今月14日、北海道で大雪に見舞われ、札幌でも相当な雪が積もったが、
これの除雪にかなり手間取っているらしく、幹線道路の除雪でも先週までかかったようだ。
生活道路の除雪作業はさらに滞っており、やっと回りつつあるのかな?
今まで住んだことあるところはずっと雪がほとんど降らないところだから、
雪対策の知識は乏しいが、まず除雪と排雪という言葉を知る必要がある。
除雪は雪を除けると書くが、これは道の脇に除けるぐらいの意味であり、
除雪後の道路脇には雪山が残されることになる。
しかし、雪山を積み上げるにも限度というものがある。
そのため、雪を運び出す「排雪」という作業を行うわけですね。
しかし、排雪というのは大変な作業である。札幌市は後に書く事情で特に大変である。
幹線道路の交差点付近は、雪を置ける場所が少なく、高い雪山に視界が遮られては危険である。
このため交差点付近は比較的排雪頻度が高く、幹線道路では年数回やるようだが、
しかし、それ以外の道路では年1回排雪作業ができたらいいところらしい。
通学路の排雪は公費で冬休み中に行うのだが、今年は幹線道路の除排雪に手間取り、
冬休み中の排雪は間に合わず、除雪だけで通学路を確保したため、すさまじい雪の壁が出来たようだ。
しかし、こうならざるを得ない理由はある。
雪は融ければ水となる。これは処理において有用な面と不利な面、どちらもある。
この特徴を雪処理に効果的に使っている地域の1つが新潟県である。
新潟県は水が豊かな土地で、河川水でも雪を溶かせる程度の温度がある。
このため消雪溝という雪を流しながら溶かす施設や、道路に水をぶちまける消雪パイプが整備されている。
地下水を使う場合、地下水のくみ上げすぎなどの課題はあるのだが、
河川水を使えるならこういう問題も少ないので、最近は河川水の導入が進められているという。
ただ、ある程度温かい水が大量に用意できる豪雪地域というのは限られる。
通常は排雪というのはダンプカーで雪を雪の状態で運び出すことで行われる。
雪を雪捨て場に運ぶのだが、この雪捨て場は適当な空き地でよいわけではない。
なぜならば雪は融けると水になるからである。
そこで雪解け水がそのまま川に流れていく河川敷は雪捨て場の典型例だが、
しかし、これは川が増水したときに流すためのスペースを使うので限度がある。
かといってそれ以外の場所に雪捨て場を確保するには、雪解け水の排水路が必要である。
一方で海を雪捨て場に使っている地域もあって、例えば青森市がそうみたいですね。
海水温は比較的高いので、そこに雪を投入して、かき混ぜて溶かすということをやってるらしい。
ここに札幌市の排雪が大変な理由が詰まっている。
まず札幌市は極めて都市化が進んだ地域で、市街地には空き地があまりない。
このため雪を一時的に置いておく場所すら困るような状況である。
そうすると雪を地域外に運び出すしかないが、当然、市街地に雪捨て場はない。
寒い北海道では水を使って溶かすのはなかなか難しい。
ただし、大都市らしく下水処理水や焼却熱というエネルギー源があり、これは融雪に活用されているようだが限度はある。
そこで、かなり遠くの雪捨て場に運搬するというのが、札幌市の主な排雪手段であり、
特に今年の大雪では立地の良い雪捨て場は満杯になり、遠くの雪捨て場が大混雑となっている。
さらに厄介なのは雪を運び出す道路にも多くの雪が積もったことである。
まずは除雪をして道を開くわけだが、除雪というのは雪を道の脇に積むこと。
これにより道幅が狭くなっては道路が渋滞に見舞われる。
この状況を解消するには排雪が必要だが、札幌で排雪するにはダンプカーを遠くの雪捨て場まで走らせなければならない。
しかし、その道路の排雪が追いつかず渋滞しているので、排雪が滞るわけである。
冬休み中に通学路の排雪をするのを遅らせるしかなかったのもこのことによる。
幹線道路の排雪を急がなければ、どこの排雪もできないためである。
雨も雪も降水という点では同じだが、雨はその場にしみこんだり、流れ出すことで処理できる。
都市化した地域では、雨があまりしみこまないので、下水道が重要だが、
しかし川や海まで流し切れれば問題ない。必要によって貯水を行うが。
これに対して雪は地面に積もって、気温が上がるまで流れ出ることはない。
で、田畑や公園など、そのまま積んでおける場合はそれでよいのですが、
道路や住宅など、積んでおいては通行の邪魔になったり、建物が壊れたりするわけである。
これを無理やり溶かして、雨水同様に排水するのが消雪溝や消雪パイプである。
しかし、これが使える地域は限られますから、雪は雪の状態で存在することになる。
雪をまともに溶かしては膨大なエネルギーがかかるので、こうせざるを得ない。
しかし、運び出すためには人・機械・燃料と多くの資源を使う。
生活道路の排雪は年1度できればよいぐらいというのは、積めるところまで積むという面もある。
雪は車や人が踏み潰せば厚みが減る。これに加えて道路脇にできるだけ積むことで、通行の邪魔にならない程度にできればよい。
札幌は世界的にも珍しい豪雪に見舞われる200万都市である。
豪雪地帯でこれほどの人口を抱えていることは珍しいが、
これは雪対策、とりわけ排雪という面で大変な苦労を負っているわけである。
このあたりは豪雪地帯でも地域によってだいぶ違うと思う。
行政も住民も相当な負担を負っているが、現実的にできることは限られるという。
それが現実でしょうかね。