今日は東京に行く用事があったので、東京国立博物館へ。
入口で見せるのは「奈良国立博物館賛助会員会員証」……
なんだそれと思ったかも知れないが、昨年末に奈良博に寄付をしたのである。
どこの博物館でも寄付は受け付けているだろうけど、
奈良国立博物館では個人は年5万円払うと賛助会員になることができる。
国立博物館では共同でWebから寄付できるポータルサイトがあって、
これを使うとクレジットカード決済で寄付できる。
書類をFAXで送ったり、銀行振り込みしたりする必要はない。便利ですね。
この寄付というのは所得税の寄付金控除の対象であり、
また(独)国立文化財機構は東京都の指定団体のため住民税の寄付金控除の対象となる。
(都道府県の条例指定団体は市町村の条例指定団体であることも多いが、市町村によるので要確認)
昔から博物館に寄付できることは知っていたのだが、
昨年に寄付した大きなきっかけは11月~12月ぐらいに所得税が思いのほか高いことに気づいたのである。
所得税の寄付金控除は所得控除であり、所得税率により受けられる恩恵が異なる。
そういうことで同じ寄付金額でも所得税の高い人と低い人では恩恵が異なると。
住民税の方は10%の税額控除、こっちは税率一定というのもあるが。
住民税の寄付金控除は市町村・都道府県への寄付金(ふるさと納税)がよく知られるが、
寄付額×10%の基本分と、基本分と所得税の寄付金控除でカバーできない部分を控除する特例分があり、
一般にはこの特例分の上限(住民税所得割の20%)がふるさと納税の上限と言われているが、
実はそれを超えても一般の寄付金控除の対象になるので税控除が0になるわけではない。
条例指定団体への寄付はそれと同じことである。
東京都の条例指定団体に(独)国立文化財機構があるというのは、
東京都に本部がある独立行政法人ということで指定されているとみられるが、
同団体への寄付であれば目的は問わないので、奈良博への寄付でも問題ない。
だいたいは都道府県内で活動する団体が都道府県の条例指定団体になっていて、
国立文化財機構だと東京都・奈良県・京都府がこの趣旨で対象になる。
(福岡県は県内に本部のある団体に限るので、対象ではない?)
余談ですが、就職以来、活動資金を寄付している日本赤十字社だが、
東京都の条例指定団体なのでどんな寄付金でも控除対象になるのだが、
条例指定団体でない場合、住民税の控除対象になる寄付金はかなり限定されている。
何も考えずに活動資金を寄付して住民税・所得税両方の控除があるのは幸運なことである。
話は戻って、奈良博に寄付したきっかけは1つではないのだが、
5万円で受けられる恩恵として東博よりよかったのは大きな理由である。
いずれの国立博物館に寄付しても他館での恩恵は一定存在する。
奈良博については5万円の寄付で、奈良博では平常展・特別展問わず「随時ご観覧」できるとある。
随時ってのがすごい書き方ですね。理論上は正倉院展を14回見てもよい。
他の国立博物館では平常展はいつでも、特別展は各展1回ずつ観覧できる。
上記はいずれも同伴者1名が伴ってもよい。
一方の東博だが、5万円のシルバー会員、20万円のゴールド会員……とあるが、
シルバー会員は全国立博物館の平常展はいつでも観覧できるのだが、
特別展は東博を含めて会員証提示での観覧対象にはなっていない。
東博での特別展の開会式・内覧会の招待という特典があるので、
そのときあわせて行けば結果的に特別展を無料観覧できるのだが、そう都合が合うかという話である。
ゴールド会員であれば、全館で特別展を各展1回ずつ観覧できるが、さすがに高い。
そんなわけで奈良博への寄付というのは5万円というそこそこ手が届く額で、
なおかつ東博含めて他館での恩恵も十分に大きいことがメリットだった。
これまで「奈良博メンバーシップカード」を持っていたのも、
奈良博で特別展2回見て、他館でも平常展は観覧できるなら十分お得で、
対照的に東博の会員制度は高い割に恩恵が少ないとしていたためで、
コストパフォーマンスを言えば奈良博というのは前もそうだったのである。
寄付にコストパフォーマンスを求めるのはおかしいじゃないかという話はあるかもしれないけど。
で、寄付したのは年末最終週で、寄付翌日に電話が来て、
なにかと思ったら書類送付は年明けでよいかという確認だった。
年明けで問題ないと連絡すると書類が届いたのは先日木曜日だった。
中には受領証、会員証、現在やっているおん祭の特集展示の図録などが入っていた。
特集展示の図録も送ってくれるんですね。
受領証とともに東京都の条例指定団体ですよという案内まで入れてくれていた。知ってたけどな。
会員証はプラスチック製で氏名などは印刷されていた。わりとしっかりしている。
有効期限は月単位で切り上げて来年1月末まで、ラッキーという感じ。
で、これを見せて東博を見ていたわけである。
表慶館でやっているHello Kitty展が大盛況だったが、今日は平常展だけで。
本館は12月は工事で閉鎖されている展示室も多かったのだが、
年明けは彫刻の展示室が1つ閉鎖されているのみ。
この時期の東博と言えば「博物館に初もうで」ですよね。
へび年にちなんだ展示ということで、東博で蛇と言えばこれと思ったのか、最初にあったのは自在の蛇の複製品である。
自在というのは自在に動かせる置物だが、だからといってガチャガチャ動かすわけにはいかない。
ところが、この複製品を作って、何らかの方法(磁力?)で動かしていたのである。
金属3Dプリンターでの複製品らしく、こんなの作れるのかと驚くばかり。
とはいえ、蛇はあんまりなネタで、東洋館のコレクションも持って来たり、
例年の特集展示とはちょっと違った感じだった。
寄付にコストパフォーマンスを求めるかという話を書いたが、
奈良国立博物館と国立国際美術館(大阪・中之島)にキャンパスメンバーで何度か観覧したことが、
現在各地で博物館にいって見聞を深めるきっかけになっていることは間違いない。
そのルーツの1つである奈良博に寄付するのは名誉あることだと考えている。
彫刻(仏像)の展示はハイライトではあるけれど、それだけではない博物館で、
展示スペースの制約もあるけど、他のジャンルのコレクションも展示できるとよくて、
そういう活動充実に少しでも役に立てばなという思いは確かにある。
せっかくの賛助会員ですので、この1年は奈良博にも積極的に足を運びたいなと思う。
その先続けるかはわかりませんけどね。税金次第という面はある。