いなげや はイオンの子会社になる

こんなニュースがあったのですが。

イオン、いなげや子会社化 首都圏強化、PB拡大 (JIJI.COM)

いなげや は南関東のローカルスーパーだが、本社が立川市にあることもあり、多摩地域で特に目立つ印象である。

いなげや の筆頭株主はイオンで、トップバリュ製品も並んでいる。

でもWAONは使えないし、三井住友カードと提携してing・fanVカードというクレジットカードを発行している。

イオンと深い関係にあることは間違いは無いが、イオングループではないらしい。

そんな いなげや が関東圏のスーパーマーケット事業を統括するユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(USMH)の傘下に入るという。


なぜ いなげや はこれまでイオンと付かず離れずの距離感だったのか。

それは いなげや の筆頭株主がイオンになった経緯とも関係がありそう。

イオンが地場スーパーを傘下に入れる経緯もいろいろあるが、

いなげや については秀和という不動産会社から売却されたことによる。

既存の大株主が業界ガリバーのイオンに株式を売却するのはわりとみられるが、

この秀和という会社は いなげや と 忠実屋 の株を買い占め、経営統合して大手に対抗できるスーパーチェーンを作ろうとした。

が、これは結局実現せず、忠実屋はダイエーとの提携を選んだことで秀和の保有していた忠実屋の株式はダイエーに渡った。

一部はダイエー、グルメシティ、イオンフードスタイルの店舗として残っているという。

(奇しくもこちらも現在はイオングループである)

一方の いなげや も秀和の経営難もあってか、2002年にイオンに売却されてしまった。

その後、秀和という会社はなくなり、建物名にその痕跡を残すのみである。


このような経緯もあり、いなげや は独立が保たれることを求めた。

秀和からの取得時には持株比率26%であったところ、いなげや自身が一部を買い取って、持株比率を17%に下げた。

これにより2004年に いなげや と イオン の提携関係が成立、現在に至る。

2015年のUSMH設立時に関東圏の食品スーパーでありながら加わらなかったのも、

いなげや の独立を保てなくなるからだったんだと思う。


しかし、いなげや にはこのままでは競争力は低下するばかりという危機感もあったのだろう。

一方のUSMHはオンラインデリバリー、Scan&Goなど、店舗のデジタル化を進めていた。

Scan&GoはUSMH以外のイオングループの店舗でも活用されている。

このような取り組みは いなげや にとっても魅力的に映ったのだろう。

USMHに加わったとしても いなげや の屋号は変わらないし、店舗網もとりあえずは変わらない。

その中でイオングループ、USMHとのリソース統合が進んでいくことになる。


2015年にUSMHとして経営統合された3社のうち、

マックスバリュ関東はイオンから分社からされたイオン直系の会社。

カスミは茨城県の地場スーパーだが、2003年に創業家がイオンに株式を売却したことでイオン傘下に入った。

これもわりとよくあるパターンですね。

マルエツは元々ダイエーと提携関係にあったが、一部が丸紅に譲渡された。

その後ダイエーがイオンの支援の元で再建を進める中、2007年にダイエーの保有株がイオンに譲渡されたという。

以後、イオンとの提携関係は持ちつつも独立を保っていたという。


USMH設立直前のマルエツの持株比率はイオン32%・丸紅29%だった。

カスミもイオンの持株比率は32%だった。いずれも半数に満たない。

この3社のイオンと丸紅の持分をイオンマーケットインベストメントに集めて、

それから株式移転により設立された持株会社こそがUSMHである。

イオンマーケットインベストメント社はイオン7割・丸紅3割程度の出資比率で、この会社がUSMHの54%の株式を所有している。

従来はカスミもマルエツもイオンの子会社ではなかった。

しかし、一連のイオンは大したお金をかけずに両社を子会社にできたという。


いなげや をUSMHに傘下に入れる具体的な手順は明らかになっていないが、

おそらく公開買付によってイオンは いなげや の持株比率を5割強にして、

株式交換で いなげや はUSMH傘下に入り、いなげやの株主はUSMHの株主になる。


いなげや の特色としてウェルパークというドラッグストアを抱えていることがあるという。

USMH各社の中でも特異な構造で、ここが1つポイントかもしれない。

イオンは傘下にウエルシアを抱えているし、イオン店内にイオン薬局などドラッグストア機能を持たせていることもある。

もしかすると食品スーパーの いなげや とは別の道に行くこともあるのかもしれない。

すでにハピコムというイオン主導のドラッグストアの系列には加わっているが、

さらに踏み込んでウエルシアとの協業が進むなどが考えられる。

わかりませんけどね。でも可能性は十分あるんじゃないかな。