優先道路の標識と止まれ標識

出張中に道路標識の話を書いている。

できるだけ図記号を使った道路標識

日本で言う「自転車を除く」みたいな補助標識を、「除外」だけ文字で書いて自転車のマークと組み合わせて書く話を書いた。

日本ではやらないけど、発想としては日本の感覚でもわかる話である。


国により道路標識は大なり小なり差はあるが、できるだけ統一しようという動きがあり、

「道路標識及び信号に関する条約」というのが定められている。

国連標識と言われることもあるが、これが一応国際標準である。

とはいえ、実態としてはヨーロッパの共通ルールという側面が強いようである。

世界の道路標識 (国土交通省)

大きく分ければ記号中心のヨーロッパ方式と、文字中心のアメリカ方式があり、

このヨーロッパ方式の統一ルールが国連標識である。

日本は昔はアメリカ方式に近い標識が使われていた時代があった。

この名残か警告標識は現在もアメリカ同様の黄色のひし形である。

(国連標識ではこのタイプの警告標識も認められている)

とはいえ、それ以外は一見、ヨーロッパ方式に近いものにはなっている。


意味は想像できるけど、日本とはテイストが違うのが通行止め標識である。

赤丸だけの標識があって、ものすごいマヌケな標識だが、

意味は車両通行止め、斜線を足せば日本の標識と同じになる。

赤丸の中に車両の種類や歩行者を表す記号を書けば、それが通行止めという意味になる。

日本では歩行者通行止め標識は大きく形状が違って四角ですが。

日本で言う通行止め標識は単独のものはないみたいですね。


ヨーロッパの道路標識を見ると優先道路に関わる標識が多いことに気づく。

  • 白のひし形に黄色のひし形 : 優先道路
    • これに黒の斜線を加えた優先道路終わり標識があるまで続く
  • 黄色い三角に十字 : この先の交差点ではこちらが優先道路
  • 黄色い下向きの三角: 譲れ(前方優先道路)
  • 赤丸に下黒矢印・赤上矢印: 対向車優先

日本にも制度上は存在する標識ってのはあるんですよね。

徐行+「前方優先道路」というのもあるし、逆に青四角に十字でこちらが優先道路と示すことはできる。


しかし、そのような標識が使われているのを見たことは無い。

(もちろん制度上存在する標識なので日本のどこかにはある)

理由は2つあって、1つは「止まれ」標識を多用するから。

もう1つは交差点での優先関係のルールが違うからである。

まず、交差点内で中央線や車両通行帯が途切れていない場合、そちらが優先道路というルールがある。

そうではない場合は、幅員の太い道路を走る車が優先される。

同程度の道路でも、一方を「止まれ」標識で止めてしまえば、優先関係は明確である。

日本では見通しの悪い交差点は「止まれ」を付けることが多い。

それでも決まらない場合は左方優先が適用されるが、感覚的にはかなり少ない。


ところがヨーロッパでは優先道路が明示されていない場合は右方優先なんですね。

(日本の左方優先との違いは右側通行だから)

このため、幹線道路に優先道路標識を付けて、交差道路に譲れ標識を付けるんですね。

ずっと優先道路の場合は白のひし形に黄色のひし形の標識、

ここだけ優先道路の場合は赤の三角に十字の標識を付けると。

国にもよるのだが、出張先では一時停止標識はほとんどなかった気がする。


日本ではとにかく大量に設置されている「止まれ」標識だが、

世界的には赤い八角形にSTOPなど停止にあたる文字を書くのが一般的である。

日本の下向きの赤三角というのは世界的にも特異なスタイルである。

このため外国人旅行者が理解しにくいということで、

順次「STOP」を併記したものに置き換えられているが、なにしろ数が多い。

なんと全国に170万枚もあるという。そりゃなんぼでもひっかかるわけだ。

実は大昔は日本の一時停止標識も八角形だったらしい。

ところが当時のドイツの標識をまねて、三角形の標識に変えたらしい。

公共サインについて感じること(4)ドイツと日本の「止まれ」標識 (デザインの現場)

視認性を考えてこの形状にしたらしい。確かに他の標識と明確に形が違って区別しやすい。

ただし、現在はドイツも標識統一のため八角形である。


あと日本とテイストが違うと言えば、規制終わりの標識ですね。

標識に斜線を入れることで速度規制終わりとかを示すようになっている。

日本でも地域により書き方はいろいろあって、

  • 「ここから」「ここまで」の補助標識を付ける
    • 少なくともドイツでは「Ende」で規制終わりを示す方式はある
  • 赤矢印の補助標識でここから・区域内・ここまでを示す
  • 青の斜線の補助標識を付ける
    • ヨーロッパの規制終わり標識に似ているがあくまでも補助標識

赤矢印の標識はどこから来たんだろ? と調べたんだけど、

駐車(駐停車)禁止標識では矢印で範囲を示すやり方が世界的にも多いらしく、

おそらくそれにならった形なのだろうと思う。

日本では速度制限、はみ出し禁止、横断禁止、何でも使われてるけど。

でも、最近は「ここから」「ここまで」にする傾向みたいですね。


そもそも日本の道路標識は文字が読めないと真の意味がわからないのが多すぎますけどね。

ラテン文字じゃないってのもあって外国人にはなおさらハードルが高い。

もっとも大なり小なりそういうのはあるんですけどね。

冒頭にも書いたようにアメリカ式はそもそも文字中心だという。

でも、カナダやメキシコでさえそこそこヨーロッパっぽいしなぁ。

(カナダは国内に様々公用語がある事情もあるよう)