準特急って元は急行だし

阪急京都線の停車駅案内を見ると「急行」がないのに「快速急行」があり、

「快速急行」とともに「快速」が存在するというので違和感がある。

関西では私鉄では「快速」ってあんまり見ませんからね。どれぐらい速いのかわかりにくい印象はあった。

そんな阪急京都線に今年12月から「急行」が登場する。

そして「準特急」という日本唯一の種別が登場する。

(なんか見覚えがあるという人もいるかもしれないが、そのことは後で)


といっても「急行」も「準特急」も真に新しい種別というわけではない。

2022年12月17日(土)初発より 阪急全線(神戸線・宝塚線・京都線)でダイヤ改正を実施 ~2024年に京都線で座席指定サービスを開始します~ (阪急電鉄)

「準特急」は「快速急行」の名前が変わっただけのもので、

「急行」は「快速」の停車駅に西京極を追加したもの。

列車の位置づけもあまり変わらない。準特急はちょっと変わるけど。


それにしても阪急京都線の種別はどうして冒頭のような組み合わせだったのか。

ことは1990年代にさかのぼることになる。僕が小学生の頃だ。

別に阪急沿線に住んでたわけではないが、京都に親戚がいたので京阪と阪急に乗ることがあったのでなんとなく知っている。

かつて阪急も京阪も京阪間ノンストップの特急が運行されていた。

会社の看板とも言える列車だったが、十三~大宮とか京橋~七条がノンストップとかだと利用できる乗客は限られる。

どちらかというと主要駅にこまめに停車する急行が沿線住民にとっての主力だった。

阪急京都線の1997年までの主な優等列車の停車駅はこんな感じ。

特急: 梅田・十三・大宮・烏丸・河原町

急行: 梅田・十三・淡路・茨木市・高槻市・長岡天神・桂・西院・大宮・烏丸・河原町


1990年代はJRの新快速が定着した時代である。

阪急も京阪も沿線の地固めに軸足を移すようになってきた――ということだと思う。

急行ばかり混んで、特急は余裕があるという状況は好ましくなく、阪急も京阪も特急は姿を変えていくことになる。

阪急京都線では2001年に特急の停車駅を大きく増やし、その代わり運行本数も増えた。

このときの主な優等列車の停車駅はこんな感じ。

快速特急: 梅田・十三・高槻市・桂・大宮・烏丸・河原町 (従来の快速急行を改名)

特急: 梅田・十三・茨木市・高槻市・長岡天神・桂・烏丸・河原町

快速急行: 梅田・十三・淡路・茨木市・高槻市・長岡天神・桂・西院・大宮・烏丸・河原町 (従来の急行を改名)

急行: 梅田・十三・淡路・南茨木・茨木市・高槻市~河原町の各駅

快速急行の停車駅はこの時から変わっていない。

この当時は「急行」があったから「快速急行」と命名されたのだなとわかる。

特急は淡路通過という点が現在と異なるが、2007年から停車駅に加わっている。

大宮は従来、特急停車駅だったが、他の停車駅が増えた影響か停車駅から外れた。

(桂で特急・普通の乗換が可能なためそちらで代替したという説明だったらしい)

でも、実はこの特急というのはラッシュ時には走らないのである。

ラッシュ時は 快速特急・快速急行 を交互に走らせるなどしていたからである。


その後、2007年に特急停車駅に淡路が加わった。

これにより快速急行の停車駅から西院・大宮を外したものという現在と同じ形に。

急行は停車駅を追加して準急になった。現在の停車駅と一緒ですね。

準急: 梅田・十三・南方・淡路・上新庄・南茨木・茨木市・高槻市~河原町の各駅

停車駅が増えて急行っぽくないと思ったんですかね。

これ以後、「急行」がないのに「快速急行」があるという状態に。

2007年に快速特急は通勤特急に集約されて停車駅が増えた。

通勤特急: 梅田・十三・高槻市・長岡天神・桂・西院・大宮・烏丸・河原町

高槻市~河原町の停車駅が快速急行と揃えられた。さらに2010年に茨木市が停車駅に加わり、現在の形に。

結果的には快速急行の停車駅から淡路を外したものになっている。


この頃に「快速」が臨時列車として登場している。

観光シーズンに梅田~高槻市では定期の準急の時刻で走り、高槻市~河原町で通過運転をすることで大阪~京都を移動するニーズに応えようとしたものらしい。

2010年に定期列車となり、通勤特急の走る夕方や、他の優等列車が手薄な早朝深夜に走るようになった。

快速: 梅田・十三・南方・淡路・上新庄・南茨木・茨木市・高槻市・長岡天神・桂・西院・大宮・烏丸・河原町

結果的には快速急行に南方・上新庄・南茨木という利用者の多い駅を加えたものである。

通勤特急が通過する淡路を穴埋めをしつつ、準急の役目も兼ねるという感じ。

当初、準急と同じ緑色だったが、紛らわしいということで青色になっている。


1990年代の話で「主要駅にこまめに停車する急行が沿線住民にとっての主力」と書いたが、

その当時の急行停車駅はずっと変わらず、名前だけは快速急行に変わって存在し続けている。

そして通勤特急・特急の停車駅はどんどん快速急行に近づいていった。

結局は急行が正義だったんだなというのが1997年~2010年の総括ではないか。


そして今年12月に名前が改められ、快速急行は準特急となる。

急行というよりは、特急の停車駅の多いやつという位置づけになる。

この改称により意味が大きく変わるわけではないが、

  • ラッシュ時の通勤特急の運行本数が減る分、従来の快速急行より本数が増える
  • 2024年から導入される座席指定サービスの対象になること

ということでラッシュ時に走る特急という色合いが増すことになる。

それは西院・大宮という京都市内の通勤・通学にとって重要な駅に停車するからということである。

準特急は現在どこの会社も運行してないが、今年3月まで京王に存在していた。

ちょうどなくなったばかりなので、見覚えのある人が多かったんですね。


快速は急行に改名され、色は阪急の急行を表す黄色になる。

従来は快速急行が黄色だったが、準特急で特急を表す赤色になるから空いたわけ。

なんとなく快速→急行はグレードアップ感があるが、実際は西京極が停車駅に加わり、桂~河原町が各停になる。

桂は車庫駅で、従来は河原町~桂を回送代わりで走っているような普通がある。

急行が西京極を埋めると、普通を桂でそのまま車庫から出し入れできるので、

結果として、回送のような列車を削減できるという意図もあるのではないか。


京王の準特急は停車駅を特急に引き継ぐ形でなくなった。

すなわち今の特急はかつての準特急と言ってもよい。

このような経緯を見てきた人が阪急の準特急も同じようなことになるのでは?

と疑っていたが、正直なところそれは今さらだと思う。

2007年には特急と快速急行(準特急)の差は西院・大宮の2駅だけになっていた。

しかもこの2駅はラッシュ時に走る通勤特急も停車、すなわちこの時間帯は全停である。

これをもう10年以上続けているのは何か信念があるのではないか。

そんなこと言ってたら、あっさり集約されてしまうかも知れないけどね。