国際線の滑走路横断を避けたい?

以前、こんな話を書いたことがある。

羽田空港第2ターミナルは偏っている

第2ターミナルのサテライト棟の本館連結を機に南側を常時国際線で使うようにしたので、

結果として国内線が北側に極めて偏った状態になっているという話である。


そんな中、第1ターミナルも北側サテライトの拡張が行われ、

第2ターミナルとおなじぐらい北側に延びることとなった。

6つの搭乗ゲートが新設され、当面は5つのゲートを使用する。

特徴的なのが北端にあたる29番ゲートで、非常に長い搭乗橋を持っている。

「日本一長い搭乗橋」なぜ羽田1タミに? 解説・拡張見据えた100m弱”コの字型”PBB (Aviation Wire)

将来的な拡張時の選択肢を増やすためにこのような構造にしているそう。


この第1ターミナルの拡張は老朽化対策という側面がある。

エプロンの改修を行うため、既存の搭乗口が使えなくなる期間がある。

このためあらかじめ代替となる搭乗口を増やしておいたというわけ。

同時にどれだけの搭乗口が使えなくなるのかはわからないが、

5つも増やしておいたので、工事中でも従来よりは使えるゲート数が増えるということだろう。

ただ、従来より歩かされる距離は長くなる場合はあるのだけど。


とはいえ、将来的には別用途も考えていると言われている。

それはやはり国際線であろうと。第1ターミナルも一部を国際線に転用するのではないかと。

第2ターミナル国際線はANAの一部便のみで、とてもわかりにくい使い方だが、

羽田空港全体で見れば国際線の処理能力が増えたということは事実である。

ちょっとでも第1ターミナルに国際線を持っていってもらえれば助かるという考えはあるのだという。


ここには第3ターミナルの位置が好ましくないという事情もあるらしい。

羽田空港は全体的に見れば井桁状に滑走路が4本ある。

第1ターミナル・第2ターミナルはこの滑走路に囲まれた位置にある。

そもそもA滑走路と交差しているB滑走路は別として、

それ以外の滑走路とは使用中の滑走路の横断をすることなく往来できる。

ところが第3ターミナルはA滑走路の外側にある。

A滑走路とは他の滑走路の横断をせずに往来でき、B滑走路も条件により可能だが、

常にそのような選び方ができるわけでもなく、滑走路の横断が発生しやすい。


国際線と国内線では混み合う時間帯が違うこともあるので、

第1・第2ターミナルを使う国際線が少しでも増えると効果はとても大きいのだが、

かといって国内線もそれはそれで本数が多いので中途半端な使い方しかできない。

国内線・国際線が同一ターミナルで同居するメリットはあるにせよ、

なかなか利用者にとってメリットが見いだしにくい話ではないかと思う。

同じ機材を国内線・国際線で機動的に変更するなら必要だろうけど、

羽田空港を使う航空会社でそのようなことをする会社はおそらくない。

(スターフライヤーが共用の機材を北九州で切り替えて飛ばしてるが)


希望としては国内線はできるだけコンパクトに収めて欲しいので、

もし将来的に第1ターミナルに国際線が来るとしても、遠い方を使って欲しいとは思っていて、

具体的には今回作った北側サテライトというのは考えている。

そういえば羽田空港の第2ターミナルは開業時から出発と到着の導線が分かれていたが、

第1ターミナルは昔から出発と到着が混在している構造だった。

国内線ではそれでも問題ないが、国際線では保安検査の都合もあり分離が必須である。

新築したサテライト部分にはそういう仕込みってあるんでしょうかね?

いかにもそれらしい通路とかは現状見えませんけど……

公共基準点とジオイド面

昨日、地図の話を書いていて、ふと気になったことがある。

街中を歩いていると、丸いプレートが埋め込まれていることがある。

これは公共基準点と呼ばれるものである。

この公共基準点は街中での測量の基準に使われているそうだが、一体どうやって使うんでしょうね。


公共基準点というのは工事などのために行政機関が設置する基準点である。

道路工事のために幹線道路沿いに設置されたり、区画整理を行う地区内に設置されたりする。

基準点には1級・2級・3級・4級があり、2級基準点から3級基準点、3級基準点から4級基準点を作ることができる。

一方で、街区三角点、街区多角点というものがある。

これも公共基準点の一種だが、設置の経緯が違って、都市再生街区基本調査・都市部官民境界基本調査という国の事業で設置され、

その後に市町村に移管されたもので、それぞれ2級・3級の基準点に相当する。


ここで気になったことが2つ、1つ目が街区三角点って国土地理院が設置している三角点とは違うの?

