インターネットで実店舗の証券口座開設

来年頭に今住んでいる社宅が退去期限を迎える。

転居先を探すのもそうなのだが、これにかこつけて持株会の株式を引き出す構想がある。

持株会の株式引出にあたってはそれなりの理由を申告しなければならない。

そこで「住宅資金」とか言う口実になるんじゃないかって。

借家への転居だろうけど、疎明書類とかが必要なわけでもないだろうし。


この持株会からの株式引出にあたっては、持株会の管理を行っている証券会社の口座を個人で開設する必要がある。

口座開設手続きには時間がかかりそうだなと思ったので早めに動くことにした。

持株会の案内に従って証券会社のWebサイトから申し込むのだが、

必要事項を入力して、本人確認書類の画像をアップロードすれば、

その2日後には口座開設完了の書類が簡易書留で届き、

マイナンバーの申告は専用のAndroidアプリでアップロードして……

これで口座開設の手続きが完了したらしい。まさかこんなに速いとは。


ところで僕がはじめて証券口座を開設したのはSBI証券である。

SBI証券に口座開設したのは20歳になってまもなく、もう12年近く前のことである。

当時はWebから申し込むと、大半印字された申込書が送られてきて、

届出印の押印などやって、本人確認書類のコピーと一緒に送ったはず。

現在はWebで本人確認書類の提出をして、初期設定情報をE-mailで受け取ることもできるようだ。

これでこそインターネット証券会社と思いますが、やってることは実店舗中心と思わしき証券会社とそんなに変わらない。


それで今回の口座開設時に1つ戸惑ったことがあって、それが口座店の選択である。

SBI証券もGMOクリック証券もどちらも口座店を選ぶ必要はない。

インターネットで申し込めばどちらも「本店」以外の選択肢がないからである。

ここはインターネットから申し込む場合もいずれかの実店舗を選ぶ必要があると。

確か、あそこに店舗があったはずと店舗一覧を調べると、

支店と営業所というのがあって、営業所は口座店にはならず、親店(支店)の取扱になりそう。

その観点で、うちの近所ならこの店舗で、そしたらこの支店というところを選んだ。

実店舗に行く気はまったくないんだけど。


店舗に出向かないのに特定の営業店を選ばされるといえば、

みずほ銀行 と ろうきん の口座開設をメールオーダーで行ったのがそうだった。

けど、あれは会社指定・労働組合指定の店舗だから考える余地はないんだよな。

そういうのを除けば初めての経験のような気がするな。

特にこだわりはないので勝手に選んでくれてもよいのだが。

てっきり一部の銀行のようにインターネット専門支店に割りあてられると思ったのだが。


持株会の説明によれば、引き出した株式を他証券会社に移管するのに手数料はかからないらしいから、

それだったらGMOクリック証券に移管して、そこで売却しようと思うのだが。

だから今回開設した口座というのは一旦受け取って移管するだけの予定。

具体的に動き出すのはもうちょっと先になりそうだが、めんどくさそうだなと思いますね。


今回、持株会の引出を考えたのは、自社株の売却手続きが面倒だから、適当なタイミングでやっておきたいというのもあるが、

持株会で積み立てられた株式の配当金は自動的に再投資されるのが、

持株会から離れると(買換の有無によらず)配当金が現金で入ってくるのもある。

あれこれと株式を買い込んできた結果、配当金だけでもけっこうな金額である。

どうしても社宅から転居すると家賃負担が増えることは避けがたい。

そこを多少補填できるのではないかということである。

そんなカツカツの生活をしてるわけでもないが、余裕の確保という点では一定の意味があるのではないかなと。

虚偽申告での試合中止に対する制裁

Twitterで「没収試合」がトレンドに入っていて、なに? と思ったらどうもこういうことがあったらしい。

懲罰決定について (Jリーグ)

名古屋グランパスのチーム内で新型コロナウイルスの感染者が多く出て、

「保健所からの指導」によりチームの活動停止となったとして、試合中止が決定されたが、

実際には保健所の指導ではなく、チームの自主的な判断を保健所が是認したに過ぎないということだったと。

虚偽の申告を行ったことは公式試合の日程遵守義務に反するので、罰金200万円の制裁が決定されたとのことである。

もっとも虚偽の申告がなくても、試合ができる人数が揃わないため試合中止という結論は変わらないというとのことである。

これが過去の新型コロナウイルス関係の他の制裁に比べて軽いのではないかとのことだったらしい。


それにしても、こういう場合、不戦敗じゃないんですねと。

トレンドになっていた「没収試合」は当該試合を開催せず、0-3で責任チームの負けとなることだから、不戦敗に相当する。

虚偽申告により試合を中止させたのだから没収試合にならないとおかしいという主張である。

実はJリーグの規約では人数が揃わない場合の中止について、

台風など不可抗力での中止と同様に代替試合を実施するのが原則で、

開催日程が決められない場合は人数が揃えられなかったチームが0-3で敗戦となる規定がある。

なお、不可抗力での中止に代替試合が実施できなかった場合は0-0の引き分けである。

だから、今回の場合、代替日程が設定できる以上は不戦敗になることはないと。

しかしながら代替日程が設定できなくなったら不戦敗である。


ギリギリでも人数が揃えられるならば公式試合は行わなければならないので、

人数のやりくりに苦労しながら試合を実施するチームもある中では、

虚偽申告で中止させたことは問題だということで、それなりの制裁を科す必要があったということらしい。

J1名古屋に罰金200万円 コロナ誤報告で川崎戦中止 (日本経済新聞)

