日曜深夜、フランスの凱旋門賞を観戦していた。
日本でも馬券を発売するということで、日本式に◎○▲△なんて予想印を付けて紹介してたり、
やはり日本競馬の予想と同じようにはいかないわけだけど、競馬新聞もいろいろ工夫しながら情報提供しているようだ。
凱旋門賞は同日9レースあるうちの4レース、これがメインレースのはずだけど。
日本だと最終レースの1つ前がメインレースになることが多いけど、
ここでは9レースあるうちの最初の7レースがG1級、最後2レースがハンデ戦になっている。
1レースが14時台から始まるから、前座は特にいらないということだろうか。
その凱旋門賞の1つ前のレースが「アラビアンワールドカップ」というレース。
その名の通りアラブ種の重賞競走で格付けは「G1 PA」と記載されている。他の「G1」とは違うらしい。
これを見て「日本ではアラブのレースがなくなって久しいが」「フランスでは残ってるんだ」なんて反応があったが、これはアラブ違いである。
日本でかつて行われていたのは アングロアラブ のレースで、
この アラビアンワールドカップ は純血アラブ(Purebred Arabian)のレースである。
ちなみに純血アラブのレースとしては、このレースは世界最高賞金のレースで、1着賞金はおよそ38万ウロ(約4700万円)である。
凱旋門賞の189万ウロ(約2.4億円)ほどは高くないが、牝馬限定G1のオペラ賞の19万ウロよりは高い。
アラブ種というのはアラビア半島の伝統品種で、2000年以上にわたって品種改良が繰り返されてきたとか。
純血アラブというのは、この伝統的なアラブ種ということですね。
一方で、サラブレッドはアラブ種とイギリス在来の馬を交配するなどして生まれた品種である。
1700年ごろから品種改良が始まり、1791年にサラブレッドという品種が確立したとされている。
速く走るための品種改良がなされたが、その結果として精神的にデリケートだったり、怪我に弱かったりという難点もある。
そして、かつて日本でも競馬が行われていたというアングロアラブは、フランス発祥のサラブレッドとアラブを交配して生まれた品種で、
日本ではアラブの血を25%以上持っていればよく、言い換えれば最大75%はサラブレッドの血を引いているということである。
サラブレッドの速さと、アラブ種の丈夫さを兼ね備えた品種として、かつては軍用馬としての期待が大きかったという。
軍用馬としてのニーズがなくなっても、その丈夫さからサラブレッドに比べて詰めてレースに使えるということで主に地方競馬で活躍していたが、
サラブレッドの生産数が増えていく中で、アングロアラブはサラブレッドと比べるとやはり足が遅く、レースの格も低いということで、
1995年にJRAのアラブ系競走が廃止、地方競馬ではその後もしばらく続いたがレース数が減り続け、2010年に全廃となった。
フランスでは現在もアングロアラブのレースが行われているようである。
というわけで、日本競馬で言うアラブと、純血アラブは話が違ったわけですね。
ただ、こうやって見てみると気になるのは、サラブレッドの先祖には明確にアラブ種がいるわけですよね。
そのサラブレッドとアラブを掛け合わせたものがアングロアラブだとか言われると、先祖返りかななんて思ったけど、
じゃあ、サラブレッドの定義ってなんなんだ? ということが気になった。
現在生産されるサラブレッドはほぼ両親ともにサラブレッドであることをもって、サラブレッドとしている。
でも、サラブレッドという品種は伝統品種として存在していたものではないから、
親をたどり続けると、どこかでサラブレッドではない馬(アラブ種など)にぶつかるはず。
このことについて、まずサラブレッドという品種が確立される中で、1791年に ジェネラルスタッドブックという血統書が発行された。
ここに書かれている馬はサラブレッドであるという形で、サラブレッドは定義されたらしい。
ただ、先祖の全てがジェネラルスタッドブックに記載されているものがサラブレッドだという定義では問題があったようで。
問題の1つが、サラブレッドっぽいが血統書がないので、厳密にサラブレッドとは言えないという馬が先祖にいる場合。
もう1つが、サラブレッドと土着の馬との交配で生まれた強い馬の子孫がサラブレッドとは言えないということ。
1909年以降、イギリスでは先祖の全てがジェネラルスタッドブックに記載されていることというルールを厳密に適用した。
(ただし、すでにイギリスでサラブレッドとして登録されていた馬はサラブレッドということで、そこは厳密性はなかったようだが)
その結果何が起きたかというと、外国産の「サラブレッド系」馬に大レースをかっさらっていくということで、
厳密に先祖の全てがサラブレッドであることを問うていては強くなれないということで、この規則は1949年に撤廃されたという。
現在は、8代連続してサラブレッドが交配された サラブレッド系種 はサラブレッドとして認定を受けられるようになっている。
8代以前の祖先に明確にサラブレッドではない馬がいたとしてもよいということ。
日本でも、日本にやってきた時点で血統書がなかった馬がいて、その末裔が今もわずかにいて、
8代経つまでは サラブレッド系種 で登録されていたが、8代経ってサラブレッドで登録されるようになってきているとか。
アングロアラブの末裔でもそういうのはあるのかな?
いろいろ気になってフランスギャロの馬ランキングを見てみると、
平地の賞金上位の大半はサラブレッドなのは言うまでもないが、
アラブ限定の重賞競走には高額賞金のものもあるので、昨年のランキングでは賞金上位50頭中の4頭が純血アラブとなっていた。
障害レースとなると、サラブレッドとともに”CHEVAL AUTRE QUE PUR SANG”というのが混ざっている。
略してAQPS、サラブレッドではない馬 という意味になる。
ただ、サラブレッドと無縁というわけではなく、むしろサラブレッドの血を引く部分が多いようである。
血統不詳なところはあるが優秀な馬を先祖に持つという理解がよさそう。
障害レースや馬術競技で活躍する馬が比較的多いが、平地のレースもあってAQPS限定重賞もあるっぽい。
アングロアラブのレースもあるとは書いたが、比較的賞金が安いようで、あまり目立つ感じはない。
ちなみに凱旋門賞だけど、レース直前にエイダン・オブライエン厩舎で使っている飼料に禁止薬物が混入していたということで、
そのことを知って間もなく飼料を変更したものの、レース前の検査で陽性反応が出て、それで4頭が出走取消となった。
元々、レース前から雨続きで、馬場状態は悪いだろうと言っていて、JRAも日本語で「不良」と発表していた。
そういう状況で馬券の妙味に欠けるという見方もあったか、JRAでも馬券売上は27.4億円で、
去年の41.6億円に比べたらいくぶん少なかったが、それでも1レースでこんなに売れる海外レースは他にはないだろうし、
フランス本国での売上よりはおそらく多くて、フランスギャロにとってもJRAからの分配金はありがたい収入だろう。
それもこれも日本からの遠征馬、ディアドラがいたからこそだけど、馬場状態の悪さに苦しめられ11頭中の8着だった。
1番人気に推されたイギリスからの遠征馬、エネイブルも6着と苦しんだようである。
上位5着は全部フランス調教馬、馬場状態が悪い中で地元勢の底力はすごかったということか。
オブライエン厩舎の馬が出走してたら違ったかもなぁというけど、さすがにこれはどうしょうもない。