地獄のさまざまな使い方

今回の別府滞在では鉄輪に宿泊している。

安かったというのもあるし、鉄輪温泉ってのはいいなと思ったのもある。

熱いぞ別府

2016年に別府に来たとき、地獄めぐりをしたので、地獄の大半が集まる鉄輪には当然来ていると。


そんな宿の風呂が白く濁って遠目には青っぽく見えるのを、

最初は何の気なしに入っていたけど、よく考えるとこれ海地獄と同じですね。

もちろん地獄のような熱湯ではないが……と思ったけど源泉は98℃で、これをなんとか冷やして人が入れる温度にしているらしい。ほぼ地獄でしたね。

というわけで地獄めぐりではないが、地獄を意識して過ごした。


しかし、今日はあいにくの雨である。どうしたもんかねぇと鉄輪を歩く。

歩いていると「足むし」と書いたものがある。

足を入れて温泉の蒸気で温めることができるという。

10~15分が目安ですよというけど、足だけでもじっとり汗をかく。


足を蒸したら今度は食材を蒸すということで「地獄蒸し工房」へ。

地獄蒸しの体験というが、食材を買って蒸し器にセットして15分待って取りに来て食べると。

このセットと取り出しの部分を体験するというが、体験というほどか。

食材の料金+地獄釜の料金(基本的に400円)がかかるという仕組み。

一応、食材持込も可能らしい。そういう使い方が多いのかはわからんけど。

海鮮セットとどうしても食べたかったから卵も付けて蒸してもらった。

卵は取り出したら水で冷やして氷を付けてくれた。そのままでは殻剥けないということか。

蒸気で調理しただけでそんなにおもしろい話はないんですが……


帰るときには地獄蒸しを待つ人がたくさんいた。

雨はあらかた上がり、人がワラワラ出てきたのかも。外国人もちらほら。

が、当初の想定ではもっと外国人だらけだと思っていたのだが、案外そうでもない。

2016年に来たときの印象などからすると、九州の観光地は韓国人だらけという印象だった。

なので昨今の状況からするとよっぽど韓国人だらけでは? と思ったが案外そうでもなかった。

外国人もヨーロッパ系が多そうな感じで、比率にすれば日本人が多い。そんなもんかい。


どうしたもんかなと思ったが、鉄輪よりもう少し高いところに明礬温泉というのがあるらしい。

見るだけでも面白いみたいなので、ずんずんと道路を上がっていく。

上空を通る高速道路をくぐったあたりが明礬温泉である。

別府の温泉街としては小規模で落ち着いた雰囲気である。

で、なんで明礬温泉なのかというと、ミョウバンの製造をしていたんですね。

そして現在も「湯の花」の製造としてその技術は伝承されていて、そこら辺に小屋がいくつかある。


明礬温泉は硫黄泉、ようは硫酸である。温泉のpHは2.2とか書いてあったが。

火山活動が活発なのでその辺に地獄が発生して硫化水素を含む噴気が出ていると。

そこで地獄から噴気を導入してそれを青粘土と反応させる。

すると青粘土に含まれるアルミニウム・鉄と、噴気が冷えてできる硫酸が反応しミョウバンが生成されるわけである。

これを湯の花として入浴剤や化粧品などに使っているわけである。

一般的に湯の花と言えば、温泉の沈殿物を指すことが多いのだが、

明礬温泉の湯の花は噴気と青粘土と作る点で特徴があり、この技術は重要無形民俗文化財として、湯の花小屋 は重要文化的景観の構成要素となっている。

というわけで見るだけでも価値があったと。

風呂に入るかと思ったけどさすがにこの強酸性はパス。

景色の良い露天風呂があるらしい。確かにこのあたりからは海が見えてよい景色。


さて、鉄輪に戻ってきて、今度は人間を地獄蒸しに……

というわけでやってきたのが「むし湯」である。

さっき 足むし をしていたところにあって、覚えていたのでやってきた。

この 足むし は一遍上人がつくったとされている。

遊行の中で訪れた鉄輪で人々を苦しめていた地獄をむし湯として利用できるようにしたという話である。

この一遍上人が開発した むし湯 を伝承するというのが大きな役割である。

利用料は700円なのだが、浴衣を借りたので+220円。

宿に戻ったときにタオルを取ってきたが、実はタオルを借りても計1000円で済む。あんまり意味は無い。


この むし湯 は相当めんどくさい施設である。

まず、脱衣所で裸になって、お尻あたりをかけ湯する。そういうルール。

で、それで浴衣を着る。短パン・Tシャツを持参しても良いが、汗でドロドロになるので結局は借りた方が賢明な気がする。

そして むし湯 に入るが、これが最大4人まで8~10分入るのでここの調整で待たされる。

むし湯は中に石菖という草が敷き詰められている。その上に寝っ転がって蒸気を浴びる。草の香りがする。

石菖の芳香成分は鎮痛効果があるそうで、それを利用する意味もあるらしい。

結局たっぷり10分浴びたが、8分でも相当熱くて大変かも。

出たら浴衣は脱いで、かけ湯して風呂に入って満足したら出ると。

サウナなら水風呂なんてありがちだが、それはないので健康に良い。


この施設は別府市の市営温泉である。

入浴料だけで700円、さらに浴衣・タオルとけっこうかかるが、それでも人手がかかるし石菖も使うし、なかなか見合わない施設だと思う。

ただ、むし湯の伝統を継承するという役目が大きいんだろうなという気がする。

実態としては観光客の利用が多いのだと思うが、全て持ってくれば700円で利用できるのは地元住民への配慮でもあるのだろう。回数券もあるらしい。


というわけで地獄の様々な使われ方を見た1日だった。

こういう温泉リゾートもあるということである。