そもそも開催できない試合を虚偽申告で中止させたことを処罰するのは難しいという見方もあった中では、厳しい制裁を与えたことが読み取れる。

この制裁に対して、軽すぎるというファンもいるが、Jリーグ内部としては重いかもという考えであるところにギャップがある。


ちなみに他のプロスポーツだと、

野球(NPB)は新型コロナウイルスの感染が原因の場合は、延期試合としている。

最終的にリーグ戦では143試合実施できればよいということで、場合によってはダブルヘッダーも考えているとのこと。

このあたりは雨天中止が頻繁で試合間隔を詰めやすい野球特有のところはある。

大相撲については原因によらず休場した以上は不戦敗である。

部屋単位で休場になることが多く、両者不戦敗というのも起きているよう。

ただ、番付への反映は欠場期間の分はあまり考慮していないようである。


これらに比べるとサッカー(Jリーグ)の対応は明確な部分と難しい部分がある。

明確なのは人数が揃えられる限りは日程通り行わないといけないとなっていて、

NPBの場合、ここまで明確に延期条件は定められていない。

それだけサッカーにおいて日程遵守は重い責務であるということが読み取れる。

ただ、延期か不戦敗かが日程が入るか否かで分かれるところは難しい。

延期試合の日程をねじ込むと不利な日程での試合を強いることになる。

チーム内の感染拡大で他チームを不利に追い込むことがおかしいのではないか。

という見方もあるようだが、原則は延期試合で、例外が不戦敗なんですよね。

そういうところも規約とファンの感覚のズレなのかもしれない。

Twitterの非公開はアテになるか

とある人のTwitterの裏アカウントらしきものが話題になっていて、

話によると、関係者の氏名が多数出てきていたり、本人らしき自撮り写真があったり、これはもう本物じゃないかと。

あくまでも噂ですけどね。


なぜ、この人がこういう裏アカウントを作っていたのかはよくわからない。

仕事に関わるセンシティブな情報もけっこう投稿されていたらしい。

投稿した時点では非公開情報もけっこうあったらしく、当時明るみになっていたら問題だったかもしれないが、今となっては……という情報である。

投稿していた当時は非公開アカウントだったのではないかと言われており、

個人的な防備録だったのか、あるいは非常に限られた人だけが見るアカウントだったのか。真相は不明である。

そんなアカウントが公開アカウントになっていたから見つかったのだが、

その原因はキャンペーンへの応募のためではないかと推測されている。

ReTweetすると抽選で○○プレゼントとか、そういうキャンペーンですね。


ここにはTwitterの難しさがいろいろ詰まっているんじゃないかと思う。

まず、Twitterは基本的に公開だが、非公開というのもある。

公開アカウントでブロックすることにはあまり意味が無いということを紹介したことがある。

ブロック大臣ってワクチン大臣か

一方の非公開アカウントは見られる人をコントロールできるわけだが、

非公開アカウントでも厳密に見られる人をコントロールしてない人はいる。

というのも、公開と非公開を行き来する人ってのがいて、

公開のときには承認不要でFollowできて、非公開になっても継続する。

もちろんブロックによりFollowerのコントロールはできるのだが。

おそらく、投稿が過度に拡散されないようにコントロールするようことを目的としているのだろう。


一方で厳密なコントロールにより、プライベートなコミュニケーションの用途で非公開アカウントを使う人というのもいる。

今回のケースでは非公開→公開の切り替え時に、一般に公開するにはふさわしくない投稿を残したまま公開してしまったことが問題とみられている。

そこはうっかりミスだが、年単位で過去の投稿には無関心だったのもわかるし、

キャンペーン応募のために公開アカウントにするのもまぁありそうな話である。

一般には非公開アカウントでも公開になりうることを想定に運用した方がよいが、

非公開アカウントやダイレクトメッセージでプライベートなコミュニケーションができるのもTwitterの魅力である。


そもそもキャンペーンへの応募に裏アカウントを使ったこともTwitterの難しさである。

実名(あるいはペンネーム)で運用しているアカウントでキャンペーンに応募するというのは支障があるケースもある。

異なるアカウントに投稿してしまうというミスもしばしばみられる。

Twitterは1人複数アカウントを運用することは問題とはされていない。

公的な情報発信を行うものと、プライベートのものを使い分けることは正しい使い方である。

しかし、これを正確に切り替えて使うというのは実はけっこう難しいのである。


SNSと一言で言うが、非常に広い意味の言葉だと思う。

実名あるいは現実世界の人間関係を基本とするものから、匿名でバーチャルな人間関係を基本とするもの。

公開の情報発信手段からプライベートなコミュニケーションまで幅がある。

  • 5ちゃんねる: 匿名、公開、話題ベース
  • Facebook: 実名主義、公開とプライベートのハイブリッド
  • LINE: プライベート、リアルな人間関係で多用

LINEのようなIM(インスタントメッセンジャー)がSNSというのはどうなのかな?

と思うんだけど、個人間コミュニケーション以外の要素もあるからそう言われるのだろう。


そんな中でTwitterってどうなのか?

