「自転車・歩行者専用」の標識には3つの意味があるという話を書いた。
歩行者専用+自転車を除くの意味
歩道ではなく道路自体に取り付けられる標識でも2種類の意味があり、
その標識の設置状況により通行できる自転車の意味が違うと書いた。
道路交通法の規定により設置されるものは、自転車道を通行できない自転車の
通行を認めないが、
道路法の規定により設置されるものは、自転車を示す範囲が広いという話。
ただ、後でいろいろ調べたのだが、実質的な差はほとんどないように見えた。
そもそも世の中にある自転車はほとんどが「普通自転車」に該当する。
普通自転車は長さ190cm・幅60cmで四輪以下、幼児用座席を除いて1人乗りで側車がないこと。
2020年に四輪の普通自転車が認められることになった。(cf. aeroクークルMⅡ)
なので、普通自転車に該当しない自転車として考えられるものとしては、
- ハンドル幅が60cmを超えるマウンテンバイクなど
- タンデム車
- ベロタクシーのような明らかに大型の自転車
- 側車を付けた自転車
- トレーラーをけん引する自転車
といったところになる。
この中ではハンドル幅だけ超過するケースは比較的あるようだ。
歩道と柵などで区切られた自転車道を通行できるのは普通自転車と特定原付だと思っていた。
先の記事でもそう思って書いたのだが、道路交通法を見てみると違った。
道路交通法 第17条2
特定小型原動機付自転車(原動機付自転車のうち第二条第一項第十号ロに該当するものをいう。以下同じ。)、二輪又は三輪の自転車その他車体の大きさ及び構造が自転車道における他の車両の通行を妨げるおそれのないものとして内閣府令で定める基準に該当する車両(これらの車両で側車付きのもの及び他の車両を牽引しているものを除く。)以外の車両は、自転車道を通行してはならない。(略)
自転車道を通行できるのは、1)特定原付、2)二輪または三輪の自転車、3)内閣府令の基準を満たす自転車で、
1)~3)に該当しても側車付き・けん引している車両を除くということ。
で、3)は道路交通法施行規則で、長さ190cm・幅60cm以内の四輪以上の自転車と定められている。
先ほど普通自転車に該当しない自転車を5つ例示したが、
ハンドル幅60cm超のマウンテンバイク、タンデム車は二輪の自転車なのでOK。
ベロタクシーは三輪車だからやはりOK?
側車付き・トレーラー付きは除外対象に入っているからNGとなる。
側車かトレーラーを付けなければほぼ自転車道はOKになってしまうね。
だから道路交通法に基づく「自転車・歩行者専用」標識の付いた道路でもOKになるということらしい。
普通自転車よりも自転車道を通行できる自転車の範囲が広いのはなぜか?
調べてみると普通自転車とそれ以外の自転車の決定的な違いは歩道通行の可否らしい。
「自転車・歩行者専用」の標識がある歩道を走行できるのは普通自転車に限られる。
これに加えて特例特定原付(特定原付の歩道モード)も認められているが。
標識がない歩道でも、児童・幼児・70歳以上が運転する場合は認められているが、普通自転車であることが前提となる。
というわけで歩道を走れる自転車=普通自転車ということだったんですね。
ちょっと話は逸れるが、関連して自転車・バイクの押し歩きというのもある。
実は自転車、エンジンを切ったバイクを押し歩きして歩行者と扱わないケースがある。
道路交通法 第2条3
この法律の規定の適用については、次に掲げる者は、歩行者とする。(略)
二 次条の大型自動二輪車又は普通自動二輪車、二輪の原動機付自転車、二輪又は三輪の自転車その他車体の大きさ及び構造が他の歩行者の通行を妨げるおそれのないものとして内閣府令で定める基準に該当する車両(これらの車両で側車付きのもの及び他の車両を牽引しているものを除く。)を押して歩いている者
道路交通法施行規則を見ると 三輪以上の特定小型原付と長さ190cm・幅60cm以内の四輪以上の自転車 とあるから、
合計すると歩道の押し歩きを認められるのは、
1)大型・普通自動二輪、2)二輪の一般原付、3)特定原付、4)二輪・三輪の自転車、5)長さ190cm・幅60cm以内の四輪以上の自転車 で、
なおかつ側車付き・けん引している車両を除くということになる。
もしもこの範囲に入らない車両を押し歩きとどうなるか?
という話だが、荷車と同じ軽車両に該当するそう。
軽車両は通常、車道の左端を通るので、そこを押し歩きすればよい。
確かにトレーラー付きや側車付きの車を押し歩きするのなら荷車と一緒でしょうね。
3)~5)はさっき紹介した自転車道を走行できる車両と同じ。
排気量50cc超のバイクは1)でよいが、問題は2)の一般原付で「二輪」と制限されている。
三輪車について、道路交通法では自動車扱いが原則だが、
排気量50cc超で操縦性が二輪車に近いものは特定二輪車として自動二輪車扱いになる。
この場合は1)に該当するので押し歩きが認められることになる。
排気量50cc以下の場合、輪距500mm未満という基準の差はあるのだが、
三輪でも原付扱いで運転できるものは存在する。が、押し歩きは認められないらしい。
かなり巨大な三輪自転車が自転車道の走行・押し歩きが認められ、
他の原付とサイズが同じ三輪の一般原付が押し歩きが認められないというのは変な気がする。
正直なところ、法律の想定がいろいろ間違えている気がする。
排気量20cc以下だと三輪以上でも一般原付扱いになるルールがあるので、
それで押し歩きに制限を設けたのかもと思ったが、そのような車に実用性があるとはとてもとても……
というわけで、側車・トレーラーがなければ自転車はほぼ「自転車・歩行者専用」の道路を通ることができるという理解でよい。
一方で「歩行者専用」+「自転車を除く」は普通自転車にあたらない自転車はNGになる。
歩道と柵で区切られた自転車道も同じく側車・トレーラーがなければほぼOK。
ただし、自転車道と歩道走行区間が混在することが多い実情がある。
このため普通自転車以外は車道走行の方が無難と思われる。
(普通自転車以外の自転車は自転車道の走行義務はない)
このあたりは特定原付と同じですね。自転車道を走れるが走るのがよいとは限らないと。