要で、

従来はそこを家族揃って永住許可を受ける方法で解決してきた。

しかし、そのハードルが上がると別の手段を考えないといけない。

1つにおいては日本の高校卒業者の在留資格ですよね。

日本の高校を卒業して就職先が決まると、小学校から日本の学校に通っている場合は定住者の在留資格が認められ、

それ以降からの場合は風俗営業以外での就労が可能な特定活動の在留資格が認められる。

そこから5年働けば(進学した場合はその期間を含む)、定住者の在留資格を認めるとある。

定住者になって一定期間経てば、自力で永住許可を受ける道も開ける。


あと育成就労というのもあるんですよね。

今の技能実習は本国に帰国して能力が発揮できることが前提となっている。

しかし育成就労は主な目的が日本で人手不足の産業分野の働き手を育成すること。

この目的にかなうならばすでに日本国内にいる人でもかまわない。

なので家族滞在で在留する配偶者がこのパスに乗ることもあるのでは? という話もある。

家計全体として老後の懸念がなくなれば、そこから永住許可という道もあるかもしれない。

(家計の収入としてカウントするためには特定技能2号まで進まないといけないけど)


こういうガイドラインが出てきたのも、情勢不安もあるのでしょうけど。

日本の在留資格の基準が厳しいか緩いかは一概には言えないが、

元々は平穏に長く在留していれば永住許可が出る傾向はあって、

国籍にもよるが日本で永住者になっているといろいろ都合がよいと。

そういうところで狙い目という話はあったようである。

そこでより明確な指針をいくつか示したということである。

ただ、この基準を適用して永住許可を出さないとか、在留資格の取消・変更をしたところで、

それで追い出される外国人なんてどれぐらいいるの? と思うんですよね。

そうならないように努力を求めているけど、努力してどうにもならない人もいるわけですからね。

制震には耐震があり、免震には制震がある

昨日、八代市役所の免震構造が壊れた話を書いたが、

この壊れた装置は制震部材に分類されるものである。

よく地震に耐える構造として、耐震・制震・免震と並べられることがあるが、

どうして免震の中で制震部材が必要になるのだろうか?


そもそも、地震対策の基本は揺れに耐える頑丈な構造物にすることである。

頑丈な構造にして揺れに耐えるというのが耐震である。

結局のところ、制震にしても免震にしてもこれが基本にある。

後付けで耐震補強された建物だと、補強用のブレース(筋交い)が外から見えることがある。

建物の変形を抑えて地震に耐えるという点では典型的な構造である。


ただ、ビルの高さが高くなるほど、揺れが大きくなるので耐震だけでの対策は難しい場合がある。

そこで揺れを吸収するための装置を付けることで、耐えるべき揺れを減らすという方法がある。

これが制震という考えで、高層ビルでの対策では基本になっている。

耐震・制振技術 (あべのハルカス)

そもそも高層ビルというのは風で揺れることへの対策も必要である。

こういう高層ビルの制震によく使われるのがオイルダンパーである。

オイルダンパーは振動を吸収して、熱エネルギーに変換してしまう。

正しく働けば地震により破損・劣化することがないので、繰り返しの地震にも強いという特徴がある。

ただし、経年劣化で油漏れなど発生することがあるので点検は必須である。


他に制震には鋼材ダンパー、ゴムダンパーというのも使われる。

どちらも変形することでエネルギーを吸収する。

ただ、金属というのは変形するとだんだん劣化が進んでいく。

このため鋼材ダンパーは繰り返しの地震に弱いという欠点がある。

実はこの問題は耐震構造にも言えることである。

耐震用の部材が変形するなどして耐震性能が低下してしまうのである。

なので大地震の後には建物の点検が必要なわけですね。

倒壊を防ぐという点では重要性の低い部材を壊れるようにして、エネルギーを吸収させるという考えもあり、

あべのハルカスの耐震性能の説明には「波状鋼板壁」という変形しやすい壁が書かれている。

ゴムダンパーは鋼材ダンパーに比べると繰り返しの地震に強いようだ。


制震用の部材というのは、経年劣化や地震による破損で交換が必要な場合がある。

交換がどれぐらい容易かというのはビルによって異なるとは思うが、

基本的には外して付け直せばよいので、そう難しい話ではない。

特にオイルダンパーは点検しやすい場所にあるはずなので、交換も容易では?