公開が基本だと思うのだが、プライベートなコミュニケーションもけっこう活発で、

実名で使う人も、匿名で使う人も、その中間的な使われ方もけっこう見る。

基本的にはミニブログだが、Replyをツリーにすることで話題ベースで見ることもできる。

この多用さは面白くて、リアルな知り合い、バーチャルに親しい人、それ以外の人々、これらのコミュニケーションが平行して行われるわけである。

これはTwitterを活用するモチベーションにはなりやすい。


ただ、取扱が難しいのはここまで書いた通りである。

やはり基本的に非公開はアテにしない方がいいんじゃないかとか、

一方で公開すると何が飛んでくるかわからないというのもある。


冒頭の話は今となってはという話だし、プライベートな言動とか趣味とかそういうのが明るみになった程度で、そこまで深刻な話ではないような気がする。

それが問題なんじゃないかという話もありますがね。

センシティブな情報を書いていた割には……ということですね。

国際騎手招待のスペシャルルール

今週末、札幌競馬場で国際騎手招待競走「ワールドオールスタージョッキーズ」(WASJ)が行われていた。

JRAから7名、外国から6名、地方競馬から1名の騎手を集めて、騎乗成績を競う。

JRAは今年の勝利数の多い騎手を中心に選ぶが、ダービー優勝騎手は必ず選ばれたり、

3年ぶりの開催ということで、2020年の牡馬・牝馬それぞれの三冠ジョッキーが選出されたり、

変わり種としては黄綬褒章を受章した柴田騎手が選出されたりという具合。

またチーム戦でもあり、JRA選抜 vs WAS選抜(外国・地方)という側面もある。

チーム戦にしては大雑把すぎる気がするけど。


騎手招待競走はJRAではWASJとヤングジョッキーシリーズ(JRA・地方の若手騎手で競う)がある。

日本から外国の騎手招待競走に参加するものもおり、イギリスのシャーガーカップには例年日本から1名以上行っている。

基本的なルールは抽選で決まった馬に騎乗して、複数レースでの結果を得点化して、順位付けをするという点で共通している。

やはり競馬というのは騎手の腕だけでどうにもならないところがあり、

強い馬を引けるかどうかというくじ運でだいたい決まってしまうのでは困る。


そこでJRAではWASJの実施にあたり、いろいろな特別ルールを定めている。

2022ワールドオールスタージョッキーズについて(pdf)(JRA)

