MLBでピッチクロック導入という話が野球ファンの間で話題となっていますが。
ピッチクロックって何? 開幕までに知っておこう!大リーグのルール変更 (NHK)
試合時間短縮のために投球にかかる時間制限を設けるものである。
実はこれの似た制度がすでに日本野球に存在し、今年からより厳格化されている。
といってもプロではなく、アマチュアの社会人野球の話。
「スピードアップ特別規程」という名前で、社会人野球のローカルルールという扱いですね。
このルールは従来から存在していたが、警告に留まることが多かったよう。
そのため今シーズンから警告の回数を1回減らすこととなり、
走者がいない場合は12秒以内に投球しないと即ボール(従来は警告1回)、
走者がいる場合は20秒以内に投球しないと1回目警告、2回目以降ボールとなった。
このほか、牽制球の回数制限(3回でアウトにできないとボークで進塁)も導入され、
試合時間の短縮に実際に効果が出ているようだ。
なぜこのルールが社会人野球で導入されたかという話だが、
これは会場の都合で1日に何試合も行うアマチュア野球の事情が大きいのだと思う。
そもそも野球の試合時間は伸びてきた歴史があるという。
かつては9回を2時間から2時間半で終わるのが当たり前だったのに、昨季のNPB全試合の平均時間は3時間14分、アマチュア野球でも3時間を超える試合は珍しくなくなりました。
(苦肉のスピードアップ策 濃密な野球を取り戻せるのか/元パ・リーグ審判員 山崎夏生に聞く (ベースボールONLINE))
この試合時間増が何試合も積み重なると、全試合終わるのはだいぶ遅くなる。
この問題を打開するための策として「スピードアップ特別規程」の厳格化、
そして、7イニングス制試合を一部の大会で導入するということである。
9回までの野球が7回までになると出場機会に直結する話で、
この点では「するスポーツ」としての社会人野球の魅力低下にもなりかねない。
なので投球時間や牽制球の制限で9イニングス維持を図りたいという考えもあると思う。
一方で、7回までならば選手層が手薄でもそこそこ戦える可能性もあるので、
この点で7イニングス制を好むチームもアマチュアにはあるかもしれない。
調べてみると、国際大会では7イニングス制はけっこう取り入れられていて、
U18ワールドカップ、U23ワールドカップでは7イニングス制だという。
これにより選手層がそこまで厚くない国も参加しやすくなっている。
このような形で野球が定着していけば、その先にはWBCというのも見えてくる。
(WBCは今後も9イニングス制の見込み。プレミア12は微妙らしい。)
MLBのピッチクロック導入は「見るスポーツ」としての魅力向上が目的である。
日本では「するスポーツ」として日程面でタイトなアマチュアが先行したが、
確かにこちらの方が切実な問題ではあると思う。
今は社会人だけだが、高校・大学での導入もそう遠くないのではとも。
もっとも高校野球は今でも早いのでそこまでしなくてもというのはあるかも。
この試合時間増の背景にはサインの複雑化があるよう。
MLBではピッチクロック導入と同時に、ピッチコムの導入も行われた。
これは投手・捕手と一部の野手が無線で通信し合える機器である。
この導入の背景にはサイン盗み問題があったという。
無線通信ならば目視でサインを盗まれる心配は無いので導入されたと。
副次的な効果として、投球時間の短縮も実現できるということである。
こちらは専用の機器がいるためアマチュアでは導入しにくいだろうが、
サインの複雑化に悩むプロにとってはそれだけの価値があるものだと思う。
これにより自然に試合時間短縮が実現できればそれが一番いいだろうし、
投球時間の制限などを導入するにも納得感が高まると思われる。
機器の導入ができれば、特にデメリットはないんじゃないだろうか。
サッカーなどと比較して試合時間が不定というのは野球の欠点と言われがちだが、
時間で固定されないことによる魅力もけっこうあると思う。
あと何分耐えれば……というのは野球にはありませんからね。
また、試合中に適度な間があることもまた野球らしいところである。
とはいえ、そのような仕組みが時間の空費を生みやすいのは確かで、
WBCだと投球制限のこともあり投手交代が多く、それがタイムロスとして目立った。
こういうあまり本質的でない部分の時間を詰めていくことが野球の魅力向上につながるのではないかと思う。
投球時間の制限もその1つではあるけれど、それだけじゃないよねと。