もう1つが三角点と多角点の使い分けってなんだということである。

公共基準点というのが、国土地理院以外の役所が設置する基準点という意味だそうで、

一方で国土地理院は公共基準点の設置に必要な場合に四等三角点と最下級の三角点を設置することもあるそう。

ただ、後で書く事情もあり、最近は重要性は薄れているように思う。


それで、公共基準点は国土地理院の設置した三角点や他の公共基準点から位置を決める。

昔は三角測量という3つの既知の点との角度を測ることで測量をしていたが、

現在は距離と角度を正確に測れるので、2つの基準点との角度・距離を測ることでも位置が特定できる。

このような測量方式を多角測量といい、現在の主流らしい。

1級・2級基準点は3つ以上の基準点との角度を測定を行う結合多角方式が原則必須、

3級・4級基準点は一本道で測定を行う単路線方式でもよいということで、

2級相当の点を三角点、3級相当の点を多角点と呼んでいるのだと思う。


といっても今どきは三角点を起点にして測量なんてしないんですよね。

GNSS測位ということで、人工衛星(GPS や みちびき など)を使う方法が主流で、

ただ、電波というのは電離層などで伝播特性が変わってしまう。

そこで比較的近くにある既知の点で受信したデータと比較する。すると精度よいデータが得られる。

国土地理院では電子基準点を全国1300箇所に設置して、そこで受信したデータを公表している。

1級・2級基準点を作るには、比較的近くの電子基準点を3つ選び、

1~2時間測定した受信データをこの3つの電子基準点の受信データと比較する。

これにより3つの電子基準点からの距離・方角を正確に決められるというわけ。

今どきは四等三角点はあまり重要ではないというのはそういう事情である。


こうやって作られた電子基準点から距離・角度を測れば、容易に3級・4級基準点を作ることができ、

そこを起点として工事に必要な座標を決めたり、土地境界を測定したりできると。

当然、3級・4級基準点をGNSS測位で決める方法もあって、

その場合はリアルタイムで他の電子基準点のデータと比較して10秒ぐらいで位置が決まるらしいのだが、

一方で空が見えないような場所でも、距離・角度の測定はできるので、その点では有用らしい。

なお、公共基準点を使った測量には承認を得る必要があるそう。


ところで、地図にはもう1つ標高という要素もある。

かなり最近まで標高を測定するには、2地点に標尺を立てて目盛の差を読み取る方法が使われていた。

それをずっと積み重ねていって標高を決めると誤差が相当大きくなりそうだが、

いろいろな工夫により誤差が小さくなるようにして来たのだという。

2025年からGNSS測位で標高を決める方法に移行し、それに伴って標高が少しだけ変わった。

富士山の標高5センチ高く、衛星使い新たに測量…「3776メートル」は変更なし (読売新聞)


ただ、標高ってのはけっこう難しいんですよね。

現在では地球は楕円体でモデル化するGRS80あるいはWGS84が一般的である。

ところがこの楕円体の面と標高0mの面は場所により異なる。

それは地球が厳密に楕円ではないというのもあるのだが、陸地では万有引力が大きくなるので、

その部分では重力ポテンシャルが等しくなる点が高くなるんですね。

この重力ポテンシャルが海面と等しくなる面をジオイド面という。

衛星測位では楕円体からの高さを知ることは出来る。

しかし標高を知るにはその地点のジオイド面の高さを知る必要がある。

かつては標尺で測った値とGNSSで測った値を照らし合わせて決めていた。


それが航空機で測定した重力データから決められるようになったと。

そのデータを「ジオイド2024日本とその周辺」という。

日本全国で東京湾平均海面(T.P.)0mに相当する楕円体からの高さが入っている。

現在はこのデータとGNSSで測定した楕円体からの高さの差が標高である。

もっとも沖縄や一部の離島ではその地域の海面高さを基準に標高を決めていた経緯があり、

それを補正する基準面補正パラメータというデータが導入されたという。

計算上は沖縄でもT.P.で標高を表せるようになったけど、それはしないと。


というわけで結局、人工衛星で測るんかいという感じである。

ただ、局所的なデータを得るには基準点から測定する方が有利なケースは今もあって、

そういう測定のスタート地点として公共基準点は様々活用されていると。

有用性はだんだん減ってるような気はするけど。

メルカトル図法を使っている理由

アホらしい話だと思ったのだけど。

アフリカ大陸、正確な大きさに 地図移行促す決議採択―国連総会 (JIJI.COM)