これは主に馬主・調教師向けの資料なんだがな。

まず、ある程度実力が揃った馬同士で競う条件戦で行われる。

WASJでは2勝クラスが3レース、3勝クラスが1レースで行われる。

出走馬は特別登録した馬の中から、当該クラス14頭を抽選で選ぶ。

通常の1勝クラス・2勝クラスは前走成績やレース間隔により出走馬が決まる部分があるのだが、そういうのはなく単純に抽選である。

また、補欠馬も順位付けされ、選定馬が病気などで出走できなくなったときは補欠上位の馬が出ることになる。


その上でJRAは抽選で選んだ14頭をA~Dの4段階でグループ分けをする。

というのも、このWASJはなんとしても14頭揃えるために、手当が手厚くなっており、出走馬も完全抽選なので、クラス下位の馬にとっては魅力的である。

しかし、それは出走馬の実力差が大きくなりやすいということでもある。

出走馬の実力差を埋める方法にはハンデ戦という方法もあるが、後で書く事情により不適である。

そこで、JRAでは出走馬をグループ分けして、実力の高い順にA・B・C・Dと分ける。

そして、各騎手は4レースでA・B・C・Dに1回ずつ騎乗するようにする。

このようにしてくじ運の影響を小さくするような仕掛けがあるのだという。


WASJの手当は非常に手厚いものになっている。

まず、6着以下に支払われる出走奨励金(名前は違うが賞金とほぼ同義)は、

通常の条件戦は9着までの支払いだが、WASJでは10着以下にも1着賞金2%が一律支払われる。

さらに特別出走奨励金により賞金・出走奨励金の1/2相当の額が上乗せして支給される。

3勝クラスの賞金に特別出走奨励金を足すと1着2760万円と、オープンクラスでもこれより安いレースは多数ある。

また騎手に支払われる騎乗手当も50万円で、4レース騎乗すると200万円の参加賞になる。

もちろん各レースの賞金・出走奨励金の5%は騎手の取り分である。

これに加えてWASJの上位3位に入れば1位300万円~3位100万円の賞金が与えられる。


最後に負担重量、これも特別ルールである。

本シリーズの各競走の負担重量は,4歳以上58kg,3歳56kg,牝馬2kg減とする。なお,南半球産馬の負担重量の減量は適用しない。

日本では4歳以上牡馬の負担重量の基本は57kgなのだが、58kgとなっている。

また、3歳馬が4歳以上馬に混ざってレースに出る場合は、負担重量が軽減されるが、この時期は本来は3kg軽減であるが、ここでは2kg軽減である。

なぜこんなことになっているのかというと、騎手の体重を考慮してでしょう。

抽選で選ばれた馬が3歳牝馬でも54kgなら騎乗できるでしょうという。


さっきハンデ戦が不適と書いたのもここに理由がある。

日本のハンデ戦はトップハンデが58kg程度であることが多い。

最大でも59.5kgと言われているが59kg以上は稀である。

逆にトップハンデが57kgということもけっこうある。

ということは必然的に軽い方は50kgとかなることもあって、そうすると乗れるJRA所属騎手でもだいぶ限られる。

だから馬の実力差を埋めるのにハンデ戦を適用することは難しいと。


結果的にはJRA選抜が各レースで上位のほとんどを占めるような状態で、

個人表彰対象の1~3位は全員JRA勢、優勝は武騎手だった。

トップ騎手とあって、WASJの前身のワールドスーパージョッキーズシリーズ(WSJS)から頻繁に参加していて、2位は多かったらしいが、

優勝となると1992年以来とのことだった。むしろ30年ぶりに勝てることがすごいが。

実質的な国立西洋美術館ハイライト

今日は東京・上野公園の国立西洋美術館に出かけていた。

長らく改修工事を行っていたが、今年4月に再開した。

そういえばそうか。久しぶりに観に行くかと思い立ったのが今週。

そしたら「自然と人のダイアローグ」という特別展があるらしい。

ちょっと気になったのでこちらを見て、そのままコレクション展も見ようと。


ところで国立西洋美術館本館は重要文化財に登録され、世界文化遺産「ル・コルビュジエの建築作品」の構成資産の1つとなっている。

この改修工事はその文化財の修復活動という一面もあったらしい。

国立西洋美術館/【館長メッセージ】2022年4月9日 国立西洋美術館リニューアルオープン (YouTube)

この改修工事の主なところは地下の企画展示室の改修だという。

漏水が起きてたり、空調の機能劣化などの問題があったみたいですね。

その企画展示室の真上である前庭は、建設当初からいろいろ手が入っており、世界遺産登録の中でもケチが付けられた事項だったらしい。

それならばと当初の姿に戻す工事が行われたというわけらしい。

そんな言うほどですかねという話も思いつつ、確かに復原後の姿は以前とは受ける印象は異なり、これはこれでいいのかなと。


さて、特別展「自然と人のダイアローグ」の印象だが、

他館から借りてきた作品もあるとはいえ、国立西洋美術館ハイライトという感じの内容だった。

ヨーロッパの美術というのもいろいろな背景があるが、そんな中では自然を描いた作品というのは、普遍的で日本人好みなんだなと思わせる内容だった。

それは国立西洋美術館のコレクションでも人気の高いクロード・モネの作品とかね。

そういう厳選されたコレクションと同じようなテーマを持つ作品をフォルクヴァング美術館(ドイツ)他から借り入れて並べているということで、

これは「国立西洋美術館ハイライト」だよねとはそういうこと。


国立西洋美術館を知る上でもう1つ重要なのが、川崎造船所(現在の川崎重工)の社長だった松方幸次郎が美術館を作ろうと集めていた「松方コレクション」が背景にあるということ。

実はこの特別展の中でも、松方氏の「共楽美術館」の構想を表す絵が展示されていた。

ただ、これは会社の経営難などもあり、コレクションの一部は逸散、

フランスにあった美術品は敵国人資産としてフランス政府に差し押さえられる始末。

これが日本に寄贈という形で戻ってくることになったのだが、

返還には特別な美術館が必要と言われ、兵庫県や京都に作る案もあったが、東京じゃないとダメだと言われて、結果的にできたのが国立西洋美術館である。

(ちなみにこれは京都国立近代美術館の前史でもある :美術館の歴史(京都国立近代美術館))

なお、逸散したコレクションの一部は「旧松方コレクション」として寄贈・寄託・購入などで再集結している。


コレクション展を入って早々「Collection in FOCUS」という形で紹介されていた、この紹介文を見て「そうだったのか!」と驚いたのだけど。

――当館のコレクションの基礎となった計375点です。これらはフランスの美術だけに限定されていたわけではありませんが、すべてが19世紀以降、いわゆる「近代」の作品群でした。それゆえ(略)「近代美術」が展示される空間になっていました。

ところが、開館から9年が経った1968年(昭和43)年度、(略)当館のコレクション形成をめぐる方針転換でした。これによって国立西洋美術館は、より古く遠い時代のヨーロッパ各地の芸術、つまり19世紀以前のオールド・マスターの作品も、あらたに本格的にくわえてゆくことになったのです。そして以後、コレクションが成長した昨今では当館の本館2階は基本的に、多様なオールド・マスターたちの作品群だけが展示される舞台となっています。

言われて見れば、コレクション展の序盤にあたるところは相当時代が古い作品で、しかも美術館にやってきた時期は比較的新しいものが多い。

このあたりは西洋美術の専門館という形で誕生したがゆえのことだったかもしれない。

19世紀あるいはそれ以後のヨーロッパの美術、あるいは日本の美術というのも、オールド・マスターの影響を何らか受けている部分があるだろうと。

結果的にはこれが国立西洋美術館の特徴にもなったわけである。なるほどなと。


というわけで珍しくもヨーロッパの美術にがっつり触れたのだった。

ところで国立西洋美術館の企画展示室、初めて入ったんだけど、これはどうなんだろ? と思った箇所が2箇所合った。

1つが途中で階段を下がって入って、上がって出る部屋ですね。

おそらくは背の高い展示物を展示できるように考えられたものだと思う。

ただ、それが展示室の途中に折り込まれてるんですよね。果たして階段使えない人はどうするのか? どうにも気になる。

もう1つが展示室の最後がエスカレータであること。

展示室の入口と出口がほぼ同位置になっている博物館が多いが、ここは全然違うところに出ると。それで最後は逆走できないようかエスカレータだと。

一応、車いす対応のエスカレータみたいだが、ちょっとどうなんだろと。


帰ってきて調べたところ、地下3階はエレベータで行く裏ルートが存在するようだ。

国立西洋美術館 企画展示室 車椅子観覧ガイド バリアフリー情報 (車いすおでかけガイド)

