今週末は札幌競馬場で国際騎手招待競走「ワールドオールスタージョッキーズ」(WASJ)が行われていた。
JRA選抜7名、WAS選抜7名(地方代表1名、外国騎手6名)のチーム戦となっているが、
注目を浴びたのは外国騎手の短期免許のことである。
というのも最近、外国騎手のJRA短期免許の要件が変わったのである。
JRAが短期免許の成績要件を変更 WASJ上位者も対象に (東スポ競馬)
JRAでは外国の実績のある騎手に1年最大3ヶ月の騎手免許を発行している。
JRAの賞金は条件戦含めて超高額なのだが、それがゆえに短期免許の要件も厳しい。
もともと、最近2年で下記の条件を満たしていればよいとなっていた。
- 所属地域でリーディング上位であること(地域ごとに要件が異なる)
- JRAのGIを2勝していること
- ジャパンオータムインターナショナルの指定外国競走を2勝していること
女性騎手については緩和条件があるようだが、こんな感じ。
一番上に書いたリーディング上位の条件で取得する人が多いのかなと。
JRA所属でもないのにJRAのGIを2年で2勝するというのは、短期免許で過去に実績がなければ難しいだろう。
外国馬がJRAのGIに出走するのに伴って来日して騎乗して勝ってもよいが、そうそうあることではない。
指定外国競走に2年で2勝という条件は地域によってはチャンスもありそうだが、
ジャパンオータムインターナショナルに転戦が想定されるレースということで時期やジャンルに偏りがある。
年末の香港国際競走はジャパンオータムインターナショナルより後だから対象にならないので、
香港の対象レースは春のチャンピオンズマイル(マイルチャンピオンシップの指定レース)のみである。
それで今回の短期免許の要件変更で新たに加わったのが、WASJ 騎手表彰順位5位以内というもの。
WASJで上位に入れば、日本での短期免許取得につながるということである。
また、指定外国競走については「世界のトップ100 GIレース」の上位50位以内を含むことなった。
さっき香港国際競走の話を書いたが、昨年実績で言えば3レースが入る。
春の香港チャンピオンズデーでもクイーンエリザベス2世カップも対象になる。
以前、限られたレースではあるものの、従来より偏りはだいぶ減ることになる。
WASJ上位争いで特に注目されたのがモレイラ騎手である。
今年春も短期免許で来日していたのだが、次は難しいかもと言われていた。
というのも、2022年まで香港所属で香港リーディング上位で短期免許取得ができていたが、
同年9月からは出身地であるブラジル所属の騎手となっていた。
モレイラ騎手、2023年に世界各地で騎乗したあとに引退(香港)[その他] (JAIRS)
外国の騎手免許があれば緩い条件で騎乗できる地域もある一方、
JRAの短期騎手免許の要件はかなり厳しく、ブラジル所属だとリーディング上位の要件を満たせない可能性が高かった。
今春の来日はJRAのGI 2勝の条件を狙っていたといわれるがそう容易な話ではない。
WASJ上位という要件が加えられた背景は定かではないが、おそらく2つあるのだと思う。
1つは近年はWASJの外国騎手誘致に苦心していたということ。
このために上位者には短期免許という特典を用意することにしたと。
そうでなければモレイラ騎手も札幌に来なかったかもしれない。
もう1つは馬主関係者から外国の有力騎手に騎乗させたいという要望が多かったかではないか。
現在の短期免許の要件は所属地域によってはかなり満たしにくいので、
世界に名の知れたトップジョッキーでも取得できないケースは多い。
モレイラ騎手には「マジックマン」なんていう異名もあるが、
その場限りの騎乗でも結果を出せるという点では特徴的である。
というので、抽選で騎乗馬が決まるWASJには強いわけだな。なんと個人優勝である。
2着・8着・5着・1着というのは見事な結果である。
これにより来年・再来年もJRA短期騎手免許の取得が可能となった。
同様に上位に入った外国騎手には香港のティータン騎手がいる。
ケガで出場できなくなった騎手の代わりに急遽参戦となったがお見事。
来年以降、香港競馬の夏休み期間に来日する姿が見られるかもしれない。
WASJの前身となった「ワールドスーパージョッキーズシリーズ」は秋に行われていたが、
秋はそもそも短期免許で来る外国騎手が多いという理由もあり、夏の札幌に移されたという経緯がある。
それがゆえに外国騎手を招致する難しさが生じたとも言えるが、
そこに短期免許の予選のような意味合いも持たせたのは面白い作戦だったのかもしれない。
WASJ上位5位という要件は緩すぎないか、いかにもモレイラ騎手への救済策ではないか、
という話はあったけど、この結果を出されては納得するしかないよね。