これまでメルカトル図法で書かれた世界地図が広く使われていたが、

高緯度の面積が拡大されるという欠点があった。

そんな中で等積図法の1つであるイコールアース図法の世界地図を普及させようという国連決議があり、

賛成多数で可決されたが、なぜかアメリカだけ反対したという話。


日々の生活に欠かせない地図だが、日常的に使う地図はメルカルトル図法やそこから派生した手法で描かれている。

現代ではコンピュータで自由に拡大・縮小・移動させて地図を見ることが多いが、

この場合、いま表示しているしている場所の縮尺がわかれば問題はない。

あるいはメルカトル図法の縦横を入れ替えた横メルカトル図法という手法がある。

これはメルカトル図法が赤道付近の歪みが少ないことを活用したもので、

任意の子午線を基準にして描くことで、その周辺では歪みの少ない地図が描ける。

地球儀を縦に細切れにして平面にするイメージですかね。


一体、メルカトル図法の何がよいのかというと正角図法であることである。

正角図法というのは狭い範囲で角度が正しく投影できる、すなわち形が正しいということである。

インドネシアとグリーンランドに同じ面積の正方形の土地を区切って、

メルカトル図法で描けばサイズは全く異なるが、どちらも正方形で正しく表示できる。

これが大きなメリットで、だから日常的に使う地図はこれがベースになっていると。

土地の権利関係を表す登記所備付地図も公共座標1~19系で位置関係を示している。

全国19箇所の地点を基準として横メルカトル図法で投影している。

場所により1/10000以内の距離のズレは生じ、面積には2乗で効くのでそこは注意が必要だが、形状は正確である。


もう1つのメリットが方角が正しいということである。

メルカトル図法で目的地まで直線を引いて方角を調べて、その方角に進み続ければ目的地にたどり着く。

この特性より海図は基本的にはメルカトル図法で描かれる。

もっともこうやって決まる等角航路は最短距離ではないのだが、

かつては操舵の容易性よりこの方法が多く使われていたという。

現代では衛星測位で位置を特定しながら船を操縦するのでその必要はないが。


といってもこれは赤道を基準にして描いたものだけに成り立つ。

中央子午線を本初子午線として地球表面全体をガウス・クリューゲル図法により投影した図 (Wikipedia)

これを見ると南北の線が中心子午線から離れるごとに弧を描いている。

実際には中心子午線の周辺の図のみ切り取って使うので影響は限定的だが、

東西南北は厳密には正しくなくても、形は正しく保たれるということは、回転することがあると。

確かにほぼ南北向きの スリランカ がかなり傾いていますね。でも形は歪んでいない。


日本は南北に広いのでメルカトル図法だと南北でそこそこ縮尺が変わる。

かといって東西にも狭いわけではないので、日本地図レベルの場合は別の方法が使われ、

具体的にはランベルト正角円錐図法が適用されるよう。

2つの標準緯線を決めて、標準緯線の距離は正しく描くということらしい。

緯線が弧を描いており、気象図を見るとそのように描かれていることがわかる。

ある程度の広域エリアを表す図としてはこれが一般的だそう。


さて、冒頭の話に戻ると、狭い範囲ではメルカトル図法がよく、

海図では操舵方法の都合で広い範囲でもメルカトル図法が一般的だが、

それを除けばある程度広い範囲ではランベルト正角円錐図法がよい。

飛行機も船と同じでメルカトル図法の地図を使っているのかな?