このような都合もあるため、車いすの場合は最後のエスカレータは使わず、

展示室を逆走してエレベータから裏ルートで地下3階に行き、これを見てエレベータで退場となることが多いようだ。

それにしてもどうにも現代的ではない作りである。

今回の改修工事が入れられるところでもなかったんだろうけどね。

感染者が多ければ離職者も増える

世界各国・各地域の新型コロナウイルスの感染者数の報告で、

日本が世界一多い状態がしばらく続いているが、実際に世界一多いかというと怪しい。

そもそも、集計自体がまともに行われなくなった地域が多いからという。

もっとも日本だって症状があっても医療機関の逼迫で診断に至らないケースもあるという。

以前、新型コロナウイルスの感染者への対応は極めて階層化されていると紹介した。

軽症者なら受診するなというが

酸素吸入を要する中等症IIでも入院が難しい状態だから、急変に備えることは難しい。

宿泊療養は中和抗体薬の投与や重症化リスクの高い人に割りあてたりしていると。


そんな中でちょっと気になるニュースがあった。

コロナ後遺症で最大400万人が働けず 米調査結果 (CNN)

新型コロナウイルスの症状はかぜの様な症状であったり、肺炎を起こしたり、というのは知られている。

しかし、一部の感染者でみられる症状に「Long COVID」と言われるものがある。

倦怠感・呼吸困難・筋力低下・集中力低下・睡眠障害などが続くことを言う。

発症直後の症状は軽症・無症状でも後にこのような症状が続くこともあるという。

症状の程度もいろいろで、期間が経って緩和されていく場合もある。

ただ、日常生活に支障を来す状態が長く続く人も一定いるということである。

これが爆発的な感染拡大が長く続いたアメリカには相当いるようで、

労働年齢(18〜65歳)にある米国人約1600万人が現在コロナ後遺症を患っている。(略)

200万〜400万人がコロナ後遺症のために働くことができていないと同研究所は推定する。この範囲の中間値である300万人のフルタイム労働者は、米国の労働力全体の1.8%を占めるという。

労働者の60人に1人ぐらいはLong COVIDを原因として離職していると推定と読んでいいのかな。


このLong COVIDについて、なかなか明確な治療法がないのが課題で、

ある程度、症状が緩和すれば仕事などの社会活動との折りあいも付くが、

やはり回復のメドが立たないと、それは離職せざるを得ないわけである。

明確な統計データはないのだが、日本でも一定いることは確かである。

ただ、感染者数が多ければ、それだけ発生するわけだし、

あとLong COVIDを防ぐという観点でもワクチン接種が効果的であって、

ワクチン普及前の感染者数や、あるいはワクチンの普及率なんかを考えると、

アメリカがLong COVIDによる影響が大きいことは納得できる面もある。


単純な感染者数の多さだけならばまだよいのだが、

死者数で見ても最近1ヶ月で日本全国で6000人以上亡くなっている。

感染者の死亡を計上しているので、死因が他にあるケースを含むとはいえ、けっこうな人数である。

あと、新型コロナウイルスとは無関係に医療機関の逼迫で死亡に至ったケースもあるとみられているが、これこそわからない話である。

そこにさらにLong COVIDはその名前の通り長く続くわけである。

ワクチンが普及したとは言え、感染者数が増えればそれにつれて増えるでしょう。


全くもって軽視できる要素がないのが実情である。

オミクロン株対応ワクチンは有用だと思うが、それで制圧できるとは思わない。

特効薬への期待もあるが、これも全く決め手にかけるのが実情ではないか。

Long COVIDへの効果的な治療もあればよいが、未だに打開できていないことから難しいだろう。

結局は新型コロナウイルスにかからないようにするしかないと。

まぁそれが容易ではないから困るんだけど。

アソビストアではパンフレットと動画がセット

帰宅したら宅配ボックスに荷物が2つ届いていて、

1つは通販で注文していた財布で、もう1つはアイドルマスターのライブパンフレットだった。

アソビストアで注文してたんですね。


このライブというのは、再来週の土日に名古屋で行われる「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS LIKE4LIVE #cg_ootd」である。

これ、特に複数会場あるわけではなく、名古屋で2日間やって終わりというもの。

5thライブツアーのときは名古屋飛ばしなんて言われたものだが、

6thライブは西武ドーム→ナゴヤドームだったから、どっちかというと名古屋が主会場という感じだったし、以後は基本的に扱いが良い。

そもそも5thライブツアーで名古屋飛ばしになった理由は、日本ガイシホールが当時改修工事のため休館中だったという事情が大きかったとみられる。

そして、今回の会場は日本ガイシホールである。

日曜の公演に参加予定だが、ほぼ寄り道なしで往復になりそう。まだ往路は手配してないんだけどね。


バンダイナムコエンターテインメントは、アソビストアでのグッズ販売を充実させており、

プレミアム会員なので500円引きクーポンが配給されるので、送料660円を打ち消せるほどではないにしても、そこまで抵抗感はない。

その上で売り切れの心配もなく買えますからね。

だから最近はそんなにグッズ販売のために早く会場に行く人は減ってるんじゃない?


