ニュージーランドトロフィーのピンチ

今年1月、JRAからこういう発表があった

葵ステークスのGⅢ格付けおよびニュージーランドトロフィー(GⅡ)の格付けに対する警告 (JRA)

1つは無格付重賞だった葵ステークスがGIIIの格付けが付くことになったこと。

3歳スプリント王決定戦として2018年に重賞になり、4年かかって格付けを得た。

もともと国内ではGIII級として扱われていたけど、国際的にも重賞として扱われるようになった。

こちらはよいニュースだったのですが、もう1つは悪いニュースでニュージーランドトロフィーのGII格付けに警告が出たということ。

GIIにしてはレースのレベルが低い状態が続いているから、このままいくと格下げになるかもしれないということである。

JRAがこのような警告を受けるのはおそらく初めてではないか。


日本競馬はそのレベルの割にGIレースが少ないことが課題ではあるが、

その分GIレースのレベルは高く保たれていると言えるが、そんな中で気になるのがフェブラリーステークスとNHKマイルカップ。

どちらもすぐにGIからの格下げになるような水準では無いのだが。

NHKマイルカップはかつては「マル外(外国産馬)のダービー」と言われた時期もあったが今は昔。

近頃は NHKマイル→ダービーという転戦をする有力馬もそうそういないし。

この問題を打開するため、JRAはトライアルレースの充実をすることにした。

従来からニュージーランドトロフィー(GII)の3着以内に入ればNHKマイルカップの優先出走権があったが、

2018年からはこれに加えてアーリントンカップ(GIII)の開催時期を2月から4月にずらして、

こちらの3着以内の馬にもNHKマイルカップへの優先出走権を与えることにした。


トライアルレースの充実もあってか、NHKマイルカップの評価は高まっていった。

以前は皐月賞からの転戦が多かったというけど、今は2つのトライアルレースをはじめとする皐月賞以外のルートからやってくることが普通になった。

牡馬だと皐月賞→ダービーの道、皐月賞を経ずダービーへ至る道、そしてNHKマイルカップへの道、この3つに皐月賞前に分かれてしまうんだな。

おかげで皐月賞は運が良ければ1勝クラスでも出られるレースになってしまったのだった。


もう1つ、トライアルレース充実の煽りを受けたのが、冒頭で出てきた ニュージーランドトロフィー である。

トライアルレースからNHKマイルカップを目指す馬は二手に分かれることになった。

もともとニュージーランドトロフィーはコース形状の問題もあって、あまりNHKマイルカップに直結しないレースと思われていたらしい。

そんなこともあってニュージーランドトロフィーのメンバーは充実せず、GIIには物足りない評価になっていった。

逆にアーリントンカップはGIIIなのだが、そのレースの評価はGIIレベルだったりする。

こういう経緯を見ていると、ニュージーランドトロフィーがGII→GIIIになってもそれはそれで仕方ないし、むしろアーリントンカップをGIIにしてやってくれという感想になるのは致し方ない。


警告は受けたけど、それで即格下げとなるわけでもない。

今日、ニュージーランドトロフィー(GII)が行われたが、優勝したのはジャングロだったから驚いた。

ジャングロはこれまで3勝している実績馬だから、ここだけ見れば不思議ではないが、ここまで勝ったのは全て1200mである。

3歳のこの時期に1200m戦で3勝してるとか、これはスプリント王になる馬だな、

と思って見ていたら、マイル(1600m)戦のニュージーランドトロフィーに出てきて、ここで少し驚いたのである。

確かにこの時期に2勝以上している馬が出られるスプリント戦はあまりない。

次の葵ステークスまで走るレースもないし、手薄そうなニュージーランドトロフィーを走るのは理解できる面はあった。

ただ、それで勝ってしまうのはびっくり。


これはサイバーエージェント社長の藤田オーナーにとって重賞初勝利である。

藤田オーナーといえば、ちょうど1年前ぐらいにこんな話がありましたが……

千葉セリだが北海道生まれだしインターネット開催

馬主デビューには馬が必要、そこで即戦力を買いに行ったわけですね。

その後、同年夏に藤田オーナーは馬主デビュー、そこから1年経たずに重賞制覇である。


千葉サラブレッドセールで5.1億円で買った馬にはドーブネと命名され、

新馬戦を勝ち、OPクラスの ききょうステークス を勝って、朝日杯フューチュリティステークスでGI挑戦するも7着だった。

次はダービー目指してプリンシパルステークスに出るらしい。

これに対して、今回勝ったジャングロは全く別ルートで調達された馬である。

この馬は 森秀行調教師 にアメリカのトレーニングセールで買ってきてもらった馬の1頭である。

初日に目立ったのは、日本人オーナーの代理を務める森秀行調教師(62)で、ジャスティファイ産駒3頭を95万ドル(約1億450万円)、65万ドル(約7150万円)、62万5000ドル(約6875万円)で高額落札している。(略)

森師は「私の厩舎は80%が外国産馬で、それがスペシャリティの1つです。日本はマーケットが小さいので、価格が高騰している」と海外のセールに積極的に向かう理由を説明。

(キーンランドセール初日に森師が3頭落札!米紙が「ウマ娘」藤田晋氏を紹介 (日刊スポーツ))

これは今年夏以降にデビュー予定の現2歳馬を買いに行った時の話ですが。

潤沢な予算を与えて、世界一の馬産国、アメリカのセールで走りそうな馬を調教師に探しに行ってもらったのである。

これを日本で鍛えて、そして森厩舎はレース選びも巧妙ですね。


というわけで、森調教師の作戦勝ちというところは大きいのだが、

そうはいってもやっぱり重賞はそうそう勝てるもんではないですよ。

そこで勝ってしまうのは、やっぱり藤田オーナー持ってるよって。

おそらくジャングロはNHKマイルカップには出ると思うが、その後はスプリント路線を邁進することになるのではないか。

僅差で2着のマテンロウオリオンの方がNHKマイルカップでは期待できるかな?

この2頭の今後の活躍も合わされば、ニュージーランドトロフィーの再度の警告は逃れられるのではないか?

まだ確定では無いけど、今後にとっても希望が持てる結果となった。


余談ですがニュージーランドトロフィーのトロフィーの形はだいぶ独特である。

netkeiba /18年ぶりに「ニュージーランドトロフィー」を手にする #武豊 騎手。 撮影:下野雄規 (Twitter)

勝負服を着た武騎手が持ってるトロフィーも、左で森調教師が持っているトロフィーもだいぶ独特な形ですね。

レースによって馬主に与えられる賞品というのもいろいろで、まぁ多くは金杯なんですけど、天皇賞の「盾」はレースの別名になるほど有名なものである。

しかしこのデザインはニュージーランドの由緒あるものなのかね? ちょっとわからんのだが。