と調べたらランベルト正角円錐図法が一般的なよう。

では地球レベルではどうか? というと、なかなかよい方法がなく、

高緯度の面積が拡大される欠点を知りながら海図としての歴史があるメルカトル図法を使ってきたのが実情ではないか。

ただし、現在は等角航路での航行は一般的ではないので、その点ではあまり意味は無い。


とはいえ、面積の正しい世界地図を描きたいという考えはあって、

その手法の1つとしては横方向が広がるなら、縦方向を縮小すればよいという考えがあり、

その考えで作られた図法がランベルト正積円筒図法である。

ヨハン・ハインリヒ・ランベルトはいろいろな投影法を作ったのである。

ただ、この方法は高緯度になるほど横にひしゃげた形になってしまう。

小中学校の教科書で正積図法として紹介される典型例ではない。


実際には四角く描くのをあきらめるというのが一般的で、

モルワイデ図法では全体的に楕円形で描いている。

赤道付近は縦長、極付近は横長にはなるが、ある程度の形状は保てるということである。

ただ、周辺になるほど歪みが多いという欠点はある。

そんな中で生み出されたのがイコールアース図法だという。

2018年に開発されたそうでかなり最近だなと思う。

The Equal Earth map projection

赤道付近で縦長、極付近で横長になるという特徴自体は他の手法とも共通するが、

大陸部分の形状ができるだけ正確に表せるように調整したものだそう。

極部分を直線として描いているので、南極・北極は相当ひしゃげているが、そこは対象外であると。


本初子午線を基準に描いたイコールアース図法の地図を見ると、

確かに中央付近のヨーロッパ・アフリカあたりはきれいなのだが、

端の方にある日本は……傾いてるが形状は維持している方かな。

ニュージーランドは端に沿ってかなり引き延ばされているなと思う。

メルカトル図法の世界地図で話題になりやすいグリーンランドだが、

当然のことながら縦方向には大きく圧縮されているので、形状はさっぱり。

極地付近について言えばモルワイデ図法の方がまだ正しい気はする。

というわけでそんなに画期的な方法か? とは思うものの、

世界地図レベルではどの方法も一長一短ある中では長所が多い手法ではあるのだろう。

つくば科学万博の足跡をたどる

1年前の話だが、夢洲の万博会場でEXPO 2025のモニュメントの前に、

1970, 1975, 1985, 1990, 2005 とマーキングされていた。

これは日本でこれまで行われた国際博覧会の歴史を表したものである。

1970は大阪・千里丘陵での万博、その跡地に整備された万博記念公園にはたびたび行っている。

1990は大阪・鶴見緑地での国際園芸博覧会、その後の鶴見緑地にはたびたび行っている

2005は愛知万博で、これは会期中に行っている。閉会後は都市公園に戻り、愛・地球博記念公園となっているが、行ったことはない。

(制度上は万博前の愛知青少年公園とは別の公園らしい)