まぁそれでパンフレットを開いてペラペラ読んでいたのだが、

アソビストア購入者に限って購入したアカウントで動画が見られると記載されていた。

そういえばそうでしたね。確かに購入したアカウントでログインしてアクセスするとみられた。内容はメイキング動画ですかね?

気になって確認したのだが、パンフレット自体は会場でも販売するらしい。

しかし、アソビストアのアカウントとは紐付かないので動画は見られない。

それで価格は同じだから、アソビストア購入には明確はメリットがあったんですね。


ただ、永遠に見られるわけでは無い。視聴期限は今年12月末まで。

当然のことながら購入できる期間も限られる。

実は今は受注停止状態になっている。(おそらくイベント直後に再度販売が行われる)

この点では難しい面もある。


前に中古で買った本にQRコードが書いてあって、そこにアクセスすると動画が見れるというので、

ちょっと前の本なのでまだリンク先生きてるかな? と思ったら生きてた。

正規商流で買ったわけでは無いがQRコードだけで見られるのである。

一般的な出版社は本として流通できるものしか扱えないから、

動画を付けるとなればディスクを付けるか、URLを貼るか、認証コードを封入するのもあるが。

URLを貼る方法以外はかなり手間がかかる方法なので一般に出来るものでもない。

しかし、アソビストアは直販前提だからこれでいいんですよね。

ということを改めて思ったと。実は今までもこういうのは体験してたんだけどね。

元は御物だけど

えっ? そんなことして大丈夫なの? と思ったのだけど。

皇居内の三の丸尚蔵館、収蔵品管理を宮内庁から文化庁へ移管 (朝日新聞デジタル)

皇居内にある宮内庁の展示施設、三の丸尚蔵館、現在改築中だが、

所蔵品は文化庁へ移管して国立文化財機構に貸出、建物は国立文化財機構へ移管、

実質的には三の丸尚蔵館が国立博物館のネットワークに組み込まれることになる。


このようなことを行う背景には三の丸尚蔵館の所蔵品の活用を進めるためには、

他の博物館への貸出なども考えたが、国立文化財機構にはそのような実績があると。

宮内庁で文化財の保存・活用について対応し続けるのは限界があり、

国の機関の中では専門性が高い、国立文化財機構に委ねようということである。

従来は無料公開だったが、移管後は国立博物館と同様に観覧料を取るかもしれないが、このあたりは今後の検討事項らしい。

国立文化財機構としては展示にかかる費用程度は賄えるように観覧料を設定し直したので、この施設も同じ考えになるのではないか。


しかし三の丸尚蔵館の所蔵品を宮内庁から文化庁に移管してよいのか。

だって、あの施設にあるのって皇室ゆかりのものでしょ? と。

そこで調べたところ、三の丸尚蔵館の所蔵品というのは、相続税の物納や国への寄贈という形で皇族の手を離れたものらしい。

重要文化財などは納税や買取により国の所有になることがある。

このような文化財は文化庁所有で国立博物館・国立美術館などに無償貸与されている。

(かつては文化庁から博物館・美術館に管理換されていたが、法人化後は貸与での対応になっているそう)


三の丸尚蔵館ができることになったきっかけは1989年の昭和天皇崩御にある。

天皇が所有している「御物」を皇族が相続すると相続税が発生する。

このため御物をすべて相続することはできず、多くは相続税の物納や国への寄贈という形で国にもたらされることになった。

そうすると国としてはこれをどうやって保存・活用していくかという問題がある。

そこで宮内庁が三の丸尚蔵館という展示施設を作り、1993年に開館した。

納税・寄贈された美術品は宮内庁の業務として保存・活用をすることになったというわけである。

その後、他の皇族からの納税・寄贈についても三の丸尚蔵館の所蔵となっている。


実は皇室関係の財産の取扱というのはけっこう複雑である。

そもそも今回の移管先の国立文化財機構もそのルーツは帝室博物館にあり、その帝室博物館の所蔵品はかつては「御物」とされていた。

しかし1947年に帝室博物館は文部省(当時)に移管され、国立博物館と改名、以後は御物として扱われることはなくなっている。

法隆寺が明治時代に献納した(実質的には寺の困窮から売りつけた)宝物もほとんどは国立博物館に移管されている。

法隆寺はあくまでも皇室に献納したもので、御物でなくなるなら寺に返還せよと申し出たそうだが、大半は現在も東京国立博物館所蔵のままである。


皇室関係の財産は大きく3つに分けられるそう。

  • 皇室用財産: 皇居・陵墓・正倉院(建物・宝物)など → 国の所有物
  • 御物(御由緒物): 三種の神器など → 皇族所有だが相続税の課税対象外
  • 御物(その他): 購入あるいは献納された美術品 → 相続税の課税対象

皇室用財産は宮内庁の業務で使うものという位置づけなんでしょうね。

皇族の住居や埋葬に関わるものは新規なら宮内庁が調達しますからね。

正倉院については長年にわたり東大寺の管理下にあり、明治政府により「御物」と位置づけられることになったが、どちらかというと後付けで、

現在も宮内庁管理ではあるが、公的な性質が強いという判断だったのではないか。


残る御物も皇位とともに継承されなければならない「御由緒物」は相続税の課税対象だから、基本的に皇族の手を離れることはない。

(ちなみに2019年の皇位継承は存命のうちに行われたので相続ではなく贈与なので、御由緒物は贈与税の課税対象外であることが特例法で規定されたそう)

