高市総理大臣が就任まもない頃に物議をかもした国会答弁があり……
戦艦を使って、武力の行使も伴うものであれば、これはどう考えても存立危機事態になりうるケースだと私は考える
中国政府がいろいろ騒いだ一連の答弁の一部にあった発言である。
この答弁内容は従来の日本政府の考え方を変えるような内容ではないと思うが。
大局的にはそういう話なのだが「戦艦」というところにツッコミを入れる人もいて、
なぜかというと、大砲を主力兵器とした 戦艦(Battleship)は現在存在しないためである。
というわけで「軍艦」の間違いではと指摘されたが、あくまでも例えということで言い間違いではないらしい。
ふーん、と言っていたらアメリカがBattleshipを作るというニュースが飛び込んできた。
「トランプ級戦艦」建造へ 2隻、大統領が発表―米 (JIJI.COM)
まさか高市さんは「戦艦」が主力艦に再び返り咲く時代が来ると読んでいた?
ただ、実際のところミサイルを主力兵器とした船なんですよね。
そのような船は通例 ミサイル駆逐艦(DDG) のように言われることが多い。
日本ではイージス艦って言われてるやつですね。
戦艦が主力だった時代は、駆逐艦は比較的小型で機動性が高い船を指していたが、
現在においては比較的大型の艦船を指すことが多い。
もっともそれにも限度があるだろうと大きいものは ミサイル巡洋艦(CG) と呼ばれることがありアメリカはそうしている。
それよりさらに大きいなら戦艦じゃないの? トランプさんの発想はそんなところだったのかもしれない。
実態としては超大型ミサイル駆逐艦ではないか? という読みはある。
駆逐艦に求められる機能も大きくなる中で、大きい船にしたということか。
それが本当に良いのか? という疑問は当然あるんですけどね。
日本では駆逐艦もフリゲートも「護衛艦」とされているが、
護衛艦の一種として国際的には巡洋艦(Cruiser)にあたる種別が規定されたという。
1つは CG、さっき出てきたミサイル巡洋艦ですね。
駆逐艦というにはデカすぎるイージス艦に適用する想定で、
イージスアショアが頓挫した結果、作ることとなった新しいイージス艦がこの区分になる。
今までのイージス艦も大概デカイので実態はあまり変わらない。
もう1つは CVM である。
この記号は固定翼機対応したヘリコプター搭載護衛艦(DDH)に適用する想定らしい。
固定翼機対応の駆逐艦
駆逐艦(DD)の一種として扱われているが、駆逐艦なのかは甚だ疑問とは言われていた。
実態としては軽空母に近いのだが、輸送・医療などの機能も備えているとか、
なにかに理由を付けてこれは空母じゃないですからねと言ってきたと。
ただ、さすがに駆逐艦ではないだろうということで、それ用の記号を新たに規定した。
それが「CVM」なのだが、CVというと空母だねと考えてしまうが……
ただ、どうも自衛隊にインタビューした人がいたそうでCruiserの”C”との回答だったそうだ。
VはVoler(フランス語の飛行)、MはMultipurpose(多目的)ということで、
多目的な航空巡洋艦というような意味らしい。やっぱりわからんが。
ただ、駆逐艦より大きいものは巡洋艦と呼ぶのが相応という点ではCGと同じ発想である。
なお、CVMを名乗る船は存在していないが、DDHはさらなる改造が予定されており、
この完了後に適用されるのでは? という憶測がある。
結局は同じような船を駆逐艦とするか巡洋艦とするかは各国の判断であり、
その巡洋艦を超えて巨大な船は戦艦と呼んでもいいのでは? というのもやはり各国の判断だと。
そこは日本の海上自衛隊が駆逐艦と巡洋艦の境目で揺れていることにも現れている。
でも、巨大な巡洋艦をBattleshipって言う必要はあるのか? という疑問はやはりある。
本質的な意味はあまりないという話だろう。
それよりなによりアメリカがこういう艦船を作れるのか?
というところを疑っている人はいるようだけど。
造船分野について日本・アメリカの連携を深める覚書を取り交わしているが、
アメリカの造船業は相当ボロボロらしい話は聞く。
そんな中でアメリカの海軍力は維持するのも困難ではないか? と疑われている。
「戦艦」はそのための起死回生の策なのかもしれないが、ドツボにはまるだけでは? という冷ややかな見方も妥当に思える。