それで1975年の沖縄国際海洋博覧会の跡地の海洋博公園はそもそも沖縄県自体未踏なので行ったことがないのは当然としても、

1985年の国際科学技術博覧会の跡地はそんなに遠くないのに行ったことないよな。

ということでこの夏に行こうかなと考えていた。

土日の天気も悪く断念というのが続いていたが、今日は日中はよさそうだと昨日決断、

電動バイクを担いで、秋葉原で乗り換えてはTXに乗ったのだった。


さて、1985年の国際科学技術博覧会、一般には つくば科学万博 とか呼ばれていたという。

会場となったのは 茨城県谷田部町・桜村 である。

これらの地域は1987年に つくば市 となっている。

つくば市の区域は1970年に成立した筑波研究学園都市建設法の対象地域とされていたが、

合併までは桜村とか谷田部町とかいう行政区分が残っていた。

つくば科学万博 の目的はいろいろあったが、1つには工業団地の造成というのがあった。

科学万博の主会場は閉会後、公園を除いては工業団地として事業所が建ち並んでいる。

当時からこれでは科学万博のレガシーが残らないという考えはあったのか、

研究学園都市の中心部にサブ会場が設けられ、閉幕後も残すことにした。

このサブ会場こそが現在の つくばエキスポセンター である。


というわけでバイクを担いで降りたのは万博記念公園駅である。

この駅名って大阪モノレールの万博記念公園駅とまるっきり同じ駅名なんですね。

ローカルな交通機関同士なのであまり問題はないのかもしれないが。

しかし、公園の目の前にあるわけではないんですよね。バイクで走ればすぐ着くけど。

「科学万博記念公園」という看板があって、駅名もそれに合わせるべきだったのでは? と思ったが。

近くの歩道には「科学の門」というモニュメントがある。

会期中にあった同様のタワーを縮小して改めて作ったものだという。

その下には会場内の地図があって見ていたが、この公園のエリアは会期中から緑地だったよう。

谷のように掘り込まれていることなどからすると、調整池の役割を持たせているのだろう。

公園自体は今はそんなに見所はないが、桜の名所として知られているそうで、確かに桜の木がたくさんあった。


こんなので科学万博の足跡をたどったとは言えないよなと、再度出発。

万博会場跡地の工業団地には工場というよりは研究所や研修施設が多いようだった。

時代の変化か、物流施設を作る工事をしているのがみられた。

ちょうど高速道路が近くに出来たんですよね。工業団地に求められるものも変わっているということである。

北上すると つくば市役所が見えてきた。

1987年に合併したつくば市だが、2010年まで旧町村の役場を転用した複数の庁舎を使っていたらしい。

2010年にやっと市役所ができたわけですね。


このエリアは研究学園駅ができたことから、研究学園という町名が付いている。

紛らわしいのだが、筑波研究学園都市のコアエリアの研究学園地区とは別のものである。

なんでこんな命名になったのか理解できないのだけど……

この一帯はもともと日本自動車研究所の巨大なテストコースがあり、

テストコース機能の移転により大幅に縮小した上で、区画整理が行われた。

住宅開発が特に盛んで、駅周辺には高層住宅が建ち並び、まだ拡大の余地がありそうだ。

そんなわけで現在のつくば市では生活の中心になりつつある。

相対的に つくば駅のあるセンター地区は衰退が進んでいるとも。


で、少し進むと昔からの研究学園都市のコア地区に入っていく。

走っていて思うのは、幹線道路とそれ以外の分離が徹底されており、

ロードサイドに見えても、実は幹線道路に面していなくて、幹線道路から分岐してその中にいろいろあり、

歩行者は歩道から入れますけど、車にとってはむしろ奥まったところになる場合もある。

あと、つくばエキスポセンターの周辺はやたらY字型の交差点が多いんですね。

研究機関と集合住宅を折り重ねるように並べているのは職住近接を意図したものなのだろうけど、

TX開通以前、他との往来が面倒な時代には逃げ場がない思いで暮らしていた人も多いことが頷ける。


というわけでつくばエキスポセンターに到着。

つくば市中央公園に面した側には自転車の駐輪場があったのでここに停めましょう。

なんといってもこの施設で目立つのはH-IIロケットである。

当然、科学万博の当時はなくて後の時代に据え付けられたものである。

現在のつくばエキスポセンターは科学館で、特にプラネタリウムは万博当時からのもので、

とはいえ万博当時の投影機については交換され、プラネタリウムの入口付近で保存されている。

今回はプラネタリウムは観ないけど、この施設の万博時代からのコア機能である。

他にも科学万博当時のいろいろなものがプラネタリウムの前にある。

夜間割引入場券が午後4時以降となっていて、夢洲のときのトワイライトキャンペーンと同じだったんだなとか発見があった。

ちなみにこのサブ会場の入場券も共通だったようで、

メイン会場とハシゴする人のために作られたのが つくばセンター交通広場 である。

TX開業後も変わらない「つくばセンター」バス停のはじまりである。

それ以外ではよくある科学館なのかもしれないが、研究所の街らしい内容もある。

展示という面で重きをおいているように思ったのは有人宇宙活動、深海探査、南極観測といったところ。


つくば市内の研究所には個人でも容易に見学できる施設がある。

その1つがJAXAの筑波宇宙センターである。

ロケット・人工衛星の研究開発の中心ではあるが、これらはJAXA社内でもいろいろな施設に分散している。

最も特色があるのが有人宇宙活動ではないかと思う。

ここでは宇宙飛行士の訓練、きぼう・HTV-X といった有人宇宙船の管制を行っている。

いずれも国際宇宙ステーションの一部として人が乗り込むだけだが、れっきとした有人宇宙船、

その管制業務は つくば で行われているのである。アメリカとも協調してはいますが。

自由に見学できる展示施設「スペースドーム」では人工衛星の模型などがいろいろある。

その中でも大きくスペースを割いているのが きぼう と先代のHTV、

そしてJAXAの3つ目の有人宇宙船になるか? という 有人与圧ローバー のモックアップである。

これは去年に「深宇宙展」で見たんですけどね。今月にJAXAに戻ってきたらしい。


もう1つ、産業技術総合研究所の地質標本館も面白そうだったのだが、

産総研内のメンテナンスのため今日は臨時休館、普段は土日も開館しているのに残念。

というわけで、荒川沖駅へ向かってゴールとする。

荒川沖駅はかつてはセンター地区を含む一帯に最も近い駅としてバスが頻発していたが、

現在はそのようなニーズも減り、本数もだいぶ減っている。

でも近いことは確かで、つくば駅より荒川沖駅の方が近いエリアはけっこうあるよねと。