それでも残るものはプライベートな所有物ということで相続税が課税される。

プライベートといっても皇族という立場で献納されたものもあるわけだが。

多額の財産を持つ人の没後に発生する相続税というのは相当な金額で、3代も相続すれば財産はすっかりなくなるというのが定説である。

昭和天皇崩御後に御物の多くが納税・寄贈されたのもそのようなことを考慮してのことだろう。


とはいえ、国に納税・寄贈されたところで、従来は三の丸尚蔵館が宮内庁の施設だったから、

さっきの区分で言えば、御物(その他)→皇室用財産 という程度の変更だった。

これが文化庁への移管で完全に皇室を離れることとなる。

とはいえ、本来は当初から文化庁所有になるべきものだったんですよね。

でも、大量の御物がいきなり文化庁の所有になっても体制を整えるのは大変なので、

宮内庁で三の丸尚蔵館を作り、そこで保存・活用体制を整えることに理由はあったんですよね。


というわけでここに至るまでにはいろいろ複雑な事情があったと。

近年になって三の丸尚蔵館の所蔵品の一部が重要文化財(一部は国宝)に指定された。

従来は皇室関係の所有物というのは重要文化財に指定されないのが通例だった。

世界遺産登録のために国宝になった正倉院正倉みたいな例外はあったけど。

(百舌鳥・古市古墳群の世界遺産登録のときは宮内庁の管理体制を根拠にして、史跡指定せずに押し切っているが)

これは文化庁移管も見据えた取り組みだったのかもしれない。


移管後は三の丸尚蔵館は国立博物館のネットワークに組み込まれるものと思われるが、宮内庁としては下記のことを要望している。

(収蔵品の)宮殿等での使用については、宮内庁、文化庁、(独)国立文化財機構で調整し、適切に対応する。

館の管理・運営にあたっては、(独)国立文化財機構は、皇居としての品位の保持に留意するとともに、皇居東御苑の管理や皇居の警備に関し、宮内庁等と十分に調整を行う。

(三の丸尚蔵館の今後の管理・運営の基本的在り方 (pdf) (宮内庁))

所蔵品は国立文化財機構で管理するが、必要時には宮内庁で使うこともあること。

あくまでも皇居内の施設なので、それなりの使い方をしなさいと書かれている。

この点では従来からの国立博物館とは異なる扱いになりそうだ。

nanacoじゃないと意味が無いわけでもないが

今日は昼休みに用事があって、職場を抜け出してセブンイレブンに行っていた。

そのついでに昼食を買って帰るかと陳列棚を見ていたら、

「エシカルプロジェクト」のシールが貼られた弁当があって、

これにするかとnanacoで購入した。


まぁこれはご存じの方も多いだろうけど。

セブンイレブンで消費期限の迫った商品に貼られるシールで、

nanacoで決済すると5%分のnanacoポイントが付与されるというもの。

nanacoポイントでの還元はセブンイレブン社内の制度的な問題もあるらしい。

あくまでも値引き販売ではないという理屈もあるようだ。


ただ、前々から思っていることだけど、nanaco決済に限るというのが今のセブンイレブンにマッチしているのかという話である。

セブンイレブンアプリとPayPay

今となっては7Pay騒動というしかないが、あのときにnanacoのポイント付与率を下げて、その分をセブンマイルに転換するということが行われた。

7Payはなくなったが、セブンイレブンアプリにPayPayがビルトインされるようになった。

一応はこのnanacoポイント付与率の見直しと、セブンマイルの制度変更というのは、

nanacoに限らず、多様な決済手段が使われるようになったことを意識したそうだが。

だというのに、エシカルプロジェクトは……とこのときにも書いてますね。


ただ、セブンイレブンアプリ側でもエシカルプロジェクトの商品を買った場合の特典はあり、

10個買うと指定の商品(ペットボトルの茶)が無料で引き換えられるとなっている。

それはそれでハードル高いと思うのだが。

nanaco払いでないとなんの恩恵もないというところに反論するためのアリバイ作りか?