実際、それで交換することがどれぐらいあるのかはわからないけど。


免震は積層ゴムなどで上部の構造物を切り離す方法である。

そもそも揺れが伝わらなければ、上部の耐震性はさほど必要ないと。

建物の倒壊を防ぐだけでなく、揺れによる建物内の被害も抑えられる。

補強が難しい建造物の耐震化に使われることもある。

積層ゴムは上部からの力は受けるが、水平方向には変形しやすい特徴があり、

地面の動きに対して、上部の構造物がゆっくり揺れるようになるが、

これだけだと大きな振幅の揺れがずっと続いてしまうので、制震ダンパーとの組み合わせが必須である。

積層ゴム自身にその役目を持たせるという方法もあり「高減衰ゴム系積層ゴム」というのもあるそうだが。


免震に使われる制震ダンパーとしては、鋼材ダンパー、鉛ダンパー、オイルダンパーなどあるそう。

地震が起こると上部の構造物は地面とは違う動きをする。

なので、免震建造物にはこの動ける分の幅を取っておく必要がある。

他の建造物とのつなぎ目には動いたとき壊れる部材を付けておくなどしている。

ただ、最終的には元の位置に戻ってほしいわけである。

この目的では鋼材ダンパーが適していて、ただ金属なので変形により劣化が進むことがある。


免震用の部材は経年劣化や地震で交換が必要な可能性はある。

ただ、その場合の交換が難しいのではないかという懸念がある。

まだ免震構造の歴史は浅く、経年劣化での交換はなさそうだが、品質不正による交換はある。

建物をジャッキアップして取り替えるという大がかりな作業が必要である。

八代市役所では鋼製ダンパーが地震で変形して戻らないままになっているように見えるが、

さらに言うと上部構造物の位置がずれているように見える。

確かに免震構造では地震後に元の場所に戻りきらないことは想定していて、

それは残留変異と呼ばれるそうで、許容幅が決まっているそう。

なお、残留変異は余震により減少していくことも多いらしい。

耐震性能を復元するには、残留変異を戻した上でダンパーを交換する必要がありそうだが、

かなり大がかりな作業になりそうで、これまでにもあまり実績がないものになるかもしれない。


免震にしても下の構造物はきちんと揺れに耐えなければならない。

この点では免震には耐震もあり、制震もあるということである。

あまり知らなかったのだが、免震というのは基礎で行うとは限らず、

中間層で行うこともあり、八代市役所では柱頭免震と言われる方法だったそう。

地下1階から1階以上を支える柱に積層ゴムなどの部材を付けて免震化している。

当然のことながら地下1階が壊れると全体が壊れてしまうので、そこの耐震性は重要である。


繰り返しの地震に強い構造がよいというのは当然のことではあるが、

変形してエネルギーを吸収するという手段もそれはそれで必要なのが実情である。

制震や耐震は部材が破損はしても、柱や梁が変形しないところを目指しているし、

それが実現されれば、部材の交換で耐震性能は復元できるはずである。

ただ、免震では残留変異はあって、部材の交換にはジャッキアップが必要な場合もある。

基本的には制震ダンパーはジャッキアップせずに交換できるはずだが、

残留変異がある場合はそれを戻すという事前準備が必要である。


結局、何がいいんだろうなという感じである。

ただ、オイルダンパーによる制震は理にかなってるんだろうなとは思いましたね。

繰り返しの地震でもエネルギーを吸収できる装置を使って、建物の変形を防ぐ。

オイルダンパーが壊れてはどうにもならないが、そうならなければよさそうである。

限界を超えた揺れにどうするか

熊本県で発生した地震について、いろいろ情報が入ってきている。

総じて言えば、限界を超えた揺れにどう対処するかは難しいということである。


以前も書いたことがあるが、日本では1981年の新耐震基準が耐震化の1つ大きな基準となっている。

そこから45年が経過し、建物のライフサイクルを考えると耐震性はかなり向上している。

震度6強に達する地震でも死者なしということも珍しくはない。