ちょうど産総研ぐらいの場所が両駅の中間点でしょうかね。


荒川沖駅でバイクを畳んで、電車に乗って次の駅がひたち野うしく駅、

この駅は科学万博アクセス用の臨時駅として作られた万博中央駅の跡地に再建された経緯がある。

しかし、最寄り駅といってもけっこう遠いなという印象はある。

距離だけのことを言えば荒川沖駅の方が近いが、大量の来場者を捌ける広さ、

大量のバスを運行しても困らない道路など考えると、やや西側に新駅を作る方がよいとなったのだろう。

この特徴が後にひたち野うしく駅として再建される理由になったわけですね。

現在もつくばセンター方面のバスは比較的多いが、途中のイオンモールつくば との往来のためだそう。


そんなこんなで科学万博の足跡をたどった。

博覧会当時からのものなんてそんなに残ってないのはどこもそうですよね。

ここはつくばエキスポセンターというのはあるけど、

H-IIロケットを筆頭に科学万博を経て研究所の街として知られることになった つくば の足跡ですよね。

アルファベットの入った町名

北広島市の北海道ボールパーク付近に新設される駅が「Fビレッジ駅」になるとのこと。

Fビレッジ で定着しているので当然の命名だが、アルファベットが駅名に入るのは珍しい。

アルファベットが入る駅名といえば1994年改称の「JR難波駅」が最も古い。

現在もほとんどがJR西日本が「JR」を付した駅で占められていて、

それ以外では路面電車の駅を除けば、YRP野比(京急久里浜線)とJヴィレッジ(JR常磐線)の2駅のみである。


それで言われて気づいたのだが、この一帯って町名もFビレッジなんですよね。

(株)北海道日本ハムファイターズの所在地は 北広島市Fビレッジ1番地 となっている。

そこで気になったのである。アルファベットの入る町名って他にあるのか? と。


なかなか厳密に調べるのは難しいのだが、郵便番号データというのがある。

必ずしも郵便番号は町名に従って振られているわけではないが、

一般的には町名単位か「○○1丁目」のような町名の○○の部分に振られる。

郵便番号簿のCSVファイルをダウンロードして[A-Za-z]で検索するとけっこうひっかかるが、

450-63xx 名古屋市中村区名駅 JPタワー名古屋(xx階)
のようなビルの個別番号の建物名に入っているものがけっこうひっかかる。

そのようなビルの個別番号を除いてひっかかったのは3件である。

  • 061-1116 北海道北広島市Fビレッジ
  • 939-1110 富山県高岡市ICパーク
  • 639-2211 奈良県御所市JR御所駅前通り

後で書くが御所のものは正式な町名ではないので、正式な町名として郵便番号に掲載されているものは全国で2つである。


高岡市ICパークは2019年新設の町名で、高岡砺波スマートIC付近の分譲地の町名である。

告示を調べると、正確には「大字ICパーク」らしい。

ICはインターチェンジの意味だったんですね。読みは「アイシーパーク」だが。

この付近には「オフィスパーク」「グリーンパーク」という町名もあり、

地番整理の一環でできた町名のようだが、えらい細切れである。


御所市は中心市街地に町名なしで「御所市120-4」のような住所表記になる地域がある。

この地域については通称町名により郵便番号を振ることにしたそうである。

この郵便番号はずっと「国鉄御所駅前通り」の名前で掲載されていた。

7桁郵便番号が導入された1998年の時点で国鉄はなかったはずなのに。

そもそも「国鉄○○駅」という言い方自体が異質だが、近鉄御所駅との関係ですね。

さすがに時代錯誤ということで郵便番号簿の記載も「JR御所駅前通り」に改められたようだ。


アルファベットの入る町名が問題なく存在していることに驚くも、

住所表示の町名以外の場所にアルファベットが入ることはいろいろある。

1つは建物名である。さっき出てきた「JPタワー名古屋」もそうですよね。

あるいは A棟・B棟のようにアルファベットで棟番号が振られることもある。

これが圧倒的に多いでしょうね。


もう1つは住居表示における街区符号である。

具体的には大阪市中央区上町の「A」「B」「C」がある。

普通なら1番, 2番, 3番と振るのだが、この町名ではそれができなかった。

それはそれ以前に実施された町名整理で上町一丁目が存在したためである。

納得できない住民の意思を尊重「大阪市中央区上町A」【ヤバい日本の住所】 (サライ)

もともとこの間には東区と南区の区界が走っていたが、合併して中央区になり、

同じ区内に上町と付いた町名が2つになり、混乱を避けるための町名整理も難しく、

旧来の上町についてはA, B, Cという街区符号を振って、上町一丁目と混同しないようにしたということだそう。


それに比べれば「Fビレッジ」はその町名でないといけない理由は弱いと思うが。

市町村でしかるべき手続きをすれば町名変更は可能なのはその通りなのだけど。

確定拠出年金のほぼ総入れ替え

労働組合に確定拠出年金の商品入れ替えが予定されているという通知があって、

そのことは知ってたのだが、会社側からの告知が来て、

具体的に除外・追加のリストを見て、総入れ替えに近いなと思ったのだった。


除外される商品は大きく3つのグループに分けられていた。

1つ目は同種の商品が多数あるので集約するという目的。

これは元本保証型の商品で多く、元々定期預金だけで4種類もあった。

特に使い分けがあるわけもなく、半分以下に絞り込まれる。

2つ目は運用成績が振るわないため。アクティブ型の全て。

3つ目は信託報酬が低いものに入れ替えるため。これはインデックス型のほぼ全てである。

2つ目の運用成績が振るわないのも信託報酬が低いものに入れ替えるという側面はあるのだろう。


というわけで、僕が指定している商品は全て入れ替え対象だが、

いずれも同種の商品が追加されるので、これに置き換えれば良い。

ここには2つの観点があり、1つは新規拠出、もう1つはすでに積み立てられた資産である。

新規拠出は除外された商品を選び続けていると、猶予期間を経て、それ以後は定期預金の積立にされてしまう。

なので新規拠出の設定は早急に切り替える必要がある。

一方で除外される商品も継続保有は可能である。

ただ、より信託報酬が低いものが導入されるなら切り替えた方が有利である。


確定拠出年金の商品はいろいろ候補がある中から会社が選んでいる。

この商品数はあまり多くしてはいけないというルールがある。

除外するには加入者の同意を得るなどの手続きが必要で、

商品数の上限から既存商品を除外しないと新しい商品を追加できないというので、

なかなか機動的な商品追加ができないという事情もあるようだ。

労働組合に打診があった頃から数えると1年ぐらいかかるのでは?