でも、とにかくnanacoで払えばいいんですよ。

nanaco残高も持ちそうだしと、セブンイレブンでは久々にnanacoで支払い。

イトーヨーカドーでもラクマの売上金消化で楽天ペイ、あるいはメルカリの売上金消化でメルペイを使うことが続いたから、nanaco払い自体が久しぶり。

レシートを見ると5%相当のnanacoポイントが付与されてた。

気休め程度だが、すぐ食べるものだしそれはそれで。


この問題にセブンイレブンが気づいていないわけはないと思うのだが、

かつてはリピーターならnanacoを使うだろうという前提を見直すべきなのかも。

nanacoボーナスポイントも同じ問題はあるんですよね。対象商品は少ない印象だが。

エシカルプロジェクトは買ってもらわないと食品ロス削減にならないわけで、

やはりそのためには間口を広く取った方がいいと思うんですがね。

そのためにはアプリ会員も明確にターゲットになる仕組みが必要なんじゃないかなぁと。


他のチェーンだと値引き販売も見るんですけどね。

特にローソンですかね。近所のローソンはパンによく値引きシール貼ってますね。

定価で売れるに越したことはないけど、やはり思ったようにいかないところもあり。

新しいDellはケンジントンロックではない

職場でノートPCを前に首をかしげている人がいて、

話を聞くと、施錠用のセキュリティロックがささらないと言う。

確かに形状が今まで見たものと違って正方形に近くて全体的にやや小さい。


業務用のPCなど情報機器には機器をロックするための穴が付いていることがあって、

呼び名は一定していないが、呼び名の1つが「ケンジントンロック」である。

これはKensington社のロックが装着できるという意味である。

もっともKensington社以外でも同じ規格の製品は作っているし、

Kensington社は錠にKと入れたマークを穴に付すことを推奨していると言うが、

機器メーカーとしても特定のメーカー名を付けるのはなかなか気が引けるのか、

例えば、僕がプライベートで持っているDynabookだと「セキュリティ・ロックスロット」という名称で、チェーンのマークが描いてある。


で、一般的なケンジントンロックは7mm×3mmの横長の穴が開いている。

ここにT字状の金具を差し込んで、中で90度回転させる。

この90度回転させた状態から動かないように何らかの方法でロックする。

このロックしたワイヤーを机などに取り付け、容易に動かせないようにすることで、

情報機器の盗難を困難にするという仕組みである。

T字に金具を回転させるという部分がケンジントンロックのキーポイントと思われる。


では、今回の正方形に近い穴は何なのか。

このPCはDell製なのだが「くさび形ロックスロット」と書かれている。

日本のメーカーはこれに適合する製品を「Noble Wedge」として販売している。

サイズは4.5mm×3.2mm、確かにそんなサイズである。

しかし、Wedgeは くさび という意味だからいいとして、Nobleはどこから出てきた?


そこでDell社の英語版Webサイトを見てみた。

まず、英語版の説明書にはこの穴を何と書いてあるかというと「wedge-shaped lock slot」と書いてある。

日本語はこれの直訳だったんですね。

Dell社のアメリカの通販サイトでこれに適合したアクセサリが販売されているのだが、

その筆頭が「Noble TZ18T Low Profile Wedge Lock」というものだった。

Nobleというのは「Noble Locks」というブランド名から来ているようだ。

TZ18T Low Profile Wedge Lock for Dell Consumer and Gaming Laptops (Noble Locks)

折りたたんだ状態で穴に挿入して、広げた状態でロックすると、差し込んだ部分が くさび状になって抜けませんよという意味らしい。

日本のメーカーのいう「Noble Wedge」というのはNoble Lock社のくさび形ロックという意味だったんですね。


ということはNoble Wedgeはケンジントンロックではないということである。

確かにKensington社のWebサイトにある「Kensingtonセキュリティスロットの仕様」で言及があるのは下記の3方式である。

  • Kensingtonセキュリティスロット(7mm×3mm)
    • 代表製品: MicroSaver 2.0
  • Kensingtonナノセキュリティスロット(6mm×2.5mm)
    • 代表製品: Slim NanoSaver 2.0
  • Kensington クリックセーフ セキュリティアンカー (円形の突起で固定)
    • 代表製品: ClickSafe 2.0

ナノセキュリティスロットはhpなどの一部製品で採用例があるとのこと。

小さくなっただけでT字状の金具を回転させる仕組みは同じである。

NanoSaverは穴のサイズは違うが、MicroSaverはおそらくロック装置がコンパクトになったという意味で、穴のサイズは標準のものと同じなので紛らわしい。


もっともKensington社も「ウェッジスロット対応」と書いた製品を出しており、

これはNoble Wedgeの互換品である。

さらに言えば、ClickSafeというのは、もともと機器に円形の突起があるというより、

機器の穴にアタッチメントを付けるというのが一般的な使い方で、

「くさび形スロット用」に取り付けるタイプが筆頭に出てくる。

それに続いて7mm×3mmのセキュリティスロット、あるいはナノセキュリティスロットに対応したタイプもあるんだけど。

というわけで、結局はこっちもKensington社製を使うことはけっこうあると。


でも日本で買うなら、日本メーカーの互換品を買うことの方が多いかな。

特に断りが無ければ7mm×3mmのタイプ、違う場合は「Noble Wedge」「Nano Saver」と言及されている。

これらを切り替え可能なタイプもあるようだ。

実は僕は職場の備品を管理するチームに所属していて、過去に標準タイプのケンジントンロックに対応したワイヤーを同チームで購入したことがあったようである。

すでに標準タイプのワイヤーが多数あって、当面はDellの同型機の導入が続くとすれば、

これはシンプルにNoble Wedge専用タイプがあればよいと判断。

上司に相談すると「あれ他の種類もあったの」と驚いたようだったが、

必要性は理解してくれて、金額もそこまで高くないのでとりあえず数個買おうということになった。


ところで、冒頭で書いた人は、この先に夜通し連続運転をするのにPCを施錠したいという話だった。

ノートPCを放置するのに施錠が必要というのはなるほどという感じもするが、

実は社内の規定上は、職場のあるフロア内であれば施錠は必須ではない。

というか、もし施錠が必須だとすると、デスクトップPCも施錠しなければならないことになる。

今どきの業務用デスクトップPCにもケンジントンロックの穴が開いているので、やっているPCは見たことが無い。

どうして施錠が必須ではないのかというと、セキュリティシステムで部外者の立入ができないようになっているからである。


とはいえ、ノートPCを長時間放置するときはロックをするのが通常のようである。

やはり感覚的に危ないんじゃないかという考えがあるからかもしれない。

規定上必須ではないとはいえ、施錠して悪いことはない。

でも本当の意味で施錠が必須なのは、フロア外・社外に放置するときか。