先日、こんなニュースが流れた。
セブン&アイがアリマンタシォン・クシュタールから買収提案を受けたという話。
アリマンタシォン・クシュタールはアメリカ・カナダを中心にコンビニ・ガソリンスタンドを経営している。
元々は”Couche-Tard”というブランドだったのだが、2003年にCircle Kを買収している。
いろいろ調べてみると、アリマンタシォン・クシュタールとしてはアジア市場に興味があるらしく、
そこで着目したのが日本のセブン&アイだったようである。
実は昔からセブン&アイの買収は考えていたが、今回、正式な打診に至ったよう。
セブン&アイの利益のほとんどは日本のセブンイレブンとアメリカの7-Elevenによりもたらされている。
元々はイトーヨーカドーがアメリカの7-Elevenからライセンスを受ける形だったが、
1990年、アメリカの7-Elevenは倒産、そこを救済したのが日本のイトーヨーカドーとセブンイレブンである。
その後、イトーヨーカドー、セブンイレブン他はセブン&アイホールディングスを設立、
アメリカの7-Elevenは海外コンビニエンスストア事業の中核会社に位置づけられている。
為替レートにもよるとは思うのだが、2023年度の決算によれば、
連結での営業利益5342億円のうち、国内コンビニは2505億円、海外コンビニは3016億円、
しかもアメリカの7-Elevenの営業利益に限れば4139億円という記述も。
アリマンタシォン・クシュタールにとってみれば、
アメリカでの事業統合によるシナジーはありそうだし、日本をはじめとするアジアでの事業拡大にもつながる。
ただし、アメリカでの事業規模が大きくなりすぎるので独占禁止法上の問題があるのではないかとのこと。
7&iHDへの買収提案、成否にかかわらず一石を投じる可能性 (Bloomberg)
アメリカはそこら辺、なかなか厳しい国だよねと。
普段、イトーヨーカドーで買い物するものとして気になるのは日本のコンビニ以外の事業である。
ただ、昔に比べればセブン&アイのコンビニ以外の事業はかなり減ってきた。
そもそも利益という点ではコンビニ以外の事業はほぼ寄与できていない。
コンビニと密接に関係があり、事業規模も比較的大きいのは食品スーパーの部門で、
イトーヨーカドーもかつては衣食住が揃うGMSが多かったのだが、
現在はかなり数を減らし、食品スーパーに注力しつつある。
まだ直営の衣料品売場全廃までには至っていませんがね。でもその方向である。
このほか、アカチャンホンポ、ロフト、デニーズといった事業もあり、
これらはコンビニの商品拡充に寄与する部分もあるが、現在の本業とはかけ離れた事業でもある。
ただ、コンビニというのも地域性がある話ではあって、
セブン&アイを見ても、2021年にアメリカのSpeedwayを買収している。
同社はガソリンスタンド併設型コンビニを経営するチェーンである。
コンビニとはいうが、買収前は石油会社の傘下にあったので、それガソリンスタンドじゃないかって。
アメリカではこういう形態の商売が多く、アメリカの7-Elevenとしても取り込みたくて買収に至ったよう。
現在のセブン&アイ全体にとっても石油製品の小売というのはそれなりの比率を占める事業になっている。
ただ、日本の感覚で言うとこれはなかなか理解できない話だと思う。
日本のコンビニにとって食品の充実はとても重要で、
それは本格的な食品スーパーレベルのことも要求されているのである。
と、アリマンタシォン・クシュタールが理解して事業に取り組むかというのが、
今回の買収にGOサインを出すか否かの1つの分かれ目ではないかなとも思う。
これを達成する手段がセブン&アイ単独でスーパーを継続することとは限らないとは思いますけど。
少し前までのイメージだとセブン&アイというと総合小売業のイメージだったが、
そごう・西武 の売却やイトーヨーカドーの事業縮小など、
名実共にコンビニの会社という色合いを強めているというのがここ最近の流れである。
今の日本だとイオンが業界ガリバーとして君臨しているけど、
それに並ぶグループというのはもはや存在しないのが実情なのかなと。
セブン&アイをコンビニの会社と考えれば今回の提案は理解できる部分が多いし、
条件が不明なのでなんとも言えないが、GOサインも出せるのかもしれない。