この結果、確定拠出年金には信託報酬の高い投資信託がゴロゴロ転がっているなんて話を見た。

実際、勤務先の確定拠出年金の商品入れ替えって今まであったのかな?

少なくとも僕が働き始めてから11年間は一切なかったですからね。

やっと手が入ったというのが実情なのかな。

会社としては一定の退職金を確保する観点で、適切なラインナップを並べる必要があるが、

せっかく商品を並べても従業員の選択によっては達成されないので、

会社としても手を入れるモチベーションは薄そうだが、運用に関わっている保険会社からの提案もあったのだろう。

マイコンのわり算事情

とある事情により、あるマイコンで実際に使用されている命令を集計していた。

そしたら乗算・除算命令が使われていなくて、そうなの?

と思ったら、乗算・除算はアセンブラで書かれたコードを呼び出していた。


乗算については32bit×32bitの演算は最大で64bit幅になる可能性があるので、

そのようなケースに対応した処理をアセンブラで書いているようだった。

一方の除算なのだが、1bitずつ除算を進めていく命令を32個並べるというコードになっていた。

除算の途中状況をステータスレジスタに残しながら進めていくらしい。


確かにコンピュータにとってわり算は面倒である。

コンピュータの演算でAND・OR・NOTのような論理演算は論理回路そのままで実現できて、

足し算は全加算器という論理回路の比較的簡単な組み合わせで作ることができる。

引き算は2の補数にして足すという処理に置き換えられるので、全加算器に追加の回路を足せば良い。

これに比べるとかけ算は複雑だが、かけ算を行う乗算器という論理回路は一般的に使われていて、

なので小規模なマイコンを除けば乗算器は積んでいるのが通常である。


一方のわり算だが、筆算のように何ステップかに分けて計算していくのが一般的である。

かけ算に比べるとはるかに複雑な演算なので一発で計算する回路は現実的に積めないと。

高速化する手法はいろいろあるが、回路規模とのトレードオフという側面もある。

それでこのマイコンは直接的にわり算を行う命令はなくて、

そのかわりビットシフトと足し引きをセットにしたような命令を用意していて、

これをビット数分繰り返すことでわり算ができる仕組みになっているよう。

具体的なアセンブラのサンプルコードがいくつか書かれていて、それを実装しているようだった。


こういう処理をコンパイラで自動生成できないのかはよくわからないけど。

ただ、わり算については何命令も積み重ねないといけないので、

そういう関数を1つ作って呼び出すという方がいいのかも。

そこまでコンパイラが自動でやってもよさそうなものだけど。


というわけで、わり算はかなり大変だというのを改めて認識したのだった。

前にRISC-Vの命令セットを見ていたときに、乗算・除算が拡張命令セットに位置づけられていて、

乗算器や除算器を積まないという選択肢を用意しているのかと思うも、

わざわざそういうものを作るのかねとは思う。世の中にはあるかもしれないけど。

道路に引く線と警察が引く線とそれ以外

特定原付のルールなどで「道路標識、区画線及び道路標示に関する命令」の話をしばしば書いているが、

名前を見て、変な名前の法令だなと思うわけですよね。

理由の1つはこれは道路交通法と道路法の2つの法律で必要な標識・標示を規定しているためで、

基本的には根拠法が違っても同種の規制には同じ標識など使うようにしている。


ところで道路標識って誰が設置しているかご存じですかね?

警察? と思ったかも知れないが、標識の種類によって違う。

案内標識・警戒標識は道路管理者が設置することになっている。

通勤途中に 学校ありの警戒標識と「通学路」を付けたポールがあるが、

そのポールには「○○市」と道路管理者の市の名前が書いてある。

規制標識・指示標識は種類によって道路管理者が設置するか、公安委員会(警察)が設置するか、どちらでも設置できるか決まっている。


どっちでも設置できる標識の1つに「通行止」がある。

冬季通行止めなど道路の管理上の都合で通行止めにする場合は道路管理者が設置する。

富士山の登山道は主な区間は静岡県・山梨県の県道で、道路法の規定により冬季通行止めになることが知られている。

一方、バス専用道では 通行止+「路線バスを除く」のような組み合わせがある。

これは道路交通法の規定で設置されるものである。


「自転車・歩行者専用」「自転車専用」は道路交通法と道路法でちょっと効力が違うみたいな話もあるのですが……

自転車道を走れる自転車って?