ただ、震度6強あるいは震度7というのは、十分な耐震性を持つ建物でも深刻な被害から逃れるのが難しい場合があるように見える。

特に今回の地震は地域によっては想定を超える揺れに見舞われたのではないかと推測する。


今日14時時点で熊本県が把握している死者12人とのこと。

他に心肺停止の報告がある人や安否不明となっている人もいるが。

このうち5人が日本製紙八代工場、3人がイオンモール熊本で、

これらの場所では安否不明者やその後に死亡が報告された人がいるので、最終的な数字は増えるであろう。

まだなんとも言えない部分はあるが、揺れによる人的被害という点ではこの2箇所が多くを占めそうである。


それぞれ何が起きたかという話だが、日本製紙八代工場では煙突が倒壊した。

配管などが密集した場所が大きく倒壊したため救出活動が難しい状況が続いている。

重機の搬入が難しいことも救出活動が困難な理由のようだ。

八代市では震度7を観測している。想定を超える揺れだったことは容易に想像できる。

後で書くが八代市内では想定以上の揺れによる被害がいろいろ出ている。

もっと大きな被害が出ていても不思議ではなかったところ食い止められた部分はある。


イオンモール熊本(嘉島町)では地震からしばらくたって爆発が発生した。

これにより建物の外壁が吹き飛ぶという被害を出している。

地震当時、客が3000人ほど、従業員1500人ほどがいたそうだが、

避難誘導は順調に進み、客は全員避難完了、従業員も完了したはずだった。

その後に爆発が発生、建物外への避難は継続していたが、何らかの理由で建物内にいた従業員が10人程度巻き込まれたようだ。

救出された人もいたが、爆発の規模が大きく、こちらも救出活動が難航している。

爆発源がLPガスとみられるものの、本来は地震の揺れやガス漏れで遮断されるはずで、

なぜ爆発にいたったのかという点は今後調査がされるのではないか。

これも想定を超える揺れが原因にあった可能性はある。

死者が出たのは残念だが、おおかた避難後の爆発だったことで被害は大きく減らせたとは言える。

避難がまごついたら、爆発が早期に起きたら、ケタ違いの被害だった可能性はある。


地震発生後、建物の安全が確認出来れば建物内に留まりたいものだが、

八代市役所では免震構造の損傷により、建物が使えず屋外に災害対策本部が設置されることに。

実は八代市役所は2016年の熊本地震で損壊し、2022年に改築が完了した経緯がある。

その際に大地震でも機能を維持できることを目指して免震構造が採用された。

免震というのは地面と建物を積層ゴムなどでつなぐことで、地震の揺れを建物に伝わりにくくする方法である。

建物の倒壊を防ぐだけでなく、建物内の揺れによる被害も軽減できるということで、

病院や防災拠点として重要な施設で使われることが多い手法である。

それだけの手法を取り入れた施設なのに使えなくなってしまったのだった。


何が起きたのか?

八代市庁舎の免震構造が損傷 建て替えたばかり、工事では汚職事件も (朝日新聞デジタル)

地震の揺れを吸収するためのダンパーが破損したということである。

こういう地震の揺れに耐えた結果として壊れるものというのはしばしばある。

このため建物の倒壊を防ぐという点では想定通りの機能をしたようだ。

基本的には破損した部材を交換すれば耐震性は戻ると思われるが、

問題はこういう部材を交換することができるのかということである。

さっきも書いたように免震構造は重要な施設で使われていることが多いが、

免震構造が損壊して安全性が保てない状態が長期間続くとなれば、それはそれで問題である。

倒壊が防げるのは最低限、免震構造はそれ以上を目指して導入される手法であると考えていた。

でも、もしかすると今まで気づいてなかった欠点があったのかもしれない。


これも想定を超える揺れによる被害ではないかというのが、高速道路の高架橋である。

熊本地震での高速道路の桁ズレ、「わざとズレるように設計している」はNEXCO西日本が否定 (トラベルWatch)

