自動計測の要となる装置が直流電圧電流源である。
記憶が正しければ、今の職場に来るまで使ったことなかった装置だな。
何Vとか何mAとセットすれば、指定した電圧を印加したり、指定した電流を流せる装置なんだけど、
デジタルマルチメータと組み合わせて、I-V特性を測定したりするのに大変役立つ。
高専の学生実験で、ダイオードのI-V特性を測定するとき、すごい難儀した覚えがある。
直流安定化電源とアナログ電圧計、アナログ電流計の組み合わせで測定したんだよね。
直流安定化電源のダイヤルを少しずつ動かしながら、電圧電流を読んでいくんだけど、
ダイオードってのが0.6Vぐらいを境に急に流れる電流が増えるので、ここを細かく読む必要がある。
直流安定化電源のダイヤルをちょっと動かすだけで、大きく電流が増えるからね。
ここで、今、職場で使っている直流電圧電流源があれば、ボタンを押してちょっとずつ電圧を変化させながら電流を読めばいい。
GPIBで直流電圧電流源を操作して、デジタルマルチメーターで電流測定させる、というのを繰り返すプログラムを作れば全自動で終わりだ。
以前は電圧を指定して使うことが多かったのだが、最近は電流を指定して使うことも多い。
電流を4mAとか指定すると、4mA流れるように電圧とか調整してくれるんだよね。
この定電流源モードの使い方にはソースモードとシンクモードの2つがある。
ソースモードは外の機器に対して電力を供給する向きに電流を流すものだが、
シンクモードは外の機器から電力を吸収する向きに電流を流すということで、負荷として振る舞うモードなんだよね。
ソースモードは電流と電圧の向きが同じ、シンクモードは電流と電圧の向きが逆というのがポイント。
機器の出力端子に対して、ソースモードで接続して、負荷電流を指定して、電圧を測定すれば、出力端子の負荷特性が簡単に測定できる。
シンクモードで電流源を駆動させるには2つの方式がある。
1つは負荷電流をマイナスの電流を指定する方法。
出力端子のプラスと電流源のプラス、出力端子のマイナスと電流源のマイナスをつないで、
-1mAと指定すると、プラス端子から1mAの電流を引き込む負荷として振る舞う。
もう1つは電流源の端子を逆向きに接続する方法。
出力端子のプラスと電流源のマイナス、出力端子のマイナスと電流源のプラスをつないで、1mAと指定すると、
電流源のプラス端子から1mAの電流を吐き出す=出力端子のプラス端子から1mAの電流を引き込む負荷として振る舞う。
この場合、電流源のプラス端子はマイナス端子よりも低い電圧を出力する。電流はプラスだが、電圧がマイナスになると。
この2つの方式、どちらを使ってもよい場合もあるのだが、どちらかしか使えない場合もある。
ある直流電圧電流源ではマイナスの電流を指定する方式しか対応していなかった。
接続を逆にする方式でシンクモードで動かそうとするとエラーになるので、
なんでかなぁとおもって説明書を見たら、極性通りに接続して、マイナス電流を指定するようにと書かれていた。
この機器は負電圧を発生させられない機器だから、ソースモードでもシンクモードでも電圧の向きは合わせないといけなかったらしい。
それ以来、シンクモード=マイナス電流指定で動かすことが多くなった。
接続は直感的だし、マイナス電流の意味がわかれば、シンクモードであることがわかりやすい。
今日、先輩技術者がやってる測定系を引き継いで、それの測定方法を教えてもらってたんだけど、
「この端子からXXmA引いたときの電圧を測定して」という指示を受けたときに、
出力端子と電流源のプラス同士、マイナス同士を接続して、マイナス指定でやってたんだよね。
そしたら「僕は逆に接続する派だから、自動測定ツールには電流をプラスで入れてあるんだ」と言われて、
確かに普通はそうするよねと思いながら、自動測定のときは逆接続でやってたんだけど。
どっちでも結果は一緒ですからね。ここで使ってた電流源は逆電圧でも問題なく動くので。
直流電圧電流源はよく使う機器なのだが、うちの職場にあるものはほとんど校正されていない。
校正済みの直流電圧電流源を使っていれば、出力電圧・電流の精度が保証されている。
ところが校正にはお金がかかるので、そこをケチってほとんどの電圧電流源は校正されていない。
その背景には非常に高い精度を要求する場合は、電流電圧源自身の精度では不十分なので、
発生させた電流・電圧を校正されたデジタルマルチメータで精度よく測定する必要があるという事情もあるんだろう。
そういうときは、ごっついデジタルマルチメータと併用するんだけどさ。
一方で、大した精度が要求されない用途でつかうことも多いので、それもそれで校正がいらない。
ケチな話だなとも思うのだが、実用上はあまり困らないだろうということで、こういうポリシーでやってるそうだ。
本当に困らないか? そこは時々気になるんだけど、代替手段はあるというのは事実なので。