でも、そういうのは例外で基本的には同じ標識・標示は同じ意味を持つ。

その特徴に基づくルールとして、下記の2つがある。

  • 道路法の「道路中央線」の区画線は、道路交通法の「中央線」の標示とみなす
  • 道路法の「車道外側線」の区画線のうち、歩道のない側の路側にあるものは、道路交通法の「路側帯」の標示とみなす

道路管理者の引いた中央線・車道外側線は、警察が引いた中央線・路側帯と同じ効力を持つという意味である。


中央線でも はみ出し禁止 の黄色の線は道路交通法の規定によって警察が引く必要がある。

この場合は標識もセットで設置する決まりである。

駐停車禁止路側帯(実線+破線)や歩行者専用路側帯(実線2本)も同様である。

ただ、そういう特別な標示を除けば、道路管理者が引いていいわけですね。

しかし、管理者が引いた線を道路交通法の標示とみなすルールは「道路」にしか適用されないのである。


今日から中央線・車両通行帯・中央分離帯がない道路の法定速度が30km/hと定められた。

これは従来のゾーン30に相当する規制が中央線のない道路に自動的に適用されるということである。

ゾーン30の標識なんてやめたい

中央線のない道路でも標識を付ければ制限速度を上げることはできる。

とはいえ1車線の道路だとせいぜい40km/h規制ではないかと書いている。


そんな中で従来と同じ規制を維持するために60km/h制限の標識を設置している道路もあるそう。

その中にはどう見ても中央線がある道路に設置しているものもある。

雪国で中央線が雪に埋もれる懸念から設置しているなんて話を見たが、

農道・臨港道路という「道路」以外のものに設置している地域があるそうだ。


さっき書いた通り、道路管理者が引いた線が道路交通法の標示とみなすルールは「道路」にしか適用されない。

一方で道路交通法の規定は「一般交通の用に供するその他の場所」にも適用するとなっている。

道路とつながった私道、農道・林道・臨港道路など道路法の規定によらない公道にも適用される。

しばしば工場や店舗の敷地内で速度制限や「止まれ」などの標識が設置されていることがあるが、

これは通常は所有者が設置しているもので、道路交通法上の効力はない。当然ですが。

こういう道に中央線や車道外側線を引いても、道路交通法上の効力は生じない。

私道に所有者が線を引いて道路交通法上の効力が生じるわけはないが、

公道の管理者が引いた線でも「道路」以外では同じ扱いになる。


この問題の打開策の1つとしては警察が中央線や路側帯を引くという方法がある。

交通規制情報オープンデータを調べると、広域農道らしきところに「中央線」を設定している例が見つかった。

しかし、見た目で「道路」とそれ以外の公道の区別が付かないように、

道路交通法の規定による中央線と、管理者が引いた線の区別も付かない。

標識の場合、警察が設置した標識は裏面に公安委員会のシールが貼られている。

走っている車から視認することはできないが、じっくり見れば区別は付く。

でも、標示ってそういうのないんですよね。

はみ出し禁止のように標識とセットで設置するルールがあれば検証できるが……


一方で効力のある中央線や路側帯がなくても困らないという考えもある。

中央線がない道路では道路の中央より左を通るルールである。

すなわち中央に引かれた中央線はあってもなくても道路交通法の適用上は差はない。

従来はそのように考えられてきた側面はあるわけである。

路側帯は歩行者の安全には重要だが、そのような生活上重要な道は通常は「道路」にする。

(農道として整備された道でも、市町村道に認定されることはある)

あるいは歩道があるなら路側帯のことは考える必要はない。


ところが道路交通法上の中央線の有無で法定速度が変わるとなって、

今さらわざわざ警察が道路交通法上の中央線を引くよりは、

60km/h制限の標識を立てる方が手っ取り早いという判断が起きていると。

60km/h制限と明示してくれるのはありがたい話ではあるけど、

裏返せばそうでなければ中央線が見えても30km/h制限の可能性があるということで、

それで速度違反で検挙されてはたまったものではないのだけど。

原付の法定速度はどのみち30km/hだから、自分の車は関係ないけど。


私道に勝手に引いた線が道路交通法上の効力を持つのは問題なのはわかるが、

管理者が引いた中央線・車両通行帯に類似した線は基本的には認めるべきだったのでは?

これらの道路でも警察が引いた中央線であればよいわけだし。

ただ、道路法の規定によらない道ってあんまりルールがないんですよね。

なので「道路」以外の公道を規定するのが難しかったのかなと想像した。


結論からすれば見た目では明確な区別はできないということである。

農道・林道・臨港道路であることがわかったとしても、道路交通法上の中央線がないとは断定できない。

そのような状況である以上、中央線が見える道では30km/hの法定速度で取り締まりはできないだろう。

曖昧さを減らすには2車線以上の道にはできるだけ明示的な速度制限を付けるべきというぐらいかね。

ゾーン30を徹底的に適用するよりは、2車線以上の道路の全てに標識を付ける方がまだ現実的ではある。

そのあたりの方針も変わっていくかもしれませんね。