ちょっとかわいそうだなと思ったニュースなんですが。
ANA国際線、羽田に集約へ…大型機売却30機検討 (読売新聞)
三菱重工、国産ジェット旅客機の量産化を凍結…早期の収益困難と判断 (読売新聞)
後者はいろいろ報じられたけど、航空会社が飛行機を買うには現金がいるが、今は現金がないということで、
むしろ本格的な量産に着手する前に止められたのはよかったんじゃないかという話もある。
お蔵入りになる可能性もあるが、この先につなげられる可能性を残すものかもしれない。
では、誰にとってかわいそうなのか、それはANAである。
最初のニュースで報じられたようにANAは大型機の数を減らすと言っている。
すなわち、飛行機を小型化していく方向であろうと思う。
ところが困ったことがあって、ANAの小型機は老朽化に対して、新型機が補充できていない状況がある。
そういえばこんな話もありましたね。
そのANAが期待していた小型機こそが三菱スペースジェットM90だったのだが、これが来そうにないということで、
機材の小型化というところに暗雲が立ちこめているということである。
というかM90が来ないという問題は今に始まったことではなく、
すでにつなぎとしてDHC-8-Q400というプロペラ機を購入している。
おそらく今後もその方向で行くのかも知れないが、今どきQ400なのかという話はある。
というか、もともと老朽化したQ400をM90で置き換えようという魂胆もあったはずなのに、
Q400をQ400で置き換えるということも考えないといけないのかという話である。ここら辺どうなんでしょうね。
一応、DHC-8シリーズでは、Q400だけは継続して生産されているので買えるはずだけど。
もう1つ、ANAが購入予定だった小型機、ボーイング737MAXの納入も遅れている。
M90の納入遅延に比べれば待てるかも知れないが、M90が来ない分、737-700/800やA320も多く使うことになろうわけで、
多く飛ばせばそれだけ早く置き換えないといけませんからね。
M90が来れば737MAXは多少待てたかもしれないし、737MAXが来ればM90は多少待てたかも知れないが、
どっちも来ないって過酷な話だなと思う。
ただし、よい面もあって、次には大型機の置き換えを考えないといけないところだったが、
次に購入する予定だったボーイング777Xのスケジュールも遅れている。こっちもさらに遅れるのは必至だろう。
なので、大型機を減らすというのは、老朽化した大型機の代替機を当面買わないとも言い換えられる。
トラブルで一時運航できないこともあったが、それを乗り越えて国内外を飛び回っている ボーイング787 が、
現在、大型機が活躍している路線に多く入り込んでいくということで、それはそれでやりやすいんじゃないだろうか。
他の機材が買えない分、ボーイング787は順調に買うというのが答えだと思う。
実は、これがANAの小型機不足の打開策ではないかなんて指摘があったんだけど。
ANA、構造改革でLCC強化 全日空のマイルで利用可能に=関係筋 (ロイター)
ANA自身が、老朽化した小型機をこき使って、そう儲からない路線を飛ばし続けるよりは、
Peach(A320を運用)をANA路線網に取り込めば、ANA自身はより儲かる路線に注力することができる。
こうして、航空需要の減退と小型機の老朽化を乗りきろうという作戦ではないかということである。
なるほど、これは一理ある話だ。
ただし、ANAの利用者がこれを受け入れるかは難しい。
よりによって「空飛ぶ電車」なんてフルサービスキャリアとの差別化を意識してきたPeachである。
JALやカンタス航空がJetstarを使うのと同じように考えてよいわけではないんじゃないか。
(JALとカンタスは、Jetstarの関西~ケアンズ線や、国際線接続便として成田・関空発着の日本国内線をコードシェアしている)
どういう使い方を考えているのかわからないのでなんとも言えないが、
JALとJetstarができているから、ANAとPeachができると考えてはいけない話だと思う。
これに対してJALグループの機材調達は絶妙だったねと言われる。
まず、三菱スペースジェットが来ないことについては、すでに必要数のエンブラエル E-Jetシリーズを持っているので問題ない。
ボーイング737については、JTAは737-800ですでに置き換えが完了しているので、737MAXの納入遅延は問題ない。
JALにとっての大型機の代替先である、A350 XWBはすでに納入が開始されている。
これはJALにとっては大きな挑戦だったのだが、国内線で導入して練度を高めてから、
国際線に導入するという作戦で、すでに国内線では幹線の主力になっており、国際線はあと数年先のこと。
A350 XWBはデカイ中型機という感じで、置き換え元のボーイング777より席数が少し減ることは覚悟しての採用である。
今になってANAは大型機を減らそうかなと言ってるけど、JALはもうすでに減らす方向で決断してたんですね。
1便で運べる人数は減っても運航コストが安いので、Point-to-Pointの路線網にも合っている。
最初のニュースにも書かれているけど、ANA国際線を羽田空港発着に集約していくというのは、
ANAが成田空港発着の国際線を充実させるのは、伸び続けるアジア各地~アメリカの航空需要を取り込むためだと言っていたが、
こういう状況では、アジア各地~アメリカの航空需要を集約して大型機で効率よく輸送するというのは厳しい。
こういうときに頼りになる日本発着の需要は、もともと羽田空港発着を中心に考えていたので、理屈には合ってるんだよね。
なお、関東圏以外の空港に発着するANA国際線はもともと少なく、ユニークな路線は皆無なので、こちらの影響はあまりないと思う。
関西・中部発着の中国路線がいくつかあるけど、中国の航空会社の路線が多く乗り入れてるので、そちらでどうぞと。
もちろんANAがここで苦しいのは、風呂敷を広げすぎたせいという面はあるんだけど、
正直、これほどまでに機材に苦しめられるのは運が悪すぎるとしか言えない。
確かに新機材に果敢に飛びついて痛い目を見ているという面はあるのだけど、買う機材全部で外れを引いているレベルである。
M90が来なければQ400に頼るしかないかと書いたけど、そのQ400もいろいろな不具合に当初は苦しめられたという。
さすがにここまでくるとANAはかわいそうだなと思っちゃうよね。
あと、M90が来ないせいで、DHC-8シリーズから手を引けなくなっちゃったのでは?
という指摘があったのが、長崎の航空会社、オリエンタルエアブリッジ(ORC)である。
ORCはDHC-8-Q200を使っていたが老朽化が問題となっており、中古機を購入して当分はしのぐ予定という。
問題はQ200という飛行機はもう買えないということ。なので何らか移行先の飛行機を考えなければならない。
天草エアライン・日本エアコミューター・北海道エアシステムの3社が導入したATR42が本命だろうと言われて久しいが、
乗員の訓練や重整備の委託先なんかを考えるとなかなか踏ん切りがつかず、中古機に手を出してまで時間稼ぎをしているのだが、
どうしてそんなどん詰まりの選択肢をとるのかというと、ORCはQ200が足りない分、ANAからQ400を借りてるんですよね。
Q400は滑走路が短い壱岐空港発着の便には使えないが、操縦資格はQ200と共通なので、乗員の都合という点ではよい。
ORCはANAからQ400が借りられなくなれば、そこですっぱりDHC-8シリーズから手を引くしかないが、
そこまではQ200と借り物のQ400の2本立てで行く方が負担が少ない。確かにそれはその通りである。
でも、本当にそれで長崎の離島への足は続くんですか?