今回の関西行きでは珍しくも神戸に出かけることにしていた。
ここからだとちょっと遠いけどたまには行きたいなって。
ただ、そこまで具体的な行き先が決まってたわけではなく土日に調べてたんだが。
神戸行きに使ったのが「神戸街めぐり1dayクーポン」である。
これ、あまり安いと思ってなかったのだが、三宮までの単純往復で元が取れることが判明。
あまり安いと思ってなかった理由は800円分の施設利用券をセットにしているという印象から。
すなわち鉄道だけでは元取らせないぞって。でも案外そうでもなかった。
三宮までの往復より安くて、神戸市内フリー区間と施設利用券が付いてくるならお得だねって。
そんなわけで近鉄から阪神なんば線経由で三宮まで。
で、施設利用券をフル活用するなら800円以上かかる施設に行くとよい。
そこで向かったのが布引ハーブ園である。利用券が使える施設では最高額クラスである。
1800円というのはほとんどロープウェイ代ですけどね。一応片道だと安くなる。
マップを見ると往復券があれば、中間駅~山頂駅を何度でも乗れるというから往復で正解ですね。
ロープウェイからは布引の滝が見えた。上がるごとに神戸都心がだんだんと遠くなり、ポートアイランドがよく見えてきた。
ハーブ園というからよっぽど香りがよいかと思ったが、そこまででもなかった。
そりゃ葉や花が香る植物ばかりではないからな。ほんのり香る感じ。
見て美しいのは言うまでもなし。ハーブについて学ぶことも多い。
外国人客も多かったが、確かに布引ハーブ園は神戸らしいところかもしれない。
神戸というのは都市と山が近いというのが開発する上では困った話だが、
一方で天然資源には恵まれた土地であり、六甲山の向こうの有馬温泉もその一例か。
こういう都市に近い自然をうまく生かしているのは神戸らしいなと改めて思った。
布引ハーブ園なんて新幹線の駅の裏からロープウェイで上がるんだからね。
その新幹線駅がトンネルとトンネルに挟まれたトンデモ立地というのはともかく。
ところで神戸は開港地として発展した経緯があるが、本来開港を約束したのは兵庫である。
その兵庫ってどんな港だったのか学べる施設が最近出来たという。
というわけでフリーきっぷを使って地下鉄海岸線に乗り中央市場前駅へ。
下車すると中央市場があるが、それを左に見ながら進むと「兵庫県立兵庫津ミュージアム」がある。
2022年11月開館というからかなり新しい。
この博物館が兵庫県の施設である理由の1つが初代県庁にちなんだ施設だから。
元々このあたりには兵庫陣屋→兵庫奉行所があった。隣接するイオンモールの建設時に発掘調査もされたとか。
で、この兵庫奉行所を転用したのが初代兵庫県庁だったというわけ。
この初代県庁の復元建物と、兵庫津の歴史をたどる博物館を合わせた施設になっている。
平安時代までは大輪田泊と呼ばれ、鎌倉時代以降は兵庫津と呼ばれたそうだが、
水深が深く、和田岬が防波堤になるというのが港に適していたわけである。
西国街道で京との往来も便利で、瀬戸内海と京をつなぐ接点として栄えたようだ。
そういう話を聞くと大坂が天下の台所と言われたじゃないかと思う。
確かに大坂は瀬戸内海を通じた海上輸送を背景として商業都市として発展したが、
河川港ということで大型船が直接入ることができず、小型船に載せ替える必要があった。
この点では兵庫の方が海上輸送面のメリットは大きく、国際貿易の拠点にもなった。
大阪は市内の水運は失われたが、現在も天下の台所と言われた時代の都市構造のまま商業都市として栄える一方、
現在の兵庫からは貿易港として栄えた姿はほとんど想像できない。
これは開港地になった神戸にその機能の多くが移ってしまったから。
明治以降、兵庫はすっかり新しい港町、神戸に生まれ変わったのが実情だろう。
兵庫津ミュージアムで紹介される兵庫の歴史は開港前後で途絶えている。
その先は現在の兵庫県に至るまでの歴史が主に紹介されている。
初代兵庫県庁こそ兵庫にあったが、早々に神戸に移転している。
初代県庁もその機能はほぼ検察ぐらいで……江戸時代はそれで足りたのかもしれないが。いかにも仮の県庁だったことはわかる。
兵庫県というのは旧国で言えば主に摂津・播磨・丹波・但馬・淡路で構成され、
県全体でのまとまりに弱く、摂津は大阪府、丹波は京都府にもまたがる難しさもある。
どうしてこの形になったかというと兵庫(神戸)が開港地になったからこそで、
そのルーツをたどることは県の歴史そのものだという意図があったのだろう。
文化財らしいものはあまりないけど、知っておくことは意味があるだろう。
さて、ここから海岸線でみなと元町駅まで乗車。
メリケンパークで「BE KOBE」のモニュメントを見る。大賑わいである。
クルーズ船が停泊していてびっくりしたが、中突堤にもターミナルがあったんですね。
ここからポートアイランドを見ると、人々が暮らす人工島であることが感じられる。
上から見ると港湾機能のための人工島に見えるけど、実際はかなり生活感の強い島である。
ここに来たのはこの後に行く目的地にちなんでのこと。
ここからポートライナーの駅まで歩いてポートアイランドへ。
ポートターミナルにも客船がいた。飛鳥IIだった。中突堤と2隻のクルーズ船がいたんですね。なるほど。
フリーきっぷでポートライナーに乗れるなら行きたいところがあった。
それが ポートアイランドしおさい公園 に設置された「BE KOBE」である。
こちらはメリケンパークの対岸にあたり、文字がくりぬかれた形をしている。
メリケンパークのBE KOBEをくりぬいた残りということである。
いろいろ段取りが悪くすっかり日没後になってしまった。
みなとじま駅を下車して、長い歩道橋を渡り、神戸学院大学の前に。
ここから大学と大学の間にある道路を通ると公園に入る。暗くて仕方ないが。
ただ、モニュメントだけはライトで照らされていた。夜もそれはそれでよかったのかもしれない。
確かにメリケンパークの対岸だった。この角度からみる神戸港も面白い。
三宮に戻ってきて阪神電車で帰る。
野球観戦の人とぶつかるかと思ったが、試合開始後だったので関係なかった。
近鉄で事故があったようで、快速急行の運転取りやめは仕方ないとして、
桜川駅でなかなか出発できなくてなんでだろと思ったら、
近鉄の乗務員がいなかったようで、難波からの電車が到着すると、
小走りで移動する近鉄の乗務員がいて、まもなく発車。バタバタしていた。
ともあれこれで関西滞在も明日帰れば終わり。