航空写真でも早々報じられていたが、妙見第一橋では橋桁がずれ落ちていた。

ただ、完全に橋桁が落ちておらず、これで防げた人的被害もあったのかもしれない。

想定通り機能したのかはよくわからないが、日本では橋桁に落橋防止装置を付ける設計が広く採用されている。

これは1964年の新潟地震で橋桁が落ちたことを教訓に開発された装置で、

手法はいろいろあるのだが、橋桁に何か紐状の物を付けて、橋脚や隣の桁に繋いでおく点では共通する。

こうすると万が一、橋桁が外れても完全に落ちてしまうことは防げるというわけである。


というわけでいろいろ想定を超える事象が起きているようだ。

一方でこのような被害が起きた地域は熊本県内でも限られている。

診療を継続できなくなった病院もいくつか出てはいるが、

熊本県内の比較的近い地域の病院への転送などでカバーできている。

インフラの寸断など、広域にわたる被害が続いている部分はあるが、

電気・水道は順次復旧しており、影響範囲はだんだん狭まるのではないかと思う。

思い返して見れば2024年の能登半島地震は交通の便が悪く、

加賀地域への広域避難も容易ではなく、救援活動にも大きな制約があった。

それに比べればずいぶんよいのかなとは思う。

今回は揺れ自体の被害は甚大だけど、津波や大火事など広域で深刻な被害を出すことはなかった。

避難が続く中で新たな被害が出る可能性は当然あるけど、周辺地域でカバーできる状況であれば軽減できるのではないか。


まだ救出活動も続く状況で、それどころではないんだけど、

想定を超える地震が来る可能性に対してどう備えるのが正しいのか。

うまく働いた部分もあるのだろうし、改善できる点もあるのかもしれない。

これまでも津波では想定を超える可能性は真面目に語られていた。

その状況によっては、より高い地点、より早く避難できる地点を選ぶ必要もあるということである。

ただ、揺れについてはあまり語られていなかったように思う。

今回の地震は非常に稀なケースだとは思うが、その稀なケースでも影響を小さく抑えるにはどうするか、考えるんでしょうね。

なんで東濃は岐阜県なのか

この夏はスロースタートな感はあったが、7月下旬にもなると暑くなり、

今日はとうとう多治見(40.3℃), 豊田(40.1℃), 八幡(40.0℃)と40℃超えの地点がでた。

八幡? と思ったけど、これは郡上市八幡のこと。

岐阜県・愛知県の観測点の気温が高かったが、筆頭はやはり東濃だった。


全国的にも暑いことで知られる東濃地域、なぜ岐阜県なのか? という疑問を持った人もいるかもしれない。

というのも東濃地域というのは、岐阜県の他の地域との往来が愛知県経由になることが多い。

特に鉄道や高速道路を使う場合にその傾向が強い。

岐阜県は全体的に愛知県との往来が激しいこともあり、なぜこんな県境の引き方なのだろう? と疑問に思うこともある。

いろいろな事情はあるわけだが、歴史を掘り進むほど不思議な県境である。


東濃というのは美濃の東部という意味である。

岐阜県は概ね美濃国と飛騨国を合わせた区域に相当する。

なのでこの点では東濃地域が岐阜県なのは自然なことである。

そもそも美濃を東西に横断するように中山道が通っていた。

中山道というのはかつては重要ルートだから、このルートに沿って行政区分が設定されるのは妥当そうである。

同様のことは長野県の元となった信濃国にもあてはまる。

中山道の馬籠~軽井沢のルートに沿って成立した行政区分だったが、

現代の人々の流動には必ずしも合っておらず、しばしば論争になる。


昔は美濃の範囲は今より東に広く、現在は長野県に属する木曽地域も含んでいた。

というのもこの地域は川筋としては木曽川流域にあたるためである。

美濃国には中山道沿いという側面と共に木曽川流域という側面もある。

この木曽川というのは治水に苦労した川で、様々改修が行われてきた。

木曽川は美濃と尾張の国境を決める川になっていたが、容易には渡れなかったわけですね。

それでとりあえず尾張の洪水被害の対策として、御囲堤という堤防を作ったわけですね。

これで木曽川と尾張を切り離すことで尾張の開発を進めたわけですね。


すなわち渡れないという点では木曽川というのは大きな断絶ではあったけど、

御囲堤で切り離される以前は尾張も木曽川の派川がたくさん流れていて、

それらの地域の排水を担う川が集まったのが現在の日光川水系だという。

御囲堤で切り離されたことで水害のリスクは減ったが、水の確保には困るようになった。

このため木曽川から導水する用水路が様々作られたという。


さらに言えば、木曽川が渡れないという問題は濃尾平野のことで、

