読売ジャイアンツの2軍本拠地が稲城市に新設される球場に移転することになっている。
現在の2軍本拠地、ジャイアンツ球場の近くではあるのだが、
こちらは川崎市多摩区にあたる。ちょうど都県界の近くなんだけど。
よみうりランドの敷地に隣接し、よみうりランド自体も本社兼スカイシャトル乗り場が京王よみうりランド駅前にあり、
これにより所在地が稲城市にあるように見えるが、実態はほぼ全て川崎市である。
一般的にジャイアンツは東京の野球チームと考えられているので、2軍本拠地が川崎市にあることは積極的にアピールしていなかった。
ただ、今回の移転に伴って稲城市とは密に連携しており、「稲城市は読売ジャイアンツを応援しています」という旗が街路灯に取り付けられている。
新球場はジャイアンツタウンスタジアムと命名され来年3月のオープンに向けて工事を進めている。
球場とともに内陸型の水族館を設置するという不思議な構想になっている。
若干離れるがよみうりランドの付帯施設という一面はあるようだ。
この一角は南山東部地区として土地区画整理事業が行われている。
よみうりランドは地権者として同事業に参加しているらしく、
これにより得られた用地の利用先として2軍本拠地という話が出てきたようだ。
この区画整理事業にはとても大きな意味があるようだ。
周辺では多摩ニュータウンの開発が進む中、この一帯は開発から取り残されたエリアだった。
その昔、雑木林の木々は燃料源として使われ、ハゲ山だらけだったと言われるが、
南山一帯もそんなハゲ山で、戦後は農地確保のために農地にされたものの、
ハゲ山というのは土砂災害に弱く、どんどん荒廃していったという。
農地としての意義は失ったものの、土砂採取には使えるということで、
山砂採取場として使われたが、その用途もなくなり、急斜面の崖が大量に残され、
土砂災害に対して極めて弱い地域になっていた。
これによる事故もいろいろあり、ろくに近づけない一帯になっていたのだという。
土地所有者からすればそのようなリスクのある土地を所有し続けるのは困るわけで、
この問題を打開するための策が土地区画整理事業だったのだという。
土地区画整理事業では道路・公園などの用地を確保するための公共減歩、
事業費を確保するために売却する保留地のための保留地減歩があるが、
合算減歩率は68.62%という驚異的な数字になっている。
元が山林だと減歩率は大きくなりがちだが、そうはいってもすさまじい数字。
元々あった土地の3割程度の面積の宅地が割りあてられるということになる。
とはいえ、元々が所有することがリスクになるような土地である。
売却できる土地になるというだけでもかなり有用な話である。
このような特徴から区域内に占める公園の割合が高いことも特色である。
なんと事業区域の23%が公園なのだという。
もともと危険とはいえ山林だったエリアであり、緑の保全に期待があったこと、
事業区域に勾配が多いため、斜面を緑地・公園として利用したようである。
公園ではないのだが、もともとこのあたりは墓地が多く、
墓地は墓地のまま残す上に公営の「稲城・府中メモリアルパーク」も新設された。
墓地の周辺は緑地で囲まれると考えれば、部分的には緑地である。
と、緑地・公園・墓地でかなりの割合を占めることとなるわけだ。
それ以外で特徴的なものとしては、事業区域の稲城駅近くに作られた大型マンション「プラウドシティ南山」、
これは区画整理事業に参加している野村不動産により作られたマンションで、
事業費確保という点では大きな役割を担っているとみられる。
この部分以外は戸建て中心なのだが、ここだけは異質である。
事業区域東側ではジャイアンツタウンスタジアムもそうなのだが、
よみうりランド坂 と呼ばれていた急勾配・急カーブの道路を付け替え、
稲城よみうりランド坂トンネルと団地内の幹線道路で代替するルートに改めた。
このあたり一帯の地形が大きく変わることに伴うものではあるのだが、安全性向上も狙っているのだと思う。だいぶ遠回りにはなるが。
なお、この区間は都道124号稲城読売ランド前停車場線にあたる区間だが、
読売ランド前停車場というのは川崎市にある小田急の読売ランド駅を指す。
駅と稲城を結ぶという体裁だが、よみうりランドへのアクセス路線の意味合いが強く、
京王よみうりランド駅とよみうりランドを結ぶバスも走る。
区画整理には南山を土砂災害から守るという大きな目的があって、
その事業にとって読売ジャイアンツは大きな役目を果たしていると言える。
なお、従来のジャイアンツ球場は3軍の本拠地などとして引き続き利用される。
最近、NPB球団では2軍本拠地の移転が盛んで、その目的は様々だが、
ジャイアンツにとっては3軍の活動充実のためという側面が強いのではないか。
野球の裾野を広げるという点では女子チーム、U-15ジュニアユースチームと、
様々なチームが動いているのが読売ジャイアンツである。
ジャイアンツ球場、ジャイアンツタウンスタジアムとそのサブグラウンド、
あわせて3つの野球場があれば練習・試合と充実できるとみられる。
現状がチームの規模に対して窮屈だったとは言えそうだ。