最近、新型コロナウイルスのワクチンの話題が多いんですが、
昨日、アストラゼネカ製ワクチンについてこう書いたのは必ずしも正しくなかったらしい。
説明文を読んで初めて知ったんですけど、アストラゼネカ製ワクチンって、
1回目接種~2回目接種は4~12週間と規定されていて、かなり幅が広いんですね。
ファイザー製とモデルナ製がそれぞれ3週間後できるだけ早く、4週間後できるだけ早く、となっているのとは対照的。
実務的にはモデルナ製ワクチンと同じような4週間後できるだけ早く、と解されているようですが。
実は多数派は1回目接種から2回目接種はおよそ8週間後とする方法らしい。
なぜ、ファイザー製の3倍近く、モデルナ製の2倍もの間隔を空けるのか。
調べたら添付文書にこういう記載があるようですね。
・1回目の接種後、通常、4~12週間の間隔(※)で2回目の接種を受けてください。
(※)最大の効果を得るためには、8週以上の間隔をおいて接種することが望ましいとされています。
なるほど。ちゃんと理由があったんですね。
しかし、だからといって8週間空けがもっともよいとは限らない。
2回接種が完了しないと重症化を防ぐ効果が不十分だからである。
4~12週間の幅であれば、どの間隔で接種しても一応は十分な効果が得られるはずですから、
1回目接種の4週間後に2回目接種をする方法は、単純に4週間早く効果が得られると考えてよいだろう。
ただし、2回目接種後の効果は8週間空ける場合より多少劣ることになる。
しかし、いずれのケースでもmRNAワクチンよりは効果は多少劣るはずなので、どんぐりの背比べである。
アストラゼネカ製のウイルスベクターワクチンの接種を希望する理由もいろいろで、
mRNAワクチンの成分にアレルギーの懸念があるケースが1つ考えられる。
このような事情がある場合は、40歳以上に限らず、18歳以上ならば使用可能だという。
ただ、mRNAワクチンの供給不足を補う目的でアストラゼネカ製ワクチンを選択するケースも想定されるところである。
しかし8週間の間隔を空けて接種する場合、5週間後にファイザー製ワクチンの1回目接種を受ける人と2回目接種完のタイミングは同じとなり、
数週間待ってファイザー製 あるいは モデルナ製ワクチンの接種をする方が何においても優れているのでは? となる。
一般にアストラゼネカ製ワクチンを接種できるのは40歳以上に限られており、
現在、市町村ではファイザー製ワクチンでこの年代の人にせっせと接種している事情を考えれば待ちますよね。
今にして振り返ってみれば、これがイギリスで1回目接種から2回目接種の間隔を長く取っていた理由なんだなと。
これにより1回接種を済ませて、ある程度の免疫の付いた住民を早期に増やすことが出来、
なおかつ8~12週間空けで接種することで、2回接種後の効果も最大となるとなっているので、
この中では最大の12週間隔を基本として考えていたわけである。
しかし、ウイルスの変異が進む中で1回接種の住民が感染・重症化するケースが増えて問題となった。
このことから現在は8週間隔に短縮したという。それでも8週なんですが。
というわけでけっこう悩ましいんですよね。
アストラゼネカのお膝元、イギリスでは当初12週間隔、現在8週間隔なので、
これがもっとも実績があると考えられる一方で、短縮されてもなお1~2回目の間隔が長いわけですよ。
で、日本では2社のmRNAワクチンが先行し、3~4週間間隔というのが定着している。
ファイザーとモデルナの1週間の差は軽微な問題ということで処理されている。
(モデルナ製ワクチンは3週間後まで早めても問題ないと記載されているので、この点では完全に同じと言ってもよい)
これが1回接種でもそこそこ効果があると見積もれるなら8週空けでもよかったんだろうけど、
2回接種でないと効果が不十分で、それが急を要するという状態ではちょっと厳しいんじゃないかなと。
異なる方式のワクチンが混在することにこんな問題があったとは思わなかった。
これでは特別な事情がない人はアストラゼネカ製ワクチンは選べないでしょう。
40歳以上という年齢制限が付き、50代・40代の1回目接種がせいぜい来月中には回るでしょうという状況ですからね。
(市町村により多少の差はあるだろうけど、国から市町村への供給スケジュールを考えるとほぼ可能だろう)
特別な事情がある人にとっても悩ましい話である。
早期に2回接種になる方がよいか、2回接種後の効果を最大にする方がよいかというのは昨今の状況からは究極の選択である。
しかし、その選択は実質的には接種会場の運営者に委ねられているわけである。
この頃には塩野義の組み替えタンパクワクチンが選べるのでは? と思ってた時期もありましたが。
塩野義製薬は2日、開発中の新型コロナウイルスワクチンについて、効果を補強するために添加する「アジュバント(免疫補助剤)」を別の物質に変更し、新たに国内で初期段階(第1、第2相)の臨床試験(治験)を始めると発表した。(中略)
今年中の供給開始も視野に入れながら、昨年12月から約300人を対象に国内で初期段階の治験を実施。安全性と有効性の確認を進めてきたが、中和抗体価(血液中の抗体の量)が十分に高くならなかったという。
これはダメそうですね。
おそらく、先行するmRNAワクチンやウイルスベクターワクチンと同程度の効果があると示せる必要があったが、それは厳しいと判断したようだ。
中国のシノバック製の不活化ワクチンが「水ワクチン」呼ばわりされている話もあるが、
一定の効果はあるから水ワクチンは言い過ぎだが、他方式より明らかに見劣りするものは他のワクチンで代替しないとならんだろう。
ましてや塩野義のワクチンは後発ですから、先行するワクチンと比べて明らかに見劣りする物は出せないわけですよね。
組み替えタンパクワクチンの可能性が消えたわけではないが、早期供給は期待できないですね。
というわけで難しいですね。
基本的には2社のmRNAワクチンのどちらかを接種するということだし、
その2社でおそらく今年中には希望する全住民に回るのでは? という状況で、基本的にはよくやってると思います。
ヨーロッパ諸国などと比べて立ち上がりが遅かった日本のワクチン接種ですが、
mRNAワクチンで接種が進んで、添付文書の接種間隔に忠実に接種を進めていることもあって、
2回接種完の人口はよく伸びており、来月ぐらいには人口比でヨーロッパ諸国に匹敵するぐらいはなりそうな感じはする。
持病持ちの人は早く接種に行き、職場などで接種機会がある人はそれを使い、それ以外の住民は整然と年齢順に打つ、
ということでやっていく以外に道はないし、市町村と職域接種、あるいは市町村間で足の引っ張り合いをしているのも否めないところはあるが、
早期に接種を終えれば、その分はもう抜けるわけですから、そこはちょっと冷静に待とうということですね。
1ヶ月経てば供給状況が全然違うというのはこれまで見てもわかる通りですから。