善光寺道とか言われた名古屋~恵那を庄内川沿いに移動するルートにはそのような問題はない。

昔から東濃地域はこのような往来が盛んだったんですね。

このルートは後の国道19号線の元となっており、このルートに鉄道の中央本線や中央自動車道が敷かれている。

だから、昔から東濃というのは名古屋との往来は別格に良かったんですね。


あと、行政面でも東濃・中濃は多くが尾張藩の管轄下にあったそうだ。

木曽川の治水も尾張藩のリーダーシップによるところが大きかったそう。

このあたりは岐阜県の中でも大垣など西濃地域とは大きく異なるところで、

このあたりはむしろ関ヶ原を超えて畿内との往来が比較的多かったようだ。

木曽川を渡るのが容易でなかったがゆえ、西側との往来が多かったと。

こういう話は今の三重県にもあって、今は橋をわたってすぐそこの名古屋もかつては七里の渡しなど海路での往来で近くて遠かった。


というわけで東濃地域は確かに中山道沿いで、それは木曽川の川筋に沿ったものではあるけど、

現在は長野県に属する木曽地域と同一の地域圏だった時代もあるし、

善光寺道で他の美濃地域とは異なる尾張との往来はあったし、行政上も尾張藩の支配下にあった地域が多いと。

歴史的には意味はあるけど、美濃国という区分にこだわる必要はあまりなかったのかもしれない。


岐阜県もなかなか変な形だが、愛知県もなかなかなんですよね。

愛知県は尾張と三河に大きく分けられる。

同じ県内ながら尾張と三河の境目はかなり意識されている。

一方で、尾張と美濃の境目はしばしば曖昧である。

かつては容易に渡れなかった木曽川も容易に渡れるようになっている。

尾張と美濃の往来はどこからでもできるという状況に近い。

それぐらい密接なのだから、県内で往来する必要性自体がないんですね。

東濃と他の岐阜県の往来が不便というよりは、美濃と尾張の往来が全体的に便利ということなんでしょうね。

非予想系の野球くじの意味

以前より話はあったのだが、スポーツ振興くじの対象に野球を加えることについて、

NPBのオーナー会議で進めようという話が出たそうである。

プロ野球オーナー会議、野球くじ検討 勝ち負け選べぬ非予想系で (毎日新聞)

ただし、非予想系に限るとのことである。


野球賭博というのは日本における大きなタブーである。

野球というのは投手の力により結果が左右される部分が多く、

意図を持って勝敗を操作することができる場合がある。

このあたりが過去に野球賭博のスキャンダルを生んでいる理由らしい。

このため、スポーツ振興くじの対象にするとしても、予想系はやめようと。

非予想系であれば、この試合はホームが勝ちを買おうとか、そういうことはできない。

ゆえに故意に試合結果を操作する理由もないということである。


ただ、非予想系というのは野球でなければならない理由もない。

現在のスポーツ振興くじの売り上げの9割が非予想系のBIGシリーズが占めている。

背景には様々事情はあろうと思うが、totoは難しいというのもあったと思う。

そこで1試合予想あるいは競技会予想のWINNERが導入された。

WINNERは本当にわかりやすいのか?

サッカーワールドカップでも日本戦を中心にWINNERで楽しんでいる人は見ますが。

ただ、控除率が50%と高いこともあって、スコアも含めて予想してなんとかで、これはこれで難易度が高い。

昨年の売り上げは28億円、スポーツ振興くじ全体の2%程度である。


そこで野球を非予想系のくじの対象にするメリットを考えて見ると、

やはり試合頻度で、概ね月曜以外は毎日試合があるわけだ。

BIGは基本的に週1回の発売である。

木曜か金曜に締め切って、週末の試合結果で結果が出る形である。

さらにサッカーに比べると得点のバリエーションが多い。

このため1試合から取れる数字も多いと言える。


ただ、非予想系ということは別にスポーツくじである必要もない。

数字選択式の宝くじはかなりの頻度で抽選会を行っている。

それでもさすがに毎日ではないだろうと思ったのだけど、

ナンバーズ4・3は月~金の週5回も抽選会が行われている。

ロト7, ミニロト, ビンゴ5は週1回、ロト6は週2回なので、

1000万円以上の高額当選が狙えるものでは、ロト6の週2回が最多ですが。

あと、もう1つあるのが公営競技の重勝式投票券である。

ランダム式では競輪・オートレースにいろいろ設定されている。

基本的には毎日レースがあり、何らか買うことはできるが、売り上げとしてはどうなんでしょう。

税制面の問題もあり、高額当選狙いよりはオートレースの「当たるんです」の144万円程度がよいだろうと書いたこともありますが。

おいしいところ狙いの車券?


さて、その上で何を予想対象にしようかということを考える。

いろいろ方策はあるだろうが、MEGA BIGの両チームの合計得点というのはよい指標に思う。

さらに野球の場合、イニングごとの数字というのも使えそうだ。

野球の特性上、得点が入ると大きな数字になることがある一方、無得点に終わるイニングも多い。

そこで昨年のNPBのイニングごとの得点分布を調べた。

プロ野球ヌルデータ置場/2026年度版

これを元に推定すると6イニング(両チームの3イニング)合計得点は、

0点:23%, 1点:22%、2点:18%, 3点:14%, 4点以上:23%

という形で若干3点というパターンが少ないが、だいたい均等に並びそう。

1試合を1~3, 4~6, 7~9回と区切ると、それぞれから5通りの数字を3つ作れる。


NPB 6球団全てが試合を行えば1日6試合だが、必ずしも揃わない。

でも、少ない場合でも3試合程度は行われているようだ。

3試合から5通りの数字を9個作ると、その組み合わせ数は195万通りとなる。

BIGと同じ1口300円、控除率50%、全て一致の1等に当せん金の80%を割り当てると、

1等当せん金は理論上は2.3億円となる。けっこういいのでは?

野球というのは雨天中止も多いが、3試合ならドーム球場の試合で多くは構成できそうである。

こうすると不成立となることも少なくなるのかなと。

BIGは一部試合が行われなくても、その試合はすべて的中扱いで結果が出ることがある。

ただ、キャリーオーバーも考えるとよい仕組みとも思えない。

そもそも中止にならなければそれに越したことはない。


というわけで野球くじもそれはそれで有望そうだとして、

どうしてこれまでNPBは消極的だったのか、そして積極姿勢に転じたのか。

スポーツ振興くじ では 試合開催機構 に開催経費の一部を補助できる規定がある。

試合開催機構とはJリーグとBリーグのことである。

このことを指してWINNERの説明には「売上は応援するクラブにも還元される」と書かれている。

ところがNPBは各チームとも球場や放送・映像配信などで大変儲かっているわけである。

なのでスポーツくじからの分配金というのはあまり期待していないと。

ましてやこれまで野球賭博はタブーとされてきた経緯もある。

WINNERで新たに投票対象になったBリーグはWINNERをファン獲得の呼び水にしたい思いもあったかもしれない。

でも、野球はやるとしても非予想系、これでは試合への興味も生まない。


ただ、そこから転じたことには野球の将来も考えてのことがあったようで、

この日の会議では野球振興活動について報告された際、少子化や中学校の部活動の地域移行などが進む中、野球振興のための新しい組織作りに向けての財源確保が喫緊の課題となっていることが示された。

そもそもスポーツ振興くじの収益金は地域スポーツのために多く使われている。野球も当然恩恵は受けている。

野球をスポーツ振興くじの対象にしたところで野球が受ける恩恵が直接増えるわけではないように思う。

でも、そうじゃないんですね。ここで言っている「野球振興活動」はNPBの事業である。

すなわちNPBはスポーツ振興くじの試合開催機構としての分配金を、

NPBが行う野球振興活動に投じて、地域の野球をできる環境を維持していこうと。


そもそも非予想系というのがどうなのかという疑問はかなりある。

これが売れたとしても結局はBIGや宝くじの売り上げを食うだけではと。

でも、週6日試合のある野球の特徴を生かして売り上げを伸ばせれば、

日本スポーツ振興センターが行う全スポーツに渡る助成と、

NPBが行う野球振興活動の両面で、地域スポーツとしての野球を支えられる。

こういう理屈は確かにあるのかなと思った。