6月にH-IIAロケットで打ち上げ予定の衛星が「みちびき2号機」である。
やっとこさ2号機が打ち上げられるのかと思ったが、
予定では2018年までにさらに2機打ち上げて4機体勢にする予定なんだとか。
「みちびき」という名前からなんとなく想像がつく人がいるかも知れないけど、測位衛星ですね。
衛星での測位としてはアメリカのGPSがよく使われているが、これの補完を目的としている。
特徴は準天頂衛星であること。
少ない衛星の数で日本周辺にポイントを絞ってGPSの補完に役立てられるわけだけど、そもそも準天頂衛星ってなんだ?
準天頂衛星のことを言う前に静止衛星のことを説明する必要がある。
静止衛星は赤道上空の約36000kmの円軌道を回る衛星のことを言う。
この衛星の公転周期は23時間56分04秒、ほとんど1日で地球の周りを1周する。これは地球の自転周期と一致する。
24時間は地上から見て太陽が同じ位置に戻ってくるのにかかる時間だが、太陽の位置は自転でも公転でも動く。
これをあわせて24時間になるようにすると、地球の自転周期は23時間56分04秒になると。
というわけで地球が自転するのと同じ角速度で動く衛星だから、地上から見ると止まってるように見えると。
日本のBS放送は東経110度の赤道上に浮かべた衛星から電波を発射することで行っている。
地域によるが本州では仰角44~48度、南~南南西の方角にパラボラアンテナを向けて受信する。
準天頂衛星も公転周期が23時間56分04秒であることは静止衛星と同じだ。
だから1日経てば地上から見て同じところに戻ってくるのだが、1日の間での動きが違う。
準天頂衛星の軌道は赤道に対して傾けた軌道になっている。
するとどうなるかというと、1日の中である時間帯は北半球の上空、ある時間帯は南半球の上空にいることになる。
さらに円軌道ではなく楕円軌道にすると、遠地点付近での滞在時間が長くなる。
これで軌道を調整すると日本上空の滞在時間の長い軌道を作ることができて、そんな軌道に投入されるのが「みちびき」という衛星である。
具体的にはこんな軌道ですね。
地上に投影すると8の字の軌道を描き、上の輪が日本上空の狭い範囲に収まり、下の輪はオーストラリアまでの大きな範囲に広がっている。
上の輪の滞在時間と下の輪の滞在時間が同じだったはずだから、
日本上空に半日、太平洋諸島からオーストラリアの上空を半日という割合で動くことになる。
現在は1機しかいないから、日本上空にいない時間帯もあるのだが、3機あれば日本上空に常に1機いることになる。
なお、みちびき3号機は静止衛星で計画されているので、これは準天頂衛星ではない。
準天頂衛星として計画があるのは現在ある1号機と、これから打ち上げる2号機・4号機の計3機なので、
準天頂衛星システムとしては最低限の個数でスタートする予定って話。
準天頂衛星は3機あれば常に日本上空に衛星がいる状態を作れる。
常に高仰角(通常80度以上)ということで、狭い空でも電波を拾いやすい状態を作ることができる。
GPSは30個ほどの衛星を地球上に散らしている。
この中には高仰角に見える衛星もあるのだが、狭い空から十分な台数が見えるかというと、それは厳しい。
けど、みちびきは常に1機は高仰角で見えるわけだから、
これまでGPSだけでは十分な台数が見えなかったとしても、みちびきを加えれば十分な台数が確保でき、測位精度が向上すると。
日本が打ち上げる衛星ですから、日本で利用価値が高くなるような軌道に投入しているものの、
日本の周辺でも役立つし、8の字の下の輪の部分、太平洋諸島、東南アジア、オーストラリアなどでの活用にも期待している。
準天頂衛星は少ない衛星で高い効果が得られる代わり、GPSのような全世界をカバーすることはできない。
それでも日本で便利な軌道に投入すると、そのおこぼれは南半球の同じ経度の地域にも行き渡ることになる。
そこは活用してもらおうってことだね。
ちなみにロシアのような高緯度の地域では、赤道上に浮かぶ静止衛星ではあまりにも低仰角で使えたものではないからと、
モルニア軌道というロシア上空の滞在時間が長くなる楕円軌道に人工衛星を投入して、通信に使っているらしい。
複数の衛星を組み合わせて、どれかは上空にいるという状態にして使っているんだけど、
地上から見るとどれか見えていても、位置関係は常に変わるから、追尾機能のあるアンテナが必要なんだと。
わざわざ日本上空での滞在時間が長くなる衛星を打ち上げるというのは、日本ではみちびきが初めてに近い試みだが、
世界的に見れば少ないながらあると。あんまり一般的